人に自慢できるほどではないが、そこらの男性に比べると料理をするほうだ。とは言え自分が食べたいものを作るだけなので味付けは自己流。それも晩酌のお供になる小皿料理が多いので、果たして「料理」と言えるかどうかも分からないけれど。

特に好きな調味料が韓国の「ダシダ」。何にでも使える万能調味料で、日本で言う「だしの素」といったところだろうか。和食には和食だし、中華には中華だし、洋食にはコンソメやブイヨン、韓国料理にはダシダなのだ。ちなみにダシダという名前は日本語の「出汁」から来ているのかと思ったのだが、“입맛을 다시다”(インマスル・ダシダ)=「舌鼓を打つ」から来ているらしい。

日本では一般のスーパーにも置かれているが、北京に来てから日系スーパーをいくつか回ったもののダシダを見つけられなかった。韓国食材スーパーに行けば必ずあるだろうと思い、行ってみた。

やって来たのは「望京」。北京のコリアタウンと言われている街だ。

およそ5万人の韓国人が住んでいる地区で、韓国料理の店を始め、韓国のアパレルショップ、テコンドーの道場、囲碁の練習場など、いろいろあるそうだ。

品揃えが良いと聞いて来たのが“来故乡超市”(ホームタウン・スーパーマーケット)。

ハングル文字で“내고향 마트”(ネーコヒャン・マートゥ)と書いてある。“내고향”(ネーコヒャン)=私の故郷、“마트”(マートゥ)=マートで、「私のふるさとのマート」になる。

一方、中国語の店名“来故乡”は「故郷に来る」という意味。この漢字を韓国語発音で読んだら、これまた“내고향”(ネーコヒャン)。両方の意味を取っているのかな、いい店名だ。

そんなに広い店舗ではないが、品揃えはすごかった。

東京のコリアタウンと言えば新大久保だが、観光地化されているので、たまに買い物に行くと人の多さにびっくりしてしまう。その点、この店は本当に「生活のため」といった雰囲気だ。お客さんは中国人と韓国人が半々くらいで、みんな日常の食材を買い込んでいるようだった。

オットギのレトルト食品から、チンして食べられるごはん。

カップラーメンの品揃えも豊富だ。どれも辛そう。

袋ラーメンもたくさん並んでいた。私はチャジャンミョンを購入。韓国式ジャージャー麺のことで、日本や中国のものと違ってソースがちょっぴり甘めなのが特徴だ。

今日一番のお目当てのダシダも並んでいた。私がいつも使っているのは牛肉のダシダだが、あさりやいりこだしのダシダも並んでいた。さすがの品揃えだ。

ちなみに中央と右のダシダはどちらも同じ300グラムだが、値段がずいぶん違う。中央は58元(約1200円)で、右は19元(約400円)。よく見てみると、中央のダシダはパッケージに韓国語しか書かれていないのでおそらく直輸入されたものだろう。一方、右は中国語が書かれているので現地生産されているものではないか。

こんなに値段が違うのに、わざわざ直輸入品を買う人がいるのだろうか。それとも中国現地生産されているダシダは味が少し違うのだろうか……いやいや、3倍の値段はやはり高すぎる。ここは現地生産のものを買おう。

追記)現地生産のダシダを買ったが、いつもの味と全く変わらなかった。これでわざわざ直輸入品を買う人はいるのかなあ。よほど韓国産しか信じない人向け?

ちなみに中国語でダシダは“大喜大”(ダーシーダー)と言うようだ。

そんなに種類は無かったものの惣菜も並んでいた。こちらはキムパ、1つ17元(約350円)。

雑貨やシャンプーやボディーソープといった日用品も売っていた。

この商品には“페브리즈”(ペブリジュ)。日本でもおなじみ「ファブリーズ」だ。

私はダシダを始め、チヂミの素や白菜キムチ、チャミスルなどを購入。

うーむ、さすがの品揃えだ。日本食材でこれほどの規模の店はあるのかなあ。ここまでじゃないけど、やはりイトーヨーカドーが一番かな。韓国食材は日本料理にも代用できそうなものが多いので助かる。とりあえずダシダは300グラムを2つ買っておいたので、しばらくは困らなさそうだ。

夜はコチュジャン、魚醤、ダシダで味付けをしたスープでキムチ鍋を作った。我ながら良い味。フードデリバリーは便利だが、自分の好きな味で食べたいものが食べられるのは自炊の醍醐味。またいろいろ挑戦してみよう。

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