The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

投稿者: ぼぼよる (49ページ目 (243ページ中))

山東省煙台に出張

山東省の煙台に出張しました。以前、同じ山東省の青島に出張したときは高速鉄道を利用したので、今回もそうしようかなと思って調べたところ、北京から煙台って4時間以上かかるんですね。飛行機だと1時間余りだったので、おとなしく空路を利用することにしました。

日本に一時帰国したとき以来の海を見ました。目の前に広がるのは「渤海」です。この写真を撮ったのは煙台の蓬莱区という場所で、ここの海は蜃気楼がよく見られるんだそうです。

空港からタクシーで走ってきたのですが、テーマパークと思わしき施設があったり、少し奇抜な(まるでラブホテルみたいな)ホテルがあったり、不思議な空間が続きます。運転手さんに話を聞くと、このあたりの蓬莱区は海沿いのリゾート地として有名なんだそうです。ただオフシーズンということもあって不気味なほどに人がいませんでした。これが夏ならすごい人出とのこと。

この立体看板、“生命无价,酒后勿驾”と書いてあります。日本の漢字で書くと「生命無価,酒後勿駕」、つまり命に価値は付けられませんよ、酒を飲んだあとは運転してはいけませんよ、という意味です。“无价”[wújià]と“勿驾”[wùjià]で韻を踏んでいるのがおもしろいです。

ふと一緒にいた中国人の同僚が「懐かしい匂いがする」と言います。何の匂い?と聞いたら“蜂窝煤”(練炭)と。中国の地方では厨房のかまどなんかでまだ練炭を使うことがありますから、それかな。さすがに私は練炭に親しんだことのない世代ですが、同僚は私よりも年上なので小さい頃の記憶なんかを思いだしたのかもしれません。

タクシーの運転手さんに昼食におすすめの地元料理を聞いて食べに来たのが「蓬莱小麺」。写真はあらかたの客が食べ終えたあとの写真なのでガランとしていますが、私たちが入店した頃には満席でした。身なりを見るに地元の人たちのようでしたから、普段から賑わっているのかもしれません。

せっかくなので最もたくさん海鮮の具材が入っている店の看板メニュー(“招牌面”)と注文しました。いろいろ入っていましたが、私が把握できた範囲でアワビ、ベビーホタテ、ナマコ、エビ。ナマコなんてそのままの姿がドンッと入っていました。

とろみのあるスープは全く熱くありません。むしろぬるいくらいで、この店だけなのか、それとも蓬莱小麺がそういうものなのか、それはちょっと分かりません。そこに素麺みたいな麺が入っていました。海鮮の具材がそのままの姿で入っているのは少し抵抗あるかもしれませんが、味自体はあっさりしていて日本人好みです。

ちなみに仕事を終えた夜も海鮮をいただきました。仕事をご一緒した地元の方が海鮮火鍋に誘ってくれたのです。丁重にお断りしたのですが*1、山東省が故郷として知られる孔子の論語“有朋自远方来,不亦乐乎*2を持ち出して「山東省の人間はおもてなし好きなんだから気持ちを素直に受け取って!」と強く言うものですから結局ありがたくお呼ばれすることにしました。

火鍋は最近流行りの一人一鍋スタイル。案の定、回転テーブルの上には海鮮を始め、肉、野菜、キノコなどでいっぱいに。海鮮は牡蠣、サザエ、ホタテ、あと種類は分からないものの魚の身も並び、滅多に新鮮な海鮮が食べられない北京に比べると何とも贅沢な酒席となりました。

私があまりにおいしいおいしいと海鮮を食べたもんで、周りの皆さんから「日本の方は海鮮をよく食べますもんね」と言われる始末。立派な肉も並んだのですが、不思議と海鮮ばかりに手が伸びるところ、やはり私には日本人の血が流れているんでしょうね(^^;)。

References
*1中国では誘った側が食事代を支払うのがマナー。だから誘われた側もまず一度は断るのがマナーです。
*2朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや。

白酒味のラテ

私が十数年前に北京に留学していた頃、中国の酒席で乾杯に使う酒と言えば「白酒」(パイチュー)でした。蒸留酒の一種で、アルコール度数が40~60度ほどある酒です。ツーンとした独特な香りが特徴で、これを小さいグラスに注いで「乾杯」のかけ声と共に一気に飲み干すのが定番です。ウォッカみたいな感じですね。

私は学生時代から専らビール党だったので、正直これは辛かったです。本当、どの飲み会に行っても白酒。特に北京だと「二鍋頭」(“二锅头”)という白酒が多かったですが、これが飲み慣れなくて、飲み相手がトイレに行っている間にこっそり捨てたこともありました(ごめんなさい)。最近は仕事の付き合いで中国の方と飲むことも増え、白酒にも慣れてきましたけど。

