The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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中国のフードデリバリー

中国で日本以上に普及しているサービスと言えばいろいろあるが、ひとつがフードデリバリーだ。

日本ではコロナ禍を契機にウーバーイーツや出前館といったサービスが広く知られるようになったが、中国では10年近く前から普及し始め、今や日本以上に身近になっている。街なかを見渡しても、至るところで配達員が忙しそうに配達業務をこなしている。今や多くの人にとって「生活の一部」になっているのだ。

私も今日、北京に赴任してから初めてフードデリバリーを利用してみた。

驚く人もいるかもしれない。だって今や「フードデリバリを利用しない日はない」という人もいるくらいなのだ。まあ、便利なことは分かっているんだけど、指でポチッただけのものを人に持ってこさせることに何だか申し訳なさを感じてしまうというか、出前は「特別なとき」に頼むもので贅沢だと思っちゃうというか、私の性格によるところが大きいかな(^^;)。

ただ、ここ最近帰るのが遅くて毎日がコンビニ飯なのだ。今日も時計を見ると午後10時過ぎで、またコンビニかあと思うとさすがに寂しくなってしまった。そこで、こういうときこそのフードデリバリーサービスでは?と思い立ち、試してみることにした。

会社に残っているのは私一人だけだったので、少々のにおいは大丈夫だろう(笑)と、よく食べる“杨国富麻辣烫”(楊国福マーラータン)を頼んでみることにした。アプリで具材とスープを選び、受け取る場所を指定したらスマホ決済で注文完了。あっという間だ。

アプリの表記はウーバーイーツとほとんど同じ。地図上にバイクに乗った配達員のマークが表示され、GPS情報をもとに今どこを走っているかがリアルタイムに分かる。

私の場合、22時51分から23時06分の間に届くことになっていて“23:06未送达,可获赔¥2”(23時06分になっても届かない場合、2元=40円を賠償いたします)と書いてある。この賠償は誰が払うのだろう。アプリ会社?飲食店?それとも配達員だろうか?

23時前に配達員から「着きましたよー」と電話。私のオフィスは外部の人が入ってこられないセキュリティーになっているため、入り口のゲートを受け渡し場所に指定していたのだ。いざ向かうと、真っ暗なゲートの向こう側に黄色いジャンパーを着た男性が立っていた。料金は注文時にスマホ決済しているので、柵越しに受け取るとそれで取引完了。やり取りは「どうもー」「はいー」だけ、あっという間だ。受け取った料理は立派な袋に入っていて、触った感じはまだ温かい。

容器はスープがこぼれないよう、ラップフィルムでぐるぐる巻きにしてあった。

いざ口にすると……できたてと思わせるほど熱々。当然だけど“麻辣烫”(マーラータン)だ。配達だけで20分はかかったはずなのに、すごいなあ。ちゃーんと私が注文した具材が入っていて、味も店で食べるのと変わらない。

これで40元(約800円)。日本の「楊国福マーラータン」で食べていたときは毎食1500円近くかかっていたので、それと比べたら半額近く安いことになる。うーん、日本のウーバーイーツで注文すれば、1人分でも1000円は超えるだろう。注文内容によってはもっと安くなるだろうし、そりゃあみんな使うよなあと思ってしまった。この低価格はどこにしわ寄せがいっているんだろう。配達員は地方から出てきた人が多いというが、彼らの低賃金だろうか。店舗側もフードデリバリーサービスのアプリに登録するには結構な手数料を支払わなければならないらしいが。

あと、過剰な包装は少々気になってしまった。

割り箸こそ木製だったが、大きな容器、そのふた、スプーン、すべてプラスチック製だ。店舗で食べれば全て発生しなかったはずで、世界最多の人口を有する中国でみんながみんなフードデリバリーを使えば、そのプラスチックごみの量は半端じゃないだろうなあ。

おいしいものを食べながらこんなことを考えてしまう自分も自分だ。ただ、中国に来てから「大量消費」という言葉を思い出すことが多いなあと思う。日本では「もったいない」という言葉が盛んに叫ばれるようになって久しいが、こうした点でも中国はかつての日本を見ている気にさせる。

新居に入居

今日から新居に住むことができることになり、隔離明けからお世話になっていたホテルをチェックアウト。家探しの際に一緒に回ってくれた不動産屋さんが車を出してくれ、重くて大きなスーツケースが2つある身としては助かった。

