The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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短い北京の春

先週、北京の道ばたでバラが咲き始めたという話を書きました。

北京のバラ
北京はこの季節になると途端に道ばたで花が咲き始めます。もちろん突然咲くはずもなく、これらは人為的に植えられたものです。最近だとバラを見かけることが増えました。日の沈んだ後に撮ったので少々見にくいですが、会社近くの道ばたにバラが植えられています。日本語では「バラ」と一括りに言いますが、中国語ではどうも言い分けているようです。日中辞典でバラと調べて大体出てくる“玫瑰”というのが1年に1度だけ咲く花。もうひとつ、“月季”というバラがあって、こちらは年に数回咲く四季咲きなんだそうです。最近北京の道ばたで見...

このときにアップした写真が日没後の味気ないものだったので、昼食を取ろうと外に出た際に改めて写真を撮ってみました。

色とりどりのバラが軒先に植えられています。これがおそらく“月季”という品種のバラなんだと思います。日本語では「コウシンバラ」(庚申薔薇)、干支の数え方で60日に1度巡って来る「庚申の日」になぞらえ、それほどたびたび開花するという意味から来ているようです。

まだ5月だというのに外を歩いていると汗ばんできます。今日は湿気もあって、不快指数も若干高く感じます。もしかしたら日本の今頃より暑いんじゃないかしら。ちょっと前まで卓上の湿度計では「Lo」*1と表示されていたのに、今日の数値は50%を超しています。北京の春と秋は短いと言いますが、いやあ、本当に短いです。

References
*120%未満になって測定不能の際に「Lo」と表示されます。

蘭州牛肉麺の開拓

いつも通っていた蘭州牛肉麺の店がなくなってからすっかり「牛肉麺難民」です。職場近くに蘭州牛肉麺の店は何軒かあるにはあるんですが、どこも味がイマイチ。やはり、私にはあの店の味が一番合っていたようです。

今日は初めての店「西部馬華」(“西部马华”)というチェーン店に来てみました。店内は明るくて清潔感があり、店員さんもみんなテキパキ働いていました。

店名の「馬華」というのは創設者の名前のようです。中国に住むムスリム人口の半分を占める回族には「馬」(マー)という名字の人が多いです。これはイスラム教の予言者ムハンマド(マホメット)をかつて中国では「馬哈麻」と呼んでいたために、あやかって「馬」としたそうです。

レジで注文したあと、麺を受け取るカウンターに行きます。そこでレシートを見せると、その場で小麦粉で作った生地を引き伸ばして麺をを作り始めます。それをササッと鍋に入れて湯がき、お椀に移すとスープとパクチーを加えて出来上がり。その手際よさはまさに職人技です。

私は牛肉麺のほか、3種類の“凉菜”とタマゴ(私が選んだのは目玉焼き)が付いたセットを注文。これで39元(約780円)でした。私の好きだった店の味には及びませんが、ここもおいしかったです。牛肉もたくさん入っていて食べ応えがありました。

順義虎楽園

今日は北京市北東部の順義区にある「順義虎楽園」に行きました。その名前の通り、トラを飼育・展示している施設です。

北京市中心部から車で50分くらいでしょうか。郊外ということもあり、来園客がそこまでいませんでした。今の中国は本当どこに行っても人・人・人なので、人が少ないだけでもありがたいです。

園内にはトラ以外の動物もいました。こちらは“黑熊”、日本語だと「ツキノワグマ」ですね。こちらの動物園は“互动”(ふれあい)を売りにしていて、動物にエサやり体験ができるようになっていました。結構たくさんの人がエサやりを体験していたようで、私たちはやらなかったですけど、展示エリアに近付くとみんなエサをほしそうに近寄ってきます。

