The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

カテゴリー: ひとり言 (24ページ目 (48ページ中))

寒空の下で

最後にPCR検査を受けたのが木曜日なので、私のスマートフォンアプリに入っている陰性証明がついに「3日目」になってしまった。北京では公共交通機関に乗ろうとしたら48時間以内(2日以内)の陰性証明が必要なため、今日は地下鉄で移動はできない。まあ分かっていたけど、不便だ。今日検査を受けておかないと、明日は「4日目」になり、いよいよ生活に不都合が出てくる。会社近くのPCR検査場なら空いているのを知っていたので、レンタサイクルに乗って向かうことにした。

ここ最近の北京は日中でも0度に近い気温。自転車に乗ると冷たい風を受けて手がかじかむ。なんとかPCR検査場に到着し、受けることができた。ひと安心だ。

そして今日は夕方に髪を切ることにしていた。

さすがに自転車はもう無理だと思い、タクシーで向かうことにした。すると思いのほか早く着いてしまい、残り1時間半ほどを過ごさなければならなくなった。カフェを探そうにも、今はどこも店内飲食を取りやめている。せめて暖かい建物の中に入れたらいいが、今はどの店舗も閉まっていて暖を取る場所さえ見つからない。刻一刻と日が沈むのにつれ、気温も確実に下がっている。うー、このままでは髪を切る前に凍え死にしてしまうよ。

美容室に予約を早めてもらえないかと泣きの電話を入れ、早めに向かうことにした。美容室の中は暖かくてホットコーヒーまで出していただいた。し・あ・わ・せ……髪を切られながらぽかぽかしてきて、思わず眠ってしまいそうだった。

いつもなら地下鉄で帰るけど、今日はタクシー。自分の家に着くと、何とも言えぬ幸せな気持ちになった。寒空の下で行く場所がないというのは何とも不安な気持ちになるからねえ。何度も書いているけど、このPCR検査地獄、本当にやめませんか……

感じられない緩和

自宅近くのショッピングモールが営業再開した。ここ数週間、北京での新型コロナウイルス感染拡大を理由に臨時休業していたのだ。とは言っても感染者数は高止まりの状態が続いているため、状況は全然改善していない。先日の抗議活動などを受けて、政府が規制を緩和する動きを進めているため、それに伴うものだろう。

モール内は閑散としていた。ちなみにこのモールも入場するなら48時間以内のPCR検査の陰性証明を見せなければならない。

店を再開させるのはいいけど、まずはこのPCR検査をどうにかしてほしい。このモールだけじゃない、今や北京はどこに行くにも48時間以内の陰性証明が必要だ。場所によっては24時間以内なこともある。なのに、街の至るところにあった無料のPCR検査場は次々と閉鎖されているのだ。すると残った数少ないPCR検査場に人が殺到する。場所によっては1時間並ぶところもあるという。今や北京は日中の気温もマイナスなことが多いのに、とても並んでいられない。

中央政府が明確な指示を出していないから、地方政府も手探り状態。いろいろ矛盾が起きてしまっていて、その負担が市民に重くのしかかっている。

イオナック

先日、自宅のシャワーヘッドを「イオナック」に付け替えた。

出国前に高校時代の友人が結婚祝にくれたものだ。水道水を「軟水化」「塩素処理」「活水化」してくれるシャワーヘッドで、引っ越しの荷物と別に送っていたので、最近になってようやく届いた。

中国を含む多くの国は硬水のため、軟水になれている日本人がシャワーを浴びると髪がゴワゴワになったり、肌が荒れたりするらしい。ネット上では髪がわさーっと抜けて薄くなる(!)なんて声も。本当なのだろうか……お、おそろしい。

シャワーによってはネジが合わないこともあるそうでアダプターが付属していたけど、自宅のシャワーはそのまま装着することができた。使用して1週間余り……効いてるような気もするし、効いてないような気も?まだよく分からない(笑)。ツイッターなんかを見ていると「肌荒れが治った」「髪の毛が大量に抜けていたけど落ち着いた」といった投稿が多数。そういえば、シャンプーの泡立ちは良くなったような気がする。イオナックのおかげかな。

お風呂は毎日入るんだもの、大切だね。毎日、友人に感謝を覚えながらシャワーを浴びることとします。ありがとう!

