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The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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ミーハー

先日、映画館で2回目の「THE FIRST SLAM DUNK」を鑑賞したのをきっかけに、テレビアニメ版の「スラムダンク」もきちんと見てみたいなあと思い、Amazonプライムで見始めました。1話が20分ちょっとなので見やすいです。それこそ私の場合は地下鉄で出勤しているので、家と会社の行き帰りの時間を使えばスマートフォンで見られてしまいます。いや~便利な時代だわあ。

私はギリギリ「スラムダンク」リアルタイム世代です。漫画よりは、アニメのほうかもしれませんね。そんなこともあって弟は漫画を全巻読んだと言いますし、なんなら私の母も好きでした。

私はなぜハマらなかったのかなあと考えてみたのですが……うーん、1つはスポーツそのものに興味のない子だったからでしょうか。あとは「スラムダンク」って暴力的なシーンが多いんですよね(^^;)。それが幼いながらに苦手だったんだと思います。

そこで買っちゃいました。「THE FIRST SLAM DUNK」の公開記念で出版されたもので、原作漫画の全276話から今回の映画作品のベースとなる24話を収録しているそうです。中国で売っているのでもちろん中国語ですが、見た目といいサイズといい、少年ジャンプにそっくりです。

https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-102416-2

『SLAM DUNK』ジャンプ/井上 雄彦 | 集英社 ― SHUEISHA ―
新作劇場版アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』公開記念!一冊まるごと『SLAM DUNK』のジャンプが大登場!!・新規読者に向け、原作漫画全276話より物語のベースとなる24話を厳選収録。 この一冊で、湘北高校バスケ部の結成と奇跡の進化が分かる!!・巻頭特別企画では、これまでに公開された映画のポスター&ティザービジュアルをカラー掲載!・映画を観る前にもう一度原作に触れたいと思っているファンにもオススメ!!

実はこれ、集英社が日本で去年11月に出版されたものをまるまる中国語に訳したもののようです。当時日本では「一冊まるごと『SLAM DUNK』のジャンプが大登場!」という触れ込みだったので、少年ジャンプのフォーマットで出版されたんですね。現に日本語版ではタイトルが「ジャンプ」になっています。中国語版では“灌篮高手*1ですけど。

これ、安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ?」ですよね。ここでは中国語で“如果放弃的话,那就到此为止了哟?”(もしあきらめたら、そこで終わりですヨ?)と訳されています。ちなみに映画作品での中国語字幕は“一旦放弃,比赛就等于结束了”(一度あきらめたら試合は終わりも同然ですよ)と訳されていたように記憶しています。

私の認識だと、中国ではテレビアニメ版の「スラムダンク」は放映されたものの、漫画は出版されていないんじゃなかったかと思います。なのでこの厳選集はおそらく新規に翻訳されたんじゃないでしょうか。日本で出たものが中国語に訳されてそのまま出版されるとは、それだけでも中国での「スラムダンク」人気を物語っているんじゃないかと思います。あと……映画を2度見たくらいで購入しちゃう私のミーハーっぷりも……ですね。

References
*1「スラムダンク」の中国語タイトル。

常青树

ふと、中国人の同僚から“常青树”(「常青樹」)は日本語で何と言うのですか、と聞かれました。そのまま訳せば「常緑樹」です。一年中葉っぱを茂らせている樹木のことですね。

けれど、その意味ではないと言うのです。例えば、とある芸能人が一過性ではなく何年も何年も人気であり続けるような場合、その人を指すとのこと。例として挙げてくれたのがSMAPのキムタクこと木村拓哉さんでした。なるほど、確かにキムタクは若い頃のデビューに始まり、今でもドラマに出演するなど根強い人気です。それを言ったら中居くんだってバラエティー番組で今も活躍しています。すると同僚は「中居くんも、そういう意味では“常青树”です」と言います。

