日本で働く中国人の友人が出張と帰省を兼ねて中国にやって来た。突然メッセージが来て「今、北京にいるんだけど」と言うのでびっくり。せっかくの機会なので一緒に飲むことに。

向かったのは日壇公園近くの串焼きバー(“串吧”)。向こうの仕事の都合もあって午後10時というスタートだったので、なるべく遅くまで営業している店を選んだ。普通の串焼き屋と違ってクラフトビール(“精酿啤酒”)も楽しめるそうで、ビール好きとしてはたまらない。

中国で串焼きといえばラム肉(“羊肉串”)だけど、ここは牛肉がオススメらしい。豚のバラ肉を注文するとキムチやサンチュも付いてきて、テーブルの上が思いのほかいっぱいになった。

最初の1杯目はホワイトビール。とてもおいしい。中国でもこういうクラフトビールを作るようになっているんだなあと思うと、隔世の感。私が留学していた頃は串焼きを食べるときの定番と言えば“二锅头*1だったもんなあ。

日本でも最近「ガチ中華」として人気が出ているザリガニも注文。食べるのは、実は初めて。

泥臭いのかな?と思ったけど、そうでもなかった。ほのかに「におう」かなあ、くらい。それを消すためにずいぶんスパイシーな味付けがしてあった。まあ、食べてみればエビだ。殻はエビより硬いけど、実はプリプリだった。

人のことを言えないけど、月曜だというのに店内はまあまあな人で賑わっていた。そして結構、泥酔されている方多し(笑)。みんなずいぶん気持ち良さそうに飲んでいる。

友人は日本語がとにかく上手で、私たちが会話するときは基本的に日本語を使っている。今日も日本語で話していると、隣のテーブルから「日本人じゃないか?」「日本語?これは韓国語なんじゃないか」みたいな酔っ払いの会話が聞こえてくる。するとついに「すみませんが、お二人が話しているのは日本語ですか?」と話しかけてきた。「日本語ですよ」と返すと「ほら~」みたいなやり取り。そんなに珍しいのかしらん。

すると少し離れたテーブルから、これまたかなり泥酔された方が「ジャパニーズ!?」みたいな声を上げる。すると私たちのところまで近付いてきて「あなたたちは日本人ですか」と聞いてくる。友人が「私は中国人です」と答えると、私のほうを向いて「じゃあ、あなたは日本人ですか」と言う。そうです、と答えると「日本との歴史には731部隊*2とかいろいろあるけど、僕は政治を語りたいわけじゃなくて……」と語り出す。この方、かなり酔っ払って目もすわっていたので、内心「ちょっと面倒なことになるんじゃないか」と心配になった。

すると、この方は「小さい頃から日本が大好きで、日本の文化に親しんでいる。もうすぐ公開されるスラムダンクの映画*3も楽しみで楽しみで」と言う。なーんだ、筋金入りの日本好きか(^^;)。私に握手を求めてきて「ぜひ一杯、おごらせてください」と言う。丁重にお断りしたけど、しばらくしたらウエイターさんが「あちらの方からです」とビールを持ってきた。

私は基本的に中国では「溶け込む」ようにしているので(笑)あまり日本人と分からないように(中国人ぶって)過ごしていることが多い。それだけに、ここまで「日本人」として扱われたのは、このたび中国に来てから初めてだった。しかし良い人たちで良かった。私が日本人であることで、悪く思われることもあるかもしれないしね。

友人と話に夢中になっていると、気付けば私たちが最後の客になっていた。いつも学ぶことが多く、刺激をもらえる友人というのは本当に大切だ。北京でほかにも会いたい人はいただろうに、連絡をくれたことに感謝。

References
*1安手の焼酎。
*2日中戦争当時、中国東北部のハルビン郊外で生物兵器の開発に当たった旧日本軍の部隊。
*3日本で去年12月に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』。中国では4月20日から公開される。