江沢民元国家主席死去

夕方になって、江沢民元国家主席が死去したとのニュース。

江沢民元主席は同じく今年亡くなったイギリスのエリザベス女王と同い年、享年96。鄧小平の改革開放を引き継ぎ、1997年には香港返還、2001年にはWTO=世界貿易機関加盟を果たすなど、その業績も多い。中国中央テレビは特別番組を放送して、その死を伝えていた。

ちなみに江沢民元主席は私が留学していた11年前にも一度死んでいる。というのが、世界中で「江沢民死去」の情報が流れたのだ。当時の産経新聞は号外まで出して伝える大誤報ぶり。その後も何度か亡くなったという情報が流れることがあったが、今回は本当に亡くなったのだ。

私が中国語を学び始めたのが2002年だったので、ちょうど共産党総書記や国家主席の座が江沢民から胡錦涛に引き継がれる頃だった。当時の中国は経済成長がぐんぐん進んでいた頃で、そうした時期を思い出して懐かしむ人もいるだろう。ましてや「ゼロコロナ」政策で経済が大打撃を受けている最中。抗議活動に参加した人たちはどんなことを思うのだろう。

 

マンションに陽性者が確認されました

今日の北京は驚くほど寒い。それも突然だ。天気予報を見てみると、最高気温でもマイナス5度で、最低気温に至ってはマイナス9度だ。もちろん留学時代に北京の冬は経験しているけれど、それでも「不意を突かれた」感じ。職場の中国人スタッフに「今日はびっくりするほど寒いですね」と話したら「これが正常です」と返されてしまった。

昨日、マンションから通知が届いて以降、今日の日中に新たなメッセージが届いた。

当マンションにて新型コロナウイルス感染者が確認されました。感染の蔓延を抑え込むため、全ての皆様に健康観察を実施していただきます。発熱、咳、倦怠感、味覚や嗅覚の異常、鼻づまり、鼻水、結膜炎、体の痛み、下痢といった症状が出た方は、すぐにフロントまでご連絡いただきますようお願い申し上げます。

なんと、うちのマンションの住民が陽性だったのだ。これで私が今日帰宅したら、当分出られなくなるのだろうか。そもそも「健康観察」って何だ。マンションのフロントに電話をした。

すると「いつも通り過ごし、いつも通りPCR検査を受けていただければ結構です」と言う。「自由に出られるのですか、明日の出勤は問題ないんですか」と聞くと「はい、構いません」とのこと。思わずあっけにとられてしまった。よそでは1人感染者が出るだけで、広いエリアをまるまる封鎖する場所もあるというのに。週末の抗議活動を受けて、少し緩和されたのだろうか。

帰宅すると「小藍」が今日も出迎えてくれた。

この「小藍」、当局の防疫部門から派遣された人なのかと思っていたが、よく見てみるとうちのマンションのスタッフさんだ。昨日の方には少々ぶっきらぼうな態度をしてしまったかもしれない。ごめんなさい。私が「今日はとても寒いですね、どうもご苦労様です」と話しかけると「とんでもないです、お帰りなさいませ」と笑顔で答えてくれた。

感染者が出ても、どこまで封鎖するのかは場所によって基準が違うのだろう。私のところは緩く、逆に厳しいところはとても厳しいんだろうなあ。中央の「ゼロコロナ」政策の意向を受け、末端が勝手にいろいろ厳しくして規制に規制が重なる……まさに“层层加码*1だ。

明日も仕事には影響ないということでホッとはしたものの、そうでない人もいることを思うと何とも言えぬ複雑な気持ちになる。

References
*1ある政策や規則を実行する際に、規制が幾重にも重なって厳しくなること。

自宅に現れた「小藍」

職場にいたところ、住んでいるマンションからメッセージが届いた。

当マンション居住者のPCR検査の結果に「異常」が確認され、現在確認作業を行っております。これに伴い○階の連絡通路は封鎖措置となりました。慌てることなく、ご自宅にて最新情報をお待ちいただきますようお願い申し上げます。

PCR検査結果の「異常」とは何か。

現在、中国ではPCR検査を「十混一」という方法で行っている。毎日膨大な人がPCR検査を受けていて費用面がばかにならないため、10人の検体を1つにまとめて検査しているのだ。

10人みんなが陰性なら問題ない。しかし陽性となれば問題は別……というのが10人のうち誰が陽性か分からないからだ。この場合、10人の検査結果に「異常」が表示されることになっている。「異常」と表示された10人は追加検査を受けることになる。

