何だか、ストーリーそのものより「原爆とのコラージュ写真」のほうが話題になってしまっている映画「バービー」。日本ではつい昨日公開されたばかりですが、実は中国では先月21日から上映しています。どうしても見たかったわけではないですが(笑)アメリカでは人気らしいし、日本でも上映が始まっていろいろ話題になっていたので見に行ってみました。
【ネタバレがあります】
バービー(アメリカ/2023年)
ピンクに彩られた夢のような世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」で、皆が「ケン」と呼ばれています。オシャレ好きなバービーは、ピュアなボーイフレンドのケンと共にハッピーな毎日を過ごしていました。しかしある日、バービーの体に異変が起きます。困った彼女は理由を確かめるべく現実世界へ……しかし一緒についてきてしまったケンは現実世界に刺激を受け、どんどん変わっていってしまいます。
何の予習もせずに見に行ったので、いろいろと面食らってしまいました。
まず何と言っても、強い社会的メッセージ。私は当初この映画は小さな女の子が見に行くような作品かと思い込んでいました。ところがどっこい、実際には「フェミニズム」を前面に打ち出した映画でした。映画の中に登場する「バービーランド」では女性のバービーが主人公で、恋人のケン(男性)は「バービーの付属品」といった存在。この設定自体が「男性優位」な現実世界に対する、強烈な風刺になっているわけです。その後のストーリー展開もあまりにメッセージ性が強いので、小さい子だと理解が難しかったかと思いますし、デートムービーとして見に行ったカップルは変な感じになっちゃうんじゃないかしらん(^^;)。
あとはバービーについても「女の子の人形」でしょ?くらいの前提知識しかなかったので(私が)よく分からなくなってしまう場面もありました。例えば「バービーランド」に普通のバービー、大統領のバービー、弁護士のバービー、とにかくバービーが何人もいるんです。そしてバービーのボーイフレンド、ケンについても、白人のケン、アジア人のケン、黒人のケン……とたくさんいるので「どういうこと?」と混乱してしまいました。これについても、バービー人形自体が「ステレオタイプの女性像だ」とか「民族の多様性を表現していない」などと批判に晒され、さまざまなタイプの人形が生まれてきた背景を知っていれば疑問に思わなかったかもしれません*1。
あと正直意外なのは、この映画が中国で許されるんだなあということ。作品の中では既存の社会構造を変えようとする動きが描かれています。これって中国政府が最も嫌がることだと思うんです。それが普通に中国で上映されるどころか、何なら日本より公開日が早い。客もそこそこ入っていましたし、人気なんですねえ。まあ、社会構造がどうこうより「男女平等」という点において中国は日本より進んでいるように感じますから、そういったところが支持される理由なのかもしれません。
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*1 | 最近は「ダウン症」のバービー人形もあるそうです。 |
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