The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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さようなら、メルヘンパン

今日、個人的にとても残念なニュースに接しました。

個人のツイッターアカウントですが「メルヘンフード」の経営者の方と見受けます。

「メルヘンフード」は岡山で1965年に創業した、メルヘンパンというパンの移動販売を手がける会社です。およそ60年間パンの販売を続けているので、小さい頃からメルヘンパンを食べて育ったという岡山の人は多いと思います。私自身もメルヘンパンを食べて育ちました。

メルヘンパンの移動販売車が来たらすぐに分かります。車から音楽を流しているからです。どこか郷愁ただよう曲調*1で、岡山で育った人なら一度は聞いたことがあると思います。この慣れ親しんだメルヘンパンの運営会社が廃業したというのです。

一番記憶に残っているのは私が幼稚園にも入る前の頃、当時住んでいた団地に来ていたメルヘンパンの移動販売です。確かマイクロバスくらいの大きさがある移動販売車だったんじゃないでしょうか。車の中にずらーっとパンが並ぶ光景は幼い私にとって、とても印象的でした。団地の敷地内まで来てくれるので、ご近所の人たちがみんなパンを買いに訪れていました。私も母と一緒に行き、よくアンパンマンのパンを買ってもらっていたことを覚えています。

メルヘンパンの「アンパンマン」(2020年12月撮影)

メルヘンパンは2019年以降、移動販売だけでなく「mikke」という店名で店舗展開もしていました。私の実家近くには本社機能を兼ねたパン工場があり、そこにも店舗が併設されていたので数年前に買いに行きました。

移動販売はどこでも販売できるという利点がある一方、タイミングが合わなければ客は来ません。生活様式の多様化で、毎週同じ曜日の同じ時間にパンを買いに行く……という人も少なくなっていたのかもしれません。加えてここ数年、新型コロナウイルスの感染拡大によって地域を跨ぐ移動が厳しく制限される時期もありました。移動販売で商売をする方々は大きな影響を受けたでしょうね。

「mikke」(2020年12月撮影)

メルヘンパンについてインターネットで検索すると、次のようなページがヒットしました。

「岡山発祥!パンの移動販売車メルヘンが手がけるパン屋『ミッケ』を知って欲しい!」と題するクラウドファンディングです。ここでは店舗展開を始めた理由について「タイミングが合わず移動販売車で購入することが難しい、時間を気にせずメルヘンのパンを楽しみたいという方々に向けてより地域密着し、安定的にメルヘンのパンをお届けするため」と紹介しています。

けれど(私も含めて)メルヘンパンには「移動販売」という印象が強く、「mikke」で販売するパン=メルヘンパンと認知していない人が多かったそうです。そこで多くの人に「『mikke』にはメルヘンパンが並んでいる」と知ってもらうべく、クラウドファンディングを立ちあげたとのこと。

私たちがパンの移動販売車を初めて60年以上、たくさんの月日が経ちました。特にこの2年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会全体が大きく変わりました。告知の仕方、PRの仕方、企業としてのあり方、店舗としてのあり方、何から何まで大きく変わった気がします。
(中略)
私たちも変わらないといけない時期が来たんだとおもっています。これまではインターネットでの展開にはあまり力は入れておらず、俗に言う『アナログ』と言う手法で頑張ってきました。それだけに今回のクラウドファンディングへの挑戦は私たちにとっては非常に大きな挑戦。この挑戦を機に、メルヘンも時代にあったやり方で皆さんに情報をお届けしたいと思っています!

岡山発祥!パンの移動販売車メルヘンが手がけるパン屋『ミッケ』を知って欲しい!
https://camp-fire.jp/projects/view/612899

クラウドファンディングはすでに募集終了しています。目標金額50万に対し、集まった支援金は16万7000円。クラウドファンディングは目標金額に達しなかった場合、支援金は全て返金されますから失敗に終わったということです。メルヘンパンなりに試行錯誤して頑張ったんでしょうね。私も当時知っていたなら少しでも支援できたかもしれませんが……廃業した今では後の祭りです。

