The time is gone, the song is over, thought I'd something more to say.

月: 2023年1月 (3ページ目 (7ページ中))

静かな大晦日

今日は旧暦の大晦日だ。

ツイッターを見ていると、多くの中国人が実家に帰省してごちそうを囲んでいる写真をツイートしている。そして中国中央テレビの“春节联欢晚会”を見るんでしょう?旧暦の大晦日に生放送され、全世界の華人が十億の単位で見るという番組で、中国版の「紅白歌合戦」と呼ぶ人もいるようだ。

私自身は特別な何かがあるわけではないが、どこかいつもと違う気分になる。新暦の年末年始に「年の瀬」っぽいことがなかっただけに、ようやく新年を迎えられる気分だ。

買い物をしにイトーヨーカドーに行くと、相変わらず真っ赤な新年の縁起物コーナーが。派手だなあと思う一方、自分の家にも少し飾ってみたい気もする。中華圏は「めでたいっ!」というのを全力で表現するので、見ていて気持ちがいい。

スターバックスでお茶でもしようかと思ったら、営業時間にもかかわらず店内が暗い。閉店まで数時間はあるのに、どうしたのだろう……と入り口を見ると“今日已结束营业,明年再见啦~”(本日の営業はすでに終了しました、また来年お会いしましょう~)という、何とも軽いメッセージ。

まあ、おそらく営業していても大晦日で客が来ないのだろう。私も食料品売り場で買い物だけして、おとなしく帰ることにした。

ちなみに11年前に留学していた頃に経験した大晦日というと北京のそこら中で花火が上がるわ、爆竹を鳴らすわで大変な騒ぎだった。冗談抜きで北京が攻撃されているのかと思ったほどだ。それほど中国の年越しに花火や爆竹は欠かせず、除夜の鐘だけが聞こえる静かな日本の年越ししか知らなかった私は衝撃を受けたのを覚えている。

それも昔の話。大量の花火や爆竹は大気汚染の原因になることを理由に、都市部では禁止されてしまった。確かに当時はPM2.5という言葉をしょっちゅう聞いた気がする(……し、北京に住んでいても空気が悪いなあとつくづく感じたものだ)。あれから中国の大気汚染は確かに改善した。けれどずいぶん静かな大晦日になったものだ。きっと味気ないと思っている中国の人は多いんだろうなあ。

旧暦の仕事納め

今日は旧暦の仕事納めだ。中国は明日から春節の大型連休に入る。

中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大したこともあり、職場では新暦の年末年始の際、忘年会みたいなものが一切出来なかった。せめて旧暦の仕事納めくらいは……ということで、近所のコンビニでビールや乾き物を買って職場で簡単な立ち飲みをした。

昨今は「飲みニケーション」というものに否定的な意見があることも重々承知しているけど、やはり酒を飲みながら会話をすると普段の仕事づきあいでは見えない部分が見えてきて距離がグッと縮まる。コロナ禍になる前は職場の日本人と中国人で食事会や飲み会がちょくちょくあったらしい。確かに私が来てからは、日本人同士でさえも一切できなくなっちゃったからなあ。

とは言え、私は仕事を抱えていたのでノンアルコール。中国人スタッフたちも早めに仕事を切り上げて退勤したので、職場での「簡易飲み会」も1時間いかないくらいでお開きとなった。

帰宅時の北京地下鉄2号線。人が全然乗っていない。

春節が近づくと北京に住む地方出身者がみんな帰省するので、北京が一気にガランとする。ここ最近は感染状況が収まってきたので地下鉄も混むことが多かった。座席に座れるのはありがたい。

自宅近所のスーパーにあった看板。「春節まであと2日」という文字だ。

中国の人々にとって春節がいかに重要なのかをひしひしと感じる。そう言えば、韓国も旧暦の正月を祝う文化が残っている。日本だって太陽暦を採用するまでは旧暦の正月を祝っていたわけだ。そう考えると、何千年と続いてきたアジア圏で最大の年間イベントをいとも簡単に切り替えた明治政府っていうのはある意味すごいなあ。

你是不是在凡尔赛?

昨日まで行っていた山西省出張での出来事。

同行していた中国人スタッフが「スマートフォンの電池がなくなりそう」と言う。私がモバイルバッテリーを貸してあげようとしたら「あなたのスマートフォンの電池は大丈夫なんですか」と言うので「まだ残量は80%もあるから大丈夫。新しいスマートフォンだから」と冗談交じりに答えると“你是不是在凡尔赛?”(「あなたは『ベルサイユ』しているんですか」)と笑いながら言う。

「“凡尔赛”(ベルサイユ)する」ってどういうこと?「ベルサイユ」自体は言わずと知れたフランスの地名だ。しかしこの場合は明らかに意味が違う。

聞くと、高級感や贅沢な生活をアピールし、自分の優越感をさりげなく誇示することを指す新語らしい。日本語でいう「マウントをとる」といったところだろうか。

山西省出張2日目

山西省運城、出張2日目。

山西省は北京からそう離れていないが、訛りがきつい。若い人はまだいいが、高齢者と話すと何を言っているか分からなくなる。このたび北京に来て基本的に言葉で苦労したことはなかったので、初めて挫折を味わった気分だ。

