私宛に東京の本社から一通の手紙が転送されてきました。宛先は会社の部署名になっていて、私の名前は一文字も書かれていません。なぜ私のもとに?裏を見ると……女性の名前。ひと目で分かりました、中学時代の同級生です。
その同級生とは中学校を卒業して以来、成人式のときに一度だけ再会しましたが、それっきりの仲です。どういう風の吹き回し?読み始めてみると……私は仕事柄たまーにテレビに出ることがあるのですが、その放送を見たことをきっかけに連絡をくれたとのことでした。
女性から手紙が来たというと「そういう仲だった人?」と思われるかもしれません。いえ、全くそうではなく、ただの友人。サバサバした性格で、少し男勝り*1なところがありました。歯に衣着せぬ言い方が印象的で、芯がしっかりしていました。私に対しても厳しい物言いをしてくることがありましたが(笑)仲良くしていましたねえ。一緒に盛り上がった話題とか今でもハッキリ覚えています。まるで昨日のようですが、もう20年以上も前なんですね。
私は岡山出身ですが、中学時代は父親の仕事の都合で東京で過ごしました。当時は2000年代初頭で、中学生でもケータイを持っている人がほとんどでした。当時のケータイの電話帳は今に至るまで引き継いでいるので、手元のスマートフォンを見れば同級生の電話番号は大概残っています。
しかし今回手紙をくれた彼女の連絡先は全く分かりませんでした。と言うのが、彼女は当時ケータイを持っていなかったからです。ちょっぴり「昔かたぎ」なところがあり、デジタル系?のものを好んでいなかったんです、彼女は。きっと今もSNSなんてやっていないんじゃないかしら。さすがに今はスマートフォンくらい持っているんでしょうけど。けれど送られてきた丁寧な手書きの手紙を見て、変わっていないんだなあと微笑ましく思いました。会社の部署名が宛先になっていたのは、彼女も私の連絡先を知らなかったからでしょう。
中学生の頃から独学で中国語を勉強していた姿がとても印象的で、今でも祖母との会話で出てくるほど。当時は、なんで中国語なんだろう?と疑問に思ってしまい、ふざけてばかりの私は、つい配慮のない発言をしてしまったりと、嫌な思いをさせてしまったこともあったと思います。本当にごめんなさい。
今、中国で頑張っていることを知り、音読や字に対しても興味を持っていた意味がやっとわかりました。なりたい自分になる努力を、あの頃から続けていられることは、とてもすごいことだと思います。
そうそう、当時は周りの人からしょっちゅう「なんで中国語なの?」と聞かれました。その数年後、中国は目覚ましい経済成長を遂げ、今度は「中国語を学ぶなんて先見の明があったんだね」と言われるようになりました。けれどそんな打算的に学んでいたわけではありません。理由はただただ、中国語という言語そのものに興味があり、学ぶこと自体が楽しかったからです。
まあ、これだけでもかなり変わった中学生ですよね。こんな中学生がいたら、私だって「変わった子だな」と思うと思います。けれど当時学び始めた中国語は今でも続いていますし、今や「飯の種」として身を助けてくれています。曲がりなりにも仕事にすることができたのですから、ありがたいことではあります。ちょっと口幅ったい言い方で恐縮ですが、これは中国語をただただ好きで学び続けていたからかも、と今にして思います。
彼女の手紙を読み、当時、純粋に楽しく中国語の海を泳いでいた頃のことを思い出しました。初心を思い出させてくれた彼女に感謝です。ぜひ私も手書きで返事を書こうっと。
*1 | 今はあんまりこういう言い方をしちゃいけないんですかね。 |
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