The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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狗奴と猫奴

今日、仕事でおじゃました家にワンちゃんがいました。

とても人懐っこくて、おとなしいのです。しっぽを振りながら私の足元に駆け寄ってくるので、たまらず「うにょ~!」と奇声を上げてしまいました。一緒にいた中国人スタッフに「好かれていますね」と言われ、いやあ「犬好き冥利」に尽きます。

ふと、中国語で「飼い主」って何て言うのだろうと悩んでしまいました。

主人”という言葉が思いつきましたが、一緒に行た中国人スタッフによると「う~ん、正しいけど、何か固い」とのこと。“狗认识主人”(犬は飼い主が分かる)のように「主人」であることを強調する場合に使うそうです。じゃあ何て言うの?と聞くと“养狗的”(犬を飼っている人)とか“养猫的”(猫を飼っている人)と直接的に言うとのこと。

うーん、でもそれじゃあまりに“口语”(口語的)です。例えば公園に「飼い主はペットの糞の後始末をしましょう」という看板を作る場合、中国語で“养狗的”(犬を飼っている人)と書いたのでは不相応です。再度聞いてみると、そういう場合は“养狗人士”(犬を飼っている方)になるそうです。

日本語の「飼い主」は日常会話でも、行政の公文書でも使える汎用性の高い言葉です。しかし中国語はそれぞれ使い分けないといけないわけですね。

と、ここまで聞くと、スタッフが“狗奴”や“猫奴”という言い方もありますよ、と笑って教えてくれました。これは直訳すると「犬の奴隷」「猫の奴隷」という意味ですが、それほどペットに尽くしている人のことを指すようです。

损人害己

中国外務省の報道官による定例記者会見。日本政府が先端半導体の製造装置をめぐって中国などへの輸出の際の手続きを厳しくすると発表したことを非難した。そのときの中国語が……

全球芯片产业链供应链的形成和发展,是市场规律和企业选择共同作用的结果。将经贸和科技问题政治化、工具化、武器化,人为破坏全球产供链稳定,只会损人害己。

世界の半導体産業とサプライチェーンの形成と発展は市場の法則と企業による選択が共に作用した結果だ。経済や貿易、それに科学技術の問題を政治化したり、道具や武器のように利用したりしてサプライチェーンの安定を人為的に破壊する行為はただ「損人害己」するだけだ。

ここに登場する“损人害己”(損人害己)。人を損ない己を害す。つまり「他人を傷つけるだけでなく自らも傷つける」という意味だ。中国語はこれをたった4文字で表すけど、日本語にするとずいぶん長くなっちゃう。通訳をしている人は追いつかないだろうなあ。

ちなみに中国外務省が公表した公式の英語訳は”benefit no one and will eventually backfire”(誰も得をしないし、最終的にはしっぺ返しを食らう)。”backfire”というのは「しっぺ返しを食らう」「裏目に出る」という意味らしい。なるほど、日本語もかっこいい表現に訳せないものかなあ*1

References
*1「人を憎むは身を憎む」「人を呪わば穴二つ」といったことわざがまさに「人を陥れようとすると自分もまた同じ目に遭う」という意味らしいけど、外交当局の会見で使うにはちょっとねえ(^^;)。

今を盛りの花見酒

ふと職場の中国人スタッフから「いやで候」という日本語は「嫌だ」という意味ですか、と質問を受ける。「いやで候」って何?と聞くと、和歌に出てくる表現だと言う。

肴舞/扇子の風もいやで候/今を盛りの/花見酒には

いやあ、分からん。こういう古文について聞かれると私もすぐに回答するだけの知識を持ち合わせていないので恥ずかしい。「ごめんなさい、すぐにはちょっと……」と謝った上で、インターネットでこの和歌を検索してみた。どうやら『古今夷曲集』に集録されているものらしい。

「肴舞」というのは酒席の余興の舞。つまり花を散らしてしまう扇子の風は邪魔だ、と言っているわけだ。何となく中国語に訳して伝えたが、かなりの意訳で無理があったかもしれない。

聞くと、その中国人スタッフの知り合いの日本語学習者から質問されたらしい。日本人でも難しいだろうに、すごいなあ。すると、その学習者の方から後ほど中国語の訳が送られてきた。

夜夜醉酒喧,肴舞扇风樱拂面,奈何赏花宴。

こんな「中国語」をいきなり言われたって、中国のみなさんも「はぁ?」という反応になっちゃうかもしれないけど(^^;)。それでも、やはり日本語の古文は漢詩で表現したほうが雰囲気が出る。

ただあんまり詳しくないし、私みたいに知識のない人間がこんな指摘をするのもおこがましいんだけど、これは漢詩の呈をなしているのだろうか。漢詩って絶句・律詩みたいに4句か8句なんじゃないの?そこは詳しい人の解説を聞きたい。