なるほど、何年経っても活躍している芸能人のことを、葉の落ちない常緑樹に見立てて“常青树”と言うわけですね。芸能人だけでなく政治家など幅広い分野で使えるそうです。

日本語ではうーん、「息が長い」でしょうか。そう言われると、長く活躍する人を取り立てて表現する日本語はないかもしれません。一方、短命な芸能人のことは「一発屋」。日本語と中国語でそれぞれ正反対の立場を指す言葉ならあるというのは興味深いですね。

「スラムダンク」再び

先日、バスケットボール漫画「スラムダンク」のアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」の先行上映イベントを見に行ってきたところですが、妻が見たいと話していたこともあり、さっそく2回目の鑑賞に行ってきました。1回目は中国語吹き替え版でしたが、今回は日本語オリジナル版です。

やはり母語で見るのは全く違いますね。私の中国語力では、例えばバスケ用語とか全然分からないんですもの*1。いや、日本語でだってバスケ用語なんてろくに理解していないですが、それでも変に意識せずストーリーがスッと入ってくるのは母語ならでは、と思います。

加えて一度鑑賞しているからか、よりストーリーを深く理解できたような気がします。いや、前も書いたように「スラムダンク」の全盛期に全く作品を読んでいない私がこんなことを言うのもおこがましいですけど。正直な話、途中涙しちゃったくらいです。

よく映画が公開されると2回目、3回目と足繁く通う方がいますよね。ああいう方を見ると「そのうち配信されるんだから待てば良いのに」とよく思ったものでした。しかし、そうではありませんね。この映画は映画館で見てこそ意味があるように思いました。ボールをドリブルする「ポンッポンッ」という音、シューズが体育館の床を擦れる「キュッキュッ」という音、そして見る人の緊張感を高めてくれるBGM。映画館が全てを引き立ててくれます。私は自宅に比較的大きめなテレビを置いて映像を楽しむほうの人間ですが、いや、それでも映画館の大迫力には勝てません。

映画のオフィシャルサイトにはスタッフへのインタビューを収録した「COURT SIDE」というコンテンツがあって、これも読み応えがありました。映画を作ろうという話はずいぶん前から立ち上がっていたんですね。特にコロナ禍の数年は作者の井上雄彦さんとスタッフの皆さんがzoomで打ち合わせをしたり、オンライン飲みをしたりしていたという話。そうした大変な時期を乗り越えて公開にこぎ着けたんだなあと思うと、感慨深いものがあります。

References
*1だって「ドリブル」さえも中国語で何と言うのか知りませんでした。“运球”と言うそうです。

私の隣のおばさんは……

今日、青島から高速鉄道で北京に戻る際、途中、隣の席にご婦人が乗ってきました。言葉は訛りのないきれいな中国語を話しているのですが、服装は大変失礼ながら都会っぽくないと言うか、地方の方かなあ?と思わせる身なりでした。

ご婦人は乗車するや否や、カバンからカップラーメンを取り出し、どこかへと向かいました。ちょうど昼時だったので、昼食に食べるのでしょう。中国の高速鉄道には給湯器が設置されているので、お湯を入れに行ったのだと思います。しばらくすると、果たしてお湯の入ったカップラーメンを大事そうに抱えて戻って来ました。

3分が経ち、カップラーメンのフタをめくると美味しそうなにおいが車内に広がりました。中国のカップラーメンにはフォークが付属していることが多く、ご婦人は小さなフォークを器用に使いながらズルズルと美味しそうに食べています。日本の新幹線を思い出すと、車内でカップラーメンを食べる勇気はちょっとないですねえ。においが充満して、人の目が気になっちゃいます。中国の鉄道でカップラーメンを食べる人は珍しくありません。隣でズルズルと食べられると気にはなりますが、そこは“入乡随俗*1です。

