The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

タグ: 日本語

日本語と韓国語

今日は仕事でちょこちょこお世話になっている韓国人の方と食事をしました。

会話は基本的に中国語です。ただお互い中国語は母語ではないので、話していて「隔靴掻痒」な感じが拭えません。特に漢字の語彙は日本語と韓国語では共通なのに中国語では独特ということが多く、お互いの言語で話した方が分かりやすいのでは?と思っちゃうときがあります。

例えば子どもの話をしていて「離乳食」の話題になりました。離乳食は中国語で“辅食”(輔食)と言うので、私はこの言葉を使ったのですが、その方は知らなかったようで「?」という反応をされてしまいました。そこで試しに「離乳食」という漢字を韓国語の発音で“이유식”(イユシック)と言うと、その方は「ああ、離乳食ね!」と理解してくれました。つまり日本語も韓国語も「離乳食」という言葉が共通ですが、中国語では“离乳食”とは言わず“辅食”と言うわけです。

また先日行ったラオス出張の話題になり、ラオスの一部地域では「人身売買」といった犯罪が問題になっているらしいという話題になりました。このときも私が中国語で人身売買を指す“人口贩卖”という言葉を使ったら、またも「?」となってしまいました。であれば……と思い、日本語の「人身売買」という単語を韓国語の発音で“인신매매”(インシンメーメー)と読むと通じたのです。これも日本語と韓国語は語彙が共通なのに中国語だけ違います。

ここまで日本語と韓国語の語彙が共通しているのは、やはり植民地支配に日本語の言葉が韓国語に流入したとみるのが正しいんでしょうね。なので韓国語のニュース記事は漢字語の部分を漢字表記に置き換えると途端に日本人には読みやすくなります。

한국군 합동참모본부와 한미연합사령부는 12일 국방부 청사에서 열린 공동 기자회견에서 올해 UFS 연습을 이달 19∼29일 실시한다고 발표했다.

UFS 기간 군사 훈련과 함께 진행되는 정부 연습 중 북한의 핵공격 상황을 가정한 북핵 대응 훈련이 실시된다고 합참은 전했다.

이성준 합참 공보실장은 관련 질문에 “을지(정부) 연습의 일환으로 북핵 대응 훈련을 실시한다”며 “정부 연습에 우리 지역 책임 부대가 참여하는 형태로 진행될 것”이라고 밝혔다.

連合ニュース(2024年8月12日)

これは韓国の通信社「連合ニュース」が米韓合同軍事演習を伝えている記事です。この記事の漢字語の部分をすべて漢字表記にすると……

韓國軍 合同參謀本部와 韓米聯合司令部는 12日 國防部 廳舎에서 열린 共同 記者會見에서 올해 UFS 演習을 이달 19∼29日 實施한다고 發表했다.

UFS 期間 軍事 訓練과 함께 進行되는 政府 演習 中 北韓의 核攻擊 狀況을 假定한 北核 對應 訓練이 實施된다고 合参은 전했다.

李誠俊 合參 公報室長은 關聯 質問에 “乙支(政府) 演習의 一環으로 北核 對應 訓練을 實施한다”며 “政府 演習에 우리 地域 責任 部隊가 參與하는 形態로 進行될 것”이라고 밝혔다.

これなら韓国語を学んだことがない日本人でも何となく書いてあることが想像つくんじゃないでしょうか。全て旧字体にしましたが、これが現在の日本語でも使われる新字体ならばもっと分かりやすいと思います。これが中国語だと「合同参謀本部」は“联合参谋本部”(聯合參謀本部)だったり、「共同記者会見」は“联合记者会”(聯合記者會)だったり、独特な語彙になってきます。

感謝する日本、歓迎する中国

私は公共交通機関のアナウンスが好きです。こうして中国に住んでいると、例えば地下鉄の車内アナウンスを聞いているだけでも文化や習慣の違いが感じられます。

例えば、日本は「感謝」、中国は「歓迎」の違い。

  • JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。
  • 東京メトロをご利用いただきましてありがとうございます。

