The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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早くも冬支度

少し前まで半袖で過ごしていたが、北京はここ数日突然寒くなった。

特に朝晩の冷え込みは早くも冬を思わせる気温で、今朝なんてダウンを着ている人まで見てしまった。確かに北京の冬は気温が氷点下にまで下がるし、それは留学生活で経験済み。とは言え、まだ10月だというのに。ここ数日が特別寒いのかなあ。

困ったことに、私の手元にある長袖はたったの1着。もっと早く北京に着任する予定だったので、スーツケースには夏服しか入れて来なかったのだ。

さすがに長袖が1着だけなのは……と思い、ユニクロにやってきた。

まさかこんなに早くにお世話になるとは思わなかった。しかし、中国でも「ユニクロ」だ。商品を紹介する中国語の文字が見えなかったら、日本のどこかではないかと見紛いそうなくらいだ。

とりあえずオフィスに着て行く用として買うのでワイシャツを。

オックスフォードシャツを見てみると”限时特优“(時間限定セール)で149元、日本円にすると約3000円だ。高いかな?と思ったけれど、日本の価格を調べてみると2990円。意外と同じだろうか。

オックスフォードシャツ=牛津纺衬衫
スーパーノンアイロンスリムフィットシャツ=高性能修身防皱衬衫
ボタンダウン=纽扣领

ユニクロの商品名、自分用にメモ。

あとはちょっと上に羽織れるものか。これは「プレミアムラムVネックカーディガン」。お値段は299元(約6000円)。暖かそうだし、1着あってもいいかなあ?と思い、ふと日本のユニクロで値段を調べてみると3990円。いやあ、調べちゃいけないことは分かっている、分かっているんだけどねえ……日本でこの値段で買えるのだと思うとやはり尻込みしてしまう。

プレミアムラムVネックカーディガン=柔软绵羊毛V领针织开衫

怖じ気づいてしまい、結局オックスフォードシャツのみを購入。うーむ、秋・冬服が届くまで自分の体がもつだろうか(笑)。まあ、北京にユニクロはたくさんあるのだ、どうしても我慢できなくなったら再度来店するとしよう。

北京のユニクロにも商品を一括でスキャンしてくれる、あのセルフレジがあった。

手元のタブレットに表示される画面表示も言語こそ違えど、日本のそれと全く同じ。支払い方法はご多分に漏れずAlipayかWeChat Payの2択だったが、バーコードをスキャンすれば完了だ。中国のユニクロでも店員と接触することなく会計までできてしまった。いやあ、何度やってもこのシステムは感動する。それこそ食品レジなんかにも応用が利かないのだろうか。

今日買い物をしたユニクロは朝陽区にある「ザ・プレイス」、中国語では「世貿天階」(”世贸天阶“)というショッピングモールにある店舗。

有名なのは長さ250メートル、幅30メートルの巨大な天井スクリーンで、アジア最大の規模らしい。ここは2007年にオープンしているので私の留学時代にはとうにあったはずだが、来たことがなかった。こういう規模のものを惜しみなくドーンと作っちゃうところに中国の勢い*1を感じる。

References
*1まあ、悪く言えば向こう見ずなところでもあるんだけど。

中国語でごちそうさま

中国ではまだ国慶節の連休中だけど、職場には数名の上司や先輩が。かく言う私もだけど(^^;)。

日本はいつも通りの平日、北京の祝日ムードをよそに東京の本社からはお構いなく業務の連絡が入る。日本の会社だもの、それはしょうがない。せめておいしいものを食べようと、上司と小籠包の店にランチに行ってきた。

会社からレンタサイクル(初めて乗った)で10分ほどかけて来たのが「阿文湯包」。

長安街沿いの貴友ビルの裏手にあり、周りは北京CBD*1として賑わうエリアだ。外装・内装がきれいだったので最近出来た店なのかと思ったら、かなり昔からあるらしい。

一言に小籠包と言っても中国各地に様々な種類があるが、こちらの店舗は上海や台湾のものに近い、日本人にも馴染み深いタイプだ。

「阿文湯包」という店名の通り、こういうタイプの小籠包は「湯包」(タンパオ)とも呼ばれ、皮に包まれた餡の中にたっぷりスープが仕込んであるのが特徴。口に入れるとじゅわ~と出てくる熱々の肉汁がジューシーでたまらない。

