北京は亮馬橋にある「魚清」に行く。北京在住の日本人には有名な鮮魚店だ。
日本にいた頃はスーパーの食料品が半額になるころを見計らって刺身を買いに行き、それで1杯(……いや、1杯では済まないが)やるのが好きだった。もともと日本ほど海鮮を食す文化がない北京では、そこらのスーパーに刺身は売っていない。日本料理店や日系のスーパーに行けば売っているが、私が日本で気軽に食べていた「半額」の感覚で購入するのは難しいだろう。
とは言え、たまーにどうしても食べたくなるのは自分も日本人だから?職場の上司が「魚清」ならおいしい海鮮を売っていると教えてくれたため、行ってみた。
イートインエリアもあって食事をすることもできる。ちょうどお昼だったので食事をいただいた。後日上司に聞くと、週末はずいぶん待つこともあるようで、すんなり座ることができた私たちはどうやらラッキーだったらしい。確かに客が引っ切りなしに訪れていた。
隣は日本人、それもサラリーマン駐在員というよりご自身で経営していらっしゃるのかな?と思わしき、中年の男性2人が酒盛りをしていた。どうやら居酒屋のように利用することもできるようだ。卓上にはおいしそうな小鉢料理やミニカセットコンロで作る鍋が並び、日本酒を飲みながら盛り上がっていた。いいなあ、昼から飲んで楽しそうだ。
サーモンの握りに鉄火巻。
マグロとたこの握り。のっほほほほ、どれもうまいっす。北京に来て数か月、こんなおいしい魚を食べたのは初めて。それに職人が手で握ったふんわりしたシャリがまたうまい。こういう「本物の寿司」ってご飯が少なめで、いつも底なしの食欲におそわれる。
このほか鉄火丼をいただいた。とにかくマグロが食べたくてしようがなかったのだ。
中国人はサーモンがほんっっとに好き。もともと刺身を売るスーパーが少ない北京だが、もし売っているとすれば、まずサーモンの刺身だろう。家の近所のショッピングモールにある寿司屋も、店頭に並ぶのはほぼ「サーモンオンリー」。中国人の口に合うのかなあ。いや、私もサーモンは好きだね。けど、ここまでサーモンを推されるとマグロだって食べたくなるものだ。いやー、おいしい。マグロって冷凍・解凍を繰り返すとパッサパサになるけど、これはプリプリで新鮮。幸せ~。
鉄火丼を食していると、店員が立派な刺し盛りを運んでいた。そういえばメニューに刺身の項目は無かった気がするけど?その刺身盛りがあまりに立派だったので、思わず私が「わあ」と言ったら「刺身はあっちから取ってきてください」と言う。
店員が「あっち」というのは、店内にある物販エリアのことだ。食事後にのぞきに行くと冷蔵庫の中にたくさんの魚介類が並んでいた。もちろん自宅用に買って帰られるし、イートインエリアに持って行くと調理してくれるそう。例えば複数の刺身を持って行けば、板前さんがきれいにさばいて刺し盛りにして出してくれる。
物販エリアにはほかにも日本から輸入した調味料や米、冷凍食品、カップラーメンなどさまざまな商品が並んでいた。日本酒や焼酎など、日本の酒類も豊富。やはり値は少々張るけど、必要なときにすぐ手に入るのは助かりそう。
芋焼酎のさつま白波を購入。鹿児島県での勤務経験がある妻から焼酎がほしいとせっつかれていたのだ。さて、喜んでもらえただろうか。