きょう日経新聞の電子版で「はなまるうどん」が中国から撤退を決めたことを知る。
吉野家ホールディングスは傘下の「はなまるうどん」が中国から撤退することを決めた。上海のはなまるうどん運営子会社を年内にも清算する。2011年に中国に進出して店舗網を拡大してきたが、現地での需要を捉えきれず徐々に採算が悪化。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、現地で都市封鎖が頻発したことによる客数減も響いた。
この記事を読んで自分の中国留学を思い出した。と言うのが、私も当時上海の「はなまるうどん」に行ったことがあるのだ。記事によると上海に進出したのは2011年らしい。私が行ったのは2011年5月だったので、おそらくできてすぐの頃だったのかな。
当時北京に留学していた私にとって、上海はまるで「日本」。特に徐家匯*1には日本発祥の商業施設、例えばサンマルクカフェ、無印良品、フランフラン、セガミなど何でもあり、留学生活でちょっぴり日本が恋しくなっている私の心を満たしてくれるので、北京から上海に行くたびに寄ってはお世話になっていた。
当時注文したのは、名前そのままの「はなまるうどん」(”花丸乌冬面“)。「かけうどん」に肉だんごが2個載ったようなメニューで、値段は23元、当時のレートで約290円だった。
客は中国人と日本人が半々くらいで、ほぼ満席。ずいぶんにぎわっていたので中国でも日本のうどんは受け入れられているんだなあと思っていただけに今回の中国撤退のニュースは少々意外だった。
とは言え、こってり味が大好きな中国人にはさぬきうどんがどれほど受け入れられるのだろうという疑問は持っていた。例えば中国人は日本のラーメンを食べるにも豚骨味を好み、現に「一蘭」や「一風堂」といった豚骨ラーメンを扱うブランドはどれも中国人に人気が高い。
いやいや、それを言うなら忘れちゃいけないのは「味千ラーメン」*2じゃないか。中国で「味千ラーメン」を見ない街はないほどで、中国人の豚骨ラーメン好きをよく表していると思う。
実際「はなまるうどん」も試行錯誤したようだ。「はなまるうどん」の担当者にインタビューをした記事によると、2014年当時、中国で最も人気のあったメニューは「特製酸辣牛肉うどん」、次いで「特製豚骨うどん」、どちらも日本では見られない現地に特化したメニューだ。なんとか現地の人たちに受け入れてもらおうと苦心を重ねた様子がうかがえる。
今回の中国撤退は新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖なんかも影響しただろうから、メニューだけが原因とは言えまい。しかし頭で紹介した日経新聞の記事には「現地での需要を捉えきれずに採算が悪化した」と書かれていて、日本の味そのものを守りながら味を現地化させることの難しさを感じた。日本じゃ「ガチ中華」なんて話題を集めているけどねえ……「ガチ和食」*3は中国の方々にはちょっとパンチがないか。
でもこれじゃあ中国に赴任したら留学時代のようにさぬきうどんは楽しめないのかあ。と思って調べてみると「丸亀製麺」はまだあるらしい。北京と上海にそれぞれ1店舗ずつ。こちらでも豚骨うどんやマーラータンうどんがあるようで、あらら、何だかデジャブ(笑)。「はなまるうどん」が撤退してしまった今、「丸亀製麺」にはなんとか頑張ってほしい。