今日は朝から九寨溝観光です。入り口となる九寨溝風景区のゲートまでは、昨日お世話になったタクシードライバーのおばちゃんの旦那さんが送ってくれました。
入り口には立派なゲートができていました。私が12年前に来たときとは大違いです。
午前8時の開園をちょっと過ぎるくらいに到着したのですが、すごい人でした。入園チケットはすでに買ってあったので、すぐにゲートの列へ。外国人はパスポートを見せて入園するため、中国の人たちと別の列でした。おかげで長蛇の列を並ぶことなく、すんなり入ることができました。
九寨溝風景区の中では専用のバスで移動するようになっていて、まずは最深部にある「長海」(ちょうかい)にやって来ました。標高3100メートルと、九寨溝の中でも最も高い位置にあります。氷河の侵食により作られた湖で、北欧のフィヨルドの風景そのものです。
冬の間は氷が張ることもあるそうですが、このときにはもうなくなっていました。青々とした水に雪山がとても映えます。美しい風景にウットリしてしまいますが、なんせ標高3100メートルなので少し階段を上り下りするだけで息が切れます。
続いてやって来たのは「五彩池」(ごさいち)。「長海」から歩いて来られます。九寨溝にある池の中で最も美しいと言われるそうですが、やはり時期的に少し水が少ないでしょうか。水は透明で、湖底まで手が届きそうに感じます。
この「五彩池」は上流にある「長海」から地下を通じて水が流れてきているので、四季を通じてほとんど温度変化がないそうです。そのため冬でも氷ができないのだとか。
続いて「箭竹海」(せんちくかい)に来ました。湖岸の周りにたくさんのヤダケが生えていたので、このように名付けられたそうです。
移動するバスの中で聞いた説明によると、ここ「箭竹海」は2002年公開のチャン・イーモウ監督の作品「HERO」(原題『英雄』)のロケ地になったのだとか。
桟橋をしばらく歩くと森の中に入りました。「箭竹海」の水がこうして崩れた土手を流れていきます。水の音が心地よいです。
土手を流れる水は「箭竹海瀑布」(せんちくかいばくふ)として滝になります。私の写真には数十メートルの幅しか写っていませんが、奥の方にずっと続いているようです。
こちらは「熊猫海」(パンダかい)。その昔、パンダが水を飲んでいたのでこうした名前が付いたとのことです。
湖をのぞいてみると小さな魚が何匹も泳いでいるのが見えます。
調べてみると「嘉陵裸裂尻魚」(かりょうられつこうぎょ)という、チベット高原の河川やその支流、湖に広く生息するうろこがないコイ科の魚だそうです。こんなに広い九寨溝ですが、ここにすむ、ただ一種の魚なんだとか。
「五花海」(ごかかい)に来ました。多彩な色を放つことから「五花海」と付けられ、「九寨溝の魂」とも呼ばれているんだとか。確かに今回見た中では一番きれいに見えたような気がしました。
しかし、恐ろしいくらいに水が澄んでいます。
九寨溝の湖・池を見ていると、湖底に木が倒れているのに気付きます。これ、パンフレットの写真なんかを見ると分かるんですが、何十年とこのままなんですよね。湖底は酸素が少ないのに加えて温度が低いので微生物がおらず、腐らないのだそう。まるで琥珀を思わせる自然の神秘です。
私たちが九寨溝に行くと言うと、周りの人から「今は枯水期じゃない?」なんて言われましたが、ぜーんぜん。確かに水の少ない湖・池はありましたが、どれも青々としていました。あと、雪山が見られるのはこの時期ならではですよね。白い雪に青い水の色がよく映えます。
最後に訪れたのは「諾日朗瀑布」(ノーリランばくふ)。「ノーリラン」というのはチベットの言葉で男神を意味し、滝の勢いからこの名前が名付けられたそうです。夏に比べると水量は少なめのようですが、それでも迫力がありました。
夜には飛行機で成都に向かう予定になっていたため、午後5時半頃に九寨溝を後にしました。空港までは昨日送迎をお願いしたタクシードライバーのおばちゃんに再び送ってもらいました。
途中「弓槓嶺」という展望台のあるスポットに車を止めてくれました。ちょうど夕日の時間帯で*1、山々が夜に包まれていくのがよく見えました。この壮大な自然、日本ではまず見られません。九寨溝は留学時代に一度来たことがあったわけですが、それでも今回再び訪れようと思ったのは、この大陸のスケールのデカさをもう一度味わいたかったからです。
私たちのフライトは午後10時40分に離陸する、この時期としては一番遅い便でした。空港に着いたら誰もおらず、チェックインカウンターはほぼ貸し切り状態。日中の九寨溝は20度を超えるくらいには暖かかったのですが、さすがに夜になると寒さが堪えます。妻が寒そうにしていたら、カウンターの係員が「保安検査場をくぐれば、もう少し暖かいですよ」と教えてくれました。
いざ保安検査場に行くと、私のリュックサックがX線検査で引っかかってしまいました。係員から開けるように指示され、取り出されたのは何と私の携帯用おしり洗浄器。日本を出国する前に買ってきた、パナソニック製の「ハンディ・トワレ」です。
係員が私の「ハンディ・トワレ」を手に持ち「これは何だ」と説明を求めます。私が「うーん」と考えていたら、同じく保安検査を受けている妻が後ろからゲラゲラ笑います。正直に「あの……その……おしりを洗う機械です」と答えると、係員もばつが悪そうに「……おしりを洗う機械ね」と言って返してくれました。
中国でも場所によってはウォッシュレットが普及してきているかもしれませんが、分からない人は分からないですよね。おそらく保安検査のお兄ちゃんも、私がおしりを洗う機械と説明したところでどう使うものか想像も付いていないと思います。さすがに「用を足した後におしりの穴を洗う道具だ」なんてド直球の説明はできませんが、今後のために良い説明を考えておいた方が良いかもしれません(^^;)。
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*1 | ……と言っても、午後7時半過ぎです。九寨溝は中国の西のほうに位置しているので、北京や上海に比べて日の出や日の入りが遅いのです。 |
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