アルパカもいました。体毛はカットされて、すっきりした体型をしています。

ウシです。白黒なので、これはホルスタイン?ということになるのかしら。人懐っこく顔を近付けてきて「モォ~~」と鳴いていました。

フタコブラクダです。このラクダさんも人懐っこく顔を近付けてきます。目に長い睫毛がはえていて、端麗な顔立ちです。

こちらの施設の主人公、トラです。午後の昼下がりはあまり動かないのか、座り込んでゴロゴロしていました。近くで見ると迫力がありますねえ。あくびをしたときに見える牙もするどいです。こんな動物に襲われたらひとたまりもないです。

ここには“虎餐厅”(トラレストラン)という施設もあり、トラを眺めながら飲食を楽しむことができます。私たちは食事はしませんでしたが、お茶をいただきました。相変わらずトラはゴロゴロしていましたが、たまにのそっと起き上がってガラスの前をテクテク歩いてくれました。娘も本物のトラを目の前にして、手を叩いて喜んでいました。

でも四方を客席に囲まれて常時人間に眺められているトラを見ていると、得も言われぬ気持ちを抱いてしまいました。このトラたちはこれまでも、これからもこの狭い空間で食事をする人間に鑑賞されながら暮らしていくんですよね。トラの気持ちなんて知る由もないんですけど。ラクダなんて広い飼育エリアがありながら柵にしっかり縛られていました。“互动”(ふれあい)という名の下に人間の子どもたちから干渉され続け、動物たちは内心どう思っているんでしょう。

日本だと動物の飼育環境がずいぶん重視されるようになっているようです。2021年の記事ですが、日経新聞が専門家が選んだ「動物も喜ぶ飼育環境の良い動物園10選」を掲載していました。

動物も喜ぶ飼育環境の良い動物園10選 保護や研究に力 - 日本経済新聞
動物福祉の観点から飼育環境の改善を図る一方で、希少種の保護や研究に取り組む動物園が増えつつある。新型コロナウイルスの感染拡大で出向くのは難しくなったが、先駆的な取り組みをしている施設を専門家が選んだ。1位 よこはま動物園ズーラシア680ポイント 非公開の運動空間確保世界の動物を「アジアの熱帯林」や「アフリカのサバンナ」など、本来の生息環境に配慮し地域別にすまわせている。飼育スペースが広いうえに

最近だと札幌の民間動物園「ノースサファリサッポロ」の飼育展示が動物保護の観点から不適切と批判されましたが、この点、中国はまだ及ばないと言わざるを得ません。

日本の動物園だってかつては同じだったでしょう。そもそも自分だって他の生物の命を犠牲にして生きていますし、こんなことを言うと「動物園」という存在自体を否定することになってしまうと思います。けれど中国で飼育される動物を見ていると毎回こういうことを考えてしまうんです。

やがて哀しき動物たち哉
今日は娘を連れて動物と触れ合えるプレイグラウンドに行きました。ショッピングモールの中にある施設で、割引サービスを使って「大二小一」*1が124元(約2500円)でした。店員さんから6回入場できる回数券のほうがお得だと力説されましたが、物は試しに来た程度ですし、やっと1歳になったばかりの娘を連れて今後5回も来るかな?という思うところもあって丁重にお断りしました。この施設は衣料品店や雑貨店と並んで入居していて、面積も他店舗と同じくらいでした。アルパカをはじめ、ヤギ、ネコ、ウサギ、それに...

娘を喜ばせてあげようと来たのですが、どこか悲しい気分が抜けないまま施設を後にしました。

References
*1大人2人と子ども1人。

初めての採血法

肺炎の経過観察のため、会社に半休をもらって病院に行きました。

例によって今日も採血。私がワイシャツのそでをまくろうとしたら「まくらなくて結構です」と言います。どういうこと?と思ったら、今回は指先から採血するとのこと。日本語では「指先穿刺」と呼ばれる方法なんだそうです。

文房具みたいな道具を人差し指に当て、ペコッと音がしたと思うと指先から血が滲んできました。どうやら一瞬、針が出てきて指を刺したようです。看護師さんが私の指をつまんで血を1滴1滴しぼり出します。ある程度、血を採ったら止血用の絆創膏を貼って終了。あっという間でした。あまりに一瞬だったので看護師さんに「こんな採血の方法があるんですね」と聞いたら「採血が苦手な子どもはこの方法が多いですよ」と教えてくれました。

