The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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北京のおでん

北京の夜は早い。飲食店が午後9時、10時には閉まってしまうところが多いのだ。日本の飲食店はずいぶん遅くまで開いている。居酒屋なんて日付が変わって翌日に閉店するところのほうが多いのではないか。牛丼チェーンも24時間営業が多いし、夜遅くなっても食べ物にあまり困った記憶がない。

例によって最近は仕事が忙しく帰宅時間が遅いので、もっぱらセブンイレブンばかりにお世話になっている。今日は温かいものが食べたいと思い、レジ横にあったおでんを購入した。中国のセブンイレブンでおでんは“好炖”と言うらしい。漢字には「よく煮込む」という意味があり、発音も[hǎodùn](ハオドゥン)でちょっぴりおでんに似ている。

食材は日本のおでん定番のものから“豆皮串”などちょっぴり中国っぽいものまでいろいろあった。

私はだいこん、ゆで卵、ウインナー、肉だんご、エビつみれなど、日本風のものを選んだ。店員のおっちゃんに言えば、日本のコンビニと同じように容器に入れてくれる。最後につゆを入れて容器にふたをすると、こぼれないようにラップでぐるぐる巻きにしてくれた。

ほのかに中国っぽい香りがするけれど、おでんはおでんだ。つゆもあっさりしていて、中国の“麻辣烫”とは違う。最近の北京は夜が冷え込むようになってきたので、温かいおでんは何だかほっとする。昨日はコーヒーの記事を書いたばかりだし、セブンイレブンにお世話になりっぱなしだ。

北京でコーヒー好き認定

私はコーヒーが好きだ。おそらく人と比べても飲む量は少し多めかもしれない。特に仕事の合間はどうしてもコーヒーが欲しくなってしまう。

東京にいた頃は毎朝自宅でコーヒーを淹れ、水筒に移して持って行っていた。それでも飲みきってしまうので、大概コンビニの100円コーヒーを買ってしまうことになる。

先日も書いたが、北京のオフィス近所にはセブンイレブンがあってコーヒーを淹れてくれる。日本から送った荷物の中にコーヒーメーカーもあるのだが、あいにくまだ届いておらず、今は基本的に毎日セブンイレブンに行ってコーヒーを買う日々だ。

注文するのはラージサイズのホットコーヒーで、日本円にすると150円ほど。ラージというが、日本のラージよりはもう少し大きめに感じる。

多いときは1日に2回買うこともあるので、店員のおばちゃんも覚えたのだろう。弁当だけ買いに行っても「コーヒーは?買わないの?」と聞かれるようになった。買うつもりはなかったのに、聞かれると欲しくなってしまう。で、買っちゃうのだ(笑)。

今日もコーヒーを買いに行ったところ、おばちゃんがポイントカードみたいなものを見せてきて「今ならキャンペーンやっているよ」と教えてくれた。「1杯購入で2杯目が半額」になるキャンペーンらしい。どういうシステムかその時点ではよく分からなかったのだが、よくよく聞くと20杯のコーヒーを注文できるプリペイドチケットを15杯分の値段で買うことができるとのこと。

で、買ってしまったよ。そのカード(^^;)。

コーヒーメーカーも届くまでまだかかりそうだしねえ。さっそくおばちゃんが1杯目の欄に「✓」マークを書き入れてくれた。現地のセブンイレブンで早々にコーヒー好き認定されたようだ。

北京タクシー今昔

日曜出勤。例によって今日も仕事で帰宅が遅くなってしまった。

北京の地下鉄は日本に比べて終電が早く、23時台には終わってしまう。私の新居は会社から歩くと1時間近くかかるので、タクシーを利用することにした。

中国はタクシー料金が安いため、留学時代にはよく乗った。人通りの多い場所では客同士タクシーの取り合いで、自分が手を上げて止めたのに隣から突然現れたおばちゃんに横取りされるなんてことが多々あった。行き先を告げてもマイナーな場所だと運転手から「知らん」とにべもない態度を取られたり、ひどいときは乗車拒否されたりしたものだ。やっと乗車できたと思ったら実は“黑车”(白タク)で、驚く勢いでメーターが上がっていき、2倍近い運賃を要求されたことも。