このマンションの通知を見るに、住民に「異常」が表示された人がいるということだ。その人が陰性だったら問題ないが、まずいのは陽性だったとき。おそらく私のマンションも封鎖になってしまうだろう。そもそも今の段階で帰宅しても大丈夫なのだろうか。もしや“只进不出”(入ることはできるが、出ることはできない)なんてことにはならないか。

いざ帰宅すると、いつもは人がいない場所に「小藍」*1がいた。いよいよ「入ったら出られませんよ」なんて脅されるのかと思ったが、何も言われず。

エレベーターに乗ると、水をぶちまけたかのように濡れていた。おそらく消毒液をまいたのだろう。私が留守の間に部屋の中まで入られて何かまかれていたらと心配したが、それはなかった。

明日は無事に出勤できるのだろうか。ご自宅にて最新情報をお待ちいただきますよう……ったって、いつまで待てば良いのだろう。何も言われていないから、今はまだ出られるんだろうけど。

いよいよ自分の目の前まで迫ってきている感じがする。

References
*1中国では青い防護服を着た人たちのことを「小藍」(シャオラン)という愛称で呼んでいる。ちなみに白い防護服を着た人たちは「大白」(ターパイ)。

「ゼロコロナ」政策の限界

昼間、ツイッターを見ていると上海で行われているらしい抗議活動の映像がぽつぽつ流れてきた。中国政府の「ゼロコロナ」政策*1に異を唱える人たちの集まりのようだ。

ここ数日、中国では新型コロナウイルスの感染者が過去最多を更新し続けている。陽性者が1人でも確認されると、その人が住んでいるマンションは1棟まるまる封鎖されるなど厳しい措置がとられている。特に上海は今年春に厳しい外出制限を経験していることもあって、市民は当時の記憶がフラッシュバックするのだろう。

しかし、抗議活動の様子がどうやらおかしい。どんどんエスカレートし、人々は「ゼロコロナ」政策だけでなく、政府にまで批判の矛先を向け始めているのだ。中国では厳しい言論統制が敷かれていて、これだけ大勢の人が街なかで政府を批判するなんて聞いたことがない。

そして、抗議活動は果たして北京でも起きた。

場所は日本大使館や日本人学校があることから日本人も多く住む「亮馬橋」だ。上海のように政府批判こそ起きなかったものの、深夜にもかかわらず数百人という人が集まって政府の「ゼロコロナ」政策に異を唱えた。政府のお膝元である北京でこうした抗議活動が起きるのは極めて異例だ。

それだけ人々の生活が限界に達しつつあるのだろう。

これまでの中国で「民主化」は最大の関心事になりえなかった。だって「民主化」しなくても、中国は発展できたんだもの。むしろ民主的に政府を選んでいるアメリカや日本のほうが経済は停滞し、それを見て「共産党のほうが良いのかも」と思う中国人がいたとしても無理はない。

確かに共産党の一党支配のもとで、窮屈に感じる場面はあるかもしれない。しかし、この国で声を上げれば多くを失う。牢屋で冷たいごはんを食べるくらいなら、少しくらい不自由でも自分の家で温かいごはんを食べたい、多くはそちらを選ぶだろう。みんなまず自分の暮らしが一番大切なのだ。

しかし新型コロナウイルスが全てを変えてしまった。

仕事を失い、金を失い、なかには大切な誰かを失った人もいる。当初は本当にウイルスが原因だったかもしれない。しかし今は「ゼロコロナ」政策による弊害のほうが圧倒的に大きいのだ。自分暮らしが保障されなくなった今、批判の矛先が政府に向かうのは想像に難くない。

今回の出来事を目の当たりにして、中国の人々の底力を見たような思いがした。私も同じ環境下に暮らしているから彼らの気持ちはよく分かる。しかしいざとなれば逃げ帰る国がある私とは立場がまるで違う。彼らは決死の覚悟なのだ。とても「分かる」なんて言ってはいけないような気がした。

中国政府が「ゼロコロナ」政策をやめることはないだろう。これだけ「看板政策」として掲げてきた以上、突然やめたら示しが付かないからだ。その一方で、政策が続けられる限り、人々の不満や憤りはマグマのようにたまっていくだろう。

References
*1厳しい行動制限を伴い、徹底的に感染を抑え込む中国政府の新型コロナウイルス対策。

増えつつある封鎖

職場の日本人・中国人スタッフで作るWeChatグループが夜になってから騒がしい。

いずれも「自分の住んでいる団地が封鎖になりそう」という連絡だった。ある人は「明日から3日間封鎖」、別の人は「明日の午後0時から封鎖が始まり、終了日は知らされていない」と言う。そう言えば日本人の先輩も「営業しているうちにスーパーで食料を買い込んでおきます」と言って、今日はそそくさと退勤していたなあ。