するとご婦人、今度はスマートフォンで“抖音”を見始めました。“抖音”とは「中国版TikTok」とも呼ばれる、ショート動画が楽しめるスマホアプリです。イヤホンを付けていないので音はダダ漏れ。さすがに音量は多少抑えているものの、隣に座っている私は正直気になってしまいます。

そして北京に到着する間際、今度は自席で通話をし始めました。それもスピーカーホンにしているので、どんな会話をしているのかが全て丸聞こえです。

「私が送ってあげたプレゼント、喜んでくれた?」

電話の向こうでは娘と思わしき人物が「電波が悪いのか、聞こえないよ」と何度も言います。しかし私の隣のご婦人は構わず話し続けます。ここまで来ると私もちょっと「うるさいなあ」と思ってしまいます。

いざ北京に到着して下車すると、中国人の同僚が私に「隣の人、うるさかったですね。電話だって相手が『聞こえない』って言っているんだから早く切れば良いのに」とプンプン怒っていました。わはは、中国の方でも怒るくらいのやかましさだったんですね。私も中国に住み始めて半年が経ち、こちらの習慣にだいぶ感化されていたようです(^^;)。

References
*1郷に入っては郷に従え。

青島出張

今日から1泊2日で山東省は青島に出張。言わずと知れた“啤酒之都”(ビールの都)です。

北京から高速鉄道で向かったのですが、到着間際に海が見えました。厳密に言えば湾で、膠州湾(こうしゅう・わん)と言うそうです。流入する土の影響か水の色は濁っているようでしたが、久しぶりに海を見るとワクワクした気持ちになります。やはり日本人だからかしらん(^^)。

さすが青島、街中の至る所に「青島ビール」の店舗がありました。

店の入り口に掲げられた“鲜啤”というのは、文字通り「新鮮なビール」(=生ビール)という意味です。道路に面してビールサーバーが設置されていました。テイクアウトできるようになっているんですね。私は見かけませんでしたが、青島ではビニール袋に入れてビールを持ち帰るようです。これができるのも新鮮なビールをすぐに飲める環境ならでは、です。

昼食をいただいてから、午後は仕事。ご一緒した青島の方々は中国語の訛りが強く、年齢が高い方はいざ知らず、若い方でも結構な訛りがあったので聞き取りに少々苦労しました。北京から同行した中国人の同僚に聞いても「聞き取りづらい」と話していたので、外国人の私はなおさらです。

ひと仕事を終え、夕食は青島ビールをいただける飲食店に行きました。

店名は“土豪餐厅”。日本語にすると「成金レストラン」というところでしょうか。一緒にいた中国人の同僚が「みんな“一夜暴富*1を夢みているんですよ」と笑いながら話していました。店名とは裏腹に中身は何てことない、青島ビールと共に海鮮料理などが食べられる普通のレストランです。

さすが海沿いの街だけあって、海鮮が豊富です。

実は青島に到着後、タクシーに乗った際に地元出身だという運転手さんから夕食に何を食べるべきか尋ねたところ「青島に来たら“鲅鱼”を食べるべきだ」と教えてもらっていたのです。“鲅鱼”って何だろうと思っていたのですが、いざ見てみると日本でもよく食べられるサワラでした。

日本語でサワラは漢字で「鰆」と書くように、春が旬の魚です。特に私の地元の岡山では「瀬戸内に春を告げる魚」と言われ、刺身をはじめ、塩焼き、たたきなど様々な方法で食べられます。思わず青島と地元が繋がったような気がして、うれしくなってしまいました。青島でも今が旬だとされているそうで、是非ともいただくことにしました。

入店したら、まずこうして食材があるエリアに行き、店員さんにアレとコレと……と注文します。その際に調理方法も「蒸して」とか「揚げて」などとお願いすると、そのように調理してくれます。牡蠣やイカといった日本でも定番の海鮮から、どう見てもイモムシではないか?と思うものやザリガニなどもあって、いろんな食材が楽しめるのは中国ならではです。

