私は去年結婚して籍を入れたのですが、北京赴任が決まってから(1か月くらいの間に)ドタバタ決めたので、結婚式はおろか、写真撮影もできませんでした。北京に来てからも激務が続いたので考える暇もなかった(というのは言い訳になっちゃう)のですが、妻からはせめて写真は撮りたいというリクエストをもらっていました。

妻に花嫁衣装を着せられておらず、それぞれの両親にもそういう姿を見せられていないことには私自身申し訳ない思いがありました。そうであれば妻はまもなく妊娠後期に入ってしまいますし、今のうちに写真くらいは撮ってもいいのでは?ということで、結婚写真を撮ることにしました。今回上海に来たのは、まさにこれが目的なんです。

写真館に向かう前にコメダ珈琲でモーニングをいただきました。コメダ珈琲まである上海、本当に羨ましいです。ちなみに店名は中国語で“口美达咖啡”。ちょっと……個人的にはおいしくなさそう(^^;)。まるで歯科医院みたいな名前です。台湾では“客美多咖啡”だそうで、私はこちらのほうが良いと思います。

撮影は昼過ぎまでかかるということで、しっかり腹ごしらえ。日本と同様に飲み物を頼めば無料でトーストが付いてきます。妻は小倉あん、私はたまごペーストを付けました。

今回お世話になったのは上海高島屋(上海には高島屋まであるんですね)の中に入っている写真館です。妻のメイク時間などを見積もって集合時間が朝早く設定されたため、開店前に従業員通用口から入れていただきました。

北京にも結婚写真を撮ってくれる写真館はたくさんあります。ただ……中国の写真館って大胆なんですよねえ。人通りの多い町なかでこっぱずかしいポーズをさせられるとか*1ちょっと私は勘弁してほしくて。あと、さすが上海だけあってこちらの写真館には和装が用意されているんです。別に洋装が嫌だったわけではないですけど、和装を着る機会ってそうそうないじゃないですか。だって紋付袴なんて……七五三以来かしらん?妻も和装を着てみたいと言ってくれたため、こちらの写真館にお世話になることになりました。

いくら上海とはいえ、中国で果たしてどれほどの和装ができるんだろう?というのは最後まで心配していました。もし「なんちゃって和装」だったらどうしようと思ったんですけど、結果的に言うと杞憂でした。着付けをしてくれたのは中国の方でしたが、日本の鈴乃屋きもの学院認定の講師の資格を持っていらっしゃるとのこと。日本にも約20年住んでいたそうで日本語もお上手。最初はてっきり日本の方かと思ったくらいです。

ちなみに撮影前、妻は一度は白無垢を着ると決めたものの、やはり色打掛を着るかで最後の最後まで悩んでいました。すると着付けの先生、「せっかくだから白無垢、着よっか」のひと言。くぅ~~プロが言う「せっかくだから」という言葉は心強いですね。これが日本のチェーンの写真館だったら「白無垢の方が伝統的ですが、最近は色打掛も大変人気です」なんて玉虫色のアドバイスするんでしょ?(失礼だっちゅーの)流行りに左右されず、プロが自分の価値観からアドバイスをくれるのは格好良いです。妻はもちろん、私も背中を押してもらった気分でした。

妻はメイクとヘアセットで3時間くらいかかりました。一方の私は「寛いでいてくださいね~」と放置プレイ状態で、ぼ~っと過ごしたり妻を冷やかしたり。女性は大変ですねえ。

ちなみにヘアセットでも妻は日本髪か洋髪かで悩んでいました。ここでもスタイリスト*2さんから「日本髪にする機会なんて滅多にないですから思い出になりますよ」と背中を押され、日本髪に。毛量が足りないということで、膨らみに人工毛を使うなどして器用にセットされてました。妻は少々「濃い」顔をしているので、できあがった姿はまるで沖縄の人(笑)。髪型を見て若い頃に「ユイユイ」を歌っていた山川まゆみさんを思い出しました。

