The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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「こげない自転車」をこぐ

夜に複数人と食事をする約束があり、私は仕事が長引きそうだったので先に始めておいてもらうことにしました。で、30分くらい遅れて向かおうとしたのですが、どうやって行くか。目的地は歩くと20分くらいかかる場所。全く問題なく歩ける距離ですが、遅れているだけに早く向かいたい。かと言って、車で行くには近いのです。

中国でこういうときに便利なのが「シェアサイクル」です。いわばレンタル自転車ですね。町中そこらに止まっていて、スマートフォンアプリで自転車のQRコードをスキャンすれば、すぐに乗れます。で、どこで返却しても自由*1。日本にも首都圏などを中心にドコモのシェアサイクルがありますが、特定の場所(ポート)で借りて返却も特定の場所(ポート)にしか返せません。その点、場所の制限がない中国のシェアサイクルは便利です。ま、一方で無秩序にカラフルなシェアサイクルが散らばっているのは景観的に美しいとは言えませんけど。

まあ、でも急いでいるときにシェアサイクルは助かるんです。で、今日もどう向かおうかと職場を出たところで黄色がトレードマークのシェアサイクル“美团”の自転車が止まっているのを見つけたので、これに乗って向かうことにしました。すると……

いざペダルを漕ごうとすると足が空回り。よくよく見ると右足側のペダルが付いていない!

これ、中国のシェアサイクルでよくあるんです。いざ乗ろうとした自転車が故障していること。けどタイヤがパンクしていたとか、ハンドルが歪んでいたとかならまだしも、ペダルが取れているなんてどういう乗り方をしたのやら。先ほども書いたように中国のシェアサイクルは場所の制限がないので、こういう“故障自転車”が管理されないままそこらに止まっているんでしょうね。

しかし困りました。周りを見ても他にシェアサイクルは見当たりません。と言うことで私、ペダルの付いていない自転車、片足だけで頑張ってこぎましたよ!しかし足の普段使わないような部分に力を入れるので何度もつりそうになりました。

結局数百メートルこいだところで別のシェアサイクルが止まっているのを見つけたので、乗り換えることで事なきを得ました。でも、おかげで支払った料金は2台分。そんなに高い金額じゃないけど……ちょっぴり悔しい。皆さんも中国でシェアサイクルに乗る際は、借りる時点で「そもそも乗れる自転車かどうか」確かめることをおすすめします。

References
*1ただ、人が非常に集中する場所、例えば観光地や繁華街の近くでは駐輪禁止区域が設けられている場合があります。

振替出勤日

今日は来週から始まる春節のための「振替出勤日」。それなに?おいしいの?……いや、もう詳しく説明はしまい*1。地元の中国人からも評判がすこぶる悪い制度が理由で日曜日なのに出勤です。

日曜日だというのに出勤時の地下鉄は平日のような混みよう。いや、まあ中国国内に限っては平日扱いなので、平日っちゃあ平日なんですけど。うちは日本の会社なんだし、どうせ日本が休みなら今日は休みにしちゃえばいいのに……とぶつぶつ言いながら今日も出勤するのです。

References
*1以前、中国の「連休」のからくりを説明したので、そちらをご参照ください。

春節のライトアップ

今日は土曜日ですが休日出勤。仕事を終えて会社から帰宅していると道路沿いの街路樹がライトアップされていました。

提灯までぶら下がり、すっかり春節ムードですね。先月、昼間におっちゃんたちがせっせとLEDを街路樹に巻き付けている作業を見ていましたもんね。

今日、昼食を食べに外に出ると街路樹に登ってゴソゴソ作業をしている人たちを見かけました。よく見てみるとLEDライトを街路樹にくるくると巻き付けていました。なるほど、夜になるとライトアップさせるんですね。春節(旧正月)に向けて着々と準備が進んでいます。

この通りは「建国門外大街」といって、少し向こうに行くと「長安街」という天安門の前を通る道に繋がります。北京のメインストリートだけあって飾り付けにも気合いが入っていますね。

 

「ゼロコロナ」政策の“残り香”

昨日、綿矢りささんの「パッキパキ北京」の書評を書いたからというわけじゃないですけど、今日お昼時に会社近くを歩いていると「ゼロコロナ」政策*1の“残り香”を見つけました。

写真手前にあるQRコード。「ゼロコロナ」政策の頃には北京市内のあらゆる場所で目にしたものです。公共施設、デパート、スーパー、コンビニ、マンション、とにかく「見ない場所はない」くらい。大体は建物の入口に掲示されていて、市民が建物に入る際に「健康コード」(“健康宝”)というスマートフォンアプリで必ずスキャンすることが求められました。

こうすることで当局は「誰がどこを訪れたか」を把握することができるんですよね。スキャンさせることで、訪問記録が残りますから。で、どういうことが起きるかと言うと、厄介なのは自分が訪れた場所で感染者が確認されたときです。アプリに突然「あなたはリスクが高い地域を訪問しました」というポップアップメッセージが表示され、これは自分で解除できません。さらに数日間建物へ入れなくなったり公共交通機関の利用ができなくなります。

つまり濃厚接触者でもないのに「同じ場所を訪れていた」というだけで行動が制限されるのです。ポップアップメッセージを中国語で“弹窗”(タンチュアン)と言うのですが、当時は北京在住の日本人の間でもずいぶん話題に上がったし、また恐れられました。だって出張中に「タンチュアン」が出たら北京に戻ってくることもできないんですから。増してや、もし一刻も争う生命の危機に瀕しているときに行動を制限されたらどうなるやら。

