今日から1泊2日で山西省に出張。これまで新型コロナウイルスの感染対策が異常に厳しかったこともあり、北京に来てから一度も地方出張がなかった。今回が初めてだ。
向かったのは山西省の南西部にある運城という街。さすがに「農村」とまではいかないものの、正真正銘の地方都市だ。仕事でなければ一生来ることはなかっただろうなあというような街で、そう思うとひとつひとつの風景がまた特別に感じられた。
この街、運城は塩湖が有名で「中国の死海」と呼ばれているようだ。写真では分かりにくいけど、遠くに見えているのが塩湖。
お昼にいただいたのが、この地域の名物だという“羊肉泡馍”。写真左のパイ生地みたいなのが“馍”で、これをちぎって右の羊肉や春雨が入ったスープに浸して食べる。浸してすぐは生地がまだ固いのだが、しばらく経つとふやけてくる。スープがおいしくて、しっかり飲み干した。
この店はオープンしたばかりのようで、店主がしきりにサービスしてくれるのが印象的だった。タバコを差し出してくれたり*1、スープはおかわり自由だと声がけをしてくれたり、とても親切だ。店内の雰囲気は新しいように見えなかったので、居抜き物件なのかもしれない。
私が一番印象的だったのは街の市場だ。豚の頭が並んでいたり、見たこともない川魚を売っていたり。なかでも忘れられないのが、首を紐で繋がれた鶏の姿だ。隣にはすでにさばかれた「鶏肉」が並び、この鶏自体も毛を3分の1ほどすでにむしられていた。寒いのかジーッとして動かず、たまにする瞬きがまだ生きていることを教えてくれた。おそらく客の注文があった時点で「しめる」のだろう。そのほうが新鮮だからね。この鶏からすればあとは「殺される」のを待つだけで、私の顔を見つめてきた目が忘れられない。
とか言う自分だって毎日のように鶏肉を食べているのだから自分勝手だよなあ。けど、生き物の命をいただきながら暮らしているのだということを改めて感じた。11年前の中国留学で新疆ウイグル自治区を旅行した際、ウイグル族の友人宅で「外国人のお客に対する最高級のおもてなしです」と言って目の前でヒツジを「しめ」、食事として差し出してもらったことを思い出した。
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*1 | 私は喫煙しないけれど。 |
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