The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

投稿者: ぼぼよる (33ページ目 (112ページ中))

新装開店した「蘭州牛肉麺」

私は「蘭州牛肉麺」が好きです。

日本にいた頃からしょっちゅう食べていましたが、中国に来てからは行きつけの店を見つけ、よく通っています。ただ、この店が現在クローズしていて(どうやら閉店したのではなく改装しているようです)ここ最近は食べられていません。インターネットで検索してみると、職場から少し歩いたところに別の「蘭州牛肉麺」の店があったので、行ってみました。

东方宫”(東方宮)という名前の店舗でした。店の前に(くたびれちゃっていますが)大麦が並んでいるので、新しくオープンしたようです。「大麦」を中国語で発音すると「ターマイ」、これが“大卖”(大売)=「よく売れる」と同じ発音なので、中国では新装開店の際によく並べられるんです。

まあ、可もなく不可もなく……といったところでしょうか。麺はそれなりにおいしかったですが、牛肉は「入れ忘れたのかな」と思うほど少なかったです(笑)。

オープンしたばかりだからか、店内はとても明るく清潔な印象でした。ほかにもいろいろメニューがあったので、今後また来てみたいと思います。

中国のトイレ

今日は東京から来た出張者を迎えて食事をする機会がありました。今はまだコロナ禍の前みたいにノービザとまではいきませんが*1、厳しかった頃に比べればビザも出やすくなったようです。

というのが、中国はこの数年間、特別な場合を除いてビザを発給してきませんでした。かわいそうなのが中国語を学ぶ学生たちです。中国に留学することを夢みて中国語を学び始めるもビザが発給されず、結局渡航ができずに日本にいながらオンライン授業を受けていた学生もいるやに聞いています。さらに少し前までビザが発給されても中国への入国者は10日間の隔離が必要でした。飛行機で4時間ちょっとで来られる中国ですが、その渡航は簡単ではなかったんですよね。東京からの出張者を迎え、いよいよ「アフターコロナ」の時代なんだなあと感慨深いものがあります。

食事は例によって北京ダック。職場近くの、安く食べられる店に行きました。私は日本を離れてまだ半年ちょっとですから、出張者から聞く日本の話はそんなに珍しくありません。一方、出張者は中国がとても新鮮なようです。皆さん、中国を専門に仕事をしている方々ではないので余計にいろいろと感じることがあるんでしょうか。

尾籠な話で恐縮ですが、一番盛り上がったのはトイレについての話題です。中国はここ十数年で大きく経済発展しましたが、トイレだけは変わらないんですよねえ。環境もそうですが、人々の「トイレの利用の仕方」も変わっていない(=良くなっていない)と思います。

男性トイレで言えば、小便器の足元がべちょべちょ。一体どうやって用を足しているのだろうと疑いたくなるレベルです。もう少し一歩前に立つだけで「垂れない」と思うんですけど。私が留学していた頃からトイレには“向前一小步,文明一大步”(少し前に一歩、それが文明の大きな一歩)なんて貼り紙がしてありましたが、どうやら状況は変わっていないようです。

お掃除さんはいるんですけど、そのべちょべちょになった足元をモップで擦るんです。んで、ぐちゃ~と広げてしまうんですよね。さすがにモップは水で濡らしているものの、私からすれば「汚れを広げている」だけです。私の同僚が話していましたが、とある日本人は中国では外出先でトイレをしたくないと我慢するクセができ、膀胱炎になってしまったそうです。ほ、ほんとうでしょうか………気持ちは分かりますけど。

それに比べて、日本のトイレは本当にきれいだと思います。もちろん公園の公衆トイレなんかは別です。けれど、デパートのトイレなんて個室に住めちゃうほどきれい。だって中国はデパートのトイレでさえも汚いんです。なんででしょうね……環境もさることながら、利用する側の人たちにも問題があると思います。

食事の終わりには「ぜひ体験してみてください」ということで、出張者にレストランのトイレを利用してもらいました。トイレから出てきた皆さん、苦虫を噛み潰したような顔で「べちょべちょでした」と話していました(笑)。