ナスを揚げて甘く味付けした料理。大学芋に似た味で、上司のオススメだった。

ちなみに料理名は”那年秋天的茄子“(あの年の秋のナス)。ずいぶん洒落た名前だなあと思ったら、この店のオリジナルではなく「あの年の秋のナス」という名前で広く食べられている料理のようだ。由来はよく分からないが、中国の農村部では”立夏栽茄子,立秋吃茄子“(立夏にナスを植え、立秋にナスを食べる)という言い方があるそうで、そこに端を発するのかもしれない。

こちらは”手撕椒麻鸡“。ほぐし鶏をたくさんの花椒と藤椒で和えた料理だ。藤椒のさっぱりした香りと強烈な痺れが病みつきになりそう。お酒があれば進むだろうなあ。

こちらは私のリクエストで注文した”葱油拌面“、焦がしネギ油のまぜそばだ。上海が発祥の料理で、「上海っ子のソウルフード」と呼ばれるほど現地では親しまれている。私も一時期ハマって自分で手作りできないかとチャレンジしてみたが、店で食べるような味にはならず断念したのを覚えている。

ああ、おいしかった。満足満足。

ちなみに日本では店を出るときに「ごちそうさま」と言うが、よくよく思えばいい言葉だ。この「ごちそうさま」には「とてもおいしかったです、みなさんのおもてなしに満足しました、作ってくれてありがとう」と、いろんな意味が込められているのだから。

中国語にはこういうときに使える言葉がない。”谢谢“(ありがとう)だと、店員と被ってしまうだろう。かといって”你们店里的菜都好吃!“(こちらの店の料理はどれもおいしかった)は大げさだし、ちょっと上から目線。もっとさりげなく言いたいが、ぴったりな表現が思い浮かばない。

じゃあ、地元の人たちは何と言って出て行くのだろうと観察していると、意外とみんな黙って出て行く人が多い。うーん、郷に入っては郷に従えかもしれないけど、何か伝えて出て行きたいんだよねえ。自分が料理に満足しているなら尚更。

何かいい表現はないかなあ。

References
*1CBDは「セントラル・ビジネス・ディストリクト」(”Central Business District”)の頭文字で、中国語では”北京商务中心区“と呼ばれている。北京市政府が世界経済の中枢となることを目指して開発を進めているビジネスセンター。

北京で新疆拌麺を食す

今日のお昼は先日、蘭州牛肉麺をいただいた店を再訪した。

注文したのは”新疆拌面“(新疆まぜ麺)。名前から察するにおそらくウイグル料理のラグメンのことだろう。店員さんの格好を見るに回族*1の人たちが経営しているっぽいけれど、こうしてウイグル料理もメニューに入れているんだなあ。

やって来たのは果たしてラグメンだった。

たまねぎ、ピーマン、チンゲン菜、トマト、とにかく野菜たっぷり。肉はおそらくラムだろう。トマトベースのソースにしっかり味がついていて、いやあ、おいしい。この前食べた蘭州牛肉麺も良かったが、このラグメンも当たりだ。

これで料金は22元(約450円)。今や中国の物価は日本と同じか、物によっては日本以上に高くなってきているけど、こうした路地裏の食堂はまだまだ安い。メニューは他にもいろいろあるので、これから他の料理を頼んでいくのが楽しみだ。

References
*1中国の少数民族の一つで、国内最大のムスリム民族集団。名前や顔つきは漢族と変わらないが、イスラム教を信仰しているため食習慣や冠婚葬祭などの習俗が大きく異なる。

北京の楊国福マーラータン

今日の昼食は以前にも紹介した楊国福マーラータンを食べに向かった。

滞在しているホテルから一番近い北京駅の向かいの店舗を訪問。以前にも来たことがあるので、ここに楊国福マーラータンがあることは知っていた。

日本でもよく行っていたので慣れたものだ。唯一の違いと言えば圧倒的に安いことか。

日本は100g=400円なので、正直お手頃とは言えない値段だ。基本的に1500円は超えていたし、調子に乗ってあれこれ食材を選ぶとあっという間に2000円近くになる。けれど店はいつも中国人の客で賑わっていたので、それだけ払っても食べたい祖国の味なんだなあと思ったことを覚えている。