ホテルのロビーにいると私の名前を呼ぶ日本人男性が近寄ってくるので、誰かと思ったらホテルの副総支配人だった。私が宿泊していたホテルは日系なので、しかるべき部門には日本人がいるのだろう。ご宿泊ありがとうございましたと頭を下げられてしまい、こちらが恐縮してしまった。私みたいなペーペーにも丁寧に対応してくれるんだから、さすがだ。

副総支配人に見送られるVIP待遇で新居へ向かい、荷物だけ置いたらすぐに出勤。地下鉄で行こうかと思ったら、これまた不動産屋の方が会社近くまで車で送ってくれた。ありがたいなあ。

今日のバタバタ忙しい一日で、新居に戻ったのは日付が変わる頃だった。部屋にはまだ何もないし、ガランとしていて逆に落ち着かない。これならホテルくらいのこじんまりした空間のほうが落ち着けるというものだ。せっかく入居したのでいろいろと日用品を買い揃えたいところだが、今週・来週は忙しいのでもうちょっと先になるかな。

中国コーヒー戦国時代

私が北京に留学していたのはたかだか11年前だが、それでも当時と比べるとたくさんの変化を感じる。どれも私の主観だから、他人からすれば「どうでもいい変化」かもしれないけれど(^^;)。

そのうちのひとつ、多くの人がコーヒーを飲むようになったと感じる。

11年前の北京はコーヒーを好んで飲む人がまだ少なかった。日本の純喫茶のようにコーヒーだけを出す店は無かったし、喫茶店というと文字通り「茶」を楽しむ場所だった。スターバックスやコスタコーヒーといった海外のカフェチェーンは当時からあったが、中国人たちは専らカフェモカやココアといった甘い飲み物が目当てで、コーヒーを飲む人は少なかったように思う。

そうしたなか例外的に珈琲の名を冠する店があった。その名も「上島珈琲」(”上岛咖啡“)、北京だけでなく中国各地で見かけたことを覚えている。

北京の上島珈琲(2011年1月撮影)

日本で上島珈琲と言えば、神戸に本社を置くUCCが経営する「上島珈琲店」だ。

上島珈琲店
美味しいカフェをお探しなら、上島珈琲店へご来店ください。美味しさにこだわりぬいたネルドリップコーヒーで、厳選された季節のデザートやお食事メニューをゆっくりお楽しみいただけます。近くのカフェをお探しなら、ぜひ上島珈琲店へ!

一方、中国の上島珈琲は全くの別物。どうやら台湾発祥のようで、中国国内で約1000店舗と派手に展開し、現地で知らない人はいないほどメジャーになっている。日本の上島珈琲店も中国に進出はしているものの、皮肉にもこちらのほうが圧倒的な認知を得ている。

北京の上島珈琲(2011年1月撮影)

ニセモノかどうかはさておき「珈琲」という文字が店名に入っているのだ。それなりのコーヒーを出してくれるんじゃないかと期待して、留学時代に一度入店してみた。

私の入った店舗は暗く怪しい雰囲気が漂っていて(笑)それぞれのボックス席がすだれで仕切られ目隠しのようになっていた*1。メニューを見ると喫茶店というよりは、ファミレスのようなラインナップ。メニューのどこにコーヒーが書いてあるのか探してしまうほどだった。

肝心なコーヒーだが、まるでお湯のように薄い味で全くおいしくなかった。おそらくブラックで飲む人が少なく、どうせ砂糖とミルクを入れるので、コーヒーそのものはあまり重要ではなかったのだろう。当時は中国でこういう薄いコーヒーによく出くわした。これならインスタントコーヒーのほうがまだましだ、と泣く泣く帰ったのを覚えている。

なぜそんなことを思い出したかというと、今日、会社近所にあるセブンイレブンでコーヒーを買ったからだ。写真はMサイズ(”中杯“)で、10元(約200円)。たっぷり入っていて、味もまあまあ。少なくとも上島珈琲(『上島珈琲店』ではなく)と比べれば雲泥の差だ。

そもそもセブンイレブンだって私の留学時代にはほとんどなかった。それが今や北京の至る所にできて、そこでコーヒーが買える。ちょっと大げさかもしれないけど、留学当時にコーヒー難民だった私からすれば隔世の感を禁じ得ない。それだけ今、中国でコーヒーが飲まれるようになっているのだ。

中国国産のカフェチェーンも多数生まれている。

その代表例が「ラッキンコーヒー」(”瑞幸咖啡“)。わずか4年前に北京に1号店を出したばかりだというのに、すでに7000店舗近くを展開し、数だけならスターバックスを凌いでいる。実際、北京の街を歩いていてもあちらこちらで見かける。行ってみると、店舗の内装はおしゃれだしコーヒーの味もまずまず。何も知らずに店を訪れた人はまさかラッキンコーヒーが中国国産のカフェチェーンとは思わないんじゃないかなあ。

