The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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迫る隔離、地獄の軍団

スマートフォンで「百度地図」*1を開くと、北京市内のあちこちに赤い文字が表示されている。

書いてあるのは“高风险”(高リスク)や“中风险”(中リスク)の文字。おそらく感染者や濃厚接触者が発生した場所だろう。中国にはこうした感染状況が悪い地域の分類が「高」「中」「低」とある。至る所に赤い文字で書かれていて、自分と近いところに表示されると「ドキッ」としていまう。

今日の中国政府の発表によると今後は「高」と「低」の2種類になるらしい。そして海外からの入国者も今まで7日間の集中隔離+3日間の自宅隔離を行っていたところを、5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離にするとのこと。たった2日間の短縮かあ。

私の家はショッピングモールに直結しているのだが、今日からモールが臨時休業すると連絡が来た。

感染者が発生したわけではなく「お客様と従業員の安全を保障するため、感染防止作業を行います」と書いてある。消毒かなにかするのだろうか。身の回りにじわじわと広がってきている感じがする……「感染」というより「隔離リスク」が(^^;)。

References
*1さしずめGoogleマップの中国版といったところか。

北京隔離生活10日目

中国北京での隔離生活10日目。

明日の午前8時にはここを出る(つもり)なので、今日が実質隔離の最終日だ。

朝から隣の部屋の男性が親族と思わしき人と電話をしている声がいつにも増して大きい。おそらくWeChatでビデオ通話をしているのだろう、相手の声まで聞こえてくる始末だ。何を言っているかまでは聞き取れないが、明日の何時に迎えに来てくれみたいな話をしているのだろうか。

今日の昼食、スペアリブとじゃがいもの煮込み。

午後2時半頃にPCR検査のスタッフがやってきた*1。スタッフは2人いて、それぞれ順番に私の口の中に綿棒を入れてきた。おそらく検体は2つ採取するということなのだろう。

終わって扉を閉めようとしたら「扉は開けておいて」と言う。何だろうと思ったらずかずかと部屋に入ってきて、壁の照明スイッチやデスクの上にある私のマウスなど、私が触れたであろうあらゆる箇所を綿棒でスリスリと擦って検体を採取し始めた。あらかじめ説明してくれればいいものを、あれだけ私を外の世界と遮断しておきながら、突然スタッフが部屋の中に入ってきたので驚いてしまった。

今日の夕食、隔離施設で食べる最後の弁当だ。特別かと期待したけれど普通だった(^^;)。

午後7時前になって、部屋の内線電話が鳴る。

出ると突然「あなたの健康状態に異常がなければ明日の朝に医者があなたの部屋に向かう。するとあなたは午前9時に部屋を出ることが出来る。午後0時にはあなたの部屋に消毒が入る」と舌足らずな日本語の自動音声が流れた。

一瞬あっけにとられ(笑)言われたことを頭で反芻していると、女性が中国語で「聞き取れた?」と聞いてきた。ああ、この声の主は隔離の初日に私がいろいろと日本人との仲介役になって助けてあげた女性だ。今回のメッセージを日本人に伝えるにあたり、おそらくオンラインの機械翻訳で中国語を日本語に訳し、スマートフォンなどで読み上げさせたものを受話器越しに聞かせたのだろう。言葉の通じない日本人にどう伝えれば良いか、彼女なりに考えたんだなあ。

医者さえ来れば隔離施設を出られるそうので、晴れて明日には自由の身になれそうだ。

ちなみに現在、北京市内で自由に行動しようとした場合「北京健康宝」というアプリをスマートフォンに入れておく必要がある。ビッグデータに残る本人の移動記録に基づき、赤・黄・緑の表示が出るようになっている。赤なら集中隔離の対象者、黄なら自宅隔離の対象者、緑なら異常なしといった具合で、緑にならないと自由な行動は許されない。

私の「北京健康宝」は今日の午後6時頃まで黄色で”居家观察“(在宅観察)と表示されていたが、午後8時過ぎには緑色の”未见异常“(異常なし)に切り替わっていた。本来なら今日が隔離満了日なので朝から何度も確認しては「なぜ緑にならないんだろう」と気になっていたので安心した。

今や北京ではオフィスビル、レストラン、観光地に入るにもこの「北京健康宝」の提示が必要な場所が多く、みんな毎朝出かける前に「緑、よーし」と確かめるのが新たな習慣になっているらしい。これが例えば前日に訪れた場所で感染者が出たような場合、突然「北京健康宝」にポップアップ*2が表示され、ただちに隔離をしてPCR検査などを受けなさいということになるそう。

