今日は中国に到着したばかりの妻と一緒に「ユニバーサル・スタジオ・北京」に行った。

2021年9月にオープンした世界で7番目のユニバーサルスタジオ。テーマパーク好きとしては北京に赴任してから早く行ってみたかったが、新型コロナウイルスの感染拡大などいろいろあってかなわなかった。そもそも妻が来るならそのときを待とうと思い、今回ついに訪問することができた。

まず驚いたのがチケット料金だ。北京のユニバーサル・スタジオは繁忙期や閑散期によって価格が変わる変動制だが、旧暦の正月3日目にあたる今日は748元。日本円にして約1万4300円。こ、こんなに高いの!?妻に言わせると「海外のテーマパークはそんなもん」らしいが、いくら春節のハイシーズンとはいえ足元を見られたものだ。

しかし入園ゲートに並ぶ大量の人を見て、それにもまた驚く。これだけの高額チケットを購入して遊びに来る人がこんなに多いのだなあ。中国がどれだけ豊かになったのかを強く感じる一幕だった。

チケットは前日に買っておいたのだが、入園までにずいぶん時間がかかった。入園ゲートで身分証(外国人の場合はパスポート)の確認と顔認証をいちいち行っているのが原因だろう。コロナ禍になってオープンしたテーマパークなので当初はおそらく感染者の追跡が目的で、そのほかダフ屋対策の側面もあるのだと思う。しかし、これが長いのなんの。入園までに1時間近くかかった。この日は最低気温が-13度、最高気温も-5度という極寒の1日で、日陰の、それも風がピューピュー吹き抜けるエントランスに並ぶのは相当な苦痛だった。

侏罗纪世界大冒险”(ジュラシック・ワールド・アドベンチャー)。例えるなら東京ディズニーシーの「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」みたいな感じかな。恐竜のロボットがリアルで技術の進化というのを肌で感じた。

ちなみにこれは遊園地以外でもそうなのだが、中国人はとにかく「スマートフォンで写真・映像を撮ろうとする」。私たちの乗り物の最前列に座っていたうち3人か4人がスマホ撮影をしていた。このアトラクションでは途中写真撮影があるのだが、いざ写真を見てみると写っているのは顔の前でスマホを掲げた姿。顔は隠れて誰が誰かなんて分かりやしない。

せっかく目の前で大迫力の演出が広がっているのにみんな小さなスマートフォンの画面を見ているのだから、何だかなあ。私は思い出の瞬間を映像に残すのに賛成派だが、こういうのはいただけない。YouTubeを検索すればアトラクションを撮影した映像なんていくらでも出てくるよ。肉眼でアトラクションを楽しんだほうがお得だし、百歩譲って撮影するにしてもアトラクションを楽しむ自分たちのほうを撮ったほうが思い出になるよ。

上海ディズニーランドに行ったときも感じたのだが、中国ではパーク内の建築物に「中国語」が必ず併記されている。ここユニバーサル・スタジオ・北京も例外ではないようだ。

たとえば上の写真。アールデコ調(といえばいいのか?)の建物で、雰囲気は19世紀末のアメリカっぽさを醸し出しているのだが、漢字でドデーンと“欢迎”(歓迎)とか“欢乐好声音巡演”(歓楽好声音巡演)と書かれると、うーん、ちょっと「違う」気がするというか……おそらくそう思う日本人は多いのではないかと思う。だって例えば西部開拓時代を模した建物の入り口に「ようこそ」ってひらがなで書かれていたら興ざめしない?そこは”WELCOME”だけでいいと思っちゃう。

しかし中国の人にとって、中国語の併記は欠かせないようだ。アトラクションに乗っても、キャラクターは必ず中国語を話している。ちなみにこの写真のアトラクションは「シング・オン・ツアー」、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンにもあるものだ。

こちらは“小黄人乐园”(ミニオン・ランド)。「小黄人」というのが「ミニオン」のことらしい。室内エリアもあって、夏は暑く冬は寒い(「極寒」だ)北京の気候に合わせて楽しめるよう配慮されているそうだ。

人が一際多かったのが“哈利·波特的魔法世界”(ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター)。とにかく芋洗い状態というか、歩けないくらいだった。その理由は「映え写真」を撮る人たち。そこら中でハリーポッター映画の「魔法学校の制服」を着た人たちが杖を持って「私が主人公よ」と言わんばかりの決め顔で写真を撮っていた。それは自由だが……少々通行の妨げになっていたのだ。日本のユニバーサル・スタジオ・ジャパンでもこういう人が多いそう。ハリーポッターの世界がそのまま再現されていて私も「わあ」って思ったし、まあ気持ちは分かるけどね。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにもハリーポッターのエリアはあるそうだ。ただ最後に訪れたのは小学生の頃なので、私にとっては今回が初めての体験。ホグワーツ城も細部まで再現されていてすごかった。

このエリアの目玉アトラクションが“哈利·波特与禁忌之旅”(ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー)。全く同様のアトラクションが日本を始め、ハリウッドやオーランドのユニバーサル・スタジオにもあるらしい。これまた自在に動く乗り物に乗って映像やロボットが繰り広げる映画の世界をめぐるアトラクションだった。まるで本当に空を飛んでいるような気分で、技術の進歩がなし得る演出なのだろう。

しかし待ち時間が110分。先に書いたように、この日の気温は最高気温でも-5度だったので耐えがたい寒さだった。あろうことか手袋を持ってこなかったので、手もポケットから出せない。時間つぶしにスマートフォンをいじる気持ちにもなれず、ただただ並ぶのみ。もう少し屋外用の暖房器具を増やしたほうがいいのではないか……と感じた。燃料費は相当かかるだろうけど……

北京のユニバーサル・スタジオのオリジナルが「カンフー・パンダ」をテーマにした室内エリア。日没後、あまりの寒さに耐えきれなくなり駆け込むようにしてやって来た。

雰囲気は東京ディズニーシーの「マーメイド・ラグーン」といったところか。カラフルな提灯が下がり、中国っぽい音楽が流れていて「ああ、これは中国の人たちは喜ぶだろうな」と感じた。

待ち時間5分ほどで乗れたのが“功夫熊猫:神龙大侠之旅”(カンフー・パンダ:ジャーニーオブ・ザ・ドラゴン・ウォーリア)。東京ディズニーランドの「イッツ・ア・スモール・ワールド」や、東京ディズニーシーの「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」みたいな感じだ。実は「カンフー・パンダ」の映画は見たことがないがそこそこ楽しめたし、温まることもできてよかった。

閉園時間は21時までだったが、あまりの寒さにアトラクションを楽しむ余裕もなくなってきてしまい*120時前には帰宅することにした。

楽しかったし、そこそこ満足した。アトラクションの作りも立派だったし、最も新しいユニバーサル・スタジオなだけあって、演出技術も最新で迫力があった。ただ冬期は休止しているアトラクションが多数あり、半分ほど乗れないものがあったのは残念。屋外のジェットコースター・タイプのアトラクションは全滅だ。ユニバーサル・スタジオなら目玉の「ウォーターワールド」も休止。まあ、でも妥当な判断だろう。こんな気温の中でジェットコースターに乗ったら凍死してしまう。つまり北京の冬は屋内に限る……ということだ。もう少し暖かくなったらリベンジすることにしよう。

References
*1ほとんどのアトラクションが屋外に並ばなければならず、これがきつかった。せめて暖かい屋内に並べれば違うんだけどねえ。