これ何だと思いますか。

漢字で「芳香球」と書いてあるので、香りがする球であることは何となく想像が付くと思います。

これ、トイレボールです。男性用の小便器の中に置いてあるやつ。もしかしたら「置いてあった」と言ったほうがいいかもしれません。と言うのが、最近は全く見かけなくなったからです。

最近、職場の男子トイレが「におう」ことが多いんです。おそらく排水管から漂っていて、昼間の清掃直後はマシなのですが、夜間や週末はきつくなります。TOTO製の小便器には「人がいなくても、水が流れることがあります」って書いてあることがありますよね。あれは設備保護洗浄といって、小便器の管を定期的に洗浄するために水が自動的に流れるんだそうです。うちの職場の小便器はTOTO製ですが、残念ながらそうした機能はないとのこと。

そこで買ってみたのが、このトイレボールです。うわあ、懐かしい香り。小さい頃の公衆トイレには必ずトイレボールがありました。あの香りです。私の周りの日本人の同僚も口々に「懐かしい」なんて言って評判は上々。アナログの方法で汚臭問題も解決……と思われました。

すると中国人の同僚が「このボールには“苯元素”がありますよ」と指摘してきました。“苯元素”って何?調べてみると日本語で「ベンゼン」と言うんだそうです。うーん、それでも分からない。

で、もうちょっと調べてみると、トイレボールには「パラジクロロベンゼン」という成分が含まれていて、これが有毒性だとして排除する動きがあるんだそうです。換気しているトイレなら危険性は少ないものの、化学物質に過敏な人には影響が出ることもあるそうで、消費者団体は注意を呼びかけているのだとか。あと私や日本人の同僚にとっては懐かしい香りも人によってはただの刺激臭に感じて不快、なんてこともあるそうです。

で、いろいろ検討を重ねた結果、やはり撤去することにしました。みんなが使うトイレですからね、1人でも気にする人がいたら意見は尊重しないといけないと思います。