The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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ごはん食べた?

中国語で挨拶の代表選手と言えば“你好”(ニーハオ)だ。中国語を学んだことのない人でも一度は聞いたことのあるフレーズだが、親しい者同士で使うことは滅多にない。日本語でも家族同士で「こんにちは」と言わないのと同じような感じ。よそよそしく、むず痒い感じがする。

中国語の教科書にはよく「中国人は挨拶代わりに“吃饭了吗?”(ごはん食べた?)と言う」という説明が書かれている。正直、中国語を学び始めたばかりの頃は「ほんと~!?そんな人、見たことないー」と感じたものだ。それに11年前の留学時代もそんな挨拶をされた覚えはない。

それが、今、北京で働くようになって……「ごはん食べた?」と挨拶してくる人がいるのだ。

いつも職場のお掃除をしに来てくれる女性の方。日本語ペラペラな他の中国人スタッフと違い、中国語しか話せない方で、まさに“老百姓*1なので、一般の中国人はどんなことを考えているのかなあということを知りたくて、中国語の練習も兼ねてよくお喋りをしている。

この方、いつも昼に会うと「ごはん食べた?」と聞いてくる。当初は、中国に来たばかりの私が何を食べたか気になるのかなあと思い「今日は牛肉麺を食べたよ」とか「これからデリバリーを頼む」なんて答えていたのだが、あまりに毎回聞いてくるので最近は「これ……私が何を食べたのかは別にどうでもよくて(笑)ただの挨拶なのでは」と考えるようになった。

日本語にもそういう挨拶はある。日本人がよく使う「お疲れさまです」……本当に疲れているかどうかは問題ではなく「どうも」くらいの意味なので、人に言われて「え……私、今日は別に疲れていないけど」と返す人はいない。「お疲れさまです」と言われば「お疲れさまです」と返せばいい。だから中国語でも「ごはん食べた?」と聞かれれば「食べたよー、君は?」程度で構わないわけだ。

けど私はいつも「今日は麺を食べたよー。行ったのは○○の店で……」といろいろ答えるようにしている。そのほうが話が広がるのだ。相手も「○○に行ったの!?あそこよりアッチのほうがいいよ」なんて教えてくれる。

そして今日は私も「ごはん食べた?」デビューをしてみた。これまた中国語しか話せない中国人スタッフに「ごはん食べた?」と聞くと「食べたよー、これから食後のお茶を入れるところ」と返してくれた。すると、そこから「どこのお茶?」「アルゼンチン」「へー!アルゼンチンのお茶!」なんて話が続いて盛り上がった。なるほど、これが「ごはん食べた?」の醍醐味かあ。

けど、この挨拶。昼時にしか使えないのが残念だ(^^;)。

References
*1老百姓”というのは「庶民」とか「一般の人」という意味。日本語的には「年老いた農民」と読めそうだが、中国語では全く違う意味だ。

你是不是在凡尔赛?

昨日まで行っていた山西省出張での出来事。

同行していた中国人スタッフが「スマートフォンの電池がなくなりそう」と言う。私がモバイルバッテリーを貸してあげようとしたら「あなたのスマートフォンの電池は大丈夫なんですか」と言うので「まだ残量は80%もあるから大丈夫。新しいスマートフォンだから」と冗談交じりに答えると“你是不是在凡尔赛?”(「あなたは『ベルサイユ』しているんですか」)と笑いながら言う。

「“凡尔赛”(ベルサイユ)する」ってどういうこと?「ベルサイユ」自体は言わずと知れたフランスの地名だ。しかしこの場合は明らかに意味が違う。

聞くと、高級感や贅沢な生活をアピールし、自分の優越感をさりげなく誇示することを指す新語らしい。日本語でいう「マウントをとる」といったところだろうか。

漢字が分からないとき

高校時代の友人からツイッターで「中国人は漢字が思い出せないとき(急いでメモを取るときなど)どうしてるの?」と質問をもらった。

実はこういう質問は以前にも受けたことがある。日本人が疑問に思う背景には、おそらく日本語の場合「ひらがな」に逃げることができるからじゃないかな。漢字が思い出せなければ、とりあえずひらがなでメモはできる。ひらがなのない中国語はどうするのか、と。

