今日は前門界隈の散策に出かけました。
写真左に写っている立派な門が「前門」で、正式名称は「正陽門」と言います。
北京は各所に「朝陽門」や「安定門」など門の付く地名が残っていますが、どれもかつて城門があった場所です。中華人民共和国が建国されてから大部分が撤去されてしまいましたが、ここ前門だけは解体を免れたそうで。
訪れたのは「中国鉄道博物館・正陽門館」。レトロモダンな雰囲気ですが、かつて旧京奉鉄道の「正陽門東駅」として使われていた建物なのだそうです。
いざ入口に到着すると係員が「予約している人しか入れないよー」と立ちはだかり、入れてくれません。どうすれば良いのか聞くと、その場でネット予約をしろとのこと。スマートフォンを開いて予約手続きをし、完了の画面を見せると入れてくれました。予約画面を見ると全然混んでいないどころか、空きだらけ。中国は効率的なのか、非効率的なのか、よく分からないことが多いです。
中国の鉄道始まって以来の歴史を紹介する展示がたくさんありました。どこどこの国から輸入したディーゼルエンジンを使用した何ちゃら型の蒸気機関車などと、少々マニアックな説明も。私は「ふーん」という感じでしたが、鉄道好きな人にはたまらないかもしれませんね。
昔の駅舎を再現した展示もありました。上の写真、台月一第……ではなく「第一月台」です。古い中国語では駅のホームを「月台」と呼びました。なので「一番ホーム」といったところでしょうか。今の中国ではホームを“站台”と言いますが、台湾では今も“月台”と言います。
こちらは「毛沢東号」に飾られるレリーフ。機関車に偉人の名前を付けるのも、この国らしい。ほかに「朱徳号」や「周恩来号」なんかもあるそうです。
こちらは現在の北京駅にある時計台の針の実物サイズ。私の身長で(そんなに高くないですが)10時の印に頭が届くかどうかという感じでした。
乗務員の制服のようです。
こちらは高速鉄道、“和谐号”(和諧号)の模型。中国語で“和谐”というのは「調和」とか「ハーモニー」という意味です。
鉄道博物館には小さい子どもたちもたくさん見に来ていましたが、鉄道のエンジンがなんちゃらとか説明が始まると正直難しいんじゃないかと思いました(私にも難しかった)。でも写真や模型がたくさん展示されていると見ていておもしろいですね。入館は無料ですし、そういうのを見に来るだけでも楽しめるかもしれません。
2008年の北京オリンピックのマスコットキャラクター「福娃」です。すっかりレガシーですね。色褪せてしまっていますが、5体それぞれがイメージカラーを持っています。
その後お茶をしに、同じく前門にある「Café&Meal MUJI」にやって来ました。無印良品のカフェです。ここ前門には無印良品のホテル「MUJI HOTEL BEIJING」があり、その1階がカフェ、地下1階に無印良品の店舗が入っています。
日本でも新宿や渋谷に「Café&Meal MUJI」があるそうですが、実は利用したことがなく。来たのは今日が初めてです。木のぬくもりを感じる内装で、至る所に無印良品の商品が。オシャレな前門の雰囲気と合っています。
私たちはコーヒーブレイクとして利用しましたが、料理もいろいろ提供しているようで食事をしている人もたくさんいました。ハンバーグ定食や唐揚げ定食といった日本っぽいものから、ルーロー飯など中華っぽいものも。北京のこってり中華に飽きたら、こちらで無印らしい健康的な食事を楽しむのもいいかもしれません。
私が十数年前に留学していた頃、北京市内に無印良品は2店舗しかありませんでした。たまに店舗に行くと「ああ、日本に帰ってきたみたい」と思ったものですが、それが今や「Café&Meal MUJI」もできて隔世の感という気がします。それこそ今日もお茶をしながら店内を見回すと、まるで日本に帰ったような気分でした。
無印良品といえば自然の素材を楽しみましょう……といったコンセプトなわけですが、中国の方々もそういうものを求める方向にシフトしてきているのかもしれませんね。中国といえば基本的にギラギラ大げさなものこそ好かれてきたわけですが、みんなそれに疲れてきているんじゃないかなあと。そうした層に無印良品の「シンプル」な感じが人気を集めているのかもしれません。
お茶を終えて外に出ると、すっかり暗くなっていました。このライトアップされているのは「正陽門箭楼」。「箭楼」というのは日本で言うところの櫓(やぐら)ですね。
前門大街から少し脇にそれて「大柵欄」(“大栅栏”)に来ました。この地名、普通に読むと[Dàzhàlán](ダージャーラン)ですが、なぜか[Dàshílànr](ダーシィーラァー)と発音するんですよね。これが読めるかどうかで北京出身かが分かる、なんて言います。歴史のある商店街で、今は生活に根ざした……というよりは、どちらかというと観光客向けの土産物店が並んでいます。
夕食をいただきに来たのが「鈴木食堂」。北京市内に何店舗かあり、実は前門にもあるのですが、場所を変えて自宅にほど近い北新橋の店舗に来ました。
北京には日本料理店がずいぶん増えました。けれどなかには中国人オーナーが経営している「なんちゃって日本料理店」も多く、ピンからキリまで。こうした中、鈴木食堂は本当の日本料理がいただける店です……とエラソに語る私ですが、実は来店は初めて(^^;)。今までデリバリーはよくいただいていたんですが。
店内は中国の若者でにぎわっていました。こぢんまりとして、洋楽がかかっています。
自家製の漬物と、キムチ鍋、そしてゴーヤチャンプルー。
そして、何と言っても嬉しいのがハンバーグ、和風おろしハンバーグやチーズハンバーグなどいろんな種類があります。私たちは煮込みハンバーグを注文しました。
北京にはたくさんの日本料理店が増えたものの、不思議なことにハンバーグを提供している店が全くないのです。マクドナルドやバーガーキングといった「ハンバーガー店」はそこら中にあるんですけど。鈴木食堂に来店する日本人にはハンバーグ目当てな人も多いようです。
鈴木食堂は北京に数店舗ありますが、その多くが胡同の中にあります。こういう北京らしさがあふれる路地裏で営む日本の洋食屋。何とも素敵です。店員さんも気持ちが良かったですし、多くの中国の若者が日本の家庭料理に親しんでいるのを見るのもうれしい気分になりますね。
日本料理と言っても寿司ではないし焼肉でもない、いわゆる「普通の日本料理」が食べたい!というときに鈴木食堂はピッタリだと思います。また日本食が恋しくなったらぜひ来店します。