夜は出前にしようと思い、退勤する際にスマートフォンアプリで料理を注文した。こうすればちょうど家に着く頃に出前が届くのだ。

家の最寄り駅で地下鉄を降り、改札口を出たところでちょうど配達員から電話がかかってきた。

「出前が到着しましたよ」
「マンションの入り口に出前用のロッカーがあるので、そこに入れておいてください」
「ロッカーですね、分かりました」

私のマンションの入り口には出前用のロッカーがあり、そこに入れてもらえば直接やり取りせずに済むのだ。今は新型コロナウイルスの感染対策で配達員もマンションの中に入れないようになっているため、こうした方法がメインになっている。

しかし「もしや」と、足を止めた。どのロッカーに入れたか確認したところ……ああ、やっぱりだ。マンションの入り口ではない別のロッカーに入れている。

私のマンションは複合施設にあり、ほかにショッピングモールとオフィスビルがあるのだ。そしてオフィスビルの1階にも出前用のロッカーがあって、これが事を複雑にしている。以前何度かオフィスビルのほうのロッカーに入れられたことがあったので、今回もそうではないかと思ったのだ。

オフィスビルのロッカーまで来てアプリで解錠すると、果たして9番の扉が開いた。

今日は帰宅途中だったから良いが、部屋から取りに行くとなると結構面倒だ。と言うのもオフィスビルは少し離れたところにあるので、部屋からだと行き帰り10分ほどかかってしまう。マンションの入り口なら薄着でも取りに行けるのに。

もっと複雑なのが、マンションにも1号棟と2号棟があること。1号棟がメインの建物でフロントもこちらにあるのだが、私が住んでいるのは2号棟なのだ。出前用のロッカーがあるのは2号棟の入り口なので、電話で配達員に「2号棟の入り口にロッカーがある」と伝えても、向こうはおそらく1号棟にいるので「そんなものはない!」と怒り出す人さえいる。仮に彼らがやっとロッカーを見つけたとしても、それがオフィスビルのほうのロッカーだったりするから面倒なのだ。

とにかく私も出前のたびに場所の説明をしなければならないし、その苦労の甲斐なくして見当違いの場所に届くから困ってしまう。

何か方法がないものかと思い、マンションのフロントに相談しに行った。するとフロントのお姉さん、「うーん、それは避けられない問題ですねえ」と話す。うまい説明の仕方を自分で考えるしかないのかなあ。これから北京はどんどん寒い冬になるというのに、寒空の下オフィスビルまで出前を取りに行くんじゃ何のための「出前」なのか(^^;)。