ちなみに中国語にも「ピンイン」(“拼音”)というものがある。日本語でいうローマ字のように、アルファベットで中国語の発音を表記する方法だ。中国の人がパソコンやスマートフォンで中国語を入力する際は、この「ピンイン」を使う。例えば「中華人民共和国」(“中华人民共和国”)ならピンイン表記は[Zhōnghuá rénmín gònghéguó]になる。アルファベットの上にちょこちょこ付いているのは、発音の高低(声調)を表す記号だ。

だったら漢字が思い出せないときは「ピンイン」を書くの?と思うかもしれないが、それはないようだ。職場の中国人スタッフに聞いてみると「さすがに漢字の羅列にアルファベットは混ぜません」と言う。確かにいくらメモ書きでもアンバランス。さらに「文章の中に『ピンイン』が混じっているのは小学生みたいで恥ずかしいですよ」とも言う。中国語を学び始めたばかりの学習者ならありえるかもしれないが、ネイティブの中国人はそういうことはしないのだろう。

ちなみに台湾では漢字の発音表記に「ピンイン」ではなく「注音符号」という記号を用いる。例えば先ほどの「中華人民共和国」(“中華人民共和國”)なら「ㄓㄨㄥ ㄏㄨㄚˊ ㄖㄣˊ ㄇㄧㄣˊ ㄍㄨㄥˋ ㄏㄜˊ ㄍㄨㄛˊ」と記述する。不思議な記号に見えるかもしれないが台湾では一般的に使われるもので、ひらがなやカタカナと同様、漢字が変化してできた文字だ。台湾の人たちが書いた中国語を見ると、この「注音符号」を混ぜて書いた文章もたまーに見かける。見た目が漢字に近いので、そういう意味では「ピンイン」より漢字との親和性が高いのかもしれない。

で結局、漢字が思い出せないときはどうするのか。

中国人スタッフ曰く「同じ発音の漢字で代替します」とのこと。例えば「キーボード」のことを意味する“键盘”。このうち“”という漢字をド忘れした場合、“见盘”と書く……といった具合だ。“”も“”も発音は[jiàn]で同じだからだ。けど……文章に「ピンイン」が混じっているのは恥ずかしいという割に、これも相当恥ずかしいのではと思うけど(笑)。するとスタッフは「緊急用ですね。人に見せるのはやはり恥ずかしいです」と話す。

その上でスタッフはこうとも教えてくれた。

「今は漢字が思い出せないときは、みんなスマートフォンで変換して調べますよ」。わはは、そうか、確かによく考えれば日本も同じかもしれない(^^;)。

言語の奥深さ

連日の飲み会、最後に控えしは、もともと仕事でつながりができ、今や友人と言える仲になった中国人の女性。同じ業界で働いているが、とにかく「できる」方で、いつも会うたびに刺激をもらっている。

日本語が本当に上手で(いや「上手」という表現も失礼かもしれない)話していると一瞬、中国の方だと忘れてしまうほどだ。彼女が日本語で話すのを聞いていても「こんな表現をよく知っているなあ、自分は同じ表現を中国語で言えるだろうか」と感心してしまう。

飲みながら話が出たのが「きしむ」という日本語だ。尾崎豊の「I love you」に次のような歌詞が登場する。

きしむベッドの上で優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

「きしむ」という日本語は中国語にピッタリな訳語が存在しない。辞書を引いても”吱吱嘎嘎响“と説明があるだけだ。これじゃあ「ギシギシと鳴る」になっちゃって、風情?というものがない。こんな歌詞では「壊れているベッドなのかな、直せばいいのに」と感じられること請け合いだろう。

日本語は木と木がこすれ合うことを形容する動詞があるのだなあ。もちろん逆に日本語にピッタリする訳語のない中国語だって存在する。どの言語にも、それぞれの奥深さがあるのだ。

彼女もまた仕事で中国に来ることがあるだろう。別れ際に「さようなら」じゃなくて「また会いましょう」と言えるのが何だかうれしかった。私にとって引き続き刺激をもらい続けたい人の1人。

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