日本は勤労感謝の日です。中国は平日ですが、日本が祝日なのにかこつけてお休みをいただき、上海に旅行に行ってきました。
十数年前の留学時代を含めてすでに何度も訪れている上海ですが、いやあ、いざ訪れると商業都市であることをつくづく感じさせられますねえ。北京の「社会主義国家の首都」という雰囲気と全然違う……まあ、そんな北京も好きなんですけど。
特に私たちが宿を取った長寧区は日本人を含む外国人が多く住むエリアで、そこらじゅうに日系スーパーや日本料理店がありました。市民権を得ているがの如く町なかに日本語が見られるのも印象的でした。居心地が良くて、北京から来た私からすれば「もはやここは日本」と感じるほど。
今日は手始めに「日本人街」とも言われる婁山関路(“娄山关路”)にある商業施設「金虹橋商場」に行きました。ここには日系スーパーを始め、ダイソーや日本料理店がたくさん入っています。
地下2階には「アピタ」という日系スーパーが入っていました。
いやあ、すごい。日本のスーパーをほぼそのまま上海に持ってきたような品揃えです。ざっくり半分強くらいは日本の商品でしょうか。日本直輸入のものがたくさん並んでいて、そのままの商品に中国語の原材料表示がシールでペタッと貼られています。北京にもイトーヨーカドーはありますが、ここまでの品揃えではありません。
きれいに陳列され、見ているだけでも楽しくなります。日本人好みだなあと思いきや、現地の方も結構いるんですよね。いや、むしろ日本の方はいた?というくらい。
今の中国は肉や野菜を買うといった普段の買い物でさえネットスーパーで済ませるようになり、実店舗で買い物をする楽しさを忘れかけているような気がします。中国経済が停滞して個人消費が落ち込んでいると言いますが、今後はこうした「買い物を楽しむ」体験が逆に注目されるんじゃないかな。ネットショッピングは便利と言われた時代から一周回って戻ってくるような気がします。
あと羨ましかったのは肉製品。中国のスーパーって鶏や豚の頭が付いたままの肉塊がドーンッと陳列され、店員さんに「何グラムくださいな」と注文するやり方が多いんですよね。日本人にとってはこうしてパックに詰めてくれているほうが買いやすいでしょうし、何より衛生的。あと薄切りっていうのも嬉しい。中国には少ないんです、薄切りの肉。
もうひとつ、総菜の充実度もすごかったです。中国にも“熟食”と呼ばれる総菜はありますが、日本のそれとちょっと違うんですよねえ。それにそもそも中国は出前が安いので、今やスーパーに総菜は並びません。
ここアピタは唐揚げ、ハンバーグ、焼き鳥、サラダ、オムライス……などなど、日本料理の総菜がとても充実していました。どうやら遅い時間になると割引シールが貼られるのも同じのよう。日本だと午後8時が過ぎたくらいに半額の総菜を物色しに行くのも楽しみのひとつなんですよねえ。
海鮮コーナーの充実ぶりも見事でした。中国当局による日本産海産物の輸入停止措置で日本の魚は使われていないんでしょうが、刺身の種類や寿司ネタは日本と全く同じでした。値段も日本と同じか、少し高いくらいかもしれません。うらやましいー、だって北京のスーパーで寿司を買おうとしたら日本と全然違うんだもの。
これ、中国の大手ネットスーパー「盒馬鮮生」(“盒马鲜生”)で「寿司」と検索したら出てきた商品です。これじゃあ、ねえ……おいしくなさそう(失礼)。するとアピタの寿司がいかに日本と同レベルか、分かってもらえると思います。
こちらの商業施設には「ダイソー」も入っていました。
上海のダイソーは10元均一。日本円にすると200円余りですが、これで日本の「かゆいところに手が届く」商品が手軽に購入できるならありがたいですね。
私の場合、100円ショップって「あれ買おう」と思うものがあって行くことがほとんどです。プラスチックケースだったりメジャーだったりどれも些細なものなんですけど、意外とスーパーには売っていない。ましてここは中国です。実際、北京に赴任してからも「あれ、どこで買えるんだろう」「ダイソーがあればすぐ買えちゃうのに」って場面がよくありました。
で、ダイソーに来るとついつい予定になかったものまで買っちゃう(^^;)。アイデア商品や便利グッズが揃っているんですよね。ダイソー以外だと、私の中では東急ハンズなんかもまさにそんな立ち位置の店なんですが、そういう買い物の楽しみが北京には少ないんですよねえ。羨ましいです。
一応、定番ということでバンドの夜景も。
北京に比べると上海は本当に賑やかですねえ。午後10時を過ぎても地下鉄の駅が人であふれかえっています。北京ならすでにがらんとしちゃっていると思います(まあ、最近寒くなったという事情もありますが)。
いえ、もちろん北京には北京の賑やかさがあるんです。例えば胡同なんかには人々の生活が溢れているじゃありませんか。ただ商業的な賑やかさになると途端になくなっちゃう。画一化されたマンションが建ち並び、言い方が悪いですけど「でかい田舎」って感じ。物寂しくて、いわゆる“市井气”*1がないんですよねえ。これに対して上海はみんな買い物を楽み、買い物をしようとしている思いがひしひしと伝わってくる。一瞬、ここは本当に北京と同じ国なのかって思っちゃいます。
*1 | 町中に漂う人々の活気や、商業的な賑わいのこと。 |
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