一方で男性の私はそんなに時間がかかりません。あっという間に着せてもらい、あとは少し眉を描いたり髪の毛をセットしたりしたら終了。しめて20分ほどでした。

まずはスタジオ内で1時間弱くらい撮影。夫婦揃ってと、それぞれ1人だけの写真を撮りました。妻は妊娠中だったこともあり、撮影中に少し具合が悪くなってしまいました。重い衣装を着ながら強いライトを浴び続けたので疲れてしまったんでしょうね。スタッフの皆さん、すぐにイスを用意してくれたり、冷たい飲み物を買ってきてくれたり、本当によくしてくれました。感謝感謝です。

その後、高島屋近くの公園に移動して屋外撮影。着物を着たまま高島屋の売り場を経由し、外までテクテク歩きました。いやあ、まさか紋付袴で中国の街を歩く機会があるとは思いもしませんでした。

公園を散策している人たちに見られながらの写真撮影。これでこっぱずかしいポーズをさせられたらたまったもんじゃありませんが、和装だけあってそこは雅やかな姿勢に終始します。

多くの人は一瞥するだけでしたが、中には写真を撮る人も。通りかかった欧米人のグループは「コングラチュレーション」と言ってくれました。晴れ着だと分かるんですね。こうやって町なかで着物を着て撮影できるのは、上海ならではだとつくづく感じました。北京だとまずできなかったと思います。罵られていたか、ひどい場合は連れて行かれたかも。

中国で、「中華民族の精神を損なう」服装を着用した場合、違法とみなす法改正の審議が進み、法律専門家らの間で物議を醸している。

(中略)

香港メディアによると、中国政法大学の趙宏教授は、江蘇省で昨夏、浴衣姿で写真撮影していた中国人女性が警察当局に連行された事案を「連想せざるを得ない」と指摘した。和服の着用など日本文化が標的になりかねず、別の教授も「極端な民族主義を刺激し国家間の対立も加速させる」とSNSに反対意見を投稿した。

読売新聞オンライン(2023年9月13日)

日本に和装を着て撮影できる写真館は数多ありますが、それだけに着付師の腕は玉石混交なんでしょうね。中国はそういう写真館が少ないので、むしろこうして腕の良い着付師の先生に巡り会えたことは私たちにとって幸いでした。

上海にあるこちらの写真館、残念ながら日本本社の意向で12月25日で閉店するそうです。でも写真館の脇にある着付師の先生の着物教室は(おそらく)閉まらないはずですから、例えば着物の着付けだけお世話になって写真は別の写真館で撮ってもらうとかできるのかな?姜先生とおっしゃるのですが、中国で本格的な和装をしたいならぜひ訪ねてほしいと思います。

上海姜依秋きものサロン(鈴乃屋きもの学院認定)

上海市长宁区虹桥路1438号高岛屋百货5楼
TEL:159-2162-7060

せっかく海沿いの上海に来たので夜は海鮮がいただける日本式居酒屋に行きました。

先月に本オープンしたばかりだという海鮮居酒屋「喜舟」。壁に掛かったホワイトボードには旬のメニューがびっしり書かれ、思わず迷ってしまうほど。

いやあ、思い出すだけでよだれが出てくるようなおいしさでした。刺身はひと目で分かる鮮度、とても北京ではいただけません。ハマグリの酒蒸しも優しいお味でした。注文したカンパチが品切れだったんですけど、店長?と思わしき日本人の方が「申し訳ありません」と言って代わりに大根とカンパチの煮物をサービスに持ってきてくれました。他にいた中国人の店員さん方もテキパキ働いていて、見ていて気持ちよかったです。

上海は日本人には住みやすい街ですねえ。北京にはない“洋气*3と“时尚*4な感じ。十数年前に留学していた頃もそうでしたが、北京から上海に来ると「疑似・日本帰国」の気分を味わえます。

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References
*1中国にいると公園なんかで衆目を集める中、芸能人顔負けの写真撮影をしている様子をよく見かけるんです。
*2ちなみにスタイリストさんも中国の方でした。日本で働いたことはなく、日本髪のセットは中国で学んだのだとか。
*3垢抜けている感じ。
*4スタイリッシュ、おしゃれなこと。