今や、中国のコーヒー市場は「戦国時代」だ。中国人たちのコーヒーを飲む舌はどんどん肥えてきていて、この国で生き残っていくのは簡単ではないだろう。鎬を削る企業の皆さんは大変だろうけど、コーヒー好きとしてはありがたい限り。これからの中国駐在生活、いろんなコーヒーを飲み比べるのが楽しみだ。

References
*1中国人の友人がいつか「一部の上島珈琲は男女でいやらしいことができる」と言っていた。当時はどういう意味かよく分からなかったが、調べてみると一部店舗はカーテンなどで仕切れる空間があって、いわゆる同伴喫茶みたいに使う人がいるらしい……って、私が行ったところがそうだったんじゃないの(^^;)。

連休明けで土日に勤務

中国は国慶節の連休が明け、今日から出勤日だ。

え、今日は土曜日でしょ?と喉元まで出かけたが、中国はそうではない。

日本の大型連休は一日一日が「文化の日」や「建国記念の日」など、祝日として定められている。一方、中国の場合「国慶節は3日間の休みとする」などと、日数のことしか定められておらず、連休にするため前後の土日を動かす……という複雑なことをしているのだ。

これが今月1日~15日までのカレンダーだ。

例えば国慶節の場合、法律では「3日間の休み」と定められている。10月1日が国慶節だが、今年は1日と2日は土日でもともと休みだ。そのため10月3日から3日間を祝日として、まず5連休ができる。多くの人はこのカレンダーを見て「ああ、6日と7日も休みだったら」ときっと思うだろう。

そこで中国は政令で8日と9日の土日の休みを6日と7日に移動させることで7連休を作っているというわけだ。しかしあくまで「移動させてきた」ものなので8日と9日は平日扱い。何だか得したのか損したのかよく分からない気分だ。いっそのこと土日休みはそのままにすればいいのに。

そういうこともあり、北京は土曜日だけれど朝から多くの人が出勤していた。

一方、日本は東京の本社は土曜日で休日態勢。みんな家で王様のブランチ見ているのかな。なーんだか働くのが惜しい気分(笑)。こちらは昨日まで連休だったとは言え、日本がずっと平日だったから何度も仕事の連絡が普通に来ていたんだもの(^^;)。まあ、海外勤務だと仕様がないね。

午後は東城区にある公安局に行ってきた。

中国に長期滞在する場合は入国後30日以内に「居留許可」を取得する必要があるのだが、これを公安局が出してくれるのだ。本当ならもっと早く来たかったが、隔離が明けてすぐ国慶節の連休に入ってしまったため、ようやく今日来ることができた。

中国の公安は日本でいう警察に近い組織だが、管轄している業務が広い。例えば日本の場合、出入国管理は法務省だし、人口や戸籍管理は市役所や区役所の管轄。しかし中国ではこれらは全て公安の管轄。むしろ日本的に表現すれば「警察も公安の業務のひとつ」と言ったほうが分かりやすいか。

公安と聞いてもあまりいいイメージが湧かないのが正直なところだが(笑)*1今日対応してくれた人たちはとても気持ちの良い人たちだった。

色々と仕事を片付けていたら食事をするのも忘れるくらいすっかり遅くなってしまい、同じく最後まで残っていた上司と先輩に誘われ遅い夕食を食べに行った。向かったのは青海牛肉麺の店で、「牛肉涼麺」という冷やし麺をいただいた。見た目が日本の冷やし中華にそっくりだが、いや、味も結構似ていた。スパイシーなところは独特だが、どこか酸味のある感じが冷やし中華を彷彿とさせる。

回族だろう、若いお兄ちゃんたちが店を回していた。先日来、中国で「ごちそうさま」の気持ちをどう伝えるかよく考えているが、今日は店を出るときに「味、とてもおいしかったですよ!」とストレートに伝えたところ、お兄ちゃんが「じゃあ、また来て下さいね!」とニコーッと笑ってくれた。

我ながら気持ちが良い。日本の「ごちそうさま」と違ってそう頻繁に言えるセリフではないが、今度からおいしかった、満足したと思ったら、素直に「おいしかったよ」と伝えてみようかなあ。

References
*1実際、中国人に話を聞いても「公安」に少々怖いイメージがあるという人は結構多い。

日本を感じるイトーヨーカドー

北京で有名な日系スーパーはイオンのほかにもうひとつ、イトーヨーカドーがある。

11年前の留学時代に、西直門にあったイトーヨーカドーには行ったことがある。確か”华堂商场“(華堂商場)という名前で、日系スーパーだからいろいろ日本の商品が手に入るかと期待して行ったが、実際のところは「ほぼ現地のスーパー」だったのを覚えている。

