中国の年末年始の連休は今日が最終日(日本は明日までかな)。

昨夜は上司の家で飲んだあと帰宅し、自宅でも1人で2次会をしていたため(おいおい)今朝はゆっくり起床する。昼食は冷蔵庫にあった有り合わせの材料で間に合わせる。食事を終え、ふと天気の良い外を眺めていると「このままでは普段の週末と変わらない年末年始で終わってしまう」と妙な罪悪感に駆られる。

中国に赴任してから3か月、これまで新型コロナウイルスの感染対策が厳しかったこともあり、まだ一度も北京から出ていない。せっかく対策が緩和されたのだ、ええい!と思い立ち、昼過ぎから天津に行ってみることにした。見事なまでの「思いつき旅」だ。

北京南駅にやって来た。相変わらず空港のようにドデカい駅だ。

北京南駅から天津駅までは“复兴号”(復興号)で。

北京から天津の距離は約140キロメートルで、日本に例えると東京~新富士、岡山~明石くらい。最高時速が330キロメートルくらいだったかな、たったの30分で到着する。私にとってはむしろ家から北京南駅へ移動するほうが余計に時間がかかるくらいだ。

正月の贅沢だと思い、1等席(日本風に言うと「グリーン車」)の切符を購入。88元(約1700円)だ。ちなみに11年前の留学時代にも天津に行ったことがあり、当時は“和谐号”(和諧号)の1等席に乗ったが料金は69元、当時のレートで870円だった。うーむ、やはりずいぶん値上がりしている。

天津駅。のんびり来たので、駅舎の時計はすでに午後3時過ぎだ。

天津は北京から高速鉄道でわずか30分という場所にあるが、対外的に開放された港として栄えたため、日本でいうところの横浜や神戸のような「中国らしくない」おしゃれな雰囲気が魅力的。

バスに乗って、天津中心部にある「五大道」にやって来た。

もともとイギリス租界だったエリアで、1800年代から1900年代前半のイギリス式の建築物や町並みが残っている。馬車に乗って五大道を案内してくれるツアーもあるが、私は夕方近くになって訪れたのでしばらく散策したくらいで済ませた。

うーむ、確かにこの写真だけ見せられたら、ロンドンのどこかと言われても信じてしまいそうだ。

続けて来たのが清代の町並みを再現した「天津古文化街」。

ガイドブックなどを見ると「800年以上の古い歴史を持つ地域」と紹介されているが、リニューアルされていることもあって往事の趣にはやや欠ける。すっかり観光地化しているが、人が賑わう様子はさながら縁日のようで見ていて楽しかった。

熱した飴で絵を描いて「食べられるアート作品」をつくる“糖画”。おそらくこれはドラえもんを描いているのだと思うのですが、いかがでしょうか。

大きなやかんから上手にお湯を注いで作っているのは“茶汤”(茶湯)という天津名物だ。

いわゆるお茶ではなく、澱粉質の粉にお湯を注ぎ、蓮や杏仁などお好みのトッピングをしていただく食べ物らしい。小腹がすいた人にはピッタリだそうで、このお兄さんのところには数人が列を作って並んでいた。

こちらも“吹糖人”という中国に古くから伝わる民間工芸のひとつ。飴に息を吹き込んで膨らませ様々な形を作る飴細工だ。ここは「自分で吹いて作ろう」と売り文句にしていて、小さい子どもが吹き、それを男性がこねて形づくっていた。出来上がった飴を見るにおそらく作っていたのはイルカだ。

「信、達、雅」で有名な厳復さんの像があったので、パシャリ。

古文化街を見終えて移動していると、ずいぶんとサイケデリックな風景を見かけた。

おそらく旧正月の「春節」に向けて新年用の装飾品を売っているのだろう。これ以外にもウサギの飾り物もたくさん並んでいた。旧暦の正月のほうを重視する中国では、むしろこれから新年を迎える準備が本格化するといったところか。

午後6時頃に天津駅に戻り、直近の北京南駅行きの高速鉄道の切符を買おうとしたら「満席です」とのこと。えええ、そんなことあるの。3連休の最終日だから私と同じような考えで、北京から天津に日帰りで来た人が多かったのかもしれない。しばらく天津駅で待つ羽目になってしまった。逆に言うと、一時期は新型コロナウイルスの感染拡大で街から人が消えたものの、今は高速鉄道が満席になるくらい戻ってきているんだあ。

今日は思いつきの弾丸天津旅行だったので、今度しっかり時間をとってまた来よう。そのときには往復分の高速鉄道を予約しておかないといけないね。

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