多大な犠牲のもとに行われた「ゼロコロナ」政策は、これまた大混乱の末に終了しました。別に当時を知る者としてしたり顔をするわけではありませんが、あれは本当に経験した人にしか分からない出来事だったように思います。今や北京の人たちは「ゼロコロナ」政策なんて無かったかのように平和に過ごしています。それでいいのだと思う一方、本当にそれでいいの?と感じるのも事実です。ま、たった1年ちょっと前の出来事なのに私も遠い昔のように感じて過ごしてしまっているわけですが。

References
*1新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込むためにとられた中国政府の政策。

パッキパキ北京

最近旧ツイッター、もといX(エックス)で話題になっていた本。妻も読んだそうで、私もAmazonのKindleで購入して読んでみました。綿矢りささんの「パッキパキ北京」です。

作品の舞台はコロナ禍真っ只中の北京。ちょうど2022年の年末、北京で新型コロナウイルスが感染爆発した頃から始まります。私も同じ時期に北京で過ごしていましたから、いろいろと我が事として思い出されることも多く、楽しく読みました。

主人公は36歳で子どものいない駐在妻*1。中国入国後の隔離*2を経験し、北京に到着してから贅沢三昧の日々を過ごします。すでに北京で3年働く頭ガチガチサラリーマンの夫よりよっぽど北京暮らしをエンジョイする物語です。主人公の女性は中国語が全く出来ないのに中国のネット通販「タオバオ」(“淘宝”)や中国版インスタグラムとも呼ばれているSNS「小紅書」(“小红书”)を使いこなしていて、読んでいるだけで中国の「今」が分かります。

北京という街の特徴についてもよく分析していて、うまい表現で書かれているのを見ると、いや、言い得て妙だなあと感じます。

北京では地方出身者が肩身の狭い思いをしてるとか、故郷を恋しく思って帰りたくなるとも聞いていたから、北京は田舎から出てきた人間を打ちのめすほどの大都会のコンクリートジャングルかと思ったら、意外と土くさい素朴な雰囲気が街にも人にも残っている。これなら行ったこと無いけど上海とか、または東京の方がよっぽど、田舎から出てきた人間を不安にさせる近未来的な発展具合と騒がしさがあるんじゃないかと思った。

パッキパキ北京/綿矢りさ

そうそう、北京って今や世界第2の経済大国・中国の首都なのに、なんかこう、巨大な田舎みたいなところがあるんですよね。冬になると立派なショッピングモールの入口に防寒用の巨大な布団みたいなものが下がっていて、ちょっとダサい(笑)けど、これが室内の温度を保ったり、あと防風にもなったりして良いんです。東京ではまず見られないと風景かと思います。

あとは新型コロナの感染爆発した時期を経験した人なら「分かる分かる」「大変だったなあ」と思い出される描写もたくさんありました。

夫は少しも北京に馴染んでない。会社と家との往復で、仕事は難なくこなしているけど、それ以外はほとんどほとんど家に閉じこもり気味だった。夫が巨大な都市北京のめぼしい場所にまだ行ってないと知り、少しからかうと、「君が来るほんの少し前までは、コロナ感染対策が厳戒態勢で、とてもじゃないが街をうろつける雰囲気じゃなかったんだ。マンションからほとんど出ないで過ごして、仕事や会議もオンラインでこなして、毎朝氷点下十度以下の極寒のなか、ときには一時間以上も毎日場所が変わる野外のPCR検査所の長蛇の列に並んだんだ。遊ぶ余裕なんかこれっぽっちも無かったよ」とすごい剣幕で反論が返ってきた。よっぽど苦労したらしい。

パッキパキ北京/綿矢りさ

わはは、そうそう。中国の「ゼロコロナ」政策、特に末期の頃は店がどこも閉まってしまい、開いている店も24時間以内のPCR検査の陰性証明を要求されるなど本当に大変でした。

今日、会社のオフィス近くにびっくりするぐらいの行列ができていた。時間は午後4時過ぎだったかな、みんなPCR検査を受けるために並んでいる人たち。ここ朝陽区は北京で最も感染が確認されていて(と言っても100人余り)区内のあらゆる場所が24時間以内の陰性証明を要求するようになってきている。一方で大量のPCR検査場を閉鎖しているという話も。そりゃあ……こうなるよねえ。私の会社のオフィス近くにも検査場がひとつある。誰でも入れるエリアではないので、そこは混んでいないようだ。しかしそうでない人はこの列を毎日並ばないとい...

しかし、ほどなくして「ゼロコロナ」政策は急転直下、光芒一閃の政策変更をするんですよね。PCR検査はなし崩し的に求められなくなり、入国後の隔離もなくなりました。中国に来たのが「ゼロコロナ」政策の前か後かで抱く印象は本当に違うと思います。

中国に住んでいて、かつ「ゼロコロナ」政策を経験した身としては面白く読みました。ただ、ストーリーとしてはどうでしょう。最後も何だかあっさり終わってしまって「え、もう終わり?」と思ってしまい、中国(特に北京)に住んでいないとか、あるいは中国について前提知識が少ない方は楽しめるのかなあと感じました。あるいは、この作品は綿矢りささん自身が北京滞在時に見聞きした経験が詰め込まれているということですから、もしかすると純粋に「エッセイ」を読んでいるつもりで楽しめば良いのかも知れません。

References
*1夫の海外転勤に帯同する女性のこと。
*2中国政府の「ゼロコロナ」政策においては中国入国後にホテルで一定期間の「隔離」が求められました。私のときは10日間、ホテルの自室から一歩も出られない日々を過ごしました。
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