中国語には“一年一个样,三年大变样”という言葉があります。「1年の小さな変化も3年経てば大きな変化」という意味です。経済発展する中国の変化のスピードが速いことを表すのによく使われました。景気低迷が続く今の中国ではあまり聞かなくなりましたが。
私は学生時代、北京に留学していました。それから15年が経ち、今私は同じ北京で働いています。けれど「懐かしい」という感覚があまりありません。と言うのが、あまりに変化が大きくて留学していたあの北京と同じ街だと思えないのです。先日もブログ記事に書きましたが、私は今「北京」という同じ名前の別の場所に住んでいると思って暮らしています。
ただ、この景色だけは当時と変わらないなあと感じます――それは毎日通勤に使っている「北京地下鉄2号線」です。留学時代、私は大学の最寄り駅「積水潭」をよく使っていました。そして今、私は毎日「建国門」という駅を使っています。どちらも2号線の駅なので雰囲気が似ているのです。
現在の北京地下鉄2号線「建国門」駅のホームです。高い天井、大きな柱――時代に取り残されているというか、昔のままだなあと感じます。最近開通した路線は日本の地下鉄と同じようなホームも多いですが、開通時期が古い1号線や2号線はこういう見た目のホームが多いです。私の中ではこれこそ北京地下鉄のイメージ。私が留学していた頃から変わりません。
ちなみに今から約20年前、私が高校生だった頃にも「建国門」駅を訪れたことがあります。当時は2007年、翌年に北京オリンピックが開かれるという時期でした。中国語スピーチコンテストで優勝した賞金を使い、母と祖母と一緒に北京旅行に来たのです。ガイド付きのツアーを手配していたのですが、最終日だけ自由行動の日を設けて市内を観光しました。このとき、初めて北京の地下鉄に乗りました。「建国門」駅で2号線から1号線に乗り換えたことを覚えています。
まさか将来、自分が北京で暮らして「建国門」駅を毎日使うようになるとは思いませんでした。北京という街は当時とずいぶん変わってしまいましたが、変わらない「建国門」駅の風景は私に高校生当時の“初心”を思い出させてくれるように思います。
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