References
*1コロナ禍の前は日本国籍の所有者なら15日以内の中国滞在であればビザが必要ありませんでした(ノービザ)。

海鮮を“烧烤”でいただく

今夜の夕食は何にしようと妻と話していたところ、お互い久しぶりに海鮮が食べたいという話になりました。日本料理店に行けば話は早いですけど、自宅近所に海鮮を扱った“烧烤店*1があるので、そちらに行ってみることにしました。

この店、何度かデリバリーを頼んだことがあるので食べたことはあるのですが、実店舗を訪れるのは初めてです。スマートフォンの地図アプリのナビゲーションを頼りに向かってみました。しかし地図上に示されている場所に着いても該当する店がないのです。もしや閉店したのかしらん?と思い、いつもデリバリーに使用しているアプリを開いて店名を検索すると……「営業中」と表示されているではありませんか。

しばらく周囲をウロウロするも見つからず、近所の人に聞くと「そこだよ」とのこと。けれど「そこ」には名前の違う店しかありません。不思議に思って入店すると、店主曰く「名前を変えたんだよ」とのこと。デリバリーサービスのアプリを見せると「そのアプリの店名もそろそろ変えなきゃと思っていたんだ(呵々)」と笑っていました。何とも中国らしいです(^^;)。

初めて訪れた店舗なので前と比べられませんが、中国の80、90年代の街なかを模したような内装でした。中国は最近こういうノスタルジックな感じの店舗が流行っていますね。先日、四川省成都に旅行に行ったときもそれぞれの観光スポットに1つはこういう「懐かしい雰囲気」を再現した店舗がありました。売っているのは駄菓子みたいなものでしたけど。

牡蠣やホタテ、それにイカといった海鮮のあぶり焼きをいただきました。あとタチウオの唐揚げも。もちろん定番の羊肉・牛肉の串焼きも注文しました。北京で食べる海鮮はどれも高いですが、こういうローカルの店で食べる牡蠣やホタテは意外と安いから不思議です。日本だとどれも結構な値段がするような気がします。

References
*1肉や野菜をあぶり焼きにした串焼きを提供する店。中国式バーベキューといったところでしょうか。

中国茶をめぐって

妻に数日前から毎日のように「週末にはお茶屋さんに行きたい」と言われていました。今朝も朝食を食べながら「今日はお茶屋に行くよね?」と念押しされる始末(^^;)。

確かに中国のお茶は有名です。日本だと中国茶と言われても烏龍茶(ウーロン茶)くらいしか思い浮かばないという方も多いと思いますが、中国の人は実にさまざまなお茶を飲みます。青茶・黒茶・緑茶・紅茶・白茶・黄茶……それから花茶まで。日本でもお茶は飲みますけど、どちらかというと食後に飲むものという位置づけが色濃いですよね。まあ最近は麦茶やほうじ茶なんかを食事と合わせて飲む方も多いようですが。

私は根っからのコーヒー派なので実はお茶に全然詳しくありません。十数年前に北京に留学していた頃も、中国という国にいながらわざわざ上海に新鮮なコーヒー豆を求めて買いに行ったくらいです。中国人学生たちは講義室の机の上に茶葉の入ったボトルを置いて講義を受けていましたが、私はサーモスの魔法瓶にコーヒーを入れて毎日持って行っていました。

妻の熱意におされ、中国茶の店に行ってみることにしました。やって来たのは王府井、言わずと知れた北京有数の繁華街です。天気が良い週末なこともあり、地方から観光に来たと思わしき人たちがたくさんいました。

まずやって来たのは「天福茗茶」。中国のお茶どころ、福建省発祥の中国茶販売の巨大チェーンです。王府井の店舗は観光地ということもあってか、とても広かったです。中に入るとすかさず店員が近寄ってきて「試飲をどうぞ」と、小さな紙コップに入ったお茶を差し出してくれました。

お茶屋さんなんて普段意識していなかったのですが、よくよく見ると街なかの至るところに「天福茗茶」があるのに気付きました。中国大陸の全土で1300店舗以上を有し、北京でも「歩けば天福茗茶」と言われるほどなんだそうです。

男性の店員が付きっきりで茶葉の説明をしてくれました。普段飲めるお茶をとリクエストすると最初は緑茶を出してくれ、もう少し中国らしい味のものはあるかと聞くと今度は「龍井茶」を出してくれました。「龍井茶」は中国東部の浙江省・杭州特産の緑茶なんだそうです。

