The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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「ゼロコロナ」政策の“残り香”

昨日、綿矢りささんの「パッキパキ北京」の書評を書いたからというわけじゃないですけど、今日お昼時に会社近くを歩いていると「ゼロコロナ」政策*1の“残り香”を見つけました。

写真手前にあるQRコード。「ゼロコロナ」政策の頃には北京市内のあらゆる場所で目にしたものです。公共施設、デパート、スーパー、コンビニ、マンション、とにかく「見ない場所はない」くらい。大体は建物の入口に掲示されていて、市民が建物に入る際に「健康コード」(“健康宝”)というスマートフォンアプリで必ずスキャンすることが求められました。

こうすることで当局は「誰がどこを訪れたか」を把握することができるんですよね。スキャンさせることで、訪問記録が残りますから。で、どういうことが起きるかと言うと、厄介なのは自分が訪れた場所で感染者が確認されたときです。アプリに突然「あなたはリスクが高い地域を訪問しました」というポップアップメッセージが表示され、これは自分で解除できません。さらに数日間建物へ入れなくなったり公共交通機関の利用ができなくなります。

つまり濃厚接触者でもないのに「同じ場所を訪れていた」というだけで行動が制限されるのです。ポップアップメッセージを中国語で“弹窗”(タンチュアン)と言うのですが、当時は北京在住の日本人の間でもずいぶん話題に上がったし、また恐れられました。だって出張中に「タンチュアン」が出たら北京に戻ってくることもできないんですから。増してや、もし一刻も争う生命の危機に瀕しているときに行動を制限されたらどうなるやら。

多大な犠牲のもとに行われた「ゼロコロナ」政策は、これまた大混乱の末に終了しました。別に当時を知る者としてしたり顔をするわけではありませんが、あれは本当に経験した人にしか分からない出来事だったように思います。今や北京の人たちは「ゼロコロナ」政策なんて無かったかのように平和に過ごしています。それでいいのだと思う一方、本当にそれでいいの?と感じるのも事実です。ま、たった1年ちょっと前の出来事なのに私も遠い昔のように感じて過ごしてしまっているわけですが。

References
*1新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込むためにとられた中国政府の政策。

パッキパキ北京

最近旧ツイッター、もといX(エックス)で話題になっていた本。妻も読んだそうで、私もAmazonのKindleで購入して読んでみました。綿矢りささんの「パッキパキ北京」です。

作品の舞台はコロナ禍真っ只中の北京。ちょうど2022年の年末、北京で新型コロナウイルスが感染爆発した頃から始まります。私も同じ時期に北京で過ごしていましたから、いろいろと我が事として思い出されることも多く、楽しく読みました。

主人公は36歳で子どものいない駐在妻*1。中国入国後の隔離*2を経験し、北京に到着してから贅沢三昧の日々を過ごします。すでに北京で3年働く頭ガチガチサラリーマンの夫よりよっぽど北京暮らしをエンジョイする物語です。主人公の女性は中国語が全く出来ないのに中国のネット通販「タオバオ」(“淘宝”)や中国版インスタグラムとも呼ばれているSNS「小紅書」(“小红书”)を使いこなしていて、読んでいるだけで中国の「今」が分かります。

北京という街の特徴についてもよく分析していて、うまい表現で書かれているのを見ると、いや、言い得て妙だなあと感じます。

北京では地方出身者が肩身の狭い思いをしてるとか、故郷を恋しく思って帰りたくなるとも聞いていたから、北京は田舎から出てきた人間を打ちのめすほどの大都会のコンクリートジャングルかと思ったら、意外と土くさい素朴な雰囲気が街にも人にも残っている。これなら行ったこと無いけど上海とか、または東京の方がよっぽど、田舎から出てきた人間を不安にさせる近未来的な発展具合と騒がしさがあるんじゃないかと思った。

パッキパキ北京/綿矢りさ

そうそう、北京って今や世界第2の経済大国・中国の首都なのに、なんかこう、巨大な田舎みたいなところがあるんですよね。冬になると立派なショッピングモールの入口に防寒用の巨大な布団みたいなものが下がっていて、ちょっとダサい(笑)けど、これが室内の温度を保ったり、あと防風にもなったりして良いんです。東京ではまず見られないと風景かと思います。