とは言え、おしゃべり好きな運転手に当たると会話が弾んだものだ。私が日本人だと分かると「ミシミシ!!カイルー!!」*1なんて自慢げに話してくる。運転手がチャキチャキの北京っ子だと、あまりに強い北京訛りで中国語がほとんど聞き取れなかったこともあった。慣れるまでは大変だったものの、今思えば中国語の良い特訓だったように思う。

しかし、そんな北京のタクシーも今は昔。

今は基本的にスマートフォンで配車することになっていて、流しに乗ることはほぼない。目的地も事前にアプリで入力する仕組みになっていて、黙っていても連れて行ってくれる。運転手とのやり取りは発生せず、余計な会話もない。

便利だけど、今思い返すと、あの経験から学んだものも多かったのだ。技術の進歩はそうした学びの場を奪ってしまう一面もあり、それはそれで寂しいところ。一長一短ですね。

References
*1「ミシミシ」は「飯、飯」(めしめし)で、「カイルー」(“开路”)は「帰る」。日中戦争に関する戦争映画なんかに登場する日本兵が台詞として多用していて、日本語を学んだことのない中国人にもよく知られている。

厳戒態勢の北京

中国では明日から5年に1回の「中国共産党大会」が始まる。

日本だと国のことを決める最高機関といえば、まずは「国会」を思い浮かべるだろう。もちろん中国にも国会に相当するものはある*1。けれど党が国を作った中国では「国」よりも「党」のほうが上。だから中国では「中国共産党大会」が最も重要な会議なのだ。

地下鉄2号線の前門駅、改札を出ようとしたら警察官がひとりひとり身分証を確認していた。よくよく考えれば、前門駅は天安門広場に通じる駅だ。党大会が開かれる人民大会堂も天安門広場に位置するため、警備が厳しくなっているのだろう。

一方、私は中国国内で身分証代わりになるパスポートを持っていない。というのが、公安局に預けているのだ。公安局からは“回执”というパスポートの受取証明書をもらっていて、預けている間はこれがパスポート代わりになると聞いている。これで許してくれるだろうか。

私も列に並んで“回执”を見せて「今、パスポートは公安局に預けていて」と説明しようとしたら一瞥して“走了走了”(行って行って)とのこと(^^;)。ええんかい、これで(笑)。

References
*1中国では「全国人民代表大会」と言う。

温かい食事

今日も仕事がバタバタと忙しく、昼食は会社近所のセブンイレブンで済ませることに。

前にも書いたが、私の留学時代に比べて北京はセブンイレブンが増えた。それも商品のラインナップが充実した気がする。弁当、サンドイッチ、おにぎり、そして店内で淹れてくれるコーヒーや温かいおでん*1に種類豊富なデニッシュ。

もちろん日本のコンビニの充実ぶりとくらべたら「まだまだ」だけど、そこは比べてはなるまい。日本のコンビニが特別すぎるのだ。そういう意味では、北京でこれだけ充実してきたのは御の字。

中国のセブンイレブンで独特なのは、店内のデリカが豊富な点だ。種類がたくさんあって、温かい料理を目の前で弁当箱によそってくれる。

中国人には「食事はアツアツでなければならない」という原則がある。今でこそサラダや日本の刺身は受け入れられているが、数十年前の中国では「生野菜を食べたり、火を通さない生の魚を食べたりだなんて、動物じゃないんだから」と、受け付けない人が多かった。そのため日本だとスーパーやコンビニに並ぶ弁当のごはんがちょっとくらい冷めていても何とも終わらないが、中国人からすれば「作って時間のたった料理」というネガティブな印象が付きかねない。

このセブンイレブンの店内デリカは、お客さんにアツアツの料理を、それも目の前でよそってくれる*2という点で中国に根ざしたサービスなのだ。

昼どきにはコンビニだというのに、そこそこの行列が出来ていた。口頭で注目すれば店員がよそってくれる。ちなみに入れ物も何種類かあって、私は白米の上に惣菜を載せてもらった。