日本はいずれも「利用してくれて、ありがとうございます」という感謝を表しています。一方、中国語の放送では「歓迎」を表します。

こちらの動画は北京地下鉄2号線の放送です。冒頭の部分では次のように言っています。

  • 乘客您好,欢迎乘坐地铁2号线列车。

日本語にすると「乗客の皆様、こんにちは。ようこそ地下鉄2号線の列車にご乗車いただきました」。日本の車内アナウンスのような「ありがとうございます」ではなく「ようこそ」を使っています*1。日本で「こんにちは!JR東日本にようこそ」と放送したら、まるでテーマパークのアトラクションに乗っているような気分になるでしょうね。

ほかに中国らしいな、と思うアナウンスは“文明乘车”(文明的に乗車しましょう)でしょうか。この場合の「文明」というのは日本語と少し違い、中国語では「マナーを守る」とか、そういう意味合いの方が強いです。つまり「マナーを守って乗車しましょう」というわけです。

文明乘车。使用电子设备时,请勿外放声音。爱心礼让,请把座位让给需要帮助的乘客。

マナーを守って乗車しましょう。電子機器を使うときにはスピーカーから音を出さないでください。思いやりを持ち、礼儀正しく振る舞いましょう。必要としている方に籍をお譲りください。

「スピーカーから音を出さないでください」というのが中国らしいですね。中国の地下鉄に乗ると大音量で動画を見たり、スピーカーから音を出して通話したりする人がたくさん見かけます。

ちなみに私が留学していた頃は「席を譲りましょう」という放送の前に“尊老爱幼是中华民族的传统美德”(年長者を敬い幼い子を愛するのは中華民族の伝統的美徳です)というアナウンスもありました。あまり日本で「民族の伝統的な美徳」なんて表現を聞かないので、当時は「お、おう……」と思っていましたが最近は聞かなくなりましたね。

そもそも中国は日本以上に「席を譲る」という意識については優れているように思います。わざわざ民族だとか伝統だとか言っちゃうとかえって「やらしく」見えちゃうと思うのですが、そういう考えこそ「日本っぽい」のかもしれませんね。

References
*1ちなみに北京でも終点の駅に到着するときには「ご利用いただき、ありがとうございました」と放送していたように記憶しています。

どうぞご参考ください

今日は朝から雨が降っていました。

私の住むマンションから地下鉄の最寄り駅までは繋がっているため、濡れずに行くことができます。ただ職場近くの駅に着いたら、そこからは屋根のない場所を歩いて向かわなければなりません。一体、いつぶりでしょう……北京で傘を差したのは。

さて、ちなみに今日の昼休み、職場で中国人の同僚と日本語で会話をしていると、その方が「どうぞご参考ください」と言いました。私は「ご参考『にして』ください、ですよ」と伝えると「なぜダメなのですか」と聞かれました。そう聞かれると……なぜダメなんでしょう。

日本語では漢字の名詞に「する」をつけて動詞化することができます。

  • 指摘+する=指摘する
  • 返事+する=返事する
  • 遠慮+する=遠慮する

しかし何故か「参考」という言葉について、日本語は動詞として使いません。

  • 参考+する=(誤)参考する

この場合「参考する」ではなく「参考にする」のように、必ず「に」を入れて名詞として使います。不思議ですね、ちなみに「参照」の場合は「参照する」と言えて「参照にする」は不自然です。あくまで「参考」に限った場合のようです。

では「ご~ください」の話に戻ります。なぜ「ご参考ください」と言えないのか……これは「参考する」と言えないのが原因と言えそうです。というのが「ご~ください」と言えるのは「名詞+する」の動詞化が成り立つものに限るからです。

  • ご指摘ください
  • ご返事ください
  • ご遠慮ください

だから同じ理由で「参照」という言葉の場合、「参照+する」が成り立つので「ご参照ください」と言えるわけです。「参考」は名詞として使えませんから「ご参考にしてください」とか「ご参考になさってください」と言う必要があるわけですね。

しかし、なぜ「参考」は動詞化して使えないのでしょう。日本語と文法が近い韓国語の場合はどうか、調べてみました。

  • 참고(チャムゴ=参考)+하다(ハダ=する)

韓国語は「参考+する」で「参考する」というように言えるようです。なぜ日本語はダメなのか……うーん、私は日本語ネイティブなのに、意外と日本語のことが分かっていないのかもしれません。