あとは新型コロナの感染爆発した時期を経験した人なら「分かる分かる」「大変だったなあ」と思い出される描写もたくさんありました。

夫は少しも北京に馴染んでない。会社と家との往復で、仕事は難なくこなしているけど、それ以外はほとんどほとんど家に閉じこもり気味だった。夫が巨大な都市北京のめぼしい場所にまだ行ってないと知り、少しからかうと、「君が来るほんの少し前までは、コロナ感染対策が厳戒態勢で、とてもじゃないが街をうろつける雰囲気じゃなかったんだ。マンションからほとんど出ないで過ごして、仕事や会議もオンラインでこなして、毎朝氷点下十度以下の極寒のなか、ときには一時間以上も毎日場所が変わる野外のPCR検査所の長蛇の列に並んだんだ。遊ぶ余裕なんかこれっぽっちも無かったよ」とすごい剣幕で反論が返ってきた。よっぽど苦労したらしい。

パッキパキ北京/綿矢りさ

わはは、そうそう。中国の「ゼロコロナ」政策、特に末期の頃は店がどこも閉まってしまい、開いている店も24時間以内のPCR検査の陰性証明を要求されるなど本当に大変でした。

推して知るべし
今日、会社のオフィス近くにびっくりするぐらいの行列ができていた。時間は午後4時過ぎだったかな、みんなPCR検査を受けるために並んでいる人たち。ここ朝陽区は北京で最も感染が確認されていて(と言っても100人余り)区内のあらゆる場所が24時間以内の陰性証明を要求するようになってきている。一方で大量のPCR検査場を閉鎖しているという話も。そりゃあ……こうなるよねえ。私の会社のオフィス近くにも検査場がひとつある。誰でも入れるエリアではないので、そこは混んでいないようだ。しかしそうでない人はこの列を毎日並ばないとい...

しかし、ほどなくして「ゼロコロナ」政策は急転直下、光芒一閃の政策変更をするんですよね。PCR検査はなし崩し的に求められなくなり、入国後の隔離もなくなりました。中国に来たのが「ゼロコロナ」政策の前か後かで抱く印象は本当に違うと思います。

中国に住んでいて、かつ「ゼロコロナ」政策を経験した身としては面白く読みました。ただ、ストーリーとしてはどうでしょう。最後も何だかあっさり終わってしまって「え、もう終わり?」と思ってしまい、中国(特に北京)に住んでいないとか、あるいは中国について前提知識が少ない方は楽しめるのかなあと感じました。あるいは、この作品は綿矢りささん自身が北京滞在時に見聞きした経験が詰め込まれているということですから、もしかすると純粋に「エッセイ」を読んでいるつもりで楽しめば良いのかも知れません。

References
*1夫の海外転勤に帯同する女性のこと。
*2中国政府の「ゼロコロナ」政策においては中国入国後にホテルで一定期間の「隔離」が求められました。私のときは10日間、ホテルの自室から一歩も出られない日々を過ごしました。

36週目の妊産婦検診

今日は午前休を取って妻の妊産婦検診に同行しました。妊娠36週目の検診です。当初は日本語通訳をお願いして妻だけで行く予定だったのですが、そろそろ出産日をどうするなんて具体的なことも決まってくるので私も行った方がいいかと思い。

こちらの病院の日本語通訳さんとお会いするのは今日が2回目です。私が検診に同行するときは基本通訳はお願いしておらず、病院に通い始めたばかりの頃に通訳さんにご挨拶をしておきたいと、一度だけ通訳をお願いしたことがありました。妻は何度か1人でかかった検診の際にお世話になっているんですけど。

通訳さんは私が中国語を話すことを知っているので「ご主人は通訳必要ありませんよね?私は必要なときだけ訳します」なんておっしゃる。で、私は「妻が分かりやすいよう、念のため医師の説明は全部日本語に訳してくれませんか」とお願いすると「分かりました」と言ってくれたものの、少しやりづらそう(笑)。いや、分かりますよ、私も中国語ができる日本人や、日本語が出来る中国人の前で通訳するのはやりづらいもの(^^;)。

けれど、さすがプロの通訳さんだけあって安定感のある通訳をしてくれました。医療通訳の方っていうのはやはり医療に関する知識がそこらの人よりあるんでしょうね。医師の説明を直接訳すのはもちろんですけど、より分かりやすい日本語で通訳してくれたように思いました。あとは長く日本人の通訳をしているからこそ、日本人ならではの事情に詳しい印象を受けました。例えば医療保険の話になったときに「日本の方が多く加入している保険だと○○な場合がありますから注意してくださいね」とアドバイスをしてくれるとか。こういうのは病院が教えてくれないことも多いので、日本人通訳さんが教えてくれると本当に助かります。そういう意味ではいくら言葉ができても通訳さんを頼る理由はたくさんあるかもしれませんね。

