10月18日(日) 初仕事…中国語で通訳

【 その1 】 【 その2 】

舞台挨拶の時間。

僕らは舞台裏でのインタビューやこを通訳する仕事じゃったけん、舞台挨拶は席から見させてもらいようた。
通訳はずっと我らがアジア研究卒業生の林先生。スムースに通訳される姿にうっとりんこ。


映画『ジャッキー・チェンを探して』の監督を務めた江平(ジャン・ピン)監督はものすごお喋り好き。
ペラペラ話し続けるのに、それを林先生は慌てることなく冷静に訳出なさる。すごい。


花束贈呈ということで、全キャストたちが舞台上に並ぶ。
うほーーー!!!激しい光景。

それなのに通訳スタッフは「監督挟んで趙薇と范冰冰を並ばせたのは賢い判断」とか、クールな発言。クールすぎるよ!!!!!


その後、チャイナドレスを着たスタッフたちが花束を持って登場。
カナちゃんもおるんかな!!と思いようたら、カナちゃんはギリギリで出してもらえんかったらしい。
うっそー!?でもチャイナドレスは着させてもらえたとか。なんか残念。

舞台挨拶が終わってから、またプラチナルームに戻ってきて、今度はインタビュー。


こちらの陸毅(ルー・イー)はものすご男前で礼儀正しくて、もう同性なのに一目惚れ。

トイレ付近に立っとったらすれ違う。すると一緒におった中国人の通訳スタッフの女の子が陸毅を捕まえて、
「この子日本人なんだけどね、むっちゃモノマネが上手なの!温家宝とか爆笑ものよ!」と話す。

と、いうのも僕のモノマネのレパートリーに毛沢東や温家宝があって、ちょうどそのとき通訳スタッフに披露していたのだった。

すると陸毅が「是非見たいな」と言うけん、披露してあげた。
テレビカメラが寄ってきて、僕のモノマネを見て陸毅が爆笑するシーンを撮影しようた。いやーん。


僕には陳坤のインタビューの通訳があるけん、陳坤と一緒に離れずおる。
気付くと陳坤とマネージャーたちがエレベーターに乗り込んどる。あららら?どこに行くのかしらん?

「インタビューがまだありますよ?」
「いいの」

マネージャーにまたもや冷たくあしらわれ、エレベーターは1階に到着する。
いやいや、帰るにしても車は裏口から乗るようになっているはず。表玄関に行ったって、ファンにもみくちゃにされるだけ。

それを伝えてもマネージャーは戻ろうとせん。まして陳坤は黙って澄ました顔をしている。
一階で案の定ファンにもみくちゃにされる。何も知らない玄関待機のスタッフは陳坤を車に通そうとする。

僕は一人で「だめーーーー!!まだインタビューがあるのーーーー!!」と叫んでも、ファンの声にかき消されてしまう。
なぜか表にきちんと陳坤の専用車がスタンバイしていて、みんな乗り込み始める。

「まだ帰ってはいけません。インタビューが残っています。」
「私たちの仕事は終わりました。もう自由時間です。あなたにも用はありません。」

そうとだけ言うと、車のドアをバタンと閉め、靖国通りを新宿西口の方へ走って行ってしまった。

困ったのは残された僕。ヤバイ…これはヤバイ…。
あわててプラチナルームに戻り、ゲスト担当の方に伝える。するとスタッフたちは大慌て。そうこうしていたら、人民日報の方が僕のところへ来て「陳坤さんは…?」と聞いてくる。それに「帰ってしまいました…」としか答えられない自分。


スターというのは(特に中国のスター)、往々にしてインタビューもせず、観光のためにこっそり抜けてしまうらしい。

そんな裏事情を知らんかった僕は陳坤を返してしもうた。情けない…。
明日も中国大使館でお仕事をすることになっとるし、同じ通訳チームのスタッフのお手伝い通訳もしとるから、全く仕事がなくなったわけじゃないけど…いやいや、そんな問題じゃない。

それなのに通訳スタッフからは逆に慰められる。

「これが原因で中国を嫌いにならないで…。」
「明日頑張れば良いのよ…。」

みんな…すみません…。せっかく頑張ろうと思いようたのに…。

貴重な経験をしたのはしたけど、こんな結果になってしもうた自分自身が情けない。
この日は残り、他のスタッフのお手伝い通訳などをし、解散。
明日はまた中国大使館でのレセプションパーティーがあるけん、お手伝いに参加予定なり。明日こそは頑張らねば…。

【 その1 】 【 その2 】


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