一方、今日のお会計は24.10元。日本円にすると約500円だ。うーむ、安い。おそらく日本の店舗で同じ量を食べれば、やはり1500円はいっただろう。

この店舗は北京駅が近いからか、スーツケースを引いて来店する客が何人もいた。

店をのぞき込んで「何の店だい?」と尋ねる、おそらく地方から出てきたとみられるおじいさんとおばあさん。店員が「マーラータンの店です」と答えると、おばあさんは「私はマーラータンはいいわ」と言って、そのままどこかへ行ってしまった。楊国福マーラータンは中国に6000店舗ほどもあるらしいけど、知らない人もいるんだなあ。

街なかPCR検査デビュー

今日の昼食は滞在しているホテル近くにある蘭州牛肉麺の店に行った。

数年前の北京出張の際にも来たことのある店で、3年半ぶりの再訪。

入店すると店主夫婦とみられる2人が奥で食事をしていた。テーブルに着くと若いお兄ちゃんが注文を取りに来てくれたので蘭州牛肉麺をオーダー。ここの蘭州牛肉麺はおいしかったんだよなあ。しっかりした味が付いていて。

注文を取ったお兄ちゃんが作ってくれるようだ。厨房に入っていくと中からパンッパンッと生地を伸ばしている音が聞こえ、5分ほどで持ってきてくれた。記憶が正しければ、前に来たときも同じお兄ちゃんだった気がする。

いやあ、やはりおいしい。路地裏にある目立たない店だけど、味はそれ以上。これで15元(約300円)なのだから、まさに”物美价廉“(品が良くて値段も安い)だ。ちょっぴり肉が少ないかなと思ったけど、肉だけ追加注文できるらしい。またぜひ訪れて、今度は別のメニューも試してみよう。

北京の街なかにあるPCR検査場

今、北京ではどこへ行くにも72時間以内のPCR陰性証明が必要だ。

店舗や施設の入り口でスマートフォンの健康管理アプリ(”北京健康宝“)の提示を求められるのだが、このアプリに陰性証明の記録が入っていて、それが72時間以内なら通行が許されるし、もし過ぎていれば「PCR検査を受けてきなさい」となって通行は許されない。街なかには至る所にPCR検査場があり、みんな72時間に少なくとも1回はPCR検査を受けている。

私の健康管理アプリを見ると最終のPCR検査記録は9月30日午前0時。すると私は日付が変わって午前0時になった時点で有効な陰性証明が無くなってしまう。よくよく考えると、これは結構重大な問題だ。だって、このままだと明日以降、北京のどの場所にも立ち入れなくなるどころか、滞在しているホテルにだって戻ってこられなくなってしまうのだ。

そうなっては大変だということで、さっそく私も街なかにあるPCR検査場へと向かった。

しかし何を提示して、どういう手順で受けるのか全く知らない(笑)。ネット検索しても中国では日常になりすぎているからか、これまたヒットしないのだ。とりあえず列に並び、前にいたお兄さんに「すみません、私は外国人なんですが」と尋ねてみたところ、身分証(外国人であればパスポート)を見せればそれで良いらしい。

私の順番になってパスポートを見せると係の人がスマートフォンで私の名前とパスポート番号をぽちぽちと入力し、それを見て「間違いないです」と伝えたら、後は口の中を綿棒で擦られ、はい終了だった。

あとは私の健康管理アプリに陰性証明の結果が登録されるのを待つだけだ。ちゃんと登録されるかなあ。さもないと明日どこにも行けないし、ホテルを出たら最後、新たなPCR検査を受け直すまで家なき子になっちゃうよ(^^;)。結構不安です。

北京のイオン

中国は今日から国慶節*1の大型連休。

朝から現地の不動産屋さんと物件を見て回って家探し。中国は日本以上にオンとオフがはっきりしているので連休の初日にお願いして申し訳ないなあと思っていたが、職場の人たち曰く「今年の国慶節もどうせ北京から出られないし、休日出勤は手当がもらえるから、向こうからしたら願ったり叶ったりだよ」とのこと。実際のところは分からないが、不動産屋さんの対応はとても丁寧だった。

なるべく会社の近くに住むように言われているので、見て回ったのは本当に北京市の中心部。不動産バブルに沸く中国だけあって、どこも家賃がびっくりするほど高い。仕事で来ているので会社が補助してくれるものの、これを自分で払えと言われればとても無理だろうなあ。

案内してくれた不動産屋さんは日本語も堪能な女性お二人。初めて会った感じのしない気持ちの良い方々で、一緒に回っていてとても楽しかった。移動中もアレコレおしゃべりしていたら盛り上がり、物件を見終わった後に食事にまで誘っていただいた*2。気付いたら2時間も経っていて、家探ししてんだか友達作ってんだか(笑)。