注文したのは“西红柿炒鸡蛋”(トマトと卵の炒め物)と“宫保鸡丁”(鶏肉とピーナッツのピリ辛炒め)。本当は“土豆炖牛肉”(ジャガイモと牛肉の煮込み)が欲しかったが無くなってしまっていた。

味はまずまずだし、白米もほかほかでおいしかった。肝心な値段を忘れてしまったが、お手頃価格だったように思う。すぐ近所のコンビニで温かい料理がこうして食べられるなら、この点については日本のコンビニより進んでいるのかもしれない。

References
*1中国でも日本の「おでん」は知られていて“熬点”(発音が『アオディエン』)とか“关东煮”(日本の漢字で「関東煮」)と呼ばれている。北京のセブンイレブンでもレジ横で提供されているが、味はやはりちょっと「中華風」。
*2中国人は「自分で見て確認したもの」しか信用しないところがあって、そういう意味でも「目の前で自分のためによそってくれる」というのは大切なポイントかもしれない。

朝星夜星

今日は午前6時出勤。昨日から新居なので会社までかかる時間が読めず、早めに家を出発。

午前5時台の北京はまだ暗い。新居から会社までは地下鉄で向かったのだが、ガラガラだった……って、そりゃあ午前5時台じゃそうか。会社にも思いのほかずいぶん早めに着いてしまった。

同じ時間に出勤した先輩が朝食の出前を頼むというので、私も一緒にお願いした。

注文したのは「永和大王」という、中国ならどこでも見かける中華料理のファストフードチェーン。私は豆乳、油条、蛋餅のセットを注文。これぞ中国の朝食!おいしかったが、油条も蛋餅も油を使った料理なので、食べ終わる頃には胃もたれしてしまった。やっぱり私も日本人なんだなあ(^^;)。

日中は頗る忙しく、今日も日付が変わってからの帰宅になってしまった。

日が昇らないうちから出勤し、真っ暗になってから退勤する。こういうのを「朝星夜星」と言うのだと、確か母親から教わった気がする……のだが、これは全国的に使われている表現なのだろうか。おそらく「朝、星が出ている時間から働きに出て、夜、星が出るまで働く」という意味なのだろう。

新居に入居

今日から新居に住むことができることになり、隔離明けからお世話になっていたホテルをチェックアウト。家探しの際に一緒に回ってくれた不動産屋さんが車を出してくれ、重くて大きなスーツケースが2つある身としては助かった。

ホテルのロビーにいると私の名前を呼ぶ日本人男性が近寄ってくるので、誰かと思ったらホテルの副総支配人だった。私が宿泊していたホテルは日系なので、しかるべき部門には日本人がいるのだろう。ご宿泊ありがとうございましたと頭を下げられてしまい、こちらが恐縮してしまった。私みたいなペーペーにも丁寧に対応してくれるんだから、さすがだ。

副総支配人に見送られるVIP待遇で新居へ向かい、荷物だけ置いたらすぐに出勤。地下鉄で行こうかと思ったら、これまた不動産屋の方が会社近くまで車で送ってくれた。ありがたいなあ。

今日のバタバタ忙しい一日で、新居に戻ったのは日付が変わる頃だった。部屋にはまだ何もないし、ガランとしていて逆に落ち着かない。これならホテルくらいのこじんまりした空間のほうが落ち着けるというものだ。せっかく入居したのでいろいろと日用品を買い揃えたいところだが、今週・来週は忙しいのでもうちょっと先になるかな。

中国コーヒー戦国時代

私が北京に留学していたのはたかだか11年前だが、それでも当時と比べるとたくさんの変化を感じる。どれも私の主観だから、他人からすれば「どうでもいい変化」かもしれないけれど(^^;)。

そのうちのひとつ、多くの人がコーヒーを飲むようになったと感じる。

11年前の北京はコーヒーを好んで飲む人がまだ少なかった。日本の純喫茶のようにコーヒーだけを出す店は無かったし、喫茶店というと文字通り「茶」を楽しむ場所だった。スターバックスやコスタコーヒーといった海外のカフェチェーンは当時からあったが、中国人たちは専らカフェモカやココアといった甘い飲み物が目当てで、コーヒーを飲む人は少なかったように思う。

