いろいろな事情があって、ふと私の弟2人が実家のある岡山に帰っている。今日は祖父母宅に集まってワイワイしたらしく、私も帰宅してからオンラインで参加した。

正直、このタイミングで家族が集まる機会ができたことに心底ホッとしていた。気になっていたのが今週月曜日に亡くなった親戚のおばさんのこと。祖父の姉にあたる人で、亡くなってから祖父がかなり落ち込んでいると聞いていた。そりゃあそうだろう、私だって自分の兄弟が「もしそうなったら」耐えられないだろうなあ。だから孫が帰ってきて賑やかになれば、落ち込む祖父にとって少しでも励みになると思ったのだ。

ビデオ通話で弟と会話をしていると「明日、大阪に行く」と言う。どうやら明日(土曜日)大阪でおばさんの葬式があり、急遽弟が祖父母を連れて行ってあげる話になったようだ。

祖父は散歩が日課で、数キロくらいなら平気で歩くほど元気。判断力もしっかりしている。ただ、ここ数年で耳の聞こえが悪くなった。大阪くらいなら体力的に全く問題ないが、ただ「耳の聞こえ」を心配し1人で(乃至、祖母と2人で)行くことは半ば諦めていたのだろう。本当は行きたくて行きたくてしようがないのに。それを見かねた弟が、自分が大阪まで連れて行くことを申し出たようだ。

ビデオ通話をする弟の脇から祖母が「おじいちゃん、もう、それはそれは喜んでいるよ」と割って入る。しかし映像に祖父の姿が見えない。どうしたのかと聞くと、さっそく自室で大阪行きの準備をしているのだと言う。そうだね、喪服に数珠に、香典だって用意しなくちゃいけない。

弟たちと話していると祖父が部屋に入ってくるのが見えたので、私からも「気をつけて行ってきて。大阪のおばさんも最後のお別れができること、きっと喜んでいるよ」と伝えた。すると祖父が我慢できず泣き出したので、思わず驚いてしまった。祖父が泣いた顔なんて見たことがなかったからだ。曰く、姉が亡くなってここ4日ほど気が塞いでいたらしい。葬式に参列できることが本当にうれしそうで、私も画面越しに泣けてきてしまった。

人が亡くなっているのに「良かった」というのは憚られるけど、弟たちの帰省の時期がちょうど重なって本当に良かった。そして弟の提案にも感謝。急遽、大阪行きが決まった祖父母と弟に私からも少しカンパした。強行軍かもしれないけど、心おきなくお別れをしてきてほしい。