岡山に住む私の母が今日近所の「mikke」に行ったところ、休業を知らせる貼り紙がしてあったそうです。パンを買いに来たとみられる親子が貼り紙を見て、驚いていたとのこと。私も同じです。驚いたし、あのメルヘンパンの音楽がもう聞けなくなると思うと自分の大切な思い出がひとつ消えて無くなるような、そんな寂しい気持ちがします。

廃業したという情報に接し、私は今日久しぶりにメルヘンパンのことを思い出したわけですが、前回思い出したのはいつのことでしょう。私がメルヘンパンのことを忘れて過ごしていたこの間、メルヘンパンはメルヘンパンなりにクラウドファンディングをするなどして活路を模索していたんですよね。そう思うと切なく感じるし、お世話になった身としては申し訳ない思いがします。

こういうの、無くなって初めて気付くんですよね。本当に自分って身勝手な人間だな、と思います。メルヘンパン、今までたくさんの思い出をありがとうございました。

References
*1調べると、オリジナルの音楽ではなく「そよ風と私」(The Breeze and I)という洋楽をアレンジしたものだそうです。

美容師のお兄ちゃん

私は去年9月に北京に赴任してから、ずっと同じ美容室に通っています。日本人スタイリストがいるからという理由で通い出したのですが、その実、一度も日本人スタイリストに切ってもらったことがありません。当初は予約に空きがないからという理由でしたが、そのうち中国人スタイリストのほうが安いし、それでいいやと思うようになりました。

今日も中国人のお兄ちゃんに切ってもらいました。

初めて見る方で、私の靴を見て「素敵な靴ですね」と話しかけてくれました。この美容室の中国人スタイリストは寡黙な方が多いので珍しいタイプだなあと思いつつ、会話が始まりました。

見た目が若い方で、私より3歳年下の30歳。彼は彼で私のほうが年下だと思っていたようです。お互い童顔なんですね、と笑い合いました。もともと10年ほど前に技能実習生として千葉県に行ったのをきっかけに日本と縁ができたそう。建築関係の会社だったそうですが、帰国してからは美容師の道に。少し前まで中国南部の深圳で働いていましたが「暑すぎる」という理由で、北京に来たそうです。今の美容室では先月から働いていて「ちょうど1か月が経ちました」と話していました。

中国では美容師になるには免許がいりませんから、誰でもなろうと思えばなれます。逆に言えば、誰でもなれちゃうだけに競争の激しい世界なのかもしれませんね。頑張ってほしいなと思いました。

やる気の出ない金曜日

今日、出勤すると職場に人が少ないことに気付きました。

中国ではおととい(水)まで労働節の連休でした。昨日(木)と今日(金)を休みにすれば週末にかけてさらに長い連休にできるので、今日は休みを取った人が多いようです。実は私も同じことを考えましたが、今日の遅番は私が担当だったためそういうわけにもいかず、通常通り出勤しました。

日本は今日、こどもの日で祝日ですね。うちは日本の会社なので、日本が祝日だと仕事量がグッと減るんです。ましてや今日は金曜日。いやあ、なんてやる気の出ない日でしょう(爆)。

フェアウェルは突然に

職場の近くに行きつけの蘭州牛肉麺の店があります。このブログでもよく紹介していますし、この前の投稿でも最近は蘭州牛肉麺よりも牛肉涼拌麺にハマッていると書いたところでした。

今日なんて昼前から「牛肉涼拌麺」が食べたくてしようがなくなり、ワクワクしながら店に向かいました。労働節の連休も挟んでいたので久しぶりです(とは言っても1週間程度ですが)。

店の前まで来ると、何だか様子がおかしい。とても静かなのです。もしや、労働節のお休みが続いているのかしらん?