そうしたなか例外的に珈琲の名を冠する店があった。その名も「上島珈琲」(”上岛咖啡“)、北京だけでなく中国各地で見かけたことを覚えている。

北京の上島珈琲(2011年1月撮影)

日本で上島珈琲と言えば、神戸に本社を置くUCCが経営する「上島珈琲店」だ。

上島珈琲店
美味しいカフェをお探しなら、上島珈琲店へご来店ください。美味しさにこだわりぬいたネルドリップコーヒーで、厳選された季節のデザートやお食事メニューをゆっくりお楽しみいただけます。近くのカフェをお探しなら、ぜひ上島珈琲店へ!

一方、中国の上島珈琲は全くの別物。どうやら台湾発祥のようで、中国国内で約1000店舗と派手に展開し、現地で知らない人はいないほどメジャーになっている。日本の上島珈琲店も中国に進出はしているものの、皮肉にもこちらのほうが圧倒的な認知を得ている。

北京の上島珈琲(2011年1月撮影)

ニセモノかどうかはさておき「珈琲」という文字が店名に入っているのだ。それなりのコーヒーを出してくれるんじゃないかと期待して、留学時代に一度入店してみた。

私の入った店舗は暗く怪しい雰囲気が漂っていて(笑)それぞれのボックス席がすだれで仕切られ目隠しのようになっていた*1。メニューを見ると喫茶店というよりは、ファミレスのようなラインナップ。メニューのどこにコーヒーが書いてあるのか探してしまうほどだった。

肝心なコーヒーだが、まるでお湯のように薄い味で全くおいしくなかった。おそらくブラックで飲む人が少なく、どうせ砂糖とミルクを入れるので、コーヒーそのものはあまり重要ではなかったのだろう。当時は中国でこういう薄いコーヒーによく出くわした。これならインスタントコーヒーのほうがまだましだ、と泣く泣く帰ったのを覚えている。

なぜそんなことを思い出したかというと、今日、会社近所にあるセブンイレブンでコーヒーを買ったからだ。写真はMサイズ(”中杯“)で、10元(約200円)。たっぷり入っていて、味もまあまあ。少なくとも上島珈琲(『上島珈琲店』ではなく)と比べれば雲泥の差だ。

そもそもセブンイレブンだって私の留学時代にはほとんどなかった。それが今や北京の至る所にできて、そこでコーヒーが買える。ちょっと大げさかもしれないけど、留学当時にコーヒー難民だった私からすれば隔世の感を禁じ得ない。それだけ今、中国でコーヒーが飲まれるようになっているのだ。

中国国産のカフェチェーンも多数生まれている。

その代表例が「ラッキンコーヒー」(”瑞幸咖啡“)。わずか4年前に北京に1号店を出したばかりだというのに、すでに7000店舗近くを展開し、数だけならスターバックスを凌いでいる。実際、北京の街を歩いていてもあちらこちらで見かける。行ってみると、店舗の内装はおしゃれだしコーヒーの味もまずまず。何も知らずに店を訪れた人はまさかラッキンコーヒーが中国国産のカフェチェーンとは思わないんじゃないかなあ。

今や、中国のコーヒー市場は「戦国時代」だ。中国人たちのコーヒーを飲む舌はどんどん肥えてきていて、この国で生き残っていくのは簡単ではないだろう。鎬を削る企業の皆さんは大変だろうけど、コーヒー好きとしてはありがたい限り。これからの中国駐在生活、いろんなコーヒーを飲み比べるのが楽しみだ。

References
*1中国人の友人がいつか「一部の上島珈琲は男女でいやらしいことができる」と言っていた。当時はどういう意味かよく分からなかったが、調べてみると一部店舗はカーテンなどで仕切れる空間があって、いわゆる同伴喫茶みたいに使う人がいるらしい……って、私が行ったところがそうだったんじゃないの(^^;)。

