The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

月: 2025年6月 (1ページ目 (5ページ中))

中国の塩むすび

北京のセブンイレブンに行くと新商品のおにぎりが並んでいました。

その名も“稻香盐饭团”。“稻香”は漢字のとおり「稲の香り」、つまり米が炊けたときの香ばしい香りを指しています。“”は日本の漢字で書くと「塩」。“饭团”(飯団)はおにぎりという意味ですから、“稻香盐饭团”で「香ばしい塩むすび」といったところでしょうか。

日本のコンビニでも塩むすびを売っていますよね。具が入っていないので、米の本来の味が楽しめます。あとはおかずを別に食べるときにも、塩むすびなら味が邪魔をしません。私もわざと具の入っていない塩むすびを買うことがあります。ついに中国にも塩むすびが上陸しましたか。

気になって買ってみました。で、ガッカリ。全然おいしくありません。米はパッサパサ、食べているとポロポロしてきます。食べきるのも苦痛で、残してしまいました。これでは日本のコンビニおにぎりのクオリティーの足下にも及びません。

まあ、一応フォローしておくと、中国のコンビニって食品の配送が冷蔵に限られているんですよね。ごはんって冷蔵しちゃうとパサパサになってしまいます。だから中国のおにぎりは必ず温めないと食べられた味じゃないんですけど、その点、日本のコンビニおにぎりってそのままでも米がふわふわです。中国と違って常温輸送できるからという事情はありますが、いや、それ以上に企業努力が大きいように思います。中国では温かい米でもひどいことはままありますから*1

References
*1最近は改善されたように思いますが、私が15年前に北京に留学していた頃の中国の米はひどかったことを思い出します。まあ、安い学生食代で食べていたからかな。

ウルトラマン展

朝陽大悦城というショッピングモールで期間限定のウルトラマン展が行われているそうで、行ってみました。ウルトラマンは中国語で“奥特曼”と書きます。発音すると「アオタァーマン」みたいな感じ。日本語のウルトラマンより、英語の”Ultraman”の発音に近いかもしれません。

1歳の娘にはまだウルトラマンを見せたことはありません。そもそも女の子ですし――はい、このウルトラマン展は私が見たかったのです(^^;)。と言うのも、私は小さい頃、ウルトラマンが大好きでした。平成生まれだというのにお気に入りはシリーズ第1作目の初代ウルトラマン。思えば私の昭和好きは当時から始まっていたのかもしれませんね。

入場チケットは大人2人で129元(約2670円)、そこそこします。1歳の娘は無料でした。

入場してまず迎えてくれたのは「ウルトラマンタロウ」。娘はこの像を見て震え上がってしまい、私や妻にしがみついて離れなくなってしまいました。この大仏みたいな見た目が怖かったのかしら。あるいは会場で大きな音が流れていたので、びっくりしてしまったのかもしれません。

ちなみに「ウルトラマンタロウ」は中国語で“泰罗·奥特曼”と書くようです。“泰罗”は「タイルォ」という発音なので、タロウを音で表記したんでしょうね。中国語でも“太郎”って書いちゃうのかなと思ったらそうではありませんでした。

おお、このオレンジ色の服は「科学特捜隊」の制服ですね。

こちらは三面怪人ダダです。人間を標本として採取するために地球にやって来ました。物体をすり抜けたり人間に憑依したりと超能力を持っていて、常に心臓の鼓動のような不気味な音を発しています。ダダが登場する回はまるでホラー映画を見ているようで怖かったことを思い出します。

ウルトラマンと戦っている右の怪獣は宇宙恐竜ゼットン。初代ウルトラマンの最終回に出てきて、ウルトラマンを倒した最強の怪獣です。その名前もラテン文字の最後の文字「Z」(ゼット)と、50音表記の最後の文字「ん」を組み合わせて「ゼットン」、つまり最後の怪獣という意味を持たせたんだそうです。

会場には各所にこうしたウルトラマンの人形が並んでいましたが、正直に言って作りは「チャチい」感じでした。というより、展示会そのものが全体的に物足りなかったです。会場の広さに対して展示されているものが少ない。中国だからしようがない……と思いつつ、これで大人2人で129元は高いんじゃないかと思いました。それもあってか日曜日だというのに会場はガラガラ。いるにはいましたけど、みんなこれで満足したのかしら。