本当は今日のうちに即決してしまおうと思ったのだけれど、いざ決める段になると悩んでしまう。妻とも相談したいし、もう1、2日かけて考えることにした。

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References
*1建国記念日にあたる祝日。
*2私もほら、「おじおばさん」ですから(^^;)。

ようやく隔離が明ける

今日はようやく隔離が明ける日だ。

午前6時過ぎに起床して支度。その後、午前7時40分頃だったか、施設スタッフが隔離終了証明書(”解除医学观察通知书“)と直近のPCR検査の陰性証明書を持って部屋を訪れた。私が「もう出て行っていいんですか」と聞くと「いいですよ」のひと言。

いざ「出ていい」と言われると不思議な気持ちだ。あれだけ開けるなと言われていた扉は今や全開。向かいの部屋からは私と同年代くらいの男性が出て行こうとしていた。目が合うと「あなたですね、電話で通訳をしていたのは」と中国語で話しかけてくれた。そうか、向かいの部屋にまで私の声は聞こえていたのね(^^;)。すると夜な夜な風呂上がりに気持ちよくなって歌っていた声も聞かれていたのだろう、ちょっぴり恥ずかしい。

施設を出て、迎えに来てくれた中国人のドライバーさんと合流。数年前に北京出張に来た際にも一緒に働いたことのある方だ。「教えられた住所に来たけど、とても人が泊まる施設に見えなかったので、ここでいいのかと不安になったよ」と笑いながら話していた。

中国に入国してから防護服を着た人たちにしか囲まれてこなかったので、車から見える景色がとても新鮮だった。ゼロコロナ政策のもと中国ではみんなほぼノーマスクなのかと思ったら、結構な人が着用している。ドライバーさんに話を聞くと、公共の場所ではマスクを着用するよう指示があるので、外出時は基本的に着用しているらしい。とは言え、あごマスクや鼻だしマスクが散見されるのは日本と同じだけれど。

北京のオフィスに向かうと、上司や先輩たちが迎えてくれた。みんな東京で一緒に働いたことのある人たちばかりなので初出勤という感じがせず、まるで「帰ってきた」ようだ。最近の日本はどうだったとか隔離期間はこんな感じだったなどと、しばし談笑する。

さて、そうのんびりとはしていられない。中国は明日から国慶節の大型連休に入るため、今日のうちにいろいろと作業を済ませておかなければならないのだ。

まずは最重要とも言える携帯電話の契約。

中国では公共・民間を問わず、さまざまなサービスを受けるのに携帯電話が欠かせない。特に金銭のやり取りは日本以上にキャッシュレスが進んでいて、場所によってはスマホアプリでの決済しか受け付けてくれないところもあるくらいだ*1。もちろんスーパーやコンビニなら現金で支払えるが、店によっては小銭のストックがなくておつりが出せないなんてことも。

兎にも角にも携帯電話は仕事だけでなく生活面でも必需品ということもあり、まず一番に契約した。

続けて中国銀行へ銀行口座を開設しに行った。

とにかくいろんなことを書類に書かされた。なかには生まれた住所を書く欄まであり、口座の開設になぜ出身地の情報が必要なんだろうと思いながら”Okayama”と書いたところ、その後データ入力された書類にはちゃんと”冈山“(『岡山』の簡体字表記)と印字されていたので、この行員は”Okayama”=岡山だと分かっているんだなあと妙に感心してしまった*2

ちなみに、この写真を撮った直後に係の人から「撮影禁止です」と怒られてしまった。

午後も色々と手続きを行い、予定していたタスクは何とか全て終了。

夜は職場が歓迎会を開いてくれた。隔離期間を除けば実質中国で初めていただく食事だけれど、訪れたのは日本式の居酒屋(^^;)。でも冷たーい生ビールが飲みたかったのと、隔離中は弁当で中華料理をさんざんいただいていたので、正直とてもありがたかった。

焼き鳥や刺身の盛り合わせなど定番メニューは揃っているし、ビールはアサヒスーパードライで、まるで日本にいる気分だった。日本を離れてそんなに経つわけではないけれど、隔離が明けた安堵感と相まって何だかホッとした。