一店去ってまた一店

私の住んでいるマンションはショッピングモールとくっついているのですが、ここの地下一階にあるフードコートは店の入れ替わりが本当に頻繁です。

どうやら新しく水餃子の店がオープンするそうです。ここには以前、中華ハンバーガーなる店(“贾国龙”)がありましたが、うーん、思い出すと確かにあんまり客が入っていなかったなあ。潰れるのは時間の問題かと思っていましたが、まさかこんなに早く潰れるとは思いませんでした。だって、その中華風ハンバーガーの店、数か月前にオープンしたばかりだったんだもの。

ダメなら早く店を畳んで次!ということなんでしょうか。この決断力、いかにも中国らしいというか、すごいですよね。日本にはないスピード感で、ある意味羨ましいです。

はやり風邪

先週くらいから喉がやられ、本能的に「ああ、こりゃあ風邪の引き始めだな」と分かるような状態が続いています。体もだるいのですが、熱は測りません。測って、かりに熱があっても休めないので。

とは言え、身重の妻がいるのにこれがインフルエンザや新型コロナウイルスではいかんので病院に行くことにしました。いつも日本から持ってきた市販薬で乗り切ろうとすることが多いので、私が病院に行くと言うと妻は「へ?あ、そう」と意外そうな顔をしていました。それに会社が私たち駐在員のために毎月高額の保険料を払ってくれているので、こういうときこそ病院に行かなければ保険がもったいないというものです。

新源里にある「ラッフルズメディカル北京クリニック」。急患扱いなら中国語に限って予約不要だそうですが、念のため「これから行きます」と電話してから向かいました。

いざ病院で体温を測ると38度!予想より高かったので驚きました。インフルエンザと新型コロナウイルスの検査をするため、あの長い綿棒みたいな検査棒をそれぞれ左の鼻と右の穴に突っ込まれました。正直、涙目です。そのあとは採血……で、私の腕って血管が見つけにくいとよく言われるんですが、今日の看護師さんも困り果てていました。右腕を見て「うーん」と悩んで左腕。けど「うーん」と言って、やはり右腕。どうしようもなくなって、年長のベテラン看護師さんまで呼んで来る始末。けど亀の甲より年の功とは言ったもので、私の腕をチョンチョンと触って「ここが血管よ」と一発で言い当てていました。ほんまかいな?と思いましたが、針を刺すと果たして血がスーッと出てきたので、うーむ、さすがだなあと感動しちゃいました。

で、検査の結果、インフルエンザも新型コロナウイルスも陰性。通常の風邪で、呼吸器が炎症を起こしたのでしょうとのことでした。抗生物質や解熱剤、あとトローチなんかも処方されて帰宅することに。思えば先週木曜日に仕事が忙しくて明け方まで働いたんですけど、あの頃から調子が悪いんですよね。疲れると免疫力が下がるっていうのは、その通りなんだと思います。

病院から自宅に戻る途中、亮馬河が凍って氷上で遊ぶ人たちを見かけました。北京らしい風景です。

はま寿司北京1号店

北京に新しくオープンした回転ずし「はま寿司」に行ってきました。北京1号店です。

北京在住の日本人の間で長らく「はま寿司ができるらしい」というウワサだけは流れていたものの、一向にオープンする様子が見られなかったので「このままオープンしないのでは」とまで言われていました(笑)。中国の人たちの間では一時期、福島第一原発の処理水放出を受けて海鮮を敬遠する動きも見られましたし、開店時期を見極めていたのかもしれません。

けれど、その心配は杞憂だったと思います。午後0時半頃に着いたんですけど、そりゃあもう、びっくりするような人数が待っていました。おそらく100組は優に超えていたんじゃないかな(^^;)。何だかんだで、みんな寿司を食べたいんですね。

はま寿司ができたのは朝陽公園の北にあるショッピングモール「ソラナ」。とても広いモールなので、どこにはま寿司ができたのか探すのに一苦労するかと思っていましたが、大量の人が順番待ちしていたのですぐに分かりました。

北京に日系の回転寿司チェーンは進出したのは今回が初めて。もちろん以前から中国企業の運営する回転寿司はありましたが、それらには残念な品質のところも多いんですよね。客の入りから見ても日系の回転寿司チェーンに対する期待の高さが感じられます。

看板に書いてあるのは“我在濱寿司很想你”(はま寿司であなたのことを思う)。中国では至る所で“我在○○很想你”(○○であなたのことを思う)という看板を目にします。SNS映えを狙ったもののようで、この看板と一緒に写真を撮るのがオシャレなんだそうです。はま寿司であなたのことを思う、なんて写真を送りつけられても困っちゃいますけど。

