The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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中国の塩むすび

北京のセブンイレブンに行くと新商品のおにぎりが並んでいました。

その名も“稻香盐饭团”。“稻香”は漢字のとおり「稲の香り」、つまり米が炊けたときの香ばしい香りを指しています。“”は日本の漢字で書くと「塩」。“饭团”(飯団)はおにぎりという意味ですから、“稻香盐饭团”で「香ばしい塩むすび」といったところでしょうか。

日本のコンビニでも塩むすびを売っていますよね。具が入っていないので、米の本来の味が楽しめます。あとはおかずを別に食べるときにも、塩むすびなら味が邪魔をしません。私もわざと具の入っていない塩むすびを買うことがあります。ついに中国にも塩むすびが上陸しましたか。

気になって買ってみました。で、ガッカリ。全然おいしくありません。米はパッサパサ、食べているとポロポロしてきます。食べきるのも苦痛で、残してしまいました。これでは日本のコンビニおにぎりのクオリティーの足下にも及びません。

まあ、一応フォローしておくと、中国のコンビニって食品の配送が冷蔵に限られているんですよね。ごはんって冷蔵しちゃうとパサパサになってしまいます。だから中国のおにぎりは必ず温めないと食べられた味じゃないんですけど、その点、日本のコンビニおにぎりってそのままでも米がふわふわです。中国と違って常温輸送できるからという事情はありますが、いや、それ以上に企業努力が大きいように思います。中国では温かい米でもひどいことはままありますから*1

References
*1最近は改善されたように思いますが、私が15年前に北京に留学していた頃の中国の米はひどかったことを思い出します。まあ、安い学生食代で食べていたからかな。

関東煮

亡くなった岡山出身の祖母は「おでん」のことを「関東煮」(かんとに)とか、「関東炊」(かんとだき)と呼んでいました。岡山をはじめ西日本では煮ることを「炊く」と言うことがある*1ので、関東炊は関東煮の派生かと思います。調べてみると、岡山だけでなく西日本の各地でおでんのことを関東煮、関東炊と呼ぶようです。

なぜ「おでん」のことを「関東煮」と呼ぶようになったのか。その昔「おでん」はもともと煮たり焼いたりした具材にみそを塗る「みそ田楽」のことを指していたようです。今のような醤油で煮込むおでんになったのは関東近郊で醤油造りが盛んになった江戸末期からなんだそう。みそ田楽に比べて作るのが簡単なおでんは屋台料理として広まり、その後、関西にも伝わります。このときにみそ田楽と区別するために「関東煮」と名付けられたのではないかという説があるということです。

关东煮”(関東煮)という文字がある北京市内のコンビニ(便利店)

中国でもおでんは親しまれています。現地のコンビニに行くと日本と同じスタイルでおでんが売られていて、結構みなさん購入しています。で、中国語でおでんを何と言うかというと……その名も“关东煮”。日本の漢字で書くと「関東煮」です。

一方、日系コンビニのセブンイレブンでは別の表現を使っています。中国語で“好炖”です。漢字の意味は「しっかりコトコト煮る」で、まさにおでんです。そして発音も「ハオドゥン」で少し日本語の「おでん」に似ています。

ちなみに私が中国語を学び始めた頃はおでんのことを“熬点”と学びました。“”は「長時間煮る」。つまり“熬点”で「点心(点=ちょこちょこした食材)を煮たもの」という意味になります。発音も「アオディエン」で「おでん」の響きに似ているので、名訳だなあと思ったことを覚えています。調べてみると、中国ではローソンが“熬点”という表現を使っているようです。

つまり「おでん」の中国語には“关东煮”、“好炖”、そして“熬点”の3種類があるわけです。中国人の同僚に聞くと、最もよく使われるのは“关东煮”とのこと。そんなこともあり、私がおでんを注文するときにはいつも“关东煮”と呼ぶようにしています。そして“关东煮”という言葉を使うたびに、祖母が「関東煮」と呼んでいたことを思い出します。

References
*1例えば「大根を煮る」が「大根を炊く」になります。岡山弁は発音に特徴があるので(音便)「大根を炊いておいて」なら「でーこんてーてーてー」になります。

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