西直門にあった「華堂商場」(2010年9月撮影)

この西直門店は2014年に閉店したらしい。日本のスーパーが受け入れられなかったというわけではなく、ネット通販の普及で苦しい闘いを強いられていたようだ。今や北京にイトーヨーカドーは1店舗を残すのみとなり、どんなものか気になり訪れてみた。

やって来たのはイトーヨーカドー亜運村店。

イトーヨーカドーは中国で2つの名称を使い分けている。ひとつは西直門店などが採用していた”华堂商场“(華堂商場)で、イトーヨーカドーの「カドー」(華堂)の文字を含みつつ、ぱっと見、中国発祥スーパーのようだ。もうひとつは”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)そのままで、ひと目で日系スーパーだと分かる名称だ。こちらは四川省・成都で展開する店舗が採用している。

合弁相手が違うから、と聞いたことがあるが本当にそうなのだろうか。ふと思ったのは、日系スーパーだと目立ちたくないときは”华堂商场“(華堂商場)を使い、日系スーパーであることを全面的に出したいときに”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)を使うのかなあ、とも思ったのだけれど。

北京に唯一残ったこの店舗は”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)だ。

店舗の規模は日本のイトーヨーカドーと同じくらい。

入り口で”九州节“(九州祭り)と題して、九州の物産を販売するフェアを実施していた。現場責任者と思わしき日本人が中国人スタッフに指示しているのを見たので、店舗の運営には日本人も関わっているようだ。

地下の食品売り場に行ってみた。規模が大きくて品揃えが良い。清潔感もあって購買欲もそそる。

中国のスーパーは魚売り場がすごい。日本だと切り身がパックで売られていることがほとんどだが、こちらはドーン!と魚がまるまる並んでいる。それも日本ではあまり見たことのない種類が多い。この写真の黄色がかった魚は”黄花鱼“と書いてある。日本語では「キグチ」と言うらしい。

こちらは”大带鱼“(タチウオ)、北京のスーパーでは比較的よく目にする魚だ。長さが1メートルはありそうで、それが何匹も並ぶ様子は壮観。

他にもこうして水槽に入った魚が何匹も。

それぞれ水槽に名前が貼られていて、右上が”鲟鱼“(チョウザメ)、右下が”草鱼“(ソウギョ)、真ん中の上段は”河鲈鱼“(ヨーロピアンパーチ)などと書いてあるが、正直よく分からない(笑)。食材を見ているというより、水族館で魚を眺めているような気分だ。

私が一番驚いたのは日本の商品の品揃えだ。先日イオンにも行ったが、イトーヨーカドーの品数はその比ではない。日本から直輸入した商品から現地で生産しているであろう商品まで、何でもあった。

うどん県のマークが付いた「讃岐ぶっかけうどんだし」!確か新橋の香川県のアンテナショップで見たことがある。日本の普通のスーパーだって売っていないよ(^^;)。しかしお値段は59元(約1200円)とだいぶお高め。日本での価格を調べてみると、概ね270円といったところのようだ。

弁当やサンドイッチといった出来合いの商品も多数並んでいた。中華もあれば”日式便当“(和風弁当)もあって、どれもおいしそう。価格も10~20元台(約200円~400円台)が多くてお手頃だ。

日本の食材や調味料が必要になったときは、とにかくイトーヨーカドーに来れば全く問題なさそうだ。実際、食品売り場では何人もの日本人とすれ違った。みんなここを頼りにしているんだなあ。

1階には”顾客之声“(お客様の声)という掲示板があった。これも日本らしい。

「店内のケータイ電波が悪い」とか「レストラン街に刀削麺の店を増やしてほしい」などといった意見・要望が書かれていて、店長がひとりひとりに丁寧に回答していた。

今は日々の食材だってインターネットで購入するのが中国。イトーヨーカドーはそんな北京で生き残っていくために「日本の商品」をどこよりも充実させることで他と差別化を図ったんじゃないかしらん。だから店名だって、これまで使っていた”华堂商场“(華堂商場)という地元発祥なのか日系なのか分かりくいものから”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)という日本名に変え、日本ブランドで闘っていこうとしているんじゃないかなあと。

今日は国慶節の連休最終日だったが、多くの人で賑わっていた。とりあえず、うまくいっているということかな。少なくとも私は今後もお世話になることが多そうだ(^^)。

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