まずは“酥皮蒜香虾”と“香椿炒鸡蛋”。

酥皮蒜香虾”はエビを揚げた料理で、衣がほくほく、身もしっかり詰まっていて、とても食べ応えがありました。“香椿炒鸡蛋”はチャンチンの卵炒め。チャンチンなんて知りませんでしたが、センダン科の落葉高木で、香りが良いので炒め物なんかに合うそうです。

サワラは1匹まるまる揚げられて出てきました。この身の切り方、日本ではあまり見ないというか、中国っぽいですよね。でも味はサワラでした。中国に来てから日本料理店以外で海鮮をいただくことがあまりなかったので、とても美味しくいただきました。

写真を撮るのを忘れたのですが、食事のお供にいただいたのはもちろん青島ビール。小さめのピッチャーに新鮮なビールを注いでくれ、同僚と一緒に飲みました。新鮮なビールに新鮮な海鮮、これぞ青島の醍醐味ですね。

References
*1一夜にして金持ちになること。

電話か、メールか

仕事関係で誰かに連絡しようとしたとき、電話とメール、両方の手段が可能な場合はどちらを取りますか。私の場合、電話にしちゃいます。そちらのほうが手っ取り早いですし、メールのように文章だと説明しにくいこともあるんですよね。

それが人によっては交換した名刺に電話番号をかかず、メールアドレスのみという場合もあります。まあ、確かに電話って「受ける側」のタイミングや事情を考慮していませんから、迷惑だと考える人もいるのかもしれません。メールのほうがいつでもどこでも確認できますし。

数日前、とある会社に連絡をする機会がありました。連絡先は別の会社から教わったのですが、電話番号の記載がなかったのでメールを書いたんです。それが数日経っても返事がない。1日経ち、2日経ち、さすがに3日経ったところで私の仕事にも影響が出てくるので再度メールを書きました。その上で、連絡先を教えてくれたほうの会社にも「返事がないようなのですが」と伝えました。

すると先に返事が返ってきたのは「連絡先を教えてくれたほうの会社」の担当者。曰く、私が連絡した相手は海外出張中なのだそうです。数日後に帰国するから、それまで待ってほしいとのこと。うーん、ちょっとモヤモヤしてしまいました。海外出張なのは分かりますけど、それを他の会社の人に説明させるって、それでいいんですか。それに今日日、海外出張中だからメールの確認はできませんっていうのもねえ。ケータイの電波も入らないような南極やアマゾンの奥地に行っているなら分かりますけど。いや、休暇をもらって海外旅行に行っているとかならむしろいいですけどね、仕事をしているなら私の問い合わせにも応答してほしいと思っちゃうわけです。

だからメールは好きじゃないんだよなあ、と改めて感じてしまいました。ま、私は私で自分の仕事を理由に仕事中の相手に「応答しろ」って言っているわけですから自分勝手ですよね。すみません。でも海外出張中だったとしても私はメールの返事くらい当日中にします(しつこいって)。

旅に出ないとわからないことがあります

日本はゴールデンウィークが控えていますが、中国でも連休が待っています。“劳动节”(労働節)、メーデーですね。5月1日の前後が休日になり、5連休になります(その代わりに「振替出勤日」なる悪名高い制度があり、今週末と再来週末に働かなければならないのですが今は申しますまい)。

せっかくの連休ですから旅行でもしたいところです。実際、上海に行こうかと考えていたのですが、いざ高速鉄道を検索するとチケットはことごとく売り切れ。さすがコロナ禍の明けた後の連休です。残っていても深夜の出発だったり24時間以上かかる旅程だったりと、選択肢に入らないようなものばかり。まあ、私がのんびりしていたのが原因ですね。