まず、分からないくらい針が刺さるのが一瞬でした。何か当たった?くらいの感覚しかないので痛くありません。そもそも採血って、あの針の見た目が痛々しいですよね。あの針を見なくて済むだけでもストレスが大幅に軽減されます。私の腕は血管が見つけづらいようで、毎回採血に苦労するんです。右腕を見て、左腕を見て、それでもやはり右腕をもう一度見て……いざ針を刺して血が出てこないと「勘弁してよ」という気分になっちゃいます。

結果、肺炎は大幅に良くなっているということで、再度来院する必要はなくなりました。残りの処方された抗生物質の飲み終われば治療は完了です。一時は医師から「入院しますか」「いやいや、そんな急に言われても困ります」なんてやり取りもありましたが、無事に回復して安心しました。それより1歳の娘に影響しないかが心配だったので、とりあえずホッとしています。健康は大切ですね。

鳥の巣の思い出

今日は仕事で北京のオリンピック公園の近くに行く用事があり、久しぶりに「鳥の巣」を見かけました。鳥の巣(“鸟巢”)というのは北京国家体育場のことで、2008年と2022年の北京オリンピックのメインスタジアムとなった場所です。鳥の巣という愛称はその独特の形状に由来します。

この鳥の巣を見ていると、2008年の北京オリンピックを思い出します。もう17年前なんですね。あの年、私は大学1年生のフレッシュマンでした。開会式は2008年8月8日の午後8時、中国で「八」という数字は縁起が良いと考えられていることに由来します*1

当時、私は岡山の実家に帰省していて、張芸謀(チャン・イーモウ)監督が演出した開会式をテレビで見たのを覚えています。巨人の足跡を象った花火の演出がCGだったとか、“歌唱祖国”を歌った女の子が口パクだったとか、それなりに話題には事欠きませんでした。けれど当時の中国はまさに高度経済成長期で、ありたけの国力を投じて作り上げた開会式は立派なものでした。高揚感と相まって、多くの中国の人が「中国は良くなっていく」という思いを持ったと思います。

北京オリンピックの開催にあたり、当時《北京欢迎你》という歌が作られました。日本語にすると「北京にようこそ」といった感じでしょうか。開催まで100日というときに発表された、中国大陸をはじめ台湾や香港の名だたるスターが代わる代わる登場して歌う曲です。

この曲を聴いていると、2008年当時の雰囲気を思い出します。この動画のコメント欄を見ると、次のような投稿を見かけました。

08年时候情绪很不一样,唱出来我家大门常打开的自信和昂扬,国庆时候大街小巷插满国旗,印象很深刻那时候大家都把国旗插在车把上,街道上车水马龙,国旗也迎风飘舞。世事难料,现在能发展成全民反间谍的模样,不过过去15年,却好像两个不同的世界。

2008年の頃は今とまるで気分が違った。“我家大门常打开”(我が家の門はいつでも開いている)という歌詞のように、自信と高揚感に満ちていた。国慶節には街中の通りに国旗が掲げられ、自転車のハンドルにも旗を差している人がいたのをよく覚えている。車も人もひしめき、国旗が風にはためていていた。だのに世の中はどうなるか分からないものだ、今や国全体が「反スパイ」に過敏な空気に包まれるとは。たった15年なのに、まるで別の世界になってしまったようだ。

このコメントには500を超える「いいね」が付いていました。きっと多くの中国の人が同じような思いを抱いているんだと思います。車の中から一瞬「鳥の巣」が見えただけですが、私も当時中国に対して抱いていた様々な感情を思い出してしまいました。

References
*1日本でも言われるように「八」という漢字は末広がりです。そして中国語で「八」の発音は[](バー)で、これが「儲かる」「富む」という意味を持つ「発」(發)という漢字の発音[]と似ているという理由もあります。
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