今朝、職場の最寄り駅を出ると物乞いがいました。小さな車輪の着いた板の上に座り込み*1、お金をくださいと言わんばかりに小銭が少し入った缶をシャカシャカ鳴らしていました。
しかし珍しい。最近の北京では物乞いなんて見かけません。私が十数年前に留学していた頃はそこそこいました。地下鉄に乗っていても物乞いの母子が突然現れ、3歳か4歳くらいの子どもが乗客の前でひざまずき、缶を持って金を要求するんです。大勢の乗客がいる中、自分の前で小さな子どもがひざまずいて何度も頭を下げられては複雑な気持ちになります。だから私は母子の物乞いが現れたら、いつも寝たふりをしていました。私に前に来ませんように……なんて考えながら。まるでロシアンルーレットです。それも今は昔で、公共交通機関の利用マナーにうるさくなった現在では物乞い行為が禁止され、見かけなくなりました。
けど、中国はキャッシュレス社会。現金を使っていた頃ならいざ知らず、猫も杓子もスマートフォン決済アプリを使うようになった今では通りすがりに「チャリンッ」とお金を入れてくれる人なんていないんじゃないの?と思ったら、その物乞いの方、缶の中にきちーんと支払い用のQRコードがプリントされたカードを持っていました。あらら、物乞いにまでキャッシュレス決済が浸透しているのか、裏で差配する親方がいるということなのか。どっちにしても中国らしいと思っちゃいました。
*1 | 例えるなら「ハンドルの付いていない台車」といった感じです。 |
---|
コメントを残す