12月12日(日) 瀋陽に行く 【 その1 】 【 その2 】 【 その3 】 雪が降っとって、足下がものすご滑りやすくなっとる。 瀋陽は遼寧省の省都で、東北地方最大の都市。そしてここ、瀋陽北駅は東北地方で一番大きな駅。 写真を撮ろうと手袋をとると、指がちぎれるーーーーー!!というくらいの凄まじい気温。 写真ではよう分からんと思うけど、雪は容赦なくずっと降り続けている。 そもそも気温が氷点下じゃけん、雪が溶けんで粉みたいになっとる。 まるで小麦粉をまいとんか?って感じ。こんな雪は初めて見た~~~~。すごい~~~~。 瀋陽のタクシーは赤色?(と、思ったらその後水色とか色んな色を見かけた。) 歩きょうたら「麦肯基」という店発見!!これは…すごい名前。 中国語でマクドナルドは「麦当劳」でケンタッキーは「肯德基」。両方から名前をパクって「麦肯基」とは…。 ご丁寧に雪を被ったマスコットキャラクターまで。「麦肯基」は日本人には「マクタッキー」と呼ばれとるらしい。 このキャラクターの鳥さん、食べられる前に能天気すぎでない? タクシーに乗ってまず来たのが「西塔街」という通り。 遼寧省は北朝鮮とくっついとるけん、瀋陽にも朝鮮族がたくさん。それつながりで韓国や北朝鮮の人もようけおるんね。 そんなことで「西塔街」の入口には「서탑가(ソータッカ)」というハングルが。(西塔街の韓国語読み) まるでここは韓国!?と思ってしまうほど街中にはハングルが。 上の写真には「한국성형외과(ハングッソンヒョンウェグァ)」との文字が。(意味は「韓国整形外科」…)。 さすがコリアタウンだけあって「乐天利(楽天利)」=ロッテリアもあった。 しばらくテクテク歩いているとデカいレストランを発見。 そしてよく見てみると「평양관(平壌館)」と書いてある。うおーーーーー!!これは、北朝鮮レストランではないか!! 僕の強い希望で、行きましょう!行きましょう!と行くことになった。 でも法外な値段を取られたらヤバいので、まずはメニューを見せてもらうことに。 扉の所には同志が立ってお客が来るのを待っている。 近寄っていくと扉を開けて「안녕하삽니까(アンニョンハムシムニカ)」と挨拶。 中国語でメニューだけちょっと見せてほしんですけど…というと、かしこまりましたと言われながらも2階に案内される。 「大丈夫?案内されちゃってるけど」「まあ高ければ出ればいいでしょう」なんて言いながらついていく。 メニューを開けると朝鮮料理が「조선료리(チョソンリョリ)」になっていることを確認。 ※韓国では料理のことを「요리(ヨリ)」と言い、北朝鮮では「료리(リョリ)」と言う。ちなみに中国朝鮮族も「료리(リョリ)」。 メニューを見たら冷麺などは食べられん値段でもなかったので、ここで食事をすることに。 金明順(キム・ミョンスン)同志が注文を取りに来たけん「冷麺を3つください」と言うたら「外は寒くないのですか?」と言われる。「寒いですけど?」と言ったら「でしたら冷麺より『온면(温麺)』のほうがよろしいのではないですか?」とのこと。じゃけど、冷麺は北朝鮮の方が本場だと聞いとったけん、僕と片岡さんは冷麺で、はるるんは温麺を頼むことに。 店内は人が少なくガラーンとした感じ。そんなこともあってか、同志たちの接客態度は一つ一つが丁寧だった。 特に注文を取りに来てくれた金同志は、ほぼつきっきりでご奉仕してくれた。 僕が「朝鮮人の方ですか?」と朝鮮語で聞くと「オモ!お客様は朝鮮語が話せるのでございますか?」と朝鮮語で返してくれた。その上で「私はもちろん朝鮮人です。平壌から参りました。」とのこと。 店内には北朝鮮の音楽が流れとった。どれも知っとる曲ばかり(笑)。 金同志に、北朝鮮の歌をたくさん知っているんですよ、というと「何の曲をご存じですか?」と聞かれる。 そこで「반갑습니다(パンガプスムニダ/お会いできて嬉しいです)」、「축복하노라(祝福しよう)」、「김치깍두기노래(カクテキキムチの歌)」、「더 높이 더 빨리(より高くより速く)」、「친근한 이름(親しき名前)」、「준마처녀(駿馬の娘)」などなど、思い当たった曲をズラーっと並べると「お客様は日本の方なのに、よくそんなにもご存じですね!」と驚かれる。 そしたら「『친근한 이름(親しき名前)』はちょっと古い曲ですね。『준마처녀(駿馬の娘)』などは最近の曲です。」と北朝鮮人ならではのことを教えてくれる。そして「준마처녀(駿馬の娘)」を一緒にちょっと口ずさんで歌ってくれた。 우리 공장 동무들 웃으며 말을 해요 私たちの工場の友人たちが笑いながら話をするのです 아니 글쎄 날보고 준마탄 처녀래요 いいえ、私を見て、駿馬に乗った娘だ、ですって 하루 일 넘쳐해도 성차 안하는 一日中仕事をしても、まだ満足できず 내 일솜씨 참말로 번개같다나 わたしの仕事の腕前は本当に稲妻のごとく 라랄 랄라랄라랄라랄라랄라 랄랄 랄라라 ラーラー ラララララ ララララーラ ラララーララ 날보고 준마처녀래요 私を見て、駿馬の娘だ、ですって そうこうしとったら、食事が運ばれてきた。この冷麺をかき混ぜるのも、金同志がわざわざやってくれた。 食事中も常にテーブルのわきにいて、つきっきりでお世話をしてくれる。そして色んな話もしてくれる。 「お客様は兄弟がいらっしゃるのですか?」と言われて「三人兄弟で、僕が長男ですよ」と言うと、驚いとった。ちなみに金同志はお兄さんがおるらしい。軍人でいらっしゃるとか。 「今は南朝鮮(韓国)と色々あるから、お兄さん大変なんじゃないですか?」と言うと「国のために命を捧げて尽くすことは国民として当然のことです」と言っとった。なるほど…ねぇ。やはり北朝鮮なんだなあ、と感じさせられる瞬間だった。 最後に金同志に写真撮影を一緒に…とお願いすると、写真は私の一番嫌いなものなのです、と言って断られた。 あまりにもけんもほろろに断られたけん、ちょっと呆気にとられてしもうた。北朝鮮レストランではそう言うように言われとんかなあ。でも金同志は扉を出て行くまで手を振って見送ってくれたのだ。うにょ~~~~~、平壌館ハマりそう。北京にもあるしのぉ。 【 その1 】 【 その2 】 【 その3 】 |
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