非ネイティブ同士の会話

今日、仕事で韓国の方とお会いしました。以前にも会ったことのある方で、基本的に中国語を使ってやり取りをしています。

前にも書いたことがありますが、非ネイティブ同士が中国語で会話するのって何だか「伝わらなさ」を感じるんですよね、隔靴掻痒と言うか。でも日本人と韓国人が母語でもない中国語を使って会話をするんですから当たり前です。

途中、日本アニメの話になりました。

中国で大ヒットしている新海誠監督の「すずめの戸締まり」。中国や韓国の方にそのまま伝えても理解してもらえません。それぞれの言語で違うタイトル名が付いているからです。中国では“铃芽之旅”(鈴芽の旅)と言います。しかし韓国はまた違うタイトル名なので、いくら中国語を使って会話しているとは言え、これを韓国の方に伝えても「?」になっちゃいます。

実は韓国語でのタイトル名は知っていました。“스즈메의 문단속”(スジュメエムンタンソク)、直訳すると「スジュメの戸締まり」です。「スズメ」が「スジュメ」になってしまうのは、韓国語に「ズ」という音がないのでしようがありません。“문단속”(ムンタンソク)は漢字で書くと「門團束」。これは「戸締まり」という意味なのだそうです。

その後「スラムダンク」の話になりました。「スラムダンク」は中国で“灌篮高手”と言います。しかし韓国の方には「スラムダンク」と、そのまま言った方が通じます。韓国でも“슬램덩크”(スレムドンク)というタイトルだからですね。

このほか、人名に言及するときも少し面倒なことが起きます。例えば「岸田総理大臣」のことを中国語では「アンティエン」と言います。中国語で日本人の名前に言及する際は、名前の漢字を中国語で発音するというルールになっているからです。なので中国語で「岸田」という名前は「キシダ」ではなく「アンティエン」と言います。

一方、韓国語のルールでは日本人の名前は日本語発音そのまま読むということになっています。佐藤は「サト」だし、山田は「ヤマダ」です。このため韓国の人と会話で「岸田総理大臣」について言及する場合は“기시다”(キシダ)と言った方が分かりやすいのです。

とまあ、日本人と韓国人が中国語で会話するとこういうことが起きます。

中国語非ネイティブの方と中国語で会話すると、普段は意識しないことまで考えながら話をするので疲れてしまいますね。ま、同じ非ネイティブである自分を高度十万八千メートルの上空に棚上げして言うんですけど(^^;)。

英語のほうが非ネイティブ同士で会話する機会が多いと思うのですが、同じようなことは起きないんでしょうか。今度、英語を使う人たちに聞いてみたいと思います。

常青树

ふと、中国人の同僚から“常青树”(「常青樹」)は日本語で何と言うのですか、と聞かれました。そのまま訳せば「常緑樹」です。一年中葉っぱを茂らせている樹木のことですね。

けれど、その意味ではないと言うのです。例えば、とある芸能人が一過性ではなく何年も何年も人気であり続けるような場合、その人を指すとのこと。例として挙げてくれたのがSMAPのキムタクこと木村拓哉さんでした。なるほど、確かにキムタクは若い頃のデビューに始まり、今でもドラマに出演するなど根強い人気です。それを言ったら中居くんだってバラエティー番組で今も活躍しています。すると同僚は「中居くんも、そういう意味では“常青树”です」と言います。

なるほど、何年経っても活躍している芸能人のことを、葉の落ちない常緑樹に見立てて“常青树”と言うわけですね。芸能人だけでなく政治家など幅広い分野で使えるそうです。

日本語ではうーん、「息が長い」でしょうか。そう言われると、長く活躍する人を取り立てて表現する日本語はないかもしれません。一方、短命な芸能人のことは「一発屋」。日本語と中国語でそれぞれ正反対の立場を指す言葉ならあるというのは興味深いですね。

日本語と韓国語の共通性

お昼に仕事で付き合いのある韓国の方と食事をご一緒する。この方が韓国に帰国されることが決まり、後任の方を紹介してくれたのだ。例によって我々がやり取りする言語は中国語。日本語でなければ韓国語でもない。思えば、中国語が母語でない者同士が中国語で会話するとは興味深い体験だ。