そんなに高い茶葉を求めて訪れたわけでもないので、良いお茶をたくさん試飲させてくれて若干申し訳ない気持ちになりましたが、素晴らしいサービスでした。まずはベーシックなものから……ということで、100元(約2000円)のジャスミン茶の茶葉を購入しました。

同じ王府井にある別の中国茶販売のチェーン「呉裕泰」に来ました。こちらも中国茶では名の知れた老舗で、創業は1887年と清の時代だそうです。

店の前には「お茶ソフトクリーム」を買い求める列ができていました。味は抹茶、ジャスミン茶の2種類から選べます。先ほど行った「天福茗茶」でもソフトクリームは買えるようですがここまでの列ができていなかったことを思うと、こちらのほうが人気のようです。私たちもいただきました。私は抹茶、妻はジャスミン茶、とても濃厚でおいしかったです。

店内に入ると茶葉を始め、立派な茶具などたくさんの品々が並んでいました。

こういう立派なものを見ていると中国茶を自宅で気軽に飲むのもいいですが、お店で楽しむのもいいなあと思っちゃいますね。以前、台湾に旅行したときには茶館で店員さんが説明をしながら一杯一杯いれてくれました。私みたいな素人にはそのくらいの説明があったほうが分かりやすいのです。北京にもあるかなあ……また探してみたいと思います。

短命のバラ?

ここ最近、北京の街なかに緑が増えたような気がします。新緑の季節ですね。

緑だけでなく色とりどりの花も目にするようになりました。今日は昼食を食べようと職場近くを歩いていたら、青々とした芝生にバラが咲いているのに気付きました。

このバラ、実はもともとここに植えられていたものではありません。このスペースには、少し前まで雑草くらいしか生えていませんでした。数週間前、真っ黒に日焼けした作業員たちがえっちらおっちらとシャベルをで土を掘り返し芝生を張り替えていましたから、バラもその際に改めて植えたものだと思います。北京では、季節ごとに旬で見頃の植物を植えているようなのです。

この話を妻に話したら「毎回植え替えているの?人件費がばかにならないんじゃない?」と言われました。いえ、この作業員たちの人件費なんて微々たるものなのです。おそらく地方出身の「農民工」なのでしょう。日本人からすれば街頭の芝生や花を毎年(というより、年に何度も)植え替えるなんて非効率に感じてしまいますが、中国では彼らの仕事を創出するきっかけになっているわけです。

もうひとつ、中国では同じように年に数回、歩道のブロックを敷き直します。今がまさにその時期で、北京では至る所の歩道が「ブロックの剥がされた未舗装状態」です。自転車なんか乗ろうものなら走りづらくてしようがありません。

中国の友人に聞くと「わざと壊れやすいブロックを使い交換が必要なようにしている。そうすれば業者には毎年仕事が入ってくるから」と教えてくれました。確かに中国の歩道は壊れやすいのか、ブロックがでこぼこで歩きにくいです。おまけに下地の砂を固めていないので、ブロックも「単に並べた」だけなんですよね。だからすぐに剥がれたり陥没したりしていて、すぐにつまづきます。

バラといい、歩道のブロックといい「仕事を作り出すため」の仕組みなんですよね。鈍化する中国の経済成長なんて言われますが、その裏にはこうした事情もあるんじゃないかと感じます。同じ場所で足踏みをし「運動しているよ」と言うけど、前には全然進んでいない……みたいな。

時差6時間

昨夜……というか、今朝のことですけど、午前5時まで働いていました。

フランスが関係する業務だったのです。中国とフランスには時差が6時間あります。パリ時間の午後8時から始まる業務だったので、北京時間でいうと午前2時からだったというわけですね。この業務の開始が少し遅れ、結局業務は午前5時頃までかかってしまいました。

パリにいる同期と連絡を取り合っていたのですが、電話越しに聞こえる向こうの声は元気そうです。こちらは未明ですからヘトヘト(笑)。ゆっくり休んでね、なんて言われて電話を切りました。

しかし私はと言えば今日は今日で通常の出勤日ですから午前9時には会社にいました。

すると未明の件でフランスに問い合わせなければならない事が出てきました。北京時間は午前10時頃でしたが、あちらは午前4時。今度は私がパリの同期を未明にたたき起こす事態に。