連休明けで土日に勤務

中国は国慶節の連休が明け、今日から出勤日だ。

え、今日は土曜日でしょ?と喉元まで出かけたが、中国はそうではない。

日本の大型連休は一日一日が「文化の日」や「建国記念の日」など、祝日として定められている。一方、中国の場合「国慶節は3日間の休みとする」などと、日数のことしか定められておらず、連休にするため前後の土日を動かす……という複雑なことをしているのだ。

これが今月1日~15日までのカレンダーだ。

例えば国慶節の場合、法律では「3日間の休み」と定められている。10月1日が国慶節だが、今年は1日と2日は土日でもともと休みだ。そのため10月3日から3日間を祝日として、まず5連休ができる。多くの人はこのカレンダーを見て「ああ、6日と7日も休みだったら」ときっと思うだろう。

そこで中国は政令で8日と9日の土日の休みを6日と7日に移動させることで7連休を作っているというわけだ。しかしあくまで「移動させてきた」ものなので8日と9日は平日扱い。何だか得したのか損したのかよく分からない気分だ。いっそのこと土日休みはそのままにすればいいのに。

そういうこともあり、北京は土曜日だけれど朝から多くの人が出勤していた。

一方、日本は東京の本社は土曜日で休日態勢。みんな家で王様のブランチ見ているのかな。なーんだか働くのが惜しい気分(笑)。こちらは昨日まで連休だったとは言え、日本がずっと平日だったから何度も仕事の連絡が普通に来ていたんだもの(^^;)。まあ、海外勤務だと仕様がないね。

午後は東城区にある公安局に行ってきた。

中国に長期滞在する場合は入国後30日以内に「居留許可」を取得する必要があるのだが、これを公安局が出してくれるのだ。本当ならもっと早く来たかったが、隔離が明けてすぐ国慶節の連休に入ってしまったため、ようやく今日来ることができた。

中国の公安は日本でいう警察に近い組織だが、管轄している業務が広い。例えば日本の場合、出入国管理は法務省だし、人口や戸籍管理は市役所や区役所の管轄。しかし中国ではこれらは全て公安の管轄。むしろ日本的に表現すれば「警察も公安の業務のひとつ」と言ったほうが分かりやすいか。

公安と聞いてもあまりいいイメージが湧かないのが正直なところだが(笑)*1今日対応してくれた人たちはとても気持ちの良い人たちだった。

色々と仕事を片付けていたら食事をするのも忘れるくらいすっかり遅くなってしまい、同じく最後まで残っていた上司と先輩に誘われ遅い夕食を食べに行った。向かったのは青海牛肉麺の店で、「牛肉涼麺」という冷やし麺をいただいた。見た目が日本の冷やし中華にそっくりだが、いや、味も結構似ていた。スパイシーなところは独特だが、どこか酸味のある感じが冷やし中華を彷彿とさせる。

回族だろう、若いお兄ちゃんたちが店を回していた。先日来、中国で「ごちそうさま」の気持ちをどう伝えるかよく考えているが、今日は店を出るときに「味、とてもおいしかったですよ!」とストレートに伝えたところ、お兄ちゃんが「じゃあ、また来て下さいね!」とニコーッと笑ってくれた。

我ながら気持ちが良い。日本の「ごちそうさま」と違ってそう頻繁に言えるセリフではないが、今度からおいしかった、満足したと思ったら、素直に「おいしかったよ」と伝えてみようかなあ。

References
*1実際、中国人に話を聞いても「公安」に少々怖いイメージがあるという人は結構多い。

日本を感じるイトーヨーカドー

北京で有名な日系スーパーはイオンのほかにもうひとつ、イトーヨーカドーがある。

11年前の留学時代に、西直門にあったイトーヨーカドーには行ったことがある。確か”华堂商场“(華堂商場)という名前で、日系スーパーだからいろいろ日本の商品が手に入るかと期待して行ったが、実際のところは「ほぼ現地のスーパー」だったのを覚えている。

西直門にあった「華堂商場」(2010年9月撮影)

この西直門店は2014年に閉店したらしい。日本のスーパーが受け入れられなかったというわけではなく、ネット通販の普及で苦しい闘いを強いられていたようだ。今や北京にイトーヨーカドーは1店舗を残すのみとなり、どんなものか気になり訪れてみた。

