The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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武漢

新型コロナウイルスの震源地……なんて言われている武漢にやって来た。

出発は4年前に開港したばかりの北京大興国際空港。初めてだったのでゆっくり見てみたかったが、なんせ出張自体が急遽決まったものだったため、そんな余裕もないほどフライトぎりぎりだった。タクシーの運転手さんに「絶対無理!間に合わない!」と言われつつも「なんとか!急いで!」と頼み込んで飛ばしてもらい、心の中では「おそらく間に合わないだろう」と思っていたけど奇跡的に間に合った。

先に空港に到着していた中国人スタッフの同僚がチェックインカウンターに話を付けてくれていたのだ。だから空港に着いてからはすごかった。チェックインカウンターに滑り込むとスタッフの女性が私のパスポートを見るか見ないかの速さで航空券を手渡してくれ、保安検査場ではいつも横柄に感じる(おっと、失礼)スタッフが奇跡的な速さで荷物をチェックしてくれた。おまけに「搭乗口のスタッフには話は付けてあります!だから急いで!」とまで言ってくれた。タクシーの運転手さんを始め、皆さん一人一人を抱きしめて感謝したいくらいだった。

武漢は初めての訪問。どうしても「新型コロナウイルスの震源地」という印象が強いが、あのときから3年も経った武漢にそういう雰囲気は微塵も感じられなかった。さすが北京より南に位置するだけあって、春が来たように暖かい。ある種「規格化された」街、北京に住んでいるので、武漢の雰囲気がとても新鮮だ。良い意味でごちゃごちゃしたところは上海を彷彿とさせる。

市の中心部にある中山公園。暖かいからか、多くの人で賑わっていた。

特に高齢者が思い思いの娯楽に興じていて、一緒に行った中国人スタッフが“退休后的生活”(定年退職後の生活)とボソッと言うので笑ってしまった。二胡を弾くおじさんに、マイクを持って芸能人ばりに大声で美声を披露するおばさん。

ひと仕事を終えて、夜は中国人スタッフと宿近くにあったショッピングモール内の火鍋屋で食事。午後9時前には解散してホテルの自室に戻ってきたが、こういう「大移動」した日はそれだけで疲れる。ホテルの鏡に映った自分を見て「ワッ」と驚くくらいには疲れていたようだ。

山西省出張2日目

山西省運城、出張2日目。

山西省は北京からそう離れていないが、訛りがきつい。若い人はまだいいが、高齢者と話すと何を言っているか分からなくなる。このたび北京に来て基本的に言葉で苦労したことはなかったので、初めて挫折を味わった気分だ。

とは言え、出張に同行した会社の中国人スタッフも聞き取れていないよう。山西省の地元の人から話しかけられても“……听不懂”(聞き取れない)と言う始末。同じ国の人同士で「聞き取れない」という場面は日本でそうそうない。やはり中国は大きいなあ。とりあえず聞き取れないのは私だけではなくネイティブでも同じなのだと分かって、少しほっとした(笑)。

こういう地方に来ると、一昔前の中国共産党のスローガンがそのままドデン!と残っているから面白い。この大洋村の大きな門に掲げられているのは“听党话,跟党走”(党の話を聞き、党と共に行こう)という文字。まあ、最近は北京といった大都市にもスローガンが増え始めて「回帰」とも言えるような現象が起きているけど。

市が立っていて、とても賑やかだった。道路の脇に露天がひしめき合って並び、多くの人が新年の縁起物や年越し用の食料品などを買い求めていた。この市は月に数回開かれているが、春節を控えたここ1週間ほどは特に客が多いらしい。

カラフルなのは飴。中国の年末年始は家に多くの人が集まるため、飴を食べながらおしゃべりをしたり、久しぶりに会った人に分けてあげたりと欠かせないものだ。

お昼にいただいたのは、地元の名物“羊肉胡卜”。料理名だけだと、どんな料理かさっぱり見当が付かない。“胡卜”というのは何だろう。見た目が“胡萝卜”(にんじん)に似ているので、にんじんか大根か何か入っている?と思いきや、全くそうではないらしい。

小麦粉をこねて作った生地を細切りにし、それを羊肉のスープに入れた料理。私はスープを少し辛めにしてもらった。スープがとても濃厚でおいしい。隣に座っている人は羊肉のスープに“麻花*1を浸して食べていたのでびっくらこいた。そういう食べ方もあるらしい。“麻花”はあのサクサクした感じがいいのになあ。さすが中国、食にもいろんな楽しみ方があるものだ。

今回、山西省で食べたものはどれも少々辛めのものが多かった。内陸部だから、辛いものを食べて温まろうということなのだろうか。初めて食べるものばかりで新鮮だった。

北京に戻り、自宅に着いたのは午後11時過ぎ。クタクタ。

References
*1小麦粉をこね、油で揚げて作る中国陝西省起源の菓子。きつね色に揚がった、香ばしくさくさくした食感と甘い味が特徴。

山西省出張1日目

今日から1泊2日で山西省に出張。これまで新型コロナウイルスの感染対策が異常に厳しかったこともあり、北京に来てから一度も地方出張がなかった。今回が初めてだ。

向かったのは山西省の南西部にある運城という街。さすがに「農村」とまではいかないものの、正真正銘の地方都市だ。仕事でなければ一生来ることはなかっただろうなあというような街で、そう思うとひとつひとつの風景がまた特別に感じられた。

この街、運城は塩湖が有名で「中国の死海」と呼ばれているようだ。写真では分かりにくいけど、遠くに見えているのが塩湖。

お昼にいただいたのが、この地域の名物だという“羊肉泡馍”。写真左のパイ生地みたいなのが“”で、これをちぎって右の羊肉や春雨が入ったスープに浸して食べる。浸してすぐは生地がまだ固いのだが、しばらく経つとふやけてくる。スープがおいしくて、しっかり飲み干した。

この店はオープンしたばかりのようで、店主がしきりにサービスしてくれるのが印象的だった。タバコを差し出してくれたり*1、スープはおかわり自由だと声がけをしてくれたり、とても親切だ。店内の雰囲気は新しいように見えなかったので、居抜き物件なのかもしれない。

私が一番印象的だったのは街の市場だ。豚の頭が並んでいたり、見たこともない川魚を売っていたり。なかでも忘れられないのが、首を紐で繋がれた鶏の姿だ。隣にはすでにさばかれた「鶏肉」が並び、この鶏自体も毛を3分の1ほどすでにむしられていた。寒いのかジーッとして動かず、たまにする瞬きがまだ生きていることを教えてくれた。おそらく客の注文があった時点で「しめる」のだろう。そのほうが新鮮だからね。この鶏からすればあとは「殺される」のを待つだけで、私の顔を見つめてきた目が忘れられない。

とか言う自分だって毎日のように鶏肉を食べているのだから自分勝手だよなあ。けど、生き物の命をいただきながら暮らしているのだということを改めて感じた。11年前の中国留学で新疆ウイグル自治区を旅行した際、ウイグル族の友人宅で「外国人のお客に対する最高級のおもてなしです」と言って目の前でヒツジを「しめ」、食事として差し出してもらったことを思い出した。

References
*1私は喫煙しないけれど。
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