結局2時間半ほど待ち、席に案内された頃には午後3時前。けれど客は引っ切りなしに訪れていて、私たちの後ろにも山のような人たちが順番待ちしていました。

寿司は一皿10元(約200円)から。例によって寿司は回転しておらず、タブレットで注文する度に商品がレールで運ばれてくるシステムでした。今は日本もこういう回転寿司が増えているみたいですね。確かに衛生的に良さそうだし食品ロスも防げそう。客にとっても握りたての寿司が食べられるのはメリットかもしれません。

そこそこ食べましたが会計は思ったより安め、さすがのコスパです。生ビールやハイボールも15元(約300円)で、居酒屋っぽく使っても良さそう。しかしねえ……2時間半はちょっと長い。午後0時半に来店したはずなのに、店を出る頃には午後5時前になっていました。北京にもう何店舗かできてくれれば客も分散するかもしれませんが……次は並ばないで良いときに再訪したいと思います。

帰省の旅路こそ年越し

昨日、街なかで春節に向けた飾り付けが進んでいるという記事を書いたばかりですが、今日「滴滴」(ディーディー)*1に乗ると、窓ガラスにメッセージが貼られているのに気付きました。

回到小时候的秘诀,就是多见老朋友”(幼い頃に戻る秘訣は古い友人たちにたくさん会うことだ)。で、その下に“回家的路上,就是年”との文字。直訳すると「家に帰る道こそ『年』だ」となりますが、つまり「帰省の旅路、それこそ年越し」という意味ですね。

私の職場にいる中国人の同僚も帰省する予定の人が多いようです。こういうメッセージが街なかにぽつぽつ出てきて、年の瀬モードかな。みんなソワソワし始める時期かもしれません。

References
*1スマートフォンアプリで車を呼ぶ配車サービス。中国では流しのタクシーに乗るより、こちらのサービスのほうが頻繁に利用されています。

春節に向けた準備

今日、昼食を食べに外に出ると街路樹に登ってゴソゴソ作業をしている人たちを見かけました。

よく見てみるとLEDライトを街路樹にくるくると巻き付けていました。なるほど、夜になるとライトアップさせるんですね。春節(旧正月)に向けて着々と準備が進んでいます。

ハイローチェア

ベビーベッドに続き、注文していた「ハイローチェア」が届きました。

簡易ベビーベッドにもなるし、椅子としても使えるベビーラックです。「ハイロー」というくらいなので高さも調整できます。今回購入したのは「コンビ」という日本メーカーのもので、ロックを外せばゆらゆらと前後にも揺れるのでバウンサーのようにも使うことができます。

日本メーカーの商品ですが、中国のネット通販「タオバオ」(“淘宝”)に売っていました。妻が見つけてくれたので「おお、日本の商品が買えるとはラッキー」と思ってポチろうとすると……あら?購入できないのです。

表示されたポップアップメッセージには「中国大陸の身分証で認証されたAlipayアカウントでしかこの商品を購入いただけません」との文字。中国では国民一人一人に「身分証」が発行されますが、外国人は持っていないので事実上購入できないということです。おそらく越境EC*1の場合、通関手続きなどが発生するため外国人はお断りしているってことでしょうね。

しようがなく職場の中国人の同僚に頼んで購入してもらいました。で、私は購入金額を支払うという形で。めんどうですけど、中国で日本のベビーグッズが買えたので良しとします。

References
*1ネット通販サービスを通じて海外の商品を購入し、取り寄せること。

たのしい宅飲み

今日は北京で働いている同業他社の方を家に招いて食事をしました。

いつか食事をしましょうと約束していた方で、ようやく実現。妻のお腹も結構大きくなってきたので、大事を取って外食はやめておくことにしました。お招きする方も実は同じマンションに住んでいるので家は家で都合が良いのです。で、食事の支度も今日は私が腕を振るうことに……といっても、メインは簡単に鍋ですけど。

鍋はキムチ鍋にして、具材にはラム肉や豆苗など中国っぽいものも用意してみました。あとは祖母直伝のポテトサラダやお刺身など……って、これだと元日に食べたのと同じメニュー(笑)。まあ、私が好きだからです。

品数はそこまで多くはありませんがテーブルいっぱいに並べてみました。小さい頃からお客さんが来るとテーブルいっぱいに食べきれないほどの料理が並んだんですよね。特に祖母がそういう人で、食べきれないほど料理を用意することが「おもてなし」だと考えていたように感じます。まあ、今日の私にとっては単にホストのメンツかもしれないですけど(^^;)。

でも「何だかお正月みたいですね」と言ってもらえたのは最高の褒め言葉でした。同じ仕事をしている方で苦労話が共通するもので話が盛り上がり、例によって時間があっという間に過ぎました。

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