The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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中国では当たり前のスマホ決済

午前中、職場でせっせと仕事をしていると、新しく北京に赴任した同僚から「スマホ決済の設定をしてほしい」と頼まれました。奥さんと娘さんも一緒で、ちょうど銀行口座を開設して来たところのようです。中国のスマホ決済は基本的に銀行口座と紐付けるので、口座がないと話にならないんですよね。日本の「Paypay」なんかはクレジットカードがあればとりあえず使えたと記憶しています。

中国ではもちろん現金も使えるものの、さまざまなサービスがスマホ決済を前提に設計されているので、使えないととにかく不便ですよね。最近ようやく「WeChat Pay」が海外発行のクレジットカードに対応しましたが、設定には中国語ができないと苦労する部分も多く、外国人にはとても「不親切」なシステムです。

私のほうで同僚と、同僚の奥さんのスマホ決済をそれぞれ設定してさしあげました。完了したときのお二人の顔(^^;)。やっと「人並みの生活ができるようになった」と言わんばかりの表情でした。晴れて奥さんと娘さんはようやく別行動できるようになったわけですね。

ふと思ったんですが、娘さんはどうするんだろう。もう小学5年生とのこと。友達と出かけて食事をしたり、買い物をしたりしたいこともあるでしょう。日本なら現金でお小遣いを渡すところですが、中国だとスマートフォンを買い与えることからしないといけないんでしょうか。

外国人に排他的なスマホ決済

以前何度かブログにも書きましたが、今の中国では現金を使うことがほとんどありません。

その代わりにスマホ決済が利用されています。最も利用されている二大巨頭は「Alipay」(“支付宝”)と「WeChat Pay」(“微信支付”)で、どちらも日本の「Paypay」のようにQRコードを使った決済です。こんなマーク、日本でも見かけることありますよね。

スマホ決済が普及すること自体は別にいいと思います。問題は、この2種類が外国人にとって非常に利用しにくい仕組みになっていることです。

そもそも「Alipay」や「WeChat Pay」のアカウントは中国国内の銀行口座や電話番号がないと開設できない仕組みになっています。私のように中国に住んでいる外国人なら問題ありませんが、ちょっとした旅行で中国に行くような人にはハードルが高すぎます。中国の銀行は旅行に来たような短期滞在の外国人に口座を作ってはくれません。

事実上、外国人は長期で居住している人を除いて現金に頼ることになります。けれどこれも厄介です。だって冒頭に書いたように、中国はすでに「現金を使わない国」になっています。現金で支払おうとすると露骨に嫌そうな顔をされたり、おつりがないと言われたりすることもあるのです。私が去年9月に中国に到着して隔離を経験したときも、その部屋・食事代を「Alipay」か「WeChat Pay」で支払うよう求められました。

中国北京での隔離生活1日目。たった1時間の時差しかないものの、体はまだ日本時間なのか少し早めに目が覚めた。朝食はお粥、肉まん、マントウ、ゆで卵、漬物。漬物は日本で売っているきゅうりのキューちゃんみたいな味だった。中国のお粥は日本のそれに比べて水分量が多い。塩味くらい付いているのかと思ったらそのままだった。これだけ食べるのも寂しかったので、日本から持ってきた永谷園のお茶漬けのりを入れたらちょうどいい感じに味がついて良かった。午前10時頃になって、係員が部屋代の回収に来た。扉を開けると防護服に身を包...

普通に考えて中国に到着したばかりの外国人が「Alipay」か「WeChat Pay」のアカウントを持っているはずがありません。それでも当時の係員は「友達や同僚に頼むとか、どうにかしてください」の一点張り。海外でも外国人たちが当たり前のように「Alipay」や「WeChat Pay」を使っていると思い込んでいるのでしょうか。

こうした場合、日本を始め欧米諸国ではクレジットカードが一般的です。中国も以前はクレジットカードが使える店がもうちょっとあったように思いますが、3年にわたる「ゼロコロナ」政策*1で他国の往来が絶たれた結果、中国国内の決済方法が独特に変化してしまったんでしょうね。かつて「ガラパゴス化」という表現は日本に用いられましたが、今や中国に使うのがピッタリだと思います。

けれどコロナ禍が明けた今、このままではいけないでしょう。外国人はどうするんですか。現金やクレジットカードが使える店を増やすとか、せめて「Alipay」「WeChat Pay」を簡単に使えるようにしてくれないとコンビニで水1本買うことができません。しかし目立って対応しようという姿勢は見られないんですよねえ。そもそも日本人に対するノービザ*2も復活していませんから、今のうちは対応つもりもないのかもしれません。どうしてこうも排他的になってしまったのでしょう。

そして、こちらはマカオの自動販売機で見かけた表記。

支付寶以及微信支付服務僅支持中國大陸身份證實名個人用戶。

「Alipay」及び「WeChat Pay」のサービスは中国本土の身分証で実名認証を済ませた個人アカウントのみ対応しています。

「Alipay」「WeChat Pay」を利用するには「実名認証」というのをしなければなりません。中国の方々は政府が発行する身分証を使って実名認証をしますが、私たち外国人は身分証を持たないのでパスポートを使わないといけないんですね。つまり、この表記が意図しているところを分かりやすく書くと「マカオで『Alipay』『WeChat Pay』で買い物をしていいのは中国人だけね、外国人はダメよ」と言っているわけです。

ちなみに、これはマカオだけでなく日本を含む外国どこもそうです。私たち外国人は中国国内の銀行口座、電話番号を持って初めて「Alipay」「Wechat Pay」の利用が許され、けれどそれは中国国内に限るわけです。まあ想像するに、私たちが中国国内の銀行口座に預金している金はあくまで中国の金なわけで、それを外国人が海外で消費するのはダメだということなんでしょうね。

一体どこまで外国人に不親切なんだろうとため息が出ます。日本人に対するノービザ再開もまだ先なんだろうなあ、と少々暗澹たる気持ちになります。

References
*1新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む中国政府の政策です。今や何だかちょっと懐かしい響きになってしまいましたね。
*2コロナ前は日本人が観光や出張目的で中国に行く際、15日以内の滞在であればビザがなくても入国を認める「ビザ免除措置」というものがありました。ただ新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月以降、これを停止していました。

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