興味深かったのが、韓国の方が“休职”という言葉を使ったことだ。読んで字の如く「休職」と言いたいのだろう。しかし辞書を引くと分かるが、中国語に“休职”(休職)という言葉はない。いや「ない」ことはないかもしれない。耳で聞けば「職を休むのだな」ということは中国人にも分かるだろう。しかし意味としては、悪いことをして「休まされる」といったニュアンスに感じる人が多いんじゃないかな。日本語でいうところの「停職」といった感じ。

そういう意味では、日本語の「休職」は別に悪いことをした場合に限らないし、むしろ権利として職を休むことを指す。

きゅうしょく【休職】
公務員や会社員がその身分・資格を保ったまま一定期間職務を休むこと。

明鏡国語辞典(大修館書店)

ちなみに韓国語では「休職」のことを“휴직”(ヒュージッ)と言う。漢字で書くと「休職」だ。意味は日本語と全く同じで、おそらく今日ご一緒した韓国の方は韓国語の「休職」をそのまま中国語で発音して“休职”と言ったのだろう。日本語と韓国語の「休職」は、正しくは中国語で“停薪留职”と言う。意味としては「給料を停止し職を留める」。ちょーっと、まどろっこしい。

漢字語を見ると、日本語と韓国語には共通した語彙が多い一方、中国語は独特なものが多い。

例えば「作動」という漢字語。韓国語でも“작동”(作動)と言い、日本語で「作動する」と言う場面はほぼそれで置き換えられる。

  • 機械が作動する=기계가 작동하다/キゲ(械)ガ チャックドン(作動)ハダ
  • 防犯カメラ作動中=방범카메라 작동중/バンボム(防犯)カメラ チャックドンジュン(作動中
  • 誤作動오작동/オーチャックドン(誤作動

中国語には「作動」という言葉がない。直接漢字で“作动”と言っても通じず、それぞれのパターンで言い換える必要がある。

  • 機械が作動する=机器启动了(機器が起動した)
  • 防犯カメラ作動中=您已进入监控范围(あなたは監視エリアにいます)
  • 誤作動=失误(ミス)、错误操作(操作ミス)、误动作(誤動作)

つまり日本人と韓国人が中国語で会話しようとするとお互いの言語にはそれぞれ共通の語彙が存在するのに、中国語では訳し分ける必要があるのだ。この点、日本人と韓国人が中国語で会話しているのに、中国人だけ「ん?どういう意味?」となったら面白いだろうなあ。

言語の奥深さ

連日の飲み会、最後に控えしは、もともと仕事でつながりができ、今や友人と言える仲になった中国人の女性。同じ業界で働いているが、とにかく「できる」方で、いつも会うたびに刺激をもらっている。

日本語が本当に上手で(いや「上手」という表現も失礼かもしれない)話していると一瞬、中国の方だと忘れてしまうほどだ。彼女が日本語で話すのを聞いていても「こんな表現をよく知っているなあ、自分は同じ表現を中国語で言えるだろうか」と感心してしまう。

飲みながら話が出たのが「きしむ」という日本語だ。尾崎豊の「I love you」に次のような歌詞が登場する。

きしむベッドの上で優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

「きしむ」という日本語は中国語にピッタリな訳語が存在しない。辞書を引いても”吱吱嘎嘎响“と説明があるだけだ。これじゃあ「ギシギシと鳴る」になっちゃって、風情?というものがない。こんな歌詞では「壊れているベッドなのかな、直せばいいのに」と感じられること請け合いだろう。

日本語は木と木がこすれ合うことを形容する動詞があるのだなあ。もちろん逆に日本語にピッタリする訳語のない中国語だって存在する。どの言語にも、それぞれの奥深さがあるのだ。

彼女もまた仕事で中国に来ることがあるだろう。別れ際に「さようなら」じゃなくて「また会いましょう」と言えるのが何だかうれしかった。私にとって引き続き刺激をもらい続けたい人の1人。

© 2024 BOBOYORU.NET

Theme by Anders Noren上へ ↑