The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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ご本家に対する敬意

自宅近くにショッピングモールがあって、その中に「奈雪の茶」という店がある。中国各地で展開しているお茶ドリンク専門のチェーン店で、いつも若い客で賑わっている。

この「奈雪の茶」、そのネーミングといい、「NAYUKI」とローマ字まで振っているので日本のチェーン店かと思いきや、歴とした中国のチェーン店。店名にひらがなの「の」を使っていることもあり、日本発のチェーン店だと思い込んでいた(思い込んでいる)中国の人たちは多いと思う。

奈雪的茶--唯一官网
奈雪的茶所有门店均为直营,不接受加盟。一杯好茶,一口软欧包,在奈雪遇见两种美好。

それが、今日ショッピングモールで「奈雪の茶」の前を通りかかると看板が変わっていることに気付いた。「日本的要素」がすべて取っ払われていたのだ。

今までひらがなの「の」が使われていた部分は「的」に置き換えられ、「NAYUKI」とローマ字が振られていた部分は「NAIXUE」という中国語の発音表記に。

こうした「日本的要素」を取っ払う動きは他でも去年頃から相次いでいる。そのひとつが「ユニクロ」、「ダイソー」、そして「無印良品」のいいとこ取りをして大成功を収めた「メイソウ」。

2017年4月 上海にて撮影

初期はこんなふうにカタカナで「メイソウ」*1、それに日本漢字で「名創優品」と書いた看板を掲げ、悪い言い方をすると「日本ブランド」を騙っていた。それが去年ぐらいから中国のSNSで「日本風」であることに批判が相次ぎ、「もう日本風はしません」と謝罪・表明する事態に追い込まれたというわけ。

2022年10月 北京にて撮影

私が北京に赴任してから見かける店舗からは「メイソウ」というカタカナ表記は取っ払われているし、今まで日本漢字で「名創優品」だったのも、中国の漢字(簡体字)で“名创优品”と書かれるようになっている。つまり「日本的要素」を取っ払った結果がこれなのだろう。

おそらく「奈雪の茶」から「日本的要素」が取っ払われたのも同じ理由なんだと思う。でもねえ……ここまで散々「日本風」に媚びて儲けてきたのに、この開き直り。真似るなら真似るなりのプライドというか、ご本家に対する敬意みたいなものが全くないんだなあ。

ファーウェイの販売店(2022年10月撮影)

他にも「ファーウェイ」。この販売店のインテリアから、ひとつひとつの商品(例えばスマートウォッチの「HUAWEI WATCH」やワイヤレスイヤホンの「HUAWEI FreeBuds」)、そして新商品の発表会のスタイルまで、はっきり言ってすべて「Appleの真似っこ」。

いや、とはいえ世に数多あるAndroidのスマートフォンだって「iPhoneの真似っこ」から始まったものだし、そもそも世の中に全くのゼロから創造されるものなんてほとんどないのは分かっている。ただ……ちょっとでも「疚しい」と思っているならまだしも、この人たちは全く思っていないんだろうなあと(笑)。ここまで模倣し倒していると、いっそ清々しく思えてくるくらい。

確かに中国は発展したけれど、こういうところを見るにつけ「果たしてプライドがあるんだか、ないんだか、この人たちは」という気分になってしまう。ただひとつ思うのは、ご本家・模倣元に敬意の払えない社会ではイノベーションというものは起きないんじゃないかと……感じるところです、はい。

References
*1そもそも本当に日本ブランドなら「迷走」と連想しかねない「メイソウ」なんて名前を店舗名にはしないと思うけど(^^;)。

疼く春

最近、朝が全く寒くない。一時は最高気温でさえも氷点下だったけど、今日の最高気温は19度だった。土のにおい?っていうのか、春の香りを感じて「季節が変わったんだなあ」と実感する。

この時期になると毎年思い出す「感覚」がある。ものみな芽吹こうとして、うずうず・そわそわしている感覚だ。仕事においても生活においても春は新しいことを始める時期で、期待と不安が入り交じった何とも不安定な心持ちになる。むずむずするというか……別に花粉症じゃないんだけど。

作曲家の武満徹さんだったかなぁ、彼が生前にこんなことを言っていた。

「春は嫌いだ。どこか疼くような感じがして」。

ううむ、何だか分かるなあ。いや、嫌いとまではいかないけど「疼く」って感じ。だったら「ガガン」と暑い夏の日とか、「ドドン」と寒い冬の日のほうが好きですね。

みんなお友達

今日、昼に会社近くのセブンイレブンに行くと久しぶりに会う店員がいた。

このおばちゃん店員とは北京に来てすぐの頃によくやりとりをしていた。私がしょっちゅうコーヒーを買うので、たまに買わない日があると「今日はコーヒー買わないの?」なんて聞いてくれた。

北京でコーヒー好き認定
私はコーヒーが好きだ。おそらく人と比べても飲む量は少し多めかもしれない。特に仕事の合間はどうしてもコーヒーが欲しくなってしまう。東京にいた頃は毎朝自宅でコーヒーを淹れ、水筒に移して持って行っていた。それでも飲みきってしまうので、大概コンビニの100円コーヒーを買ってしまうことになる。先日も書いたが、北京のオフィス近所にはセブンイレブンがあってコーヒーを淹れてくれる。日本から送った荷物の中にコーヒーメーカーもあるのだが、あいにくまだ届いておらず、今は基本的に毎日セブンイレブンに行ってコーヒーを買う...

