今日、9月3日は中国で「抗日戦争勝利記念日」*1、つまり日本との戦争に勝利した記念日です。日本で終戦と言えば、昭和天皇が玉音放送でポツダム宣言の受諾と日本の降伏を国民に公表した1945年8月15日。一方中国をはじめ、アメリカやロシアなど多くの国では日本が降伏文書に署名した1945年9月2日に戦争が終結したと認識されているようです。で、中国ではこの翌日にあたる9月3日が記念日として定められています。
日本では毎年この時期になると戦没者追悼行事が行われ、テレビやラジオでは記念特集が組まれます。それは戦争の悲惨さに思いをめぐらせて「繰り返してはならない」と思いを新たにするためという側面が強いと思います。これが中国となると異なります。終戦はすなわち「日本との戦争に勝利した日」ですから、めでたい日になるわけです。街中がお祝いムード一色になります。
日本では戦後80年という節目も、中国にとっては「日本との戦争勝利80年」になります。街なかに国旗が掲げられ、北京中心部では大規模な軍事パレードが行われました。
ただ、戦争を繰り返してはならないと教わってきた日本人の私としてはやはり複雑な思いになります。と言うのも、ここから「戦争は良くない」というメッセージが一切読み取れないのです。軍事パレードで核弾頭を搭載できる最新兵器を披露されて何を思えというのでしょう。
まあ私がこんなことを言っても“愛国心に燃える中国の人たち”は「敗戦国の人間が何を言う」と思うかもしれません。でも日本にとっては曲がりなりにも平和国家として貢献してきた80年という自負があります。中国の人たちにも日本の静かな誇りを理解してほしいと思うわけです。
中国と日本が国交正常化する際、時の首相・周恩来氏は「過去を振り返るのは未来の導きにするためだ」と言ったそうです。戦後80年経った今、この記念日がまさにそういう日になることを切に願います。
*1 | 「抗日」は日本の帝国主義の侵略に抵抗したという意味です。 |
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