ひと仕事が終わり、今度は私が同期に「ゆっくり休んでね」と言う番。どんなに技術が発達しても時差には勝つことができません(^^;)。

中国ローカル版「日本味UFO」

先日、ツイッター上で中国在住日本人の方々が日清のカップ焼きそば「UFO」の話で盛り上がっていました。

日本で販売されているカップ焼きそば「UFO」と同じ味の「UFO」が中国で発売されたそうです……と言っても、分かりづらいですよね。

カップ焼きそばって、誰でも一度は食べたことがあると思います。日清の「UFO」だけでなく「ペヤングソースやきそば」とか、明星食品の「一平ちゃん」とか。名前に「焼きそば」と付いていますが、実際には濃いめのソースや調味料で味を付けています。通常のカップ麺に比べると麺の量が多いからか、カロリーは高めです。例えば日清の公式ホームページによると「UFO」の場合、カロリーは556kcalとのこと。でも、あの味が無性に食べたくなるときがあるんですよね。

けれど、中国には残念ながらカップ焼きそばが売っていないのです。

いや、売っていることは売っています。例えば日清の中国現地法人は“飞碟炒面”という名前でカップ焼きそば「UFO」を販売しています。“飞碟”は直訳すると「飛ぶ皿」=UFO、“炒面”は「炒めた麺」、つまり「UFO焼きそば」という意味ですね。

ただ、味がかなりローカライズされているのです。例えば上のリンクの商品一覧を見ても「魚香肉絲」(ユーシャンロースー)風味や「四川火鍋」風味など、日本では見たことのない味ばかり。で、これが結構「クセのある」味です。いや、それはそれとして味わえばイケるかもしれません。ただ日本の味を期待して食べると、がっくりすること請け合いです。

中国でも高級スーパーに行けば日本のカップ焼きそばが販売されていることがあります。ただ輸入品だけあって値段は30元(約600円)ほど。北京では地元の食堂に行けば30元そこそこでお腹いっぱい食べられますから、日本なら100円ちょっとのカップ焼きそばに30元は、ちょっと悔しい気もします。

でも……やっぱりたまーに食べたくなるんですよね、カップ焼きそば。そのたびに私は30元支払って買っていました。こうしたなか、日清の中国現地法人が日本オリジナル味のカップ焼きそば「UFO」を販売することになったというのです。輸入品ではなくて、です。今まで日本の倍近い金額でカップ焼きそばを購入していた身からすれば、そりゃあもう、朗報と言えます。

販売が始まったという情報に接してからいろんなコンビニを見て回ったのですが、どこにも売っていません。そこでしびれを切らして(笑)ネット通販で買っちゃいました、「日清中国ローカル版UFO濃厚ソース焼きそば」。パッケージに日本語がたくさん書いてあるところを見るに「日本オリジナルの味」というのを強調しているんでしょうね。ネット通販では4個入りで38.80元でした。日本円にして約750円。1個あたり約180円。日本で買うのと変わらない値段です。

いただいてみました。う~ん、日本と同じ味。まさに濃厚ソースです……これ、これこれ!!たまらないです。ツイッターでは味がマイルドだとか、ソースが違うというコメントもありましたが、私にとっては「日本と同じ味」です。とってもジャンキーですが「一平ちゃん」のからしマヨネーズが好きだったこともあり、今回の「UFO」にもマヨネーズをかけちゃいました。この背徳感がたまらないんですよねえ。これが約180円で楽しめるようになったのです。革命的です。

願わくば、これが近所のスーパーやコンビニで手軽に買えるようになってほしいですね。そして限定販売に終わらず、レギュラー入りしてほしいものです。

非ネイティブ同士の会話

今日、仕事で韓国の方とお会いしました。以前にも会ったことのある方で、基本的に中国語を使ってやり取りをしています。

前にも書いたことがありますが、非ネイティブ同士が中国語で会話するのって何だか「伝わらなさ」を感じるんですよね、隔靴掻痒と言うか。でも日本人と韓国人が母語でもない中国語を使って会話をするんですから当たり前です。