航空券を検索すると、まだチケットに余裕があるようです。けれど片道2000元台(約4万円)という、びっくりしちゃう値段。交通費だけで、それも片道でこの値段ですよ。上海に行けばおいしいものを食べ、宿に泊まり、上海ディズニーランドなんかも行きたいところですが、それは含まれていないのです。うーん、これでは10万円超えは確実です。連休だから、というのは分かります。にしても北京から上海に行くだけでこの出費は、うーん、割に合いません。

いっそのこと旅行はやめておこうかとも考えました。しかし私、実は今回の中国赴任にあたって「中国各地をめぐること」を目標に掲げているんですよね。私、学生時代の中国留学であまり旅行をしなかったんです。理由は金をケチッたからなんですけど、当時を思い出すたびになぜもっと旅行しなかったのだろうと悔やまれるのです。学生は金はないけど時間はあると言います。社会人は金があっても時間がないんですよね。

と、ここまで書いて思うわけです。あれ?ならば社会人になった今、なにをためらっているのかと。金を払って留学していた当時と違い、今は給料をいただきながら中国で暮らしているわけです。今行かないで、いつ行くの!今でしょ!考えを改めました。

近畿日本ツーリストのポスター“旅に出ないとわからないことがあります”(2021年6月8日撮影)

そこで、ポチッ。上海はその気になれば土日を使っていけるので、目的地は別の場所に。とりあえず行きの飛行機の予約を済ませました。あとは宿も予約しなきゃ。そう、時間はないけど金はある社会人、ここで惜しんではいけないのです。そもそも極端な「貧乏旅行」ができるトシでもないし(笑)これも必要出費だと思い、気持ちを入れ替えて楽しみたいと思います。

牛肉涼拌麺、始めました

いつもランチに行っている会社近くの蘭州牛肉麺の店に行くと、見慣れない麺を食べている客を見かけました。汁の入っていない麺で、牛肉のほかに千切りにしたキュウリやトマトがのっかっていて、その見た目はさしずめ「中国版冷やし中華」*1といったところです。おいしそう~。

メニューを探してみると“牛肉凉拌面”(牛肉涼拌麺)なるものを発見。日本語に直訳すると「冷やし牛肉まぜそば」といったところでしょうか。これではないかと目星を付けて注文してみました。

果たしてそうでした。「牛肉涼拌麺」の「拌」という漢字には「攪拌」という言葉に使われるように、かき混ぜるという意味があります。なのでし~っかりかき混ぜていただきました。いやあ、想像通りの味でした。ゴマダレがまた濃厚な味でおいしいです。麺にコシがあってほっぺたが疲れてくるくらいですが、噛みごたえがあります。

「牛肉涼拌麺、始めました」という案内があったわけではないですが、これは前々からあったメニューなんでしょうか。それとも気温が上がってきたので始めたのかな。これは季節関係なく食べたくなる味で、リピート確実です。夏が終わっても続いてほしいなあ。

References
*1「中国版」の冷やし「中華」という言い方も我ながらよく分からない表現ですが。

自転車通勤

私は毎朝、地下鉄で通勤しています。ドア・ツー・ドアでちょうど30分くらいでしょうか。地下鉄に乗っている時間自体は10分くらいなのですが、それ以外の時間が長いのです。おそらく駅に着いてからホームにたどり着くまでが長いのかなあ。

北京の地下鉄は、まず駅の構内に入るのに保安検査をします。荷物をX線検査機に通し、ゲート式の金属探知機をくぐります。1人1人検査をするので、並ぶこともあります。検査が終わると地下に向けて階段を降りるのですが、これが長い。ずいぶん深いのです。中国人の同僚からは「北京の地下鉄は防空壕を兼ねているから深いのだ」と聞いたことがありますが、そうなのでしょうか。

そしていざ会社の最寄り駅に着いてからも地上に行くまでが長いのです。朝のラッシュ時はエスカレーターに乗るにも30メートル近い列ができているので、私は諦めて階段を使うようにしています。ただ中国の地下鉄の階段って一段一段が高いんですよね。地上に着く頃には息が上がっちゃいます。

