仕事を終えて帰ろうとしていると、職場の中国人スタッフの女性が「ぼぼよるさんは韓国語が話せるんですか」と聞いて来た。

このスタッフは朝鮮族の方。朝鮮族は中国に55いる少数民族の1つで、韓国や北朝鮮と同じ文化のルーツを持つ人たちだ。チマチョゴリを着て、ハングル文字を書き、アンニョンハセヨと話す。けれど中国国内に住み、中国国籍を持っているため、あくまで「中国人」。

私はいつもこの方の言語の使い分けに本当に感心していた。電話で朝鮮語を話していたかと思ったら、突然同僚と中国語で会話をし始め、私たちには日本語で話しかけるのだ。その切り替えようが本当に見事で、言語オタクとしてはいつも惚れ惚れしながら見とれていた。朝鮮語と中国語はどちらも母語だから話せて当然かもしれないが、日本語だって申し分ないレベル。正真正銘のトリリンガルなのだ。

私がたまに朝鮮語を口にするのを聞いて、話せるのかどうか気になっていたらしい。いやあ、比べて私の朝鮮語はとてもとても。趣味程度ですから……って、大学の第二外国語では朝鮮語を選んだはずなんだけど(^^;)。

帰宅しようとしていたのに朝鮮語談義に花が咲き、時間も忘れて話し込んだ。「ぼぼよるさんが延辺*1に行ったらきっと楽しいと思いますよ」と言ってくれた。そうそう、延辺、ずっと昔から行ってみたかったんだよなあ。中国っぽい町並みにハングル文字があふれ、訪れた人は中国にいながら韓国に来たような感覚を味わえるという。

中国に赴任したら絶対に行きたいと思っている場所が山ほどあるのに、今のところ北京から一歩も出ることさえ叶っていない。ここ数日は北京もじわじわと感染者が増えてきて不穏な噂も流れているところ。ああ、いつまで続くんだろう。

References
*1中国東北部・吉林省にある延辺朝鮮族自治州。朝鮮族が多く住んでいるので、街なかには中国語とともに朝鮮語があふれている。