やって来たのはイトーヨーカドー亜運村店。

イトーヨーカドーは中国で2つの名称を使い分けている。ひとつは西直門店などが採用していた”华堂商场“(華堂商場)で、イトーヨーカドーの「カドー」(華堂)の文字を含みつつ、ぱっと見、中国発祥スーパーのようだ。もうひとつは”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)そのままで、ひと目で日系スーパーだと分かる名称だ。こちらは四川省・成都で展開する店舗が採用している。

合弁相手が違うから、と聞いたことがあるが本当にそうなのだろうか。ふと思ったのは、日系スーパーだと目立ちたくないときは”华堂商场“(華堂商場)を使い、日系スーパーであることを全面的に出したいときに”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)を使うのかなあ、とも思ったのだけれど。

北京に唯一残ったこの店舗は”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)だ。

店舗の規模は日本のイトーヨーカドーと同じくらい。

入り口で”九州节“(九州祭り)と題して、九州の物産を販売するフェアを実施していた。現場責任者と思わしき日本人が中国人スタッフに指示しているのを見たので、店舗の運営には日本人も関わっているようだ。

地下の食品売り場に行ってみた。規模が大きくて品揃えが良い。清潔感もあって購買欲もそそる。

中国のスーパーは魚売り場がすごい。日本だと切り身がパックで売られていることがほとんどだが、こちらはドーン!と魚がまるまる並んでいる。それも日本ではあまり見たことのない種類が多い。この写真の黄色がかった魚は”黄花鱼“と書いてある。日本語では「キグチ」と言うらしい。

こちらは”大带鱼“(タチウオ)、北京のスーパーでは比較的よく目にする魚だ。長さが1メートルはありそうで、それが何匹も並ぶ様子は壮観。

他にもこうして水槽に入った魚が何匹も。

それぞれ水槽に名前が貼られていて、右上が”鲟鱼“(チョウザメ)、右下が”草鱼“(ソウギョ)、真ん中の上段は”河鲈鱼“(ヨーロピアンパーチ)などと書いてあるが、正直よく分からない(笑)。食材を見ているというより、水族館で魚を眺めているような気分だ。

私が一番驚いたのは日本の商品の品揃えだ。先日イオンにも行ったが、イトーヨーカドーの品数はその比ではない。日本から直輸入した商品から現地で生産しているであろう商品まで、何でもあった。

うどん県のマークが付いた「讃岐ぶっかけうどんだし」!確か新橋の香川県のアンテナショップで見たことがある。日本の普通のスーパーだって売っていないよ(^^;)。しかしお値段は59元(約1200円)とだいぶお高め。日本での価格を調べてみると、概ね270円といったところのようだ。

弁当やサンドイッチといった出来合いの商品も多数並んでいた。中華もあれば”日式便当“(和風弁当)もあって、どれもおいしそう。価格も10~20元台(約200円~400円台)が多くてお手頃だ。

日本の食材や調味料が必要になったときは、とにかくイトーヨーカドーに来れば全く問題なさそうだ。実際、食品売り場では何人もの日本人とすれ違った。みんなここを頼りにしているんだなあ。

1階には”顾客之声“(お客様の声)という掲示板があった。これも日本らしい。

「店内のケータイ電波が悪い」とか「レストラン街に刀削麺の店を増やしてほしい」などといった意見・要望が書かれていて、店長がひとりひとりに丁寧に回答していた。

今は日々の食材だってインターネットで購入するのが中国。イトーヨーカドーはそんな北京で生き残っていくために「日本の商品」をどこよりも充実させることで他と差別化を図ったんじゃないかしらん。だから店名だって、これまで使っていた”华堂商场“(華堂商場)という地元発祥なのか日系なのか分かりくいものから”伊藤洋华堂“(伊藤洋華堂)という日本名に変え、日本ブランドで闘っていこうとしているんじゃないかなあと。

今日は国慶節の連休最終日だったが、多くの人で賑わっていた。とりあえず、うまくいっているということかな。少なくとも私は今後もお世話になることが多そうだ(^^)。

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