途中、日本アニメの話になりました。

中国で大ヒットしている新海誠監督の「すずめの戸締まり」。中国や韓国の方にそのまま伝えても理解してもらえません。それぞれの言語で違うタイトル名が付いているからです。中国では“铃芽之旅”(鈴芽の旅)と言います。しかし韓国はまた違うタイトル名なので、いくら中国語を使って会話しているとは言え、これを韓国の方に伝えても「?」になっちゃいます。

実は韓国語でのタイトル名は知っていました。“스즈메의 문단속”(スジュメエムンタンソク)、直訳すると「スジュメの戸締まり」です。「スズメ」が「スジュメ」になってしまうのは、韓国語に「ズ」という音がないのでしようがありません。“문단속”(ムンタンソク)は漢字で書くと「門團束」。これは「戸締まり」という意味なのだそうです。

その後「スラムダンク」の話になりました。「スラムダンク」は中国で“灌篮高手”と言います。しかし韓国の方には「スラムダンク」と、そのまま言った方が通じます。韓国でも“슬램덩크”(スレムドンク)というタイトルだからですね。

このほか、人名に言及するときも少し面倒なことが起きます。例えば「岸田総理大臣」のことを中国語では「アンティエン」と言います。中国語で日本人の名前に言及する際は、名前の漢字を中国語で発音するというルールになっているからです。なので中国語で「岸田」という名前は「キシダ」ではなく「アンティエン」と言います。

一方、韓国語のルールでは日本人の名前は日本語発音そのまま読むということになっています。佐藤は「サト」だし、山田は「ヤマダ」です。このため韓国の人と会話で「岸田総理大臣」について言及する場合は“기시다”(キシダ)と言った方が分かりやすいのです。

とまあ、日本人と韓国人が中国語で会話するとこういうことが起きます。

中国語非ネイティブの方と中国語で会話すると、普段は意識しないことまで考えながら話をするので疲れてしまいますね。ま、同じ非ネイティブである自分を高度十万八千メートルの上空に棚上げして言うんですけど(^^;)。

英語のほうが非ネイティブ同士で会話する機会が多いと思うのですが、同じようなことは起きないんでしょうか。今度、英語を使う人たちに聞いてみたいと思います。

さようなら、メルヘンパン

今日、個人的にとても残念なニュースに接しました。

個人のツイッターアカウントですが「メルヘンフード」の経営者の方と見受けます。

「メルヘンフード」は岡山で1965年に創業した、メルヘンパンというパンの移動販売を手がける会社です。およそ60年間パンの販売を続けているので、小さい頃からメルヘンパンを食べて育ったという岡山の人は多いと思います。私自身もメルヘンパンを食べて育ちました。

メルヘンパンの移動販売車が来たらすぐに分かります。車から音楽を流しているからです。どこか郷愁ただよう曲調*1で、岡山で育った人なら一度は聞いたことがあると思います。この慣れ親しんだメルヘンパンの運営会社が廃業したというのです。

一番記憶に残っているのは私が幼稚園にも入る前の頃、当時住んでいた団地に来ていたメルヘンパンの移動販売です。確かマイクロバスくらいの大きさがある移動販売車だったんじゃないでしょうか。車の中にずらーっとパンが並ぶ光景は幼い私にとって、とても印象的でした。団地の敷地内まで来てくれるので、ご近所の人たちがみんなパンを買いに訪れていました。私も母と一緒に行き、よくアンパンマンのパンを買ってもらっていたことを覚えています。

メルヘンパンの「アンパンマン」(2020年12月撮影)

メルヘンパンは2019年以降、移動販売だけでなく「mikke」という店名で店舗展開もしていました。私の実家近くには本社機能を兼ねたパン工場があり、そこにも店舗が併設されていたので数年前に買いに行きました。

移動販売はどこでも販売できるという利点がある一方、タイミングが合わなければ客は来ません。生活様式の多様化で、毎週同じ曜日の同じ時間にパンを買いに行く……という人も少なくなっていたのかもしれません。加えてここ数年、新型コロナウイルスの感染拡大によって地域を跨ぐ移動が厳しく制限される時期もありました。移動販売で商売をする方々は大きな影響を受けたでしょうね。

「mikke」(2020年12月撮影)

メルヘンパンについてインターネットで検索すると、次のようなページがヒットしました。

「岡山発祥!パンの移動販売車メルヘンが手がけるパン屋『ミッケ』を知って欲しい!」と題するクラウドファンディングです。ここでは店舗展開を始めた理由について「タイミングが合わず移動販売車で購入することが難しい、時間を気にせずメルヘンのパンを楽しみたいという方々に向けてより地域密着し、安定的にメルヘンのパンをお届けするため」と紹介しています。

