The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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大つごもり

今日は大つごもり。いつも通り出勤し、何だかんだで夕方まで仕事でした。ここまで「らしくない」12月31日を過ごしたのは初めてじゃないかしらん。帰宅後も風呂に入ったり娘を寝かしつけたりしていると、夕食も食べていないのに午後9時を過ぎていました。日本時間は午後10時を過ぎているので、NHKの紅白歌合戦も後半に入っちゃっています。

ぼーっと紅白歌合戦を見ていると、ちょうど星野源さんが歌い始めるところでした。

世界はひとつになれない
大晦日のNHKの紅白歌合戦に出場する星野源さんが歌う曲目を変更すると発表しました。「第75回NHK紅白歌合戦」出場楽曲変更についてhttps://t.co/aerQfZZ4yz— 星野源 Gen Hoshino (@gen_senden) December 25, 2024当初、星野源さんは「地獄でなぜ悪い」を披露する予定でした。この曲は星野源さん自身も出演した同名の映画の主題歌。この映画の監督に関して過去に週刊誌などで性加害疑惑の報道があったことから、今月23日に曲目が発表されて以降、「地獄でなぜ悪い」を歌うことに批判的な声がインターネットなどで上がっていたのです。こ...

司会者が視聴者からのメッセージを読んでも、星野源さんは硬い表情のまま「ありがとうございます、うれしいです」と話すだけ。淡々と歌い、淡々と歌い終えていました。

すでにいくつかのネットメディアが指摘していますが、星野源さんが歌った『ばらばら』の歌詞がオリジナルと一部変わっていました。「本物はあなた、わたしは偽物」という歌詞の部分が「本物はあなた、わたしも本物」になっていたのです。テレビ画面に表示されていた歌詞テロップも同じように変更されていたので、NHKも織り込み済みだったんでしょうね。表情といい、この変更後の歌詞といい、今回の一連の騒動をめぐって星野源さんの思いが込められているように感じました。

娘がぐずったので妻があやしたり私が皿洗いをしたりしていたら……年越し蕎麦を食べる前に年が明けちゃいました。本当は年内のうちに食べなきゃいけなかったんですけど。NHKの「ゆく年くる年」を再度再生しながらいただきました。

世界はひとつになれない

大晦日のNHKの紅白歌合戦に出場する星野源さんが歌う曲目を変更すると発表しました。

当初、星野源さんは「地獄でなぜ悪い」を披露する予定でした。この曲は星野源さん自身も出演した同名の映画の主題歌。この映画の監督に関して過去に週刊誌などで性加害疑惑の報道があったことから、今月23日に曲目が発表されて以降、「地獄でなぜ悪い」を歌うことに批判的な声がインターネットなどで上がっていたのです。

この「地獄でなぜ悪い」は私も好きな曲の1つ。かつて星野源さんがくも膜下出血で倒れ、生死をさまよった際の闘病生活を歌った曲です。コミカルなタッチのアニメーションで構成されたPVが印象的で、この中にも(おそらく)病床に伏す星野源さん自身であろう人物が登場します。

この曲が映画の主題歌であることは知っていました。ただ私はあくまで「星野源の歌」として聴いていたので、件の映画監督と結びつけて批判されるとは思いもしませんでした。だって私は映画を見たこともなければ、恥ずかしい話、監督の名前だって知らなかったんだもの。曲自体が映画の内容、あるいは監督をイメージしているならまだしも……何だか私には曲が「巻き添え」をくらっているように感じてしまいました。

最終的に星野源さん側は曲目を変更することにしましたが、それに当たって公式サイトで次のように説明しています。

楽曲「地獄でなぜ悪い」は星野源の曲です。

星野は2012年にくも膜下出血で倒れ、その闘病期に病院でこの楽曲の作詞をしました。詞の内容は、星野の個人的な経験・想いをもとに執筆されたものです。後述する映画のストーリーを音楽として表現したものではありません。星野源の中から生まれた、星野源の歌です。

一方で、すでにSNS等で指摘されているように、のちに性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌であること、映画タイトルにある「地獄」というワードにヒントを得たこと、映画タイトルと同名の楽曲であることもまた事実です。この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという一部の指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません。

今回の歌唱楽曲は「アーティストの闘病経験を経て生まれた楽曲で、いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」という、紅白制作チームからの熱意あるオファーを受けて選定された経緯があります。しかし、そのオファーの意図から離れ、真逆の影響を与えうるのであれば、それはオファーを受けた私たちの想いに反してしまいます。そのため、今回同曲を歌唱することを取りやめることにいたしました。私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません。

https://www.hoshinogen.com/news/detail/?id=73

星野源さん側が「楽曲『地獄でなぜ悪い』は星野源の曲です」と言い切ってくれ、何だか少し安心しました。その上で「紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性がある」という指摘について「完全に否定することはできません」ともしています。ここまで考えた上で紅白歌合戦の曲目変更を決心したんですね。私はその意向を支持します。

ただ今回、この曲を歌うことが「性加害の肯定」という認識とイコールと受け止められたことがとても残念です。自らの制御が及ばぬことが理由で命を懸けて作った作品が簡単に抹消されてしまうやるせなさ。件の監督のために星野源さんがどこまで責任を負わないといけないのか、いわゆる「キャンセルカルチャー」について真剣に考えないといけないと感じます。

星野源さんの公式サイトは次の文章で締めくくっています。

この曲が多くのファンの皆様に愛していただいている楽曲であることを、私たちはよく理解しています。また、星野自身もとても大切にしている楽曲であることはこれからも変わりません。

紅白制作チームと協議の結果、今回は曲目を変更し、「ばらばら」を弾き語りします。

ご期待いただけますと幸いです。

改めて「地獄でなぜ悪い」に代わって歌われる「ばらばら」。星野源さんが大ブレイクする前に歌われた曲です。私は個人的に初期の星野源さんに好きな曲が多いので、私的には大歓迎~。しかしこの曲を選んだ星野源さんの隠れたメッセージ、私は何となく分かるような気がします。それは歌詞を読むと分かってきます。

世界はひとつじゃない
ああ そのまま ばらばらのまま
世界はひとつになれない
そのまま どこかにいこう

星野源『ばらばら』

追記)

朝日新聞が今回の騒動を伝えた記事にジャーナリストの江川紹子さんがコメントを寄せていましたが、まさに私が抱えていた「もやもや」を言語化してくれていました。一部、ご紹介します。

反論というほどではないのですが、どうしても疑問が浮かんでしまいます。「罪のない作品」に責任を科すことの是非、その責任はいつまで負い続けなければならないのか、という問いです。

星野さんが「地獄でなぜ悪い」を作ったいきさつや、それに込めた思いを伝えたうえで作品を披露する、という方法もあるでしょう。そういう道をとることもなく、「新たな加害を生む可能性ある作品」という評価を下し、これを排除し、芸能界での性加害やハラスメント問題の責任を負わせることが果たして適切なのでしょうか。そして、その責任はいつまで続くのでしょうか。

「罪のない作品」を排除し、罪のない人の表現活動を狭めることによってではなく、被害の現実を伝えたり法的な対応をしたり、あるいはさまざまな教育・啓発活動を展開する中で行われるべきではないか、という気がしています。

 

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