仕事ぶりもテキパキしていて、見ていて気持ちが良い。いつも会うのをひそかに楽しみにしていたが、ここ数か月ほど姿を見なくなっていたのだ。

今日、久しぶりの姿を見たので「長らく姿をお見かけしませんでしたね」と声をかけると「実家に帰っていたのよ」と言う。聞くと、実家には80代の高齢の母親がいるそうで、数年間帰省できない時期が続いていたらしい。このたび「ゼロコロナ」政策が終わってようやく感染対策が緩和されたため久しぶりに帰省したそうだ。「お母様はお変わりなかったですか」と聞くと「何てことないわよ」と話していた。

日本でコンビニの店員に気軽に話しかけるなんてあまりしないが、中国ではこういうことがままある。それもおじさんとかおばさんとか一定年齢以上の方とは特に。私はこういうのが本当に好きだ。

あとは道を尋ねられることも多い。なぜだろう、私が話しかけやすい顔をしているのだろうか。今日も午後11時前の遅い仕事帰り、自宅前で出前配達の若いお兄ちゃんに話しかけられた。こういうときは往々にして外国人と思われていないらしく「この配達先の住所って、このマンションのことでいいんですかね」と聞かれたので「はい、あのエレベーターに乗ればフロントまで行けますよ」などとお教えした。「助かりました」と笑顔で答えてくれると、こちらも気持ちが良い。

こういう「見知らぬ同士が気軽に声を掛け合う」って東京で暮らしているとかなりの勇気が必要だけど、異国ではなぜか簡単にできちゃう。そういうのもまた外国暮らしの楽しみかもしれない。

えらく違う

夜に仕事関係で日本人のお偉い方と食事。

ここ最近、基本的に仕事で付き合いがあるのは中国の人ばかりだったので、日本の人と会うと雰囲気がえらく違う。場所もちょっぴり雰囲気の良い和食料理店だったので、それがまた一層堅苦しくさせる。こういうやんごとなき方々もお酒が入ってくると打ち解けてくるものだが、今日の方は全くお酒を飲まない方で終始お堅い感じ。

テーブルにはおいしそうな料理がたくさん並んでいたけど、ガツガツ……という雰囲気でもなく、ああ、もったいなかったなあ。いや、仕事なんだけどね。言葉遣いも気にし出すと日本語って本当に難しい。中国人とやり取りしているほうがよっぽど楽だなあと感じた*1

References
*1もちろん中国語にも敬語表現はあるし、中国人が対人関係に敬意を払わないわけではないけれど。

喫煙は害、禁煙は愛

今日、出勤していると目の前に「歩きタバコ」をしている男性が。気持ち良さそうに吸っているけど、その煙はすべて私のほうに流れてくる。嫌で左右にずれてみるも、なぜか煙は移動した私のほうに流れてきて「……んああ!もうっ!」という気分になる。

日本ではほとんどの自治体が条例で路上喫煙を禁止しているし、屋内に至っては「ほぼ」吸えないような状況。受動喫煙の害が指摘されるようになって久しいし、歩きタバコは「タバコを持つ手の高さが子どもの顔の位置にあたる」なんて、やけどの危険性についてもよく言われた。こういう意識が広まってもう20年近くは経つんじゃないかなあ。街なかで堂々とタバコを吸う人はほぼ見なくなり、喫煙者の方々にちょっぴり同情する気持ちはあるものの、私個人は概ね歓迎している。

しかし、中国はタバコに関する「意識」が30年ほど後れているような気がする。タバコを吸わない私としては勘弁してほしいというか、正直不快だ。いや、私は基本的に中国で不快な思いをすることがあっても“入乡随俗*1だと受け入れるようにしている。往々にして文化の違いに起因することが多いからだ。しかしタバコに関しては日本を始め、諸外国で数え切れないほどの否定的なエビデンスが出揃っているというのに、2023年の今になっても吸い続けることの愚かさというか教養のなさに呆れるというか(ごめんなさい)。まあ私だってタバコは吸わないもののいろいろと悪癖はあるからエラソなことは言えないけど。

フォローするわけではないが、こちらの国でタバコは重要なコミュニケーションツールだ。自分がタバコを吸いたいときは、必ず一緒にいる人にタバコを勧めるのがマナー。お互いタバコを吸いながらおしゃべりに興じるのが中国流なのだ。私もタバコを勧められた経験が何度もある。そのたびに「吸わないんですよ」と断り、ばつが悪かったことが何度もある。それだけに中国でタバコをめぐる習慣を変えるのはそう簡単ではないと思う。

日本だってつい数十年前まで公共交通機関でほとんど吸い放題だった時代があったよし。個人の努力で事が運ぶとも考えにくく、国が率先して対策に取り組む必要があるんだろうなあ。

References
*1郷に入っては郷に従え。
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