私の住んでいるマンションは封鎖こそ聞いていないものの、今まで72時間以内のPCR検査の陰性証明を提示すれば入れたところ、昨日からは48時間以内に改められた。

1日の感染者数も今日の発表で過去最多を更新したようだし、もう少し真剣に備えて置いたほうがいいかもしれないなあ。

治安維持

バスや地下鉄に乗っていると、私が留学していた11年前には見なかった人を見るようになった。「乗務管理員」という人だ。

大概、黒い服に赤い帽子をかぶっている。「乗務管理員」と書かれた腕章を付け、バスなら1台に1人、地下鉄でも2車両に1人くらいはいるのではないか。鼻出しマスクをしている人がいようものなら、目ざとく見つけて「マスクをきちんと着けろ!」と注意をする。

周りの中国人に聞くと「乗務管理員」は5年ほど前から現れたらしい。主な業務は“维稳”……車内秩序を保つ、と言えば聞こえはいいが、つまりは政権・社会の安定を保つための治安維持だ。その割にはたまに高圧的な「乗務管理員」を見かけることもあるけど……

ちなみに今日、地下鉄に乗っていると大音量を流しながらスマートフォンで映像を楽しむ男性がいた。北京の地下鉄ではいつも“请勿外放声音”(スピーカーから音を流さないでください)と車内放送が流れるが、決して珍しい光景ではない。あまりにうるさかったので乗務管理員が注意してくれるのかと思ったら……そこはスルー。これは車内秩序じゃないのね(^^;)。

久しぶりの王府井

仕事で北京中心部の繁華街、王府井(ワンフーチン)に行ってきた。

高級デパートが建ち並んでいるので日本人からは「北京の銀座」と呼ばれたり、かつて有名なオーストラリア人記者がここに住んでいたことから、その名前にちなんで「モリソンストリート」と呼ばれたりするらしい。王府井という地名そのものは、王府の井戸がここに存在したからだそう。

歩行者天国になっていて、いつもならたくさんの人出で賑わっているが、今日は閑散としていた。

高校生の頃に初めて旅行で北京を訪れた際はフリーの時間を使って訪れた王府井も、留学時代は数えるほどしか来たことがない。あまり自分好みの店が少ないのと、そもそも王府井は地方から北京に観光に来た人たちが「おのぼりさん気分」を味わう場所といった側面もあって普段使いするような店も少ない。北京の出入りが厳しい今はなおさら閑古鳥が鳴いている状態だ。

中国初の近代デパートとされる「北京市百貨大楼」もこんな感じ。店舗によってはテープが張られ、入れないようになっていた。客より従業員のほうが圧倒的に多かった。

会社近くの飲食店にはビックリマークの書かれた大きな紙が貼られていた。

書いてあるのは「アンタんとこは感染対策ができていません」という内容。ちょうど店主のおばちゃんが出てきたので「なぜこれを貼られたんですか」と聞いたら「たった1人、出前配達のお兄ちゃんが入店時に健康管理アプリをスキャンしなかったからよ」と憤慨しながら話してくれた。

北京ではどの建物に入るにも入り口に貼られたQRコードを健康管理アプリでスキャンしなければならない。そうすることによって「誰がどこを訪れたか」が記録されるので、濃厚接触の追跡などが可能になるのだろう。どうやら出前配達員がそれをせずに入店してしまい、その様子を現認されて店舗の責任となったようだ。

ただスキャンが面倒でどさくさに紛れて入店するような人はいるし、律儀にスキャンしてもチェックされない場合も多い。この店舗は、そんなところをめざとく確認されてしまったのだろう。店主は「いつまでこんなものを貼るのかさえ教えてくれなかった。うちの店だけじゃないのにいじわるされているみたい。めちゃくちゃよ」と怒りをあらわにしていた。

私の会社の北京オフィスが位置する敷地内でも陽性患者が確認された疑いで、その建物1棟が封鎖措置となってしまった。本来は新型コロナウイルスの感染防止のために始まった政策やルールが層を重ねるように厳しくなり(“层层加码”)、今やその政策やルールが感染防止以上に市民を苦しめるようになっている。うーん、本末転倒というか、何というか。

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