とは言え、中国でウルトラマン展が開かれるということ自体には隔世の感を覚えました。

ウルトラマンは中国で1993年に初めて放映され、昔から親しまれてきた大人気コンテンツです。しかしその人気さがゆえに以前の中国ではニセモノや海賊版が横行し、無許可でウルトラマンの映画が製作・放映されたこともありました。その後、中国では知的財産権保護の意識が高まり、今ではこうして正規の形でウルトラマン展が首都・北京でも開かれるようになりました。

今、中国ではキャラクタービジネスが急成長しています。中国でも大人気のウルトラマンはその急先鋒を担うコンテンツになるんじゃないでしょうか。

北京動物園

今日は「北京動物園」に行きました。例によって事前予約*1が必要なので、午後の入園枠を予約。当日だと予約がいっぱいなんじゃないかと心配しましたが、全く問題ありませんでした。

チケットは別料金のパンダ館とセットで大人1人19元(約380円)。へええ、やっす~い。ちなみに日本はどうだろうと上野動物園を調べたら、こちらも大人1人600円。動物園ってそんなに安いんですね。いずれも公立なので地元自治体や地元政府の補助が入っているのかも。ありがたいことです。

中国はどこに行っても人が多いので「動物より人間のほうが多かったらどうしよう」なんて思ったのですが、心配無用でした。と言うのが、北京動物園は敷地がびっくりするほど広いからです。その面積は90ヘクタール、上野動物園の約6倍です。その歴史も約120年なんだとか。でも上野動物園は1882年開園(約140年前)というから、もっと驚きました。

まずは向かったのは「パンダ館」(“大熊猫馆”)。ここだけは別料金のエリアです。通常のチケットに加えて5元(約100円)かかり、私たちは最初からセットになったチケットを買いました。北京動物園にはジャイアントパンダが10頭いて、うち9頭が観覧できるようになっています。

宙を見つめたままジーッと固まったパンダ、まるでぬいぐるみのようです(^^;)。さすが中国でもパンダは大人気で、たくさんの人が窓枠に張り付くようにパンダに見入っていました。

ちなみにパンダを見るのに最適なのは午前中なんだそうです。特に朝食の時間は一番動きが良くて、ムシャムシャ竹を貪り食う様子が見られるんだとか。一方、午後は昼寝してしまうことが多いそうで、確かに私たちが見に行った午後2時頃はじーっとしていました。この固まったパンダもウトウトしていたのかもしれませんね。

今日、日本では和歌山県白浜町のパンダが中国に返還されます。残るパンダは上野動物園の2頭となり、この2頭も来年2月には返還される予定なので、インターネット上では「日本からパンダがいなくなってしまうのでは」なんて話題になっています。

中国政府は世界的に人気の高いパンダを「仲良くなりたい国」に送ることで友好を示すなど、外交カードに使ってきました。日本に初めてパンダが来たのも1972年に日本と中国が国交を正常化させたとき。このとき日本に来たカンカンとランランは北京動物園で「最も容姿と性格が優れている」として選ばれたんだそうです。もっともカンカンとランランは現在の「ブリーディング・ローン形式」ではなく、返還義務のない譲渡でしたが。

来年以降、本当に日本からパンダがいなくなってしまうのか――それは分かりませんが、いずれにせよ中国政府の采配次第です。私の個人的な予想だと、一時的にパンダがいなくなる時期があってもまた来るんじゃないかな。日本人のパンダ好きは中国でもよく知られています。シャンシャンが中国に返還される際、上野動物園でたくさんのファンが涙ながらに見送ったニュースは中国でも報道されました。中国にとって日本は仲良くしておきたい隣国ですから、友好の使者としてパンダが果たしてくれる役割も大きいはずです。

続いて来たのは猿山。広いガラスで囲われ、中にはサルがたくさんいました。赤ちゃんザルが取っ組み合ったり、器用に山をスルスルと登ったり、とてもかわいかったです(^^)。

見た目はニホンザルのようですが、長めの尻尾があるのでそうではなさそうです(ニホンザルに尻尾はありませんね)。看板には“猕猴”と書いてありました。これはニホンザルを含む「マカク属」全体を指す中国語の名称のよう。おそらくですが、アカゲザルじゃないかと思います。

ホッキョクグマ館(“北极熊馆”)があったので、こりゃあ涼める!と思って入ってみました。すると全然涼しくない(^^;)。いや、人間はいいんです。けどホッキョクグマは大丈夫なのかしら。のぞいてみると、ホッキョクグマも外気にさらされた「ただの庭」のようなスペースに放されていました。うーん、北京の夏はホッキョクグマにはちょっと厳しいんじゃないかあ。実際、ホッキョクグマはスペースの端のほうでへたれてしまっていました。まるで「たれぱんだ」です(ふるい?)。

