The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

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人がいなくなった街

午後、自宅前のPCR検査場に行く。多くの人が並んでいるかと思ったらガラガラだった。というよりも、街全体に人がいないといった感じ。

北京では感染が広がりつつあり、週末は“宅一宅”(家にいる)するように呼びかけられている。それもあってだろうか、地下鉄の駅はガラガラだ。

北京の原宿と呼ばれる(私は全然違うと思うが)西単に来ても、この通り。留学時代は大学からバス1本で来られるとあってよく来た場所だ。週末には人を避けて歩かなければならないくらいなのに、この人出は確かに少ない。

北京では新型コロナウイルスの感染者で死者が出たとのこと。高齢者で基礎疾患があったということだが、中国で半年ぶりの死者確認にメディアは感染拡大への警戒感を伝えている。今がピークなのか、序の口なのか。考え出すと暗い気持ちになってしまうなあ。

昼食を食べながら考えたこと

ふと昼食を食べようといつもの蘭州牛肉麺の店に向かうと休業していた。平日なのにどうしたんだろう。いつもすごく賑わっていたから閉店したということはあるまい。不思議に思いながら別の飲食店に向かうと、そこも閉まっていた。

私が通う北京オフィスがある朝陽区は、北京で新型コロナウイルスの感染者が最も多く確認されている地区。ショッピングモールや公共施設が閉鎖を始めていると聞いていたけど、もしかしたらこれらの店舗も休業を命じられたのだろうか。

一応……と思い、さらに別の飲食店に行ってみると、そこは営業していた。

いただいたのは“土豆牛肉盖饭”(牛肉とじゃがいもの丼)。

ほかの店舗が開いていないからだろうか、店内は満席ですごい賑わいようだった。私のテーブルも途中から見知らぬ男性と相席に。こういうときに何の断りもないところが中国らしい。まあ、郷に入っては郷に従え、だ。店員さんも忙しそうに引っ切りなしに動いている。

ちなみに、中国ではセルフサービスの店でも食べ終えた食器はそのまま放置して帰る。日本だとマクドナルドやスターバックスでは飲み終えたカップを自分でゴミ箱に捨てるし、はなまるうどんや富士そばなら空の食器は返却口まで持って行くのが普通だ。

私が11年に留学していた頃から変わらないのだが、日本人の私はやはり抵抗がある。立つ鳥跡を濁さずではないが、自分の食い散らかした後をそのままにしていくようだからだ。それにスターバックスのようなカフェだと、いざ入店して席を探してもカップがテーブルに置かれていると、人が帰ったあとなのか席を外しているだけなのか分からない。そんなこともあって私は自分が飲食をしたあとは中国でも食器やゴミをきちんと片付けて帰るようにしている。

ただ、最近違う考えを持つようになった。

中国は中国で、きちんと食器やゴミを片付けてくれる店員がいるのだ。店内の掃除を担うとともに客のいなくなったテーブルを手際よく片付けてくれる。見たところ高齢者が多いかなあ。考えようによっては、客が放置して帰ってくれることで彼らの雇用が創出されているという見方もできる。

中国にはそういう仕事が多い。例えば街の至る所にゴミ箱が設置されていて、私は当初「回収業務はどうするのか」と思っていた。しかしきちんといるのだ、ゴミの回収だけを担う人が。おそらく地方出身者だろう、真っ黒に日焼けした人たちが竹ぼうきを片手にゴミを回収してまわっている。賃金は微々たるものだろうが、彼らはこのおかげで働けている。客がみんな真面目に食器を返却口に持って行き、街なかからゴミ箱をなくしてしまうと、彼らの仕事は無くなってしまうだろう。

しかし、そこは中国。何か仕事を作ると既得権益が生まれてしまう。

例えば中国では少なくとも72時間に1回はPCR検査を受けなければならない。検査を受ける人がいるなら、検査を「する人」も必要だ。防護服を着た検査員が検体を採取し、分析機関がそれを診断する。これが常態化した今、検査に携わる人たちの雇用を創出したと言える状況になっている。では今、PCR検査を廃止します!と決まったらどうなるだろう。彼らは明日から何をすればいいのか。

ほかにも中国では地下鉄に乗る際に必ず保安検査を行う。荷物をX線検査装置に通し、金属探知機で身体のチェックを行う。まるで航空機に乗るのかと突っ込みたくなる厳格さだ。

けれどやってみると分かるが、ずいぶん適当。X線検査の係員はスマートフォンをいじっているか、ひどいときは寝ていることもある。金属探知機にしたって同僚とぺちゃくちゃおしゃべりしながら私の体にちょこっとかざすのみ。個人の印象としては全然意味をなしていないし、あの検査のせいで夕方のラッシュ時なんて行列ができるんだから、正直やめてしまえばいいのにと思う。けれどやめてしまうと、彼らは明日から何をすればいいのか。

