中国ではまだ国慶節の連休中だけど、職場には数名の上司や先輩が。かく言う私もだけど(^^;)。
日本はいつも通りの平日、北京の祝日ムードをよそに東京の本社からはお構いなく業務の連絡が入る。日本の会社だもの、それはしょうがない。せめておいしいものを食べようと、上司と小籠包の店にランチに行ってきた。
会社からレンタサイクル(初めて乗った)で10分ほどかけて来たのが「阿文湯包」。
長安街沿いの貴友ビルの裏手にあり、周りは北京CBDとして賑わうエリアだ。外装・内装がきれいだったので最近出来た店なのかと思ったら、かなり昔からあるらしい。
一言に小籠包と言っても中国各地に様々な種類があるが、こちらの店舗は上海や台湾のものに近い、日本人にも馴染み深いタイプだ。
「阿文湯包」という店名の通り、こういうタイプの小籠包は「湯包」(タンパオ)とも呼ばれ、皮に包まれた餡の中にたっぷりスープが仕込んであるのが特徴。口に入れるとじゅわ~と出てくる熱々の肉汁がジューシーでたまらない。
ナスを揚げて甘く味付けした料理。大学芋に似た味で、上司のオススメだった。
ちなみに料理名は”那年秋天的茄子 “(あの年の秋のナス)。ずいぶん洒落た名前だなあと思ったら、この店のオリジナルではなく「あの年の秋のナス」という名前で広く食べられている料理のようだ。由来はよく分からないが、中国の農村部では”立夏栽茄子,立秋吃茄子 “(立夏にナスを植え、立秋にナスを食べる)という言い方があるそうで、そこに端を発するのかもしれない。
こちらは”手撕椒麻鸡 “。ほぐし鶏をたくさんの花椒と藤椒で和えた料理だ。藤椒のさっぱりした香りと強烈な痺れが病みつきになりそう。お酒があれば進むだろうなあ。
こちらは私のリクエストで注文した”葱油拌面 “、焦がしネギ油のまぜそばだ。上海が発祥の料理で、「上海っ子のソウルフード」と呼ばれるほど現地では親しまれている。私も一時期ハマって自分で手作りできないかとチャレンジしてみたが、店で食べるような味にはならず断念したのを覚えている。
ああ、おいしかった。満足満足。
ちなみに日本では店を出るときに「ごちそうさま」と言うが、よくよく思えばいい言葉だ。この「ごちそうさま」には「とてもおいしかったです、みなさんのおもてなしに満足しました、作ってくれてありがとう」と、いろんな意味が込められているのだから。
中国語にはこういうときに使える言葉がない。”谢谢 “(ありがとう)だと、店員と被ってしまうだろう。かといって”你们店里的菜都好吃! “(こちらの店の料理はどれもおいしかった)は大げさだし、ちょっと上から目線。もっとさりげなく言いたいが、ぴったりな表現が思い浮かばない。
じゃあ、地元の人たちは何と言って出て行くのだろうと観察していると、意外とみんな黙って出て行く人が多い。うーん、郷に入っては郷に従えかもしれないけど、何か伝えて出て行きたいんだよねえ。自分が料理に満足しているなら尚更。
何かいい表現はないかなあ。