タイトルの“不到长城非好汉”(不到長城非好漢)というのは「長城に至らずんば好漢にあらず」、つまり「長城を訪れなければ立派な男ではない」という意味です。中国語では「初志を貫かない者は立派な人間ではない」という意味で使われます。ということで、今日はお義父さんと弟さんを万里の長城にお連れしました。

向かったのは万里の長城の中でも最も有名な八達嶺。明の時代に建築された長城で、保存状態が良いので観光地として最も整備されています。本当はもうちょっとマイナーな長城に行こうかとも考えましたが、高齢のお義父さんの体調も考えて八達嶺にしました。

我が家から八達嶺までは片道70キロ近くあります。どうやって行こうか考えた末、車を貸し切って行くことに。中国版ウーバーこと“滴滴出行”だと7人乗りの少し良い車を8時間貸し切って692元(約14000円)でした。駐車料金や高速道路料金は別に支払うほか、走行距離が100キロを超えると1キロ当たり10元(約200円)かかってしまいますが、5人で乗ることを考えれば日本より安いです。

自宅から1時間半ほどで八達嶺に到着。今回はロープウェイで高いところまで登ってみることにしました。いざロープウェイのチケットを購入すると1人往復で140元(約2800円)と結構強気な値段です。これ以外に万里の長城のチケットが1人40元(約800円)かかります。まあ、中国を代表する観光スポットだし、しようがないですね。

ここ八達嶺の長城は北と南にルートが広がっていて、日本人の間では北が「女坂」、南が「男坂」なんて呼ばれています。八達嶺の最高地点は女坂、つまり北ルートの8つ目の望楼「北八楼」です。以前は北八楼まで行くには結構歩かないといけませんでしたが、今はロープウェイを使えば手前までヒョイと行けます。

この写真の左に見えるのが「北八楼」です。ロープウェイを使えば「北八楼」と「北七楼」の間まで来ることができます。みんな北八楼まで登りたいんでしょうか、結構な人です。これが平日の金曜日ですから、週末や祝日だともっとすごかったかもしれません。

この写真右手に見える望楼が「北七楼」です。写真の奥にかけて長城が続き、麓に至ります。ロープウェイを使えばこれだけの距離をショートカットできるわけです。

写真ではあんまり伝わらないかもしれませんが階段が結構急です。誰か1人でも足を滑らせてこけたら、下の人が巻き込まれてドミノ倒しのようになっちゃいそう。ちなみに私は娘を抱っこ紐で抱いていたので決してこけるわけにはいきません。階段脇の手すりにしがみつくようにして登りました。

お義父さんもいたので、北八楼までは30分程度かけてゆっくりゆっくり登りました。今日はびっくりするような暑さでしたが、最高地点だけあって風が吹くと気持ちが良いです(^^)。

北八楼で記念写真を撮った後は再びロープウェイに乗って麓まで降り、運転手さんがいる駐車場まで戻りました。時刻はすでに午後2時すぎ。昼食がまだだったので、運転手さんに「近くにオススメの食事場所はありますか」と聞いたところ「ありますよ」とのこと。それならばと連れて行ってもらうことにしました。とは言え八達嶺周辺は山の中。一体どこに行くのだろうと見守っていると、やって来たのは八達嶺の駐車場に隣接した飲食店。こ、これは……観光客向けのそれではありませんか。

店名は“和鑫源饭庄”。一体どんな店だろうと中国版食べログと呼ばれるアプリ“大众点评”で検索したら――ヒットさえしない!店内には同じように運転手さんに連れて来てもらったと思わしきグループが1組だけ。確かに昼食時からは少し外れているものの、うーん、大丈夫かしらん(^^;)。

いざ店内に入ると、短髪の小太りで腕に入れ墨をしたオッチャンがメニューを開いてアレコレ料理を勧めてきます。鶏肉を煮込んだ料理が看板メニューなんだそうですが、1品で300元(約6000円)超え。ちょーっと高いです。

結局、同じ鶏でも少し安めの煮込み料理を注文。あとは“油菜”といってチンゲンサイみたいな野菜を炒めた料理や、“葱爆羊肉”という長ネギと羊肉を炒めた料理、それに“酸辣汤”(サンラータン)という酸味と辛味の混じった定番スープなどを注文。

味は……うーん、まあまあというか、まあ、中の下という感じでしょうか。ただ“酸辣汤”は味が薄くてお湯を飲んでいるようでした。私の好きなメニューなだけに残念。まあ、観光地の飲食店です。あまり期待しちゃいけないですね。

夕食は羊肉の串焼きをいただきました。行ったのは私の好きな“很久以前羊肉串”です。

以前は自宅近くの簋街に店舗があったんですけど、閉店してしまいました。そのため今回は鼓楼大街にある店舗に。金曜日の夜だからか、結構な待ち時間でした。オンラインで整理券を発行できるので家を出発する前に発行しておいたんですけど、それでも店に着いてから30分くらい待ったでしょうか。トータルでは100分以上はかかったと思います。

ようやく串焼きにありつける頃には午後9時を回っていました。ちょっとお義父さんや弟さんに申し訳なかったです。けれど私が言うのもなんですが、食べたらお2人とも表情がコロッと変わって。串焼きとビールをおいしそうに召し上がっていました。やはりおいしい食べ物は人を笑顔にします。