特に終わりの見えない中国の「ゼロコロナ」政策を見ていると、そういう場面が多い。「やめてしまうと、彼らは明日から何をすればいいのか」……答えが出ないまま、不条理な対策だけ続く。彼らの仕事がなくなることだけ心配するならまだいい。問題は、それで懐を肥やしている人間もいるからいかがなものかと思ってしまうのだ。

ふと昼食を食べながらそんなことを考えてしまった。店員さんたちは相変わらず忙しそうに働いている。彼らのように真面目に働いている人たちを思うと、何だかやるせない気持ちになってしまう。

推して知るべし

今日、会社のオフィス近くにびっくりするぐらいの行列ができていた。

時間は午後4時過ぎだったかな、みんなPCR検査を受けるために並んでいる人たち。

ここ朝陽区は北京で最も感染が確認されていて(と言っても100人余り)区内のあらゆる場所が24時間以内の陰性証明を要求するようになってきている。一方で大量のPCR検査場を閉鎖しているという話も。そりゃあ……こうなるよねえ。

私の会社のオフィス近くにも検査場がひとつある。誰でも入れるエリアではないので、そこは混んでいないようだ。しかしそうでない人はこの列を毎日並ばないといけないということ?

別の検査場もこの有様だ。働いている人は退勤時間まで待っていると検査場が閉まってしまうので、勤務時間中に検査するしかない。しかし、それで1時間、あるいはそれ以上並んでいたら仕事にもならないだろう。一方、夕方には「朝陽区の検査場を増やして、住民の利便性を高める」なんて発表もあった。とにかく混乱ぶりが露呈している。

北京はこれから冬になり、どんどん寒くなってくる。私も留学時代に経験したが、日中だって氷点下の気温になるのに……そんな中でも数時間立っていないといけないのかな。北京市民がどう思っているか、推して知るべし。

迫る隔離、地獄の軍団

スマートフォンで「百度地図」*1を開くと、北京市内のあちこちに赤い文字が表示されている。

書いてあるのは“高风险”(高リスク)や“中风险”(中リスク)の文字。おそらく感染者や濃厚接触者が発生した場所だろう。中国にはこうした感染状況が悪い地域の分類が「高」「中」「低」とある。至る所に赤い文字で書かれていて、自分と近いところに表示されると「ドキッ」としていまう。

今日の中国政府の発表によると今後は「高」と「低」の2種類になるらしい。そして海外からの入国者も今まで7日間の集中隔離+3日間の自宅隔離を行っていたところを、5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離にするとのこと。たった2日間の短縮かあ。

私の家はショッピングモールに直結しているのだが、今日からモールが臨時休業すると連絡が来た。

感染者が発生したわけではなく「お客様と従業員の安全を保障するため、感染防止作業を行います」と書いてある。消毒かなにかするのだろうか。身の回りにじわじわと広がってきている感じがする……「感染」というより「隔離リスク」が(^^;)。

References
*1さしずめGoogleマップの中国版といったところか。

ゼロコロナは続くよ、どこまでも

日本で来たる新型コロナウイルスの第8波に警戒感が強まる中、中国でも感染が広がり始めている。とは言え、昨日中国で確認された感染者は約8500人。日本は約8万7400人なので10分の1ほど。けれど中国では大ごとだ。

とある日本企業の北京オフィスは日本人社員が全員自宅隔離になったらしい。理由は、出勤していた中国人スタッフの下の階の住人が陽性になったから。つまり、その中国人スタッフ自身は陽性でも何でもないのに、このスタッフと同じ空間にいたことを理由に“次密生接触者”(2次濃厚接触者)というカテゴリーに分類されたそうだ。

何なんだ、2次濃厚接触者って。全然「濃厚」じゃないし、それで自宅から出るなと言われるんじゃ、何のためにこんな高頻度にPCR検査しているのか分かったもんじゃない。

会社の北京オフィスの周りでは、商業施設が営業を停止したり一部の公園が閉鎖したりと影響はじわじわと出ている。また感染者が出た地域からの移動が厳しく制限されているので、北京の日本大使館には地方に出張や旅行に行ったまま「自宅に戻れない」という日本人からの問い合わせが相次いでいるらしい。なかには1か月以上帰れていない人もいるそう。

これがいわゆる中国政府の進める「ゼロコロナ」政策、徹底的に感染を抑え込むやり方だ。

周りの中国人たちの間では「感染する」ことよりも「隔離される」ことに対する不安のほうが高まってきている。そりゃそうだ、私も日本で陽性になった身だが、今や新型コロナウイルスは風邪と同程度の症状。なのに数週間にわたって隔離されるんじゃ、そちらのほうが影響が大きすぎる。

しかし今日の19時から放送したニュースではこんなことを言っていた。

11月10日現地時間19時から放送された中国中央テレビニュース番組「新聞聯播」

中国の最高指導部たちが会議を開き“坚定不移贯彻‘动态清零’总方针”(「ゼロコロナ」の大方針を揺るぎなく貫徹せよ)と確認したということだ。市井の人々が混乱しているのを知ってか知らずか、今後も厳しい状況は続くらしい。

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