今日、東京電力が福島第一原子力発電所にたまる処理水を薄めて海への放出を始めました。

中国政府がどういう反応しているかは日中双方のメディアが散々伝えているので、ここでは申しますまい。私が気になったのは、北京を含む中国各地で「塩の買い占め騒動」が起きている事態です。

東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、中国各地で食塩の買い占めが起き、スーパーなどで売り切れが相次いでいる。処理水放出により、海水を使った塩づくりに影響が出るとの誤った認識が広まったためとみられる。

読売新聞オンライン(2023年8月25日)

今回の騒動については中国メディアも報じています。そして北京市当局は“北京市食盐储备充足,市场供应有保障,市民无需囤盐”(北京市の食塩の蓄えは十分あり、市場の供給も保障されている。市民が塩を買い占める必要はない)と通知を出すほどです。

これを受けて思い出したのが、私が中国に留学していた2011年のことです。東日本大震災の起きた年ですが、私は当時北京にいました。福島第一原子力発電所が水素爆発を起こしたことを受け、塩の買い占め騒動が起きたのです。当時は「食塩に含まれるヨウ素が放射性物質による汚染を防ぐ」というウワサが広がったのが理由でした。

これは私が当時、フェイスブックに投稿したものです。

今天听朋友说北京有些超市买不到盐了,才知道出现了抢盐的情况,真的不理解,这盐还能当饭吃吗?中国的百姓总是那么容易从众。那些商人真会利用时机囤积居奇,不道德。

今日友人から北京の一部のスーパーで塩が買えなくなっているという話を聞き、初めて「塩の買い占め」が起きていることを知った。全く理解できない、この塩が食事の代わりになるというのだろうか?中国の一般人はこんなにも簡単に人に影響される。そして商売人の中には機に乗じ、値上がりを待って転売しようと買い占める人もいて非道徳的だ。

エラそな口の聞き方をしているのは若気の至りということでご容赦下さい。けど正直、当時と状況が変わっていないことに驚きます。百歩譲って「海水から作る塩は処理水放出の影響を受けるかもしれない」という懸念は理解できます。けど周りの騒ぎに影響され、我も我もと買い占めに走る様子は今回と全く同じではありませんか。かくも中国の人々は影響されやすいのです。

そんなことを言ったら、おまえは処理水を放出している国の人間だろうと言われるかもしれませんね。そう言われては、何も言い返せませんけど。