中国北京での隔離生活1日目。

たった1時間の時差しかないものの、体はまだ日本時間なのか少し早めに目が覚めた。

朝食はお粥、肉まん、マントウ、ゆで卵、漬物。漬物は日本で売っているきゅうりのキューちゃんみたいな味だった。

中国のお粥は日本のそれに比べて水分量が多い。塩味くらい付いているのかと思ったらそのままだった。これだけ食べるのも寂しかったので、日本から持ってきた永谷園のお茶漬けのりを入れたらちょうどいい感じに味がついて良かった。

午前10時頃になって、係員が部屋代の回収に来た。扉を開けると防護服に身を包んだ男性と女性が立っていて、AlipayかWeChat Payで支払うように言われる。

これらは日本のPaypayやLINE Payと同じようなQRコードで支払いが出来るサービスで、使っていない人はいないほど中国では普及している。逆に言うと何でもAlipayかWeChat Payなので、これがないと困ってしまう……というより実際に困ってしまったんだけど、日本から到着したばかりの私がAlipayもWeChat Payも持っているはずがない。

クレジットカードや銀聯カード*1で支払いができないかと聞いても「友人や同僚に頼むとか、なんとかして下さい」と、けんもほろろに突き放されてしまった。

とりあえず北京にある私の会社のオフィスに助けを求める。すると会社のほうから交渉してくれ、指定された口座に会社が料金を振り込むという形で話が付いた。

しかし、あまりに官僚的だなあ。海外から到着したばかりの外国人がAlipayやWeChat Payを使える前提なのは普通に考えておかしいんじゃないかと。私は会社が助け船を出してくれたから良かったけど、そういう後ろ盾がない人はどうしたんだろう。

午後0時半頃になって昼食が運ばれてきた。

これは”红烧牛肉“かな、牛肉、大根、にんじんを煮込んだ料理がメインだった。これも結構おいしい。食事が合わないんじゃないかと日本からいろいろ持ってきていたけど、この調子なら使わずに隔離生活を終えられそうだ。

午後になって突然施設のスタッフから電話がかかってきた。

曰く、私と同じように隔離中の日本人のうち数名が中国語も英語も通じないため困っているという。特に隔離終了後の滞在先を確認したいらしく、これが把握できないと当局から隔離終了の許可が下りないとのこと。そこで私に手伝ってもらえないかということらしい。

何で私が……と思ってしまったが、昨日からの施設の対応を見ていると、おそらく言葉のできない日本人たちは困り果てているだろうなあ。だって完全隔離だけあって電話しか手段がないんだもの。同じ国から来た者同士だし私で手伝えることがあれば……と思い、聞いた部屋番号に内線電話をかけて確認してあげた。すると日本人のほうも相当困っていたようで、とても感謝された。

施設スタッフにまとめて伝えると、これまたいたく感謝された。まあ、こういうシステムになっているのは彼らのせいじゃないかねえ。むしろ、彼らだって日本語スタッフを配置するとか、どうにかしてほしいと思っているだろう。私に協力を依頼してきた女性スタッフは「せっかく隔離が明けるという時に解放できないなんてことになってほしくないので、私たちも必死なんです」と話していた。

彼らは彼らでいろいろ頑張ってくれているわけで。私が「日本人を代表してお礼申し上げます」と話すと、彼女は「だったら私は中国人を代表してあなたにお礼を言わなくちゃいけないですね」なんて返してくれたので、顔も分からない同士なのにケラケラ笑い合った。

しばらくすると扉をノックする音が聞こえた。

何だろうと扉を開けると、防護服を着た男性が「これは先ほどいろいろとお手伝いしてくださったお礼です」と言ってカップラーメンや菓子の入った差し入れの袋をくれた。わざわざ持ってきてくれるんだなあ。お酒だったらもっとうれしかったけど……なーんて思っちゃったけど、いえいえ、それでもいただけるだけありがたい(^^)。

隔離1日目の夕食は肉だんごや青梗菜を炒めたものなど。これまでの中で白ごはんが一番日本のそれに近かった。水分が多くてほかほか。

ちなみに入居時に「夕食は午後7時頃に持ってきます」と説明を受けたんだけど、実際に来たのは午後5時半頃。昨日の夕食もそうだった。これ、持って来られたのに気付かないで午後7時まで部屋の外に置きっぱなしだと温かい弁当が冷めちゃうよねえ。

中国人は日本人以上に温かい弁当にこだわるはずなんだけどなあ。スタッフが午後6時で帰っちゃうのかな。まあ、かく言う私は午後5時半じゃ全然お腹が空いていなかったので結局午後7時頃に食べたんだけど(^^;)。

関連記事

References
*1中国生まれのクレジットカードで、AlipayやWeChat Payが普及する以前はよく使われた。もともとはクレジットカードというより、支払いの時点で直接口座から引き落とされるデビットカードとして重宝された。日本でも中国へ行く人向けに発行されている。