とは言え、出張に同行した会社の中国人スタッフも聞き取れていないよう。山西省の地元の人から話しかけられても“……听不懂”(聞き取れない)と言う始末。同じ国の人同士で「聞き取れない」という場面は日本でそうそうない。やはり中国は大きいなあ。とりあえず聞き取れないのは私だけではなくネイティブでも同じなのだと分かって、少しほっとした(笑)。

こういう地方に来ると、一昔前の中国共産党のスローガンがそのままドデン!と残っているから面白い。この大洋村の大きな門に掲げられているのは“听党话,跟党走”(党の話を聞き、党と共に行こう)という文字。まあ、最近は北京といった大都市にもスローガンが増え始めて「回帰」とも言えるような現象が起きているけど。

市が立っていて、とても賑やかだった。道路の脇に露天がひしめき合って並び、多くの人が新年の縁起物や年越し用の食料品などを買い求めていた。この市は月に数回開かれているが、春節を控えたここ1週間ほどは特に客が多いらしい。

カラフルなのは飴。中国の年末年始は家に多くの人が集まるため、飴を食べながらおしゃべりをしたり、久しぶりに会った人に分けてあげたりと欠かせないものだ。

お昼にいただいたのは、地元の名物“羊肉胡卜”。料理名だけだと、どんな料理かさっぱり見当が付かない。“胡卜”というのは何だろう。見た目が“胡萝卜”(にんじん)に似ているので、にんじんか大根か何か入っている?と思いきや、全くそうではないらしい。

小麦粉をこねて作った生地を細切りにし、それを羊肉のスープに入れた料理。私はスープを少し辛めにしてもらった。スープがとても濃厚でおいしい。隣に座っている人は羊肉のスープに“麻花*1を浸して食べていたのでびっくらこいた。そういう食べ方もあるらしい。“麻花”はあのサクサクした感じがいいのになあ。さすが中国、食にもいろんな楽しみ方があるものだ。

今回、山西省で食べたものはどれも少々辛めのものが多かった。内陸部だから、辛いものを食べて温まろうということなのだろうか。初めて食べるものばかりで新鮮だった。

北京に戻り、自宅に着いたのは午後11時過ぎ。クタクタ。

References
*1小麦粉をこね、油で揚げて作る中国陝西省起源の菓子。きつね色に揚がった、香ばしくさくさくした食感と甘い味が特徴。

山西省出張1日目

今日から1泊2日で山西省に出張。これまで新型コロナウイルスの感染対策が異常に厳しかったこともあり、北京に来てから一度も地方出張がなかった。今回が初めてだ。

向かったのは山西省の南西部にある運城という街。さすがに「農村」とまではいかないものの、正真正銘の地方都市だ。仕事でなければ一生来ることはなかっただろうなあというような街で、そう思うとひとつひとつの風景がまた特別に感じられた。

この街、運城は塩湖が有名で「中国の死海」と呼ばれているようだ。写真では分かりにくいけど、遠くに見えているのが塩湖。

お昼にいただいたのが、この地域の名物だという“羊肉泡馍”。写真左のパイ生地みたいなのが“”で、これをちぎって右の羊肉や春雨が入ったスープに浸して食べる。浸してすぐは生地がまだ固いのだが、しばらく経つとふやけてくる。スープがおいしくて、しっかり飲み干した。

この店はオープンしたばかりのようで、店主がしきりにサービスしてくれるのが印象的だった。タバコを差し出してくれたり*1、スープはおかわり自由だと声がけをしてくれたり、とても親切だ。店内の雰囲気は新しいように見えなかったので、居抜き物件なのかもしれない。

私が一番印象的だったのは街の市場だ。豚の頭が並んでいたり、見たこともない川魚を売っていたり。なかでも忘れられないのが、首を紐で繋がれた鶏の姿だ。隣にはすでにさばかれた「鶏肉」が並び、この鶏自体も毛を3分の1ほどすでにむしられていた。寒いのかジーッとして動かず、たまにする瞬きがまだ生きていることを教えてくれた。おそらく客の注文があった時点で「しめる」のだろう。そのほうが新鮮だからね。この鶏からすればあとは「殺される」のを待つだけで、私の顔を見つめてきた目が忘れられない。

とか言う自分だって毎日のように鶏肉を食べているのだから自分勝手だよなあ。けど、生き物の命をいただきながら暮らしているのだということを改めて感じた。11年前の中国留学で新疆ウイグル自治区を旅行した際、ウイグル族の友人宅で「外国人のお客に対する最高級のおもてなしです」と言って目の前でヒツジを「しめ」、食事として差し出してもらったことを思い出した。

References
*1私は喫煙しないけれど。
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