けれど(私も含めて)メルヘンパンには「移動販売」という印象が強く、「mikke」で販売するパン=メルヘンパンと認知していない人が多かったそうです。そこで多くの人に「『mikke』にはメルヘンパンが並んでいる」と知ってもらうべく、クラウドファンディングを立ちあげたとのこと。

私たちがパンの移動販売車を初めて60年以上、たくさんの月日が経ちました。特にこの2年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会全体が大きく変わりました。告知の仕方、PRの仕方、企業としてのあり方、店舗としてのあり方、何から何まで大きく変わった気がします。
(中略)
私たちも変わらないといけない時期が来たんだとおもっています。これまではインターネットでの展開にはあまり力は入れておらず、俗に言う『アナログ』と言う手法で頑張ってきました。それだけに今回のクラウドファンディングへの挑戦は私たちにとっては非常に大きな挑戦。この挑戦を機に、メルヘンも時代にあったやり方で皆さんに情報をお届けしたいと思っています!

岡山発祥!パンの移動販売車メルヘンが手がけるパン屋『ミッケ』を知って欲しい!
https://camp-fire.jp/projects/view/612899

クラウドファンディングはすでに募集終了しています。目標金額50万に対し、集まった支援金は16万7000円。クラウドファンディングは目標金額に達しなかった場合、支援金は全て返金されますから失敗に終わったということです。メルヘンパンなりに試行錯誤して頑張ったんでしょうね。私も当時知っていたなら少しでも支援できたかもしれませんが……廃業した今では後の祭りです。

岡山に住む私の母が今日近所の「mikke」に行ったところ、休業を知らせる貼り紙がしてあったそうです。パンを買いに来たとみられる親子が貼り紙を見て、驚いていたとのこと。私も同じです。驚いたし、あのメルヘンパンの音楽がもう聞けなくなると思うと自分の大切な思い出がひとつ消えて無くなるような、そんな寂しい気持ちがします。

廃業したという情報に接し、私は今日久しぶりにメルヘンパンのことを思い出したわけですが、前回思い出したのはいつのことでしょう。私がメルヘンパンのことを忘れて過ごしていたこの間、メルヘンパンはメルヘンパンなりにクラウドファンディングをするなどして活路を模索していたんですよね。そう思うと切なく感じるし、お世話になった身としては申し訳ない思いがします。

こういうの、無くなって初めて気付くんですよね。本当に自分って身勝手な人間だな、と思います。メルヘンパン、今までたくさんの思い出をありがとうございました。

References
*1調べると、オリジナルの音楽ではなく「そよ風と私」(The Breeze and I)という洋楽をアレンジしたものだそうです。

美容師のお兄ちゃん

私は去年9月に北京に赴任してから、ずっと同じ美容室に通っています。日本人スタイリストがいるからという理由で通い出したのですが、その実、一度も日本人スタイリストに切ってもらったことがありません。当初は予約に空きがないからという理由でしたが、そのうち中国人スタイリストのほうが安いし、それでいいやと思うようになりました。

今日も中国人のお兄ちゃんに切ってもらいました。

初めて見る方で、私の靴を見て「素敵な靴ですね」と話しかけてくれました。この美容室の中国人スタイリストは寡黙な方が多いので珍しいタイプだなあと思いつつ、会話が始まりました。

見た目が若い方で、私より3歳年下の30歳。彼は彼で私のほうが年下だと思っていたようです。お互い童顔なんですね、と笑い合いました。もともと10年ほど前に技能実習生として千葉県に行ったのをきっかけに日本と縁ができたそう。建築関係の会社だったそうですが、帰国してからは美容師の道に。少し前まで中国南部の深圳で働いていましたが「暑すぎる」という理由で、北京に来たそうです。今の美容室では先月から働いていて「ちょうど1か月が経ちました」と話していました。

中国では美容師になるには免許がいりませんから、誰でもなろうと思えばなれます。逆に言えば、誰でもなれちゃうだけに競争の激しい世界なのかもしれませんね。頑張ってほしいなと思いました。

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