中をのぞくと……こ、これはどうしたというのでしょう。これでもか!というほどに、店内がめちゃくちゃになっていました。店の扉は閉まっていて、何の案内も掲示されていません。この店、昼どきには毎日満席状態だったので、閉店する理由はないように思います。すると改装?と考えてしまいますが、それさえも分からないのです。

私は口の中が「牛肉涼拌麺」を迎える体制になっていたので、とにかくそれが残念です。それよりも、私はこの店のプリペイド食事券を持っているのです。確か、500元(約1万円)支払えば600元分(約1万2000円)の食事券がもらえるとか、そんなのだったかと思います。まだ100元余り残っていたはず……ほぼ毎日のように来ていたので購入したのですが、これ、どうなっちゃうんでしょう。

中国らしいっちゃあ中国らしいですが、それはあんまりです。あまりに突然なフェアウェルになってしまいましたが、また再会できることを願いたいと思います。

方言を話す気概

中国は広大な面積を有しているため、各地に方言が存在し、その差がとても大きいことで知られています。例えば中国語の代表選手「ニーハオ」(“你好”)。これは北京語を基礎とする標準語の発音であり、各地に行くと「ニーハオ」は「ニーハオ」でなくなります。

  • 上海語「ノンホー」
  • 広東語「ネイホウ」
  • 台湾語「リーホウ」

カタカナで書いただけなので全くそのとおりの発音ではありませんが「ニーハオ」と音が全く違うことが分かると思います。その差は方言というより別言語と言った方が良いかもしれません。だって北京と上海の距離は1200キロほどありますが、これはヨーロッパに例えると、ドイツとイタリアの距離と同じです。だったらドイツ語とイタリア語の違いくらいあっても不思議ではありません。

私は中国語の標準語(北京語)しか知りません。そのため各地の人が標準語を話してくれれば問題ありませんが、方言を話し出した途端に何を言っているか分からなくなります。だから上海の人が上海語で話しかけてきたら、全く分からないと思います。

今回、四川省に旅行に行ってきたわけですが、四川省にも方言(西南官話)があります。中国の内陸部に位置するので、さぞ標準語と違うのかと思いきや……四川の方言については何となーく分かる気がするんですよね。いや、方言を話しているんですが、ところどころ聞き取れる(ような)気がするんです。なんかこう、気の抜けた標準語というか……(笑)中国語の分かる方に説明するなら、四声がめちゃくちゃな中国語といった感じでしょうか(失礼だっちゅーの)。

四川省の人たちもそう(=私たちが聞き取っていると)感じているのか、容赦なく四川方言で話しかけてくる人が多かったような気がします。例えば成都を案内してくれたタクシードライバーのおっちゃんはずいぶん訛っていましたが、半分くらいは分かる気がするのです。まあ、逆に言うと半分は何を言っているか分からないんですけど(笑)。標準語を聞き取るのに比べると苦労します。けれど訛りを隠すことなく話しかけられると、何だか同じ輪の中に入れた感じがするんですよね。

人によっては標準語と方言をうまーく切り替える人がいます。さっきまでチャキチャキの方言を話していたのに、話しかけた途端にきれいな標準語を話し出すんですよね。当然、私としては標準語を話してくれた方が楽ですが、こういう場面に出くわすたびにうまく言えないのですが、なんとなく「よそよそしいもの」を感じるんです。いや、もちろん方言を話されたところで私には理解できないのです。けれど、おそらく地元の人同士が方言で会話している中に入っていけないことに、疎外感みたいなものを抱いてしまっているのかもしれません。勝手なものです。

私が留学していた十数年前は、もっと方言を話す人がいたように感じます。最近は地方に行っても方言を話せない人が増えたのか、そういう「疎外感」は少なくなりました。おそらく標準語を話す人が増えたからかなあ。けど、それはそれで寂しいんですよね。言葉はひとつの文化ですし、聞き取れないなりに相手が何を言っているのか一生懸命聞き取ろうと苦労したのは良い思い出です。

みんなが標準語を話してくれるようになれば旅には困らないと思います。けど、こうした文化は残ってほしいですよね。それこそ、私たち旅行者がその土地に入っていっているわけだから、少しくらい方言をかじって地元の人に話しかけるくらいの気概があって良いと思います。

追記)

ちなみに、なぜ四川省の方言が標準語に近いのかという考察ですが、一説には「屠蜀」を挙げる研究があるそうです。「屠蜀」とは、現代風に言えば「四川大虐殺」とも訳せますが、明の時代に残酷な殺戮を好んだ張献忠なる人物が無差別殺戮を行い、四川の人口を著しく減少させたとされる出来事です。これによって(今の四川方言と違う言葉を話していたであろう)古代四川人が壊滅し、よその地域から移民が増えたからというのが理由だそう。とても興味深いです。

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