特徴的な見た目の鳥。中国語では“双垂鹤鸵”と書いてありました。「鶴」(つる)なのか、「駝」(だ)=ダチョウなのか、よく分かりません。調べてみると日本語では「ヒクイドリ」(火食鳥)と言うのだそうです。不思議な名前ですが、一説には喉の赤い肉垂が「火を食べている」ように見えるから名付けられたんだとか。臆病な一方、気性が荒い鳥として知られていて、インドネシアやオーストラリア北部に生息しているということです。

ちなみに、このあたりで娘はベビーカーの上でウトウトしだして眠ってしまいました。いつもお昼寝している頃の時間ですし、たくさん歩いたので疲れちゃったのかな。本当はこのあとキリンなんかも見せてあげたかったんですけど、しばらく大人だけでの動物鑑賞になりました。

キリンのいるエリア、世界中のサルがいるエリアなどを経て、ペンギンのエリアに来ました。この辺りでお昼寝していた娘が起きました(^^)。

ペンギンは中国語で“企鹅”(企鵝)と言います。“”(鵝)はガチョウという意味ですが、一文字目はなぜ“”だと思いますか。日本人はあまり意識しないと思いますが、“”という漢字には「かかとを上げてつま先で立つ」という意味があり、それが転じて「つまだって待ち望む」という意味があります。つまり“企鹅”(企鵝)という中国語には「まるで何かを待ち望むかのようにつま先で立つガチョウ」という意味があるのです。このペンギンの姿を見ていると何となく分かる気がしますね。

こののべーっとした生き物、オオサンショウウオです。日本では国の天然記念物に指定されています。私の地元・岡山の北部にはオオサンショウウオが生息している地域があり、方言で「ハンザキ」と呼ばれています。今では生息数を減らしているようで、かく言う私も野生のオオサンショウウオを見たことはありません。

ただ北京動物園に展示されているのは、厳密にはオオサンショウウオではありません。こちらは「チュウゴクオオサンショウウオ」と言って、見た目はそっくりですが違う種類なんです。今、日本各地では持ち込まれたチュウゴクオオサンショウウオの一部が逃げ出し、日本固有種のオオサンショウウオと交雑して「中間の見た目」のオオサンショウウオが増えていて問題になっているんだそうです。

中国に生息する「ヨウスコウワニ」。口吻というんでしょうか、鼻先が短くて可愛らしい顔をしています(^^)。その名前の通り、揚子江に生息しているそうです。ユーラシアに唯一生息しているアリゲーター科とのこと。人間を襲った記録はなく、極めておとなしい性格なんだそうです。日本でもカイマンくんなんて話題になりましたが、ヨウスコウワニならペットして飼えそう?

北京動物園、午後からの入園でしたが、しっかり楽しめました。トータルでどのくらいかな?4時間くらい滞在したかもしれません。北京動物園は「動物の展示スペースがある巨大な公園」みたいな感じでした。ベンチも多いし、木がたくさん植わっているので日陰も多くて助かりました。中国の観光地はどこに行っても“人山人海*2ですが、ここまで敷地が広いとゆっくりできますね。また来てもいいなと思いました(^^)。

References
*1今の中国では主要な観光スポットに行こうとしたらほぼ事前予約が必要です。それも中国で広く使われている「WeChat」というアプリを使って予約するやり方が一般的なので、私のように長期滞在している者ならまだしも、中国に詳しくない外国人が観光するには不便なことが多くなりました。
*2人がとても多いことを表す中国語。

抑尘车

昼休みに昼食を取りに行こうと外を歩いていると、突然水が降ってきました。水というよりミストでしょうか。シャワーのように降ってくるので「なんだなんだ」と驚いて顔を見上げると、どうやら車から撒かれているようです。

こんな感じ。タンクローリーみたいな車から霧状のものが撒かれています。日本では暑い日に公共の場所でミストシャワーが用意されることがありますが、それではなさそうです。と言うより、そもそも撒かれているのは「水」なのかしら?口に入ってはいけないものだったらどうしよう。

近付くと車には“多功能抑尘车”と書いてあります。“抑尘车”は日本の漢字で書くと「抑塵車」、つまり「塵(粉じん)を抑える車」ですね。車の脇でちょうど工事をしていました。その際の砂ぼこりが舞って周りに飛び散らないように水を撒いているようです。

しかし、このような車は日本で見たことがないように思います。日本語では何と言うんでしょう。散水車?けど散水車って道路に水をバシャーッと撒くのを言いますよね。ミスト発生車?そんなのも聞いたことがありません。いずれにせよ中国ならではの車のようです。

不誠実な記事

北京の郊外、密雲という場所で小学生が巻き込まれる交通事故が起きました。

小学校近くで通行人はねる 北京、子ども倒れる動画
 【北京共同】中国北京市密雲区の小学校近くの交差点で26日、小型車が通行人をはね、けが人が病院に運ばれた。地元警察当局が発表した。インターネット上には現場とされる動画が拡散。子どもとみられる数人が倒れ ...