ちなみにこの居酒屋、トイレに入ると便器の上に大きな文字で”禁止大便”と書かれていて思わず面食らってしまった。いや、小便器に書かれているなら分かるが、あくまで座るタイプの便器なのだ。上司・先輩も気になったようで「あれはどういう意味なのか」という話になった。とりあえず「配管が細くて大便をすると詰まってしまうということではないか」という結論に落ち着いたが、いやいや、それにしたってトイレは小か大しかないのにねえ(笑)。

中国駐在生活、これからどんなことが待っているのかとても楽しみだ(^^;)。

References
*1まさに私は隔離施設で宿泊費用をAlipayかWeChat Payで払えと言われてしまった。
*2中国人の間で岡山の知名度はそんなに高くないのと、もし知っていたとしても一般の中国人は岡山を中国語発音の[Gāngshān](ガンシャン)で認識していることが多いので”Okayama”と見聞きしてもそれが岡山のことだとピンと来ないことが多い。

北京隔離生活10日目

中国北京での隔離生活10日目。

明日の午前8時にはここを出る(つもり)なので、今日が実質隔離の最終日だ。

朝から隣の部屋の男性が親族と思わしき人と電話をしている声がいつにも増して大きい。おそらくWeChatでビデオ通話をしているのだろう、相手の声まで聞こえてくる始末だ。何を言っているかまでは聞き取れないが、明日の何時に迎えに来てくれみたいな話をしているのだろうか。

今日の昼食、スペアリブとじゃがいもの煮込み。

午後2時半頃にPCR検査のスタッフがやってきた*1。スタッフは2人いて、それぞれ順番に私の口の中に綿棒を入れてきた。おそらく検体は2つ採取するということなのだろう。

終わって扉を閉めようとしたら「扉は開けておいて」と言う。何だろうと思ったらずかずかと部屋に入ってきて、壁の照明スイッチやデスクの上にある私のマウスなど、私が触れたであろうあらゆる箇所を綿棒でスリスリと擦って検体を採取し始めた。あらかじめ説明してくれればいいものを、あれだけ私を外の世界と遮断しておきながら、突然スタッフが部屋の中に入ってきたので驚いてしまった。

今日の夕食、隔離施設で食べる最後の弁当だ。特別かと期待したけれど普通だった(^^;)。

午後7時前になって、部屋の内線電話が鳴る。

出ると突然「あなたの健康状態に異常がなければ明日の朝に医者があなたの部屋に向かう。するとあなたは午前9時に部屋を出ることが出来る。午後0時にはあなたの部屋に消毒が入る」と舌足らずな日本語の自動音声が流れた。

一瞬あっけにとられ(笑)言われたことを頭で反芻していると、女性が中国語で「聞き取れた?」と聞いてきた。ああ、この声の主は隔離の初日に私がいろいろと日本人との仲介役になって助けてあげた女性だ。今回のメッセージを日本人に伝えるにあたり、おそらくオンラインの機械翻訳で中国語を日本語に訳し、スマートフォンなどで読み上げさせたものを受話器越しに聞かせたのだろう。言葉の通じない日本人にどう伝えれば良いか、彼女なりに考えたんだなあ。

医者さえ来れば隔離施設を出られるそうので、晴れて明日には自由の身になれそうだ。

ちなみに現在、北京市内で自由に行動しようとした場合「北京健康宝」というアプリをスマートフォンに入れておく必要がある。ビッグデータに残る本人の移動記録に基づき、赤・黄・緑の表示が出るようになっている。赤なら集中隔離の対象者、黄なら自宅隔離の対象者、緑なら異常なしといった具合で、緑にならないと自由な行動は許されない。

私の「北京健康宝」は今日の午後6時頃まで黄色で”居家观察“(在宅観察)と表示されていたが、午後8時過ぎには緑色の”未见异常“(異常なし)に切り替わっていた。本来なら今日が隔離満了日なので朝から何度も確認しては「なぜ緑にならないんだろう」と気になっていたので安心した。

今や北京ではオフィスビル、レストラン、観光地に入るにもこの「北京健康宝」の提示が必要な場所が多く、みんな毎朝出かける前に「緑、よーし」と確かめるのが新たな習慣になっているらしい。これが例えば前日に訪れた場所で感染者が出たような場合、突然「北京健康宝」にポップアップ*2が表示され、ただちに隔離をしてPCR検査などを受けなさいということになるそう。

まだ慣れないけれど、この「北京健康宝」とは長いつきあいになりそうだ。

References
*1このPCR検査だって当初は午後4時だって聞いていたんだけど(笑)。
*2中国語では”弹窗“と言う。
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