出張で中国内陸部の大都市、重慶に行ってきました。
重慶は歴史的に四川省から独立したり、組み込まれたりを繰り返し、1997年に再び四川省から独立して直轄市となりました。人口3000万人以上を有するメガシティです。
重慶は「山城」と呼ばれるほど、その起伏に富んだ地形が特徴です。長江が流れる脇に山がそびえ、崖に建物が建ち並ぶため、自分が何階にいるのか分からなくなります。そのダンジョンのような町並みが魅力的で、私もいつか来てみたいと思っていました。
こちらのおじちゃんは「棒棒」(バンバン)という職業の人です。坂道の多い重慶で物を運ぶ仕事をしています。
おじちゃんの脇に竹の棒がありますが、これとロープを使って荷物を担ぐわけです。おそらく隣に積まれた大量の牛乳を運ぶんでしょうね。自動車といった交通が発達した現代において需要はあるのだろうかと感じましたが、重慶に来てみると確かに車も通れない階段や細い坂道が多いので、場合によっては「棒棒」の皆さんに頼った方が効率的なのかもしれません。
お昼に中国人の同僚が口を揃えて食べたいというのが「重慶小麺」(“重庆小面”)。確かに「重慶小麺」は北京にも至る所に店舗があるほど有名な重慶名物です。日本だと四川の辛い麺料理というと「担々麺」を挙げる人が多いでしょうが、中国だと間違いなく「重慶小麺」ですよね。
中年の女性が注文を取ってくれ、厨房にいるお兄さんに食券を渡します。ずいぶん若いお兄さんで、部屋着のような格好でテキパキ調理をこなしていました。女性に「ご家族でやっているんですか」と聞くと四川訛りの中国語でぼそぼそと返してくれました。何と言っているのかはよく分かりませんでしたが、おそらく「違います」と言ったのだと思います(笑)。
私がいただいたのは“牛肉招牌小面”(店のオススメ牛肉小麺)。小辛(“微辣”)にしたのですが、それでも見た目はずいぶん辛そう。右端に載っているピンクの食べ物は“重庆泡菜”という漬物です。取り放題だったので少し入れました。
いざいただくと……んん?思ったほど辛くありません。むしろ油っぽいでしょうか。辛みがいい味を出しています。うーん、おいしい。この前、四川旅行に行った際に出会ったタクシードライバーのおっちゃんは「辛さは『味』だから、辛くないと『味がない』のと同じだ」と話していましたが、確かにこれは辛くないとおいしくないかもしれません。
重慶の町並みは細長いビルがニョキニョキ建っていて、とても印象的です。中国人の同僚が「竹林みたい」と話していましたが、言い得て妙だなと感じます。
こちらの建物、入り口にハングルで“한국광복군총사령부 구지”(韓国光復軍総司令部旧址)と書いてあります。第二次世界大戦の間に存在した「大韓民国臨時政府」の軍事組織の総司令部です。
韓国は戦中、日本の統治下にあったわけですが、独立を目指して「大韓民国臨時政府」が作られました。その総司令部がなぜ中国の重慶にあるかというと、当時の臨時政府は中国国民党の支援を受けていたんだそうです。確かに中国国民党は一時期、首都を重慶に移していましたから、そのときに一緒に移ったんですね。
仕事を終えてからの夕食は「重慶に来たならやはり火鍋を食べねば」ということで、火鍋を食べに行きました。“防空洞老火锅”、日本語にすると「防空壕火鍋」といったところでしょうか。この店内を見ると、まあ、何となく防空壕という感じはするかもしれません。重慶はかつて日本軍の爆撃を受けた歴史があり、至る所に防空壕が残っています。日本人として知っておきたい事実ですね。
火鍋は2つのスープが楽しめる“鸳鸯锅”(おしどり鍋)にしました。本当なら「パイタンスープ」*1と「マーラスープ」の2色にしたかったのですが「パイタン」が選べず?トマト味のスープになりました。おかげで鍋のスープはどちらも真っ赤(^^;)。
似た色をしていても辛さは全然違います。からーい!!「マーラースープ」は小辛(“微辣”)にしたのですが、それでも私にとっては辛かったです。
少し夜に時間ができたので、重慶の街をぷらぷらしてみることにしました。
このギラギラした施設は「洪崖洞」、土産物屋やレストランなどが集まった商業施設です。私はあまり感じませんでしたが、中国では宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」の世界みたいだと言われ、有名なのだそうです。
この「洪崖洞」は長江と嘉陵江の合流地点にあり、建物から見ると川がよく見えます。しかしこの人……これ、週末じゃなくて平日ですからね?また私もここを訪れている人間の1人ですが……びっくりする多さです。途中、前に全く進まなくなるくらいでした。
もうひとつ見てみたかったのが重慶モノレールの“李子坝”(「李子壩」)という駅です。この駅はマンションの6、7階部分を貫くようにモノレールが出入りします。そんなに重慶に詳しいわけではありませんが、この駅は印象的で記憶に残っていたのです。
どうしてこうした駅になったのでしょう。重慶にある日本総領事館のホームページによると、この場所が崖であることを考慮し、崖崩れの防止対策と建設コスト回収の一挙両得を目指して、当初からこのように設計されたのだそうです。それが今や「観光名所」として多くの人が訪れるようになったなら「一挙三得」かもしれませんね。
重慶モノレールは中国初のモノレールとして2004年に開業しました。建設に当たって、費用のおよそ半額は円借款でまかなったということです。それが関係してか(いや、関係していないと思いますが)駅構内にある案内表示が日本っぽいなと感じました。例えばこの写真の“较场口方向”の案内とか、何だかJR東日本っぽくないですか。
この“换成3号线”(3号線に乗り換え)の案内も、なんだか日本っぽいです。
重慶、もうちょっと行ってみたいところはあったのですが、仕事で来ているだけに時間がありませんでした。重慶は中国のネット上で“网红城市”(バズる街)なんて言われ、若者の間で人気がある重慶。ぜひ今度はプライベートでゆっくり観光してみたいな、と思いました。
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*1 | 豚骨や鶏がらなどを煮込んで作る白く濁ったスープ。 |
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