中国北京市密雲区の小学校近くの交差点で26日、小型車が通行人をはね、けが人が病院に運ばれた。地元警察当局が発表した。インターネット上には現場とされる動画が拡散。子どもとみられる数人が倒れているのが写っていた。

共同通信 2025年6月26日

確かにインターネット上には個人が撮影した事故発生直後とみられる映像が出回っていて、私も見ました。どうやら被害に遭ったのは女子児童のようで、道路に横たわって動きません。こういう子どもが被害に遭うニュースに接する度に本当に胸ふたぐ思いです。特に子どもが生まれてからより思いが強くなりました。親御さんたちの気持ちはいかばかりかとお察しします。

中国では事件・事故が起きた場合、警察が“通报”(通報)という広報文を出すことがあります。今回の交通事故についても夕方になって地元警察から発表がありました。

2025年6月26日13时许,在密云区育才路与东门大街交叉口附近发生一起交通事故。经初步调查,韩某某(男,35岁)驾驶小客车行至事发路段时,因操作不当与行人发生碰撞,伤者被及时送医治疗。事故正在进一步调查处理中。

2025年6月26日13時ごろ、密雲区育才路と東門大街の交差点付近で交通事故が発生しました。初期調査によると、韓某某(男性、35歳)が小型乗用車を運転し現場付近を走行中、操作を誤って歩行者と衝突しました。負傷者は直ちに病院へ搬送され治療を受けています。詳しい事故の原因は捜査中です。

平安密雲 2025年6月26日

本当かどうか知る由もありませんが、地元の警察によると事故の原因は“操作不当”(操作を誤って)ということです。ただ冒頭に紹介した共同通信の記事を読むと少し印象が変わってきます。

中国では社会への不満を持つ人による無差別殺傷が多発。学校周辺で車が暴走して子どもが巻き込まれる事件が次々と起きている。

警察当局は小型車に乗っていたのは35歳の男で「運転操作を誤ったのが原因」と発表したが、交流サイト(SNS)には「本当に運転ミスなのか?」などと疑問を呈する投稿が相次いだ。

現場はマンションが並ぶ住宅街。近くにいた高齢男性は「小学1年生が被害に遭ったと聞いた。児童の列に突っ込んだようで、故意に起こした事件だと思う」と話した。

周辺には治安当局者らが多数配置され、現場を撮影しないよう住民らに促した。中国当局は社会不安が広がるのを懸念し、突発的な事件の情報統制を強めている。

共同通信 2025年6月26日

うーん、ちょっと無責任じゃないでしょうか。これでは読者が「今回の事故も社会に不満を持つ人による無差別殺傷だった」と思うこと請け合いです。少なくとも地元警察は「運転操作の誤り」が原因だと言っています。それがウソかホントか知る由もありませんが、この警察発表への反論材料は「SNS上の投稿」と「近くにいたという高齢男性のインタビュー」以外に書かれていないのです。

確かに中国では去年秋ごろから社会に不満を持つ人による無差別殺傷が各地で相次いでいます。去年11月には広東省珠海で男が自動車を暴走させて35人が亡くなる事故がありました。また同月には江蘇省無錫市で男が多くの人を刃物で切りつける事件が発生し、8人が亡くなりました。いずれも私憤を社会にぶつけて事件を起こしたとみられ、中国では“报复社会”(社会に報復する)という言い方も生まれたくらいです。かと言って、今回の交通事故も同様かどうかは分からないでしょう。

確かに中国は政府にとって都合の悪いことは隠されがちです。だから日本を始めとする西側メディアが根拠を挙げて報道し続けないといけません。だのにこんな記事の書き方では。本当に操作を誤っただけだったならどうするつもりなんでしょう。中国政府から「西側メディアは事実をでっち上げて中国の中傷に勤しんでいる」と足元をすくわれかねません。私も中国ウォッチを生業とする人間の端くれですが、こういう記事はとても不誠実に感じます。

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