まだ慣れないけれど、この「北京健康宝」とは長いつきあいになりそうだ。

References
*1このPCR検査だって当初は午後4時だって聞いていたんだけど(笑)。
*2中国語では”弹窗“と言う。

北京隔離生活9日目

中国北京での隔離生活9日目。

今日の昼食は鶏肉と椎茸、じゃがいもを煮込んだ料理だった。

さて、明日は隔離の満了日……とは言え、出られなさそうなのは前に書いたところ。会社から念のため再度確認するように言われ、例によって室内にある内線電話で問い合わせをしてみる。

回答は案の定、明日は出られないというものだった。午後4時頃に行うPCR検査の結果が深夜にならないと出ないため、という理由だった。しかし私より先に中国に向かった会社の先輩を始め、他の隔離施設の人たちは10日目の夕方には解放されているのだ。そもそも普通に考えて解放日の午後4時にPCR検査を行うのもよく分からない。だったら朝イチにやって、午後4時に解放するのが筋だろう。

こういうシチュエーションに出くわすと「ああ、中国だなあ」と感じる。あっちでAだと言っていたことが、こっちに来ると途端にBになるのだ。

ではいつ出られるのか?と聞いたら午前10時頃だと言うので「深夜にPCR検査の結果は出ているのだから、午前8時でも変わらないでしょ?」と言うと「では午前8時に電話をください。確約はできないけれど」という、またはっきりしない回答だった。

今日の夕食。

とりあえず会社には事情を説明して、30日の午前8時に迎えに来てもらうことになった。

30日は朝から様々な手続きで大忙し、分単位でスケジュールが組まれていた。夜は会社近くのホテルに泊まることになり、予約メールも送られてきて、いよいよ隔離が明けるんだと実感。何度も言うけど、明けたらまずは冷たいビールが飲みたいなあ。

北京隔離生活8日目

中国北京での隔離生活8日目。

今日の昼食。バナナ付き。

今日の夕食。毎日隔離でそろそろ書くことも無くなってきてしまった。

ふと隣の部屋からびっくりするぐらいの大声で電話をしている声が聞こえてきた。しかし、もっとびっくりしたのが「これ、私の声も隣に同じくらいの音量で聞こえていたってこと?」という事実。ずいぶん遮音性の高い部屋なんだなあと思ったら、みんな静かに過ごしていただけらしい。私はテレビの音量も結構大きめにしちゃっていたよ。うるさいと思われたであろうお隣さん、ごめんなさい。

北京隔離生活7日目

中国北京での隔離生活7日目。今日からもう朝食をアップするのはやめた(笑)。

昼食はこんな感じ。左上のおかずは味付けこそ多少中華風だったけど、ハンバーグのようだった。

そして右上のは”土豆丝“ですな。日本語的に言えば、ジャガイモの細切り炒めというところか。日本でもよく作ったが、私は酢を多めに作るのが好き。お酒が進むのよー、今はお酒無いけどね。

隔離生活も今日で1週間。施設スタッフに電話を掛け、いつ出られるのか確認してみた。

求められている隔離は10日間。私は9月19日に入国したので、普通に考えると29日が満了日になる。しかし私は19日の夕方に隔離施設に到着したので、その日はカウントされず、30日が満了日となるらしい。もし誰かに迎えに来てもらうなら30日午前と伝えておきなさい、とのことだった。

あと4日間かあ、長いなあ。けれど最悪の事態は免れそうだ。というのが中国は10月1日から国慶節という、建国記念日の大型連休に入ってしまうのだ。現地の携帯電話を契約したり銀行口座を開設したり諸々の手続きをしておこうと思ったら、店が開いている9月30日中に済ませなければならない。30日午前に解放されるのであれば何とか主要な手続きだけでも済ませられそうだ。

夕食はクリスマスかっ!というくらい大きなチキンだった。

隔離施設を出たら一番に何をしたいかなあ。まず冷たいビールを飲みたいかな。あとはおいしいコーヒーも飲みたいなあ。自宅ではお茶のようにコーヒーをがぶがぶ飲む人間なので、持ってきていたドリップパックコーヒーは飲みきってしまった。

北京隔離生活6日目

中国北京での隔離生活6日目。

今日の朝食。今までのブログを見られていたのか、ついに”油条“が出てきた(笑)。最近の朝食はゆで卵だけいただくような感じになっていたが、あれだけ自分で”油条“と言っていたのだから……と今日は全部いただいた。ちなみに”油条“のわきにあるのはもち米シューマイ。

そうこうしていたら、あっという間に昼食が出てくる。気付いたら、毎日弁当の写真しかアップしていないじゃないか(笑)。中国駐在のバタバタな日常をつづるはずが、まさかこうして食事情をアップし続けることになるとは。いやー、だって部屋から1歩も出られないし、ましてや今日は日曜日でとても静かだからねえ。

隔離生活も6日目になり、窓から見える景色にも見慣れてきた。当初こそ施設スタッフとのやり取りがあったが、ここ数日はとても静かだ。隔離生活を快適に過ごせるようインターネット環境だけは気合いを入れて準備してきたので、部屋でNetflixやTVerも視聴できるし、日本にいる妻ともLINEで通話が出来る。それだけにふとした瞬間「あれ、ここは日本だったっけ」と思ってしまう。

私のスマートフォンにはまだ日本の天気予報アプリが入っているので、台風15号が関東に最接近した昨日はひっきりなしに「豪雨予報」なんて通知を送ってきた。え、雨?と外を見るとピーカンと晴れているので「ああ、そうか、ここは北京だった」と気付く始末。

夕食は鶏肉と大根、にんじんを煮込んだ料理。カレーっぽい味付けだったけど、クミンかな。

明日で中国に入国して1週間。

長いようで短いようで……いや、やっぱり長いかな。日本が外国人観光客の受け入れ再開に舵を切ったこともあって日本に行きたいと思っている中国人は多いだろうけれど、帰国時にもれなく隔離を求められるんじゃ、いくら日本が規制を緩和したって普通の人は行きにくいよねえ。とは言え、この国が隔離を無くす選択肢を採るのは「ゼロコロナ政策」を放棄するときだろうから、そう簡単には無くならないだろうけれど。せめてもうちょっと期間が短くならないものかな、というのは思う。

北京隔離生活5日目

中国北京での隔離生活5日目。

今日の朝食。

袋から取り出すときにパンが一瞬”油条“に見えて「おお、昨日の愚痴が伝わったか!?」と思ったけど”油条“ではなかった。申し訳ないけれど、今日の朝食もほとんど口を付けなかった。

今入っている隔離施設は宿泊代が1日400元と、朝昼晩の食事代が1日100元。今は円安で1人民元が約20円というビックリする値段なので、日本円に直すと宿泊代が1日約8000円、食事代が1日約2000円だ。昼食と夕食のクオリティーにはおおむね満足しているけれど、じゃあ100元の価値があるかというとちょっとねえ。朝食はいらないので、その分、昼食と夕食のクオリティーをもう少し高めてもらうとか……できないか(^^;)。

昼食は豚肉と海藻や干豆腐を煮込んだ料理だった。うーむ、私はこの”卤味*1がまたちょっと苦手で……って今日は食事の文句ばっかりだね。すみません、黙って食べます。

ちなみに私の部屋の入り口にある注意書きが独特だ。

左の”拒绝尼古丁“(ニコチンお断り)は初めて見た。英語は”No Smoking”になっているが、中国語も”禁止吸烟“(禁煙)ではだめだったんだろうか。そして真ん中の”保持安静“(お静かに)は分かるが、右の”请勿蹦跳“(飛び跳ねないでください)というのもユニークだ。それだけ飛び跳ねるような人がいたということなのか、想像力がかきたてられる。

ちなみに「ニコチンお断り」の割には、部屋でタバコの吸い殻を2つ見つけた(笑)。

1つは洗面所の隅、もう1つはバルコニー。バルコニーはおそらく逃走防止のためだろう、部屋から行けないようになっている。というのがバルコニーに通じる扉にストッパーが付いていて、20cmほどしか開かないようになっているのだ。おそらくこの施設が隔離用に使われるようになってからずっと同じ仕様だろうから、もしかするとバルコニーの吸い殻は建設当初から存在したのではないか。すると……建設作業員のタバコ?

夕食は中国版肉じゃがといった感じの料理だった。

今日は土曜日だけあって会社とのやり取りも特になく、静かな1日だった。10日間の隔離もようやく折り返し地点に立ったというところだ。

References
*1塩水に五香や醤油などを入れて甘く煮た料理のこと。

北京隔離生活4日目

中国北京での隔離生活4日目。

こちらは今日の朝食。そういえば今朝はPCR検査がなかった。

昼前に北京のオフィスとリモート会議。そこで日本は秋分の日で祝日だということに気付く。うーむ、得しているのか損しているのかよく分からない気分(^^;)

そうこうしているとあっという間に昼食が運ばれてくる。やはり朝食は食べないくらいがちょうど良いところ(笑)。今日は白身魚と白菜を蒸したような料理がメインだった。

持参したトラベルルーターで室内にはVPNを通したWi-Fi環境を作り出しているので、テレビに接続したChromecastでTverを試聴しながら昼食。日本のテレビ番組を見ていると一瞬自分は中国にいることを忘れてしまいそうだ。このおかげで10日間の隔離生活も何とかなりそうで、我ながら良い準備をしてきた。

夕食は骨付き鶏だった。

夜、廊下からシャーという音が聞こえたので何だろうとドアスコープからのぞいてみると、防護服姿の人が「これでもか!」というほど消毒液をぶちまけていた。いやあ、分かるけれど、そこまで汚いもの扱いしなくても……と思わず笑ってしまった。

各部屋に配られるゴミ袋にはバイオハザードのマークが印字されている。まるで危険物扱いだが、この国が新型コロナウイルスに対して未だどれだけ神経質になっているのかがよく分かる。

中国の感染対策を見ていて、日本で感染が広がりだした当初の頃を思い出した。

2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」で新型コロナウイルスの集団感染が発生したとき、ニュースで防護服を着た集団が船内に入り込んでいくのを見て目に見えないウイルスに漠然とした恐怖心を抱いたのをよく覚えている。

今や日本では「良い意味でも悪い意味でも」新型コロナウイルスは身近な存在になった*1。しかし中国の新型コロナウイルスとの向き合い方は、2年半前の「ダイヤモンドプリンセス号」と何も変わっていない。当時、船内で隔離された乗船客はこんな気持ちだったのかなあと追体験している気分だ。今や世界中がウィズコロナに舵を切っているのに、なぜここまで怖がっているのだろう。

……とここまで書いておいて何なんだけど、一般の中国人はもしかすると「感染する」ことより、感染したために「隔離される」ことのほうが怖いんだろうなあ。厳しいゼロコロナ政策を堅持するこの国では感染者と同じ列車に乗り合わせた人でさえ隔離を余儀なくされるんだもの。そりゃあね、消毒液もぶっかけるよねえ。

References
*1まさか自分が感染するとも思わなかったし(^^;)。

北京隔離生活3日目

中国北京での隔離生活3日目。

今日の朝食。昼食も夕食もおいしくいただいているが、正直朝食は私の好みではない。中国には”油条*1や”煎餅馃子*2とか、おいしい朝食の定番メニューがもっとあるじゃないねえ。せっかくの中国なんだから、そっちのほうを出してくれればいいのになあ。

今日は朝からPCR検査もあった。同じフロアの端からだんだんと検査を行い、最後に角部屋の私のところまで来る。「PCR検査を行いますよー」と叫ぶ大きな声がどんどん近づいてくるので、ああ、そろそろ自分の部屋に来るなというのが分かる。

このとき廊下から聞こえてくるガヤガヤ感が私にとって唯一「ああ、隔離されているのは私だけではないんだ」と感じられる瞬間だ。この隔離施設が郊外にあるという事情もあるだろうけど一日中、本当に静かなのだ。もしや隔離されているのは私だけ?みんな実はどこか外に出て行っているのではないか?うーむ、スタッフに賄賂を渡せばそのくらいありえるか(笑)なんて思ってしまうほど。

昼食はスペアリブとポテトを煮込んだ料理。あとは中華料理おなじみの”西红柿炒鸡蛋*3なども入っていた。朝食のクオリティーに比べると昼食と夕食は段違いに良いのだ。とてもおいしかった。

夕食は肉だんご(里芋がコロコロ入っているように見えるが、これ、肉だんご)と大根の煮物。チンゲンサイを炒めたものや、ミックスベジタブルをエビと炒めたもの。部屋から一歩も出ていないので3食だけは毎度きっちり出てくるので、おなかがすぐにいっぱいになってしまう(^^;)。

References
*1中国式の長い揚げパン。揚げてあるけど、そんなに脂っこくない。これを”豆浆“(豆乳)と一緒に食べるのが定番。
*2中国式クレープとも言うべき料理。生地の上に卵液を広げて葱を振りかけ、好きなソースを塗って最後に”油条“と野菜をのせて巻いたら完成。
*3トマトと卵の炒め物。

北京隔離生活1日目

中国北京での隔離生活1日目。

たった1時間の時差しかないものの、体はまだ日本時間なのか少し早めに目が覚めた。

朝食はお粥、肉まん、マントウ、ゆで卵、漬物。漬物は日本で売っているきゅうりのキューちゃんみたいな味だった。

中国のお粥は日本のそれに比べて水分量が多い。塩味くらい付いているのかと思ったらそのままだった。これだけ食べるのも寂しかったので、日本から持ってきた永谷園のお茶漬けのりを入れたらちょうどいい感じに味がついて良かった。

午前10時頃になって、係員が部屋代の回収に来た。扉を開けると防護服に身を包んだ男性と女性が立っていて、AlipayかWeChat Payで支払うように言われる。

これらは日本のPaypayやLINE Payと同じようなQRコードで支払いが出来るサービスで、使っていない人はいないほど中国では普及している。逆に言うと何でもAlipayかWeChat Payなので、これがないと困ってしまう……というより実際に困ってしまったんだけど、日本から到着したばかりの私がAlipayもWeChat Payも持っているはずがない。

クレジットカードや銀聯カード*1で支払いができないかと聞いても「友人や同僚に頼むとか、なんとかして下さい」と、けんもほろろに突き放されてしまった。

とりあえず北京にある私の会社のオフィスに助けを求める。すると会社のほうから交渉してくれ、指定された口座に会社が料金を振り込むという形で話が付いた。

しかし、あまりに官僚的だなあ。海外から到着したばかりの外国人がAlipayやWeChat Payを使える前提なのは普通に考えておかしいんじゃないかと。私は会社が助け船を出してくれたから良かったけど、そういう後ろ盾がない人はどうしたんだろう。

午後0時半頃になって昼食が運ばれてきた。

これは”红烧牛肉“かな、牛肉、大根、にんじんを煮込んだ料理がメインだった。これも結構おいしい。食事が合わないんじゃないかと日本からいろいろ持ってきていたけど、この調子なら使わずに隔離生活を終えられそうだ。

午後になって突然施設のスタッフから電話がかかってきた。

曰く、私と同じように隔離中の日本人のうち数名が中国語も英語も通じないため困っているという。特に隔離終了後の滞在先を確認したいらしく、これが把握できないと当局から隔離終了の許可が下りないとのこと。そこで私に手伝ってもらえないかということらしい。

何で私が……と思ってしまったが、昨日からの施設の対応を見ていると、おそらく言葉のできない日本人たちは困り果てているだろうなあ。だって完全隔離だけあって電話しか手段がないんだもの。同じ国から来た者同士だし私で手伝えることがあれば……と思い、聞いた部屋番号に内線電話をかけて確認してあげた。すると日本人のほうも相当困っていたようで、とても感謝された。

施設スタッフにまとめて伝えると、これまたいたく感謝された。まあ、こういうシステムになっているのは彼らのせいじゃないかねえ。むしろ、彼らだって日本語スタッフを配置するとか、どうにかしてほしいと思っているだろう。私に協力を依頼してきた女性スタッフは「せっかく隔離が明けるという時に解放できないなんてことになってほしくないので、私たちも必死なんです」と話していた。

彼らは彼らでいろいろ頑張ってくれているわけで。私が「日本人を代表してお礼申し上げます」と話すと、彼女は「だったら私は中国人を代表してあなたにお礼を言わなくちゃいけないですね」なんて返してくれたので、顔も分からない同士なのにケラケラ笑い合った。

しばらくすると扉をノックする音が聞こえた。

何だろうと扉を開けると、防護服を着た男性が「これは先ほどいろいろとお手伝いしてくださったお礼です」と言ってカップラーメンや菓子の入った差し入れの袋をくれた。わざわざ持ってきてくれるんだなあ。お酒だったらもっとうれしかったけど……なーんて思っちゃったけど、いえいえ、それでもいただけるだけありがたい(^^)。

隔離1日目の夕食は肉だんごや青梗菜を炒めたものなど。これまでの中で白ごはんが一番日本のそれに近かった。水分が多くてほかほか。

ちなみに入居時に「夕食は午後7時頃に持ってきます」と説明を受けたんだけど、実際に来たのは午後5時半頃。昨日の夕食もそうだった。これ、持って来られたのに気付かないで午後7時まで部屋の外に置きっぱなしだと温かい弁当が冷めちゃうよねえ。

中国人は日本人以上に温かい弁当にこだわるはずなんだけどなあ。スタッフが午後6時で帰っちゃうのかな。まあ、かく言う私は午後5時半じゃ全然お腹が空いていなかったので結局午後7時頃に食べたんだけど(^^;)。

References
*1中国生まれのクレジットカードで、AlipayやWeChat Payが普及する以前はよく使われた。もともとはクレジットカードというより、支払いの時点で直接口座から引き落とされるデビットカードとして重宝された。日本でも中国へ行く人向けに発行されている。
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