で本題なんですが、今日こんなものを飲みました。白酒味のするラテ。今年9月に中国で発売されるやいなや話題になった商品です。

カップに書いてある“酱香拿铁”という商品名、“酱香”は白酒の独特な香りを指す言葉です。“拿铁”はラテという意味ですから(「ナーティエ」と発音します)、これで「白酒味(白酒の香り)がするラテ」という意味になります。中国の高級白酒「貴州茅台酒」が大手コーヒーチェーン「ラッキンコーヒー」とコラボレーションした商品です。

一時売り切れになるほどの人気が出ましたが、私は正直全く欲しいと思いませんでした(笑)。コーヒーとバナナとか、抹茶とミルクとか、相性が良さそうならいいですけど、コーヒーと白酒は明らかに「不釣り合い」。昔、キュウリ味のペプシコーラが発売されて話題になりましたが、あれと同じでひとときの話題作りだろうという程度にしか受け止めていませんでした。

おそらく今後も飲むことはないだろうと思っていた「白酒味のラテ」。恐る恐る口にすると……んん?まあまあイケます。白酒と知って飲むから構えてしまいますが、何も知らないで飲んだらフルーティーな味のするラテとしか思わないかもしれません。原材料のミルクに高級白酒の「茅台酒」が混ぜられていて、アルコール度数は0.5%以下に抑えてあるそうです。

金には困っていないであろう国有企業の「貴州茅台酒」がこうした商品を開発した背景には、中国でも白酒を飲む若者が少なくなっているという現状があるようです。今やビールやカクテルといった「白酒以外の酒」は何でもありますからね。去年にも茅台酒入りのアイスクリームを販売して話題になっていましたが、白酒メーカーなりに若者の関心を引こうと頑張ったんだと思います。

販売から2か月が経ち、発売当初の盛り上がりは見られなくなったかなというところですが*1、これが今後若者の飲酒トレンドにどう影響を与えるのか注目してみたいと思います。

References
*1熱しやすく冷めやすい、この国の人たちならではという感じですが。

鍋がぴったしな季節

今日は近所にある“涮羊肉”(羊肉のしゃぶしゃぶ)の店で夕食をいただきました。

しゃぶしゃぶは妻のリクエスト。今日妻は妊産婦検診だったんですが、血糖検査*1のため昨夜の夕食は早めに済ませ、今朝も何も食べず病院へ。お腹ペコペコだったそうですが、ずっと検査後のしゃぶしゃぶを楽しみに頑張る、と話していたのです(^^;)。

東直門にある“东直门涮肉・新派京涮”という店で、鍋は写真のように1人1つ出してくれます。あと、こちらの店、色んな味のクラフトビールが飲めるんですよね。ビール好きの私としてはこれもポイントが高いです。と言うのが、青島や燕京といった中国のビールはアルコール度数が3%しかないので、まるで水を飲んでいるように薄くって(^^;)。クラフトビールは日本のビールと同程度か、それよりも少し高いアルコール度数なのでおいしくいただけます。

肉は羊肉と牛肉を注文しました。ほかに野菜の盛り合わせなどを注文し、シンプルに。

中国で火鍋というと「重慶火鍋」のような辛いものを想像しがちですが、私はあっさりした“涮羊肉”(羊肉のしゃぶしゃぶ)のほうが好みです。すっかり寒くなっただけに鍋がぴったしな季節になりましたね。朝から空腹だった妻も満足してくれたようで、夫婦共々幸せな気分で帰宅しました。

References
*1血液の中に含まれるブドウ糖の濃度を調べ、妊娠糖尿病の早期発見を行う検査。

野生動物は食用に使っていません

今日、昼食を食べに行った店にこんな貼り紙がしてありました。

左側の“使用公筷”というのは「取り箸を使いましょう」という意味。中華料理は大皿料理を取り分けるのが基本スタイルですが、以前は直箸が一般的だったんですよね。これがコロナ禍を経て「感染対策」という意識が広がり、“公筷”=公共の箸、つまり取り箸を使う食習慣に変化してきました。

一方で右側の“不食用野生动物”……中国語が分からない日本の方でも意味は分かると思います。いや、中国でも野生動物を食するのは一般的ではありません。わざわざ貼り紙までして逆に怖いですが、これも新型コロナウイルスの影響かも知れません。と言うのが今から3年前、中国湖北省武漢市の海鮮市場で新型コロナウイルスの集団感染が世界で最初に確認されましたが、当時この市場で売られていた「野生動物」が発生源ではないかという見方が出たんですよね。実際、市場にはイノシシやタケネズミ、それにアナグマといった野生動物を販売する店舗があったようです。

今や「ゼロコロナ」政策も過去の記憶になってしまいましたが、こういう貼り紙が見られるところ、その記憶は今も忘れられてはいないのかもしれません。

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