厅局风

この前、中国人の友人と話したときに「同じ年齢でも日本人のほうが中国人より幼く見える」という話題になった。これについては私もかねがね感じていたことで、前にブログに書いたこともある。

成熟
そう言えば、日曜日に行ったマッサージ屋で夫婦揃ってマッサージ師から「あんたたち、まだ若いでしょ」と言われた。私が「何歳に見える?」と聞くと実年齢より10歳くらい若い年齢を言うので(お世辞かどうかは別として)妻とニヤニヤしてしまった。私は昔から年齢よりも若く見られることが多い。就職してからもスーパーで酒を買おうとして年齢確認されることがあった。若かった頃は「ずいぶん下に見られているんだな」と良い気分がしなかったが、今となっては悪い気がしない((……と思う時点で、ああ、自分は年を取ったんだなと感じるけ...

すると、友人が「“厅局风”って言葉、聞いたことありますか」と教えてくれた。

厅局”というと中国で国家公務員の局長級を指す言葉だ。これに“”(風)が付いて「局長風」?どういう意味?聞いてみると、どこかの役人さんみたいな格好を言った言葉のようだ。具体的にどういう格好なのか。

今年火了“厅局风”穿搭,穿得局里局气才高级,这些标配记得收藏_男性_夹克_公文包
今年爆火的“厅局风”,又让很多男性打开了时尚的大门,让不少人发现,原来除了休闲穿搭和正式感造型以外,像这种端庄得体有大气的风格,才是专属男性的选项,分分钟提升你的魅力! “厅局风”的服装单品一般都会非常合…

このホームページを見てみると“厅局风”のスタイルについて詳しく説明されていた。

わはは、なるほどね。確かに中国で「役人風のおっさん」たちはよくこんな格好をしている。黒ジャンパーに身を包み、ピッチリとフィットしているからぽっこりお腹がだいぶ目立つ。んで、下は大体ぶかぶかの黒のスラックス。胸には共産党の党章(“党徽”)が付いていることもある。そういうば、この国の指導者は地方視察の際に大体そういう格好をしている。

“厅局风”穿搭为何吸引中国年轻一代男性
一些热衷于“厅局风”的人可能是出于玩笑,但对许多中国年轻人来说,这种风格代表着稳定的职业道路和体面的生活方式。此类风格的流行也反映出中国政治的保守转向。

こちらはニューヨークタイムズ中国語版の記事。そうそう、いちばん初めの写真、こんな感じ。ちなみにこの記事のタイトルは“‘厅局风’穿搭为何吸引中国年轻一代男性”(“厅局风”スタイルはなぜ中国の若者世代を引きつけるのか)。ほ、本当?別のサイトには「このスタイルで義実家に行けば、良い印象を与えること間違いなし」みたいな説明も。

一昔前に日本に旅行に来ている中国人の「おじさま」たちはみんなこんな格好をしていた。東京ディズニーランドに来ている人でさえ、こんな“厅局风”をしていたので、不自然というか怪しいというか、変に目立ったのを覚えている。若者世代にそれが流行るというのは、日本でいうレトロブームみたいな感じなのだろうか?

私はどっちかという年齢より若く見られがちなほうだけど、私も“厅局风”スタイルをすれば少しは年上に見られるかしらん。

偷着乐

今日、中国人の同僚から“偷着乐”は日本語で何と言えばいいかと聞かれた。中国外務省で以前報道官を務めていた趙立堅氏がいつかの会見でこの言葉を使っていた。

中方在应对新冠肺炎疫情方面是无可指责的。(中略)中国人民已经取得了抗击新冠肺炎疫情的战略性胜利。在座各位能在抗击疫情期间生活在中国,就偷着乐吧!

中国の新型コロナウイルスの感染対策に非難の余地はない。(中略)中国の国民は新型コロナとの闘いにおいて戦略的勝利を収めた。出席されている(外国メディアの)皆さんは、このコロナ禍に中国に住むことができて“偷着乐”しているでしょう。

偷着乐”は直訳すると「こっそり喜ぶ」「ほくそ笑む」という意味だ。この会見で言いたいのは「中国の新型コロナ感染対策は世界に誇る立派なものだ。全世界がウイルスと闘っている中、あんたたちは中国に住めて『内心、喜んでいる』でしょう」ということ。

この会見の数か月後、上海では未曾有の厳しい外出制限が行われ、多くの人が苦しい経験をしたのは周知の通り。それだけに「んなわけねーだろ」とツッコミが来そうな会見だが、実際、この会見はいろいろと波紋を呼んだ。これだけが原因ではないだろうが、その後、趙氏は報道官の業務を離れて他部署に異動した。元気にされているのかな。

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