運動になるっちゃあ運動になるんですけど、それなら……と思い、今日は自転車で通勤してみました。使ったのはシェアサイクル、日本にもある「ドコモ・バイクシェア」みたいなサービスです。先週の北京は黄砂がすごくてとても屋外にいられませんでしたが、今日はとても気持ちが良い天気で、いや、とても良かったです。時間も地下鉄通勤とほぼ同じ30分で、同じ「運動」なら外の景色を楽しみながら自転車をこいでいるほうがよっぽど良いかもしれません。

ただ、出勤ラッシュの北京は少々危険です。車の量が多くて、こちらが気を付けていないと突っ込んできます。あとは電動バイク。かつての中国は「自転車大国」と呼ばれたかもしれませんが、今の中国は「電動バイク大国」です。優雅に自転車をこいでいると、後ろから音も立てずに*1電動バイクが猛スピードで追い越していきます。「オレの前を走るおまえが悪い」と言わんばかりに突っ込んでくるので、これも気をつけていないと危ないですね。

References
*1ガソリンバイクと違って、電動バイクはエンジン音がしないのです。

北平三兄弟

今日の夕食は北京名物、“涮羊肉”(羊肉しゃぶしゃぶ)をいただきました。

訪れたのは家の近所にあるグルメストリート「簋街」。通り沿いにたくさんの飲食店が並ぶ場所で、中には24時間営業なんて店もあって夜遅くまで賑わっています。今日向かったのは「北平三兄弟」という店です。「北平」というのは中華民国の時代に使われた北京の古い名称です。

この店、前を通ると毎晩すごい人数の客が待っているんですよね。インターネットの口コミを見ても高評価なので、いつか行きたいと思っていました。調べると、インターネット上で順番待ちの整理券を入手できるとのこと。店に着く頃に自分の番になるよう、事前に発券して向かいました。その甲斐あって現場で待ったのは数分程度、すぐに案内してもらえました。

昔ながらの石炭(コークス)で鍋を炊きます。席に着いた時点でグツグツ煮えたぎっていて、煙突からたまに灰がふわふわと出てきます。まさに本物の“涮羊肉”です。

ゴマダレが届くと「福」と「寿」の縁起の良い文字が作ってくれました。他にも「財」や「喜」といった漢字もあるそうです。

羊肉を持って来ると、このように皿を斜めに立てかけます。肉がずり落ちるのではないかと思ったのですが、落ちないんですね。“立盘不倒”と言って、こうして肉の血抜きをしっかりしていることを証明しているんです。肉の中に水分が含まれているとずり落ちますから。

あと羊肉の串焼きも注文したのですが、とっても肉が大きくて食べ応えがありました。北京に来てから、こんなに立派な羊肉の串焼きを食べたのは初めてじゃないかしらん。

こんな薬味を持ってきてくれ、自分のいる分だけ取ることができます。私は定番ですが、パクチー、ねぎ、黒酢を大量に取って、ゴマダレに入れました。

こういう鍋はついつい食材を注文しすぎてしまいます。今日も調子に乗って食べきれないほど注文してしまいました。でも、それが鍋の醍醐味。1人じゃ外で鍋は食べられませんから……と思ったら、店内には1人で鍋をつつく客がちらほらいました。おそらくここはどちらかというと家族連れや友人同士など大勢でワイワイ食べる店かなあと思うのですが、スマートフォンの動画を見ながら1人で黙々食事をしているのです。

かつて中国では1人で外食するというのは珍しいというか、そういった習慣がありませんでした。だって中華料理の定番と言えばターンテーブルですけど、あれを1人ではいただけません。それがハンバーガーショップや牛丼店といったファストフードチェーンが流入した結果、1人で食事をする文化が生まれ、今やこうした店でも「おひとり様」で食事をする人が出て来たんですね。文化や